2008年9月県議会 建設委員会 概要記録

2008年9月22日

《質問》 松坂英樹 委員
 議案第110号の調停条項案の受諾についての件で質問します。この議案は橋本市の胡麻生地区の土地区画整理組合が申し立てた特定調停事件、これを受諾することを求めている議案になるわけであるが、今回の特定調停に至った経過としては、土地区画整理組合が住宅地を整備して販売しようとしたが、地価下落と販売不振によって、返済が困難となって破綻をしたということであると思う。そもそも、土地区画整理事業というものは、駅前のものとか震災のときもそうだったように、公の目的を持って進められるのが当たり前だと思うが、今回の事業については、私も現地を見てきたが、山を造成して宅地にして販売するという、不動産型の事業であったのではないかと思う。それは成功すれば地権者もメリットがあるし、公にもメリットがあると思うが、失敗するリスクも抱えた事業であるから、開発事業型のものを土地区画整理事業でおこなうというのはどうであったのか。そしてこういった計画が破綻をするということは、全国的に近畿の中においても例があることなのかというのが一つめの質問である。
 2つ目に制度上あったとしても、そもそも今回のケースバイケースでいう、この胡麻生地区の宅地開発を振り返ってみれば、無理な開発事業計画でなかったのか。私も現地に行って思ったのだが、進入路もつづら折りで上がっていかないといけないし、擁壁もかなりたくさん造成している。駐車場もその擁壁の中に掘った地下式のものとなっているという、非常にコストのかかる宅地造成だったと思う。そういう点では非常にリスクの高いものであったと思うが、その開発事業そのものに無理はなかったのか、そういう点に県はどういう認識をもっているかお尋ねする。

《答弁》 山田住宅環境課長
   議員お尋ねの土地区画整理事業については、全国的に貸付事例がある。また近畿府県においても全ての府県で実施している。
   貸付は適正であったかどうかという質間であるが、この貸付金については、国の都市開発資金の無利子貸付融資制度を活用したものであり、組合が提出した申請書を県が当時の近傍公示価格等を参考に適正に審査し、県は当時の建設省に償還計画を提出している。国においても計画は承認され、適正であったと判断している。

《質問》 松坂英樹 委員
 適正であったという内容の答弁だったかと思うが、こういった土地区画整理事業が破綻した場合に、破綻処理のルールとしては、その債権者が融資をした先、今回であれば、国民県民の融資をしたお金が戻ってこないということになって、それをどうするかということになるが、持っている、売れる土地を全部売って、そのお金で清算することになるのだろうが、売れるだけの土地をどれだけ確保するかという減歩率では、それぞれの組合員、土地の地権者の自己責任というか、事業が上手く行かなかった時の減る率を何回か見直していると思うが、減歩率はどうなっているか。

《答弁》 山田住宅環境課長
   当初の減歩率については、約50%であったものを最終は約85%の減歩率となっている。

《質問》 松坂英樹 委員
 そういった経過を経ながら今回調停になっている訳だが、県が債権者であると同時に、融資した銀行、その代わりとなって今回権利を主張している保険会社、そして、工事を請け負ったゼネコンと大きく分けて3つが債権者だ。
 その3つには差があると思う。融資をした銀行、保険をかけて、もしこの事業が失敗したときのための保証金をもらって商売をしている保険会社が、失敗したからといって、一番抵当だといって、全部とるんだと主張したり、ゼネコンも商売して利益を上げている訳である。そういう事業や商売で債権を持っているところと、融資をして返してもらうという公の金を扱っている県とでは、同率でしか返ってこないとか税金の方が返ってくる率が少ないというのは、ちょっとおかしいのではないかと思うので、これらは同等に扱っていいものなのかどうかという点で、県の考えを示していただきたい。今回この配分割合で調停ということだが、県が1,800万円を主張していたのが、調停では1,100万円とずいぶん減っているが、裁判になった場合どんな見通しを持っているのか、答弁願いたい。

《答弁》 山田住宅環境課長
   議員お尋ねの配分が同等かということについては、県としては、調停の方で、検討されているのでこれについては同等と考えている。
   裁判を続けたらどうなるかという点については、裁判と調停が平行しておこなわれているが、裁判になっても結果は今回と同等か、悪くなるのではないかと考えている。

*山本委員長
 《傍聴協議》 傍聴許可1件

《質問》 松坂英樹 委員
 最後にお伺いするが、私の問題意識は公のお金を融資して、それがいわば焦げ付いた状態になっているということだ。この調停を決着すれば、今後回収する見込みというのは、連帯保証人に請求するといっても、かなり困難を極めることになってくると思う。そういう点で、融資の回収ができなかったという問題点について、県としては、県なりに教訓を導いて今後に生かしていかないといけないと、国民県民の血税の使い方としては、いろんな問題点があったのではないかと私は思うが、その教訓や今後に生かす点をどう考えているか答弁願う。

《答弁》 松本都市・住宅局長
   議員ご指摘の件については、県としても慎重に融資を進めてきている訳であるが、今後こういう事例等があれば、より慎重に審査をするなり、こういうことを教訓にし、取り組んでいきたいと考える。

《要望》 松坂英樹 委員
 今回、職員の方はずいぶんがんばって対応してこられたと思うが、本来県がしなければならない仕事は、地権者に色々なマイナス面を辛抱してもらうことをお願いしたりするのではなく、事業が上手く進むような仕事をするのが本来の仕事だと思うので、そういう点、ぜひ今後に教訓を生かしていただきたいということは、要望しておきたいと思う。

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《質問》 松坂英樹 委員
 近畿自動車道海南有田間のトンネルの安全対策について、1年前の委員会においても、本トンネルが暗くて走りにくいので明るくして欲しいとの要望をした。その時にも、幅が狭く走りにくいので、トンネル渋滞の原因になっているのではないかとの指摘をしておいた。昨今、田辺まで延伸され、那智勝浦道路も開通したとのことで走ってみたところ、京奈和もそうだが非常に走りやすい。それで、当局にトンネルの幅がどうなっているのかを調べてもらうと、3.5mの道路幅は基本的に変わらないが、トンネルの幅で見ると、海南有田間は8.5mに対して、京奈和であれば10m、みなべ田辺間で9.5m、那智勝浦道路で10.5mと確保されている。京奈和以外は同じようなランクの道路と聞いているが、この幅の差が、海南有田間が非常に走りにくいということになっている。この度の4車線化に伴いトンネルの幅は変わらないのか。

《答弁》 若林高速道路推進室長
   現在、海南有田間のトンネルについては、片側1車線の双方向通行だが、4車線化後はもう1本トンネルができ、それぞれ1方向通行になる。ラバーポールや縁石が撤去され、実質上車線が広くなるため、より安全性が向上することになる。

《質問》 松坂英樹 委員
 ラバーポールの分が広くなるとのことだが、走りにくいのは上り車線である。
 これは横に管理用の歩道が車道のすぐ横にあり、非常に窮屈に感じる。路肩の幅をみると、海南有田間が0.75mしかないのに対し、他のトンネルは1.25mをとっている。京奈和では、走行車線には1.75mの路肩をとり、追越車線と差をつけ安全策をとっている。今からトンネルの幅を変えることができないが、色々な知恵を使って走りやすいように工夫するように西日本高速道路株式会社に対して申し入れを行ってもらいたいがどうか。

《答弁》 若林高速道路推進室長
   委員ご指摘のように、左側に監視員通路があり圧迫感があるが、現在の道路構造令上では、暫定2車線から4車線化された場合、車線として3.5mの幅を確保することが必要となるため、総トータルで長さが変わらない限り路肩部分を広くすることは難しいと聞いている。

《要望》 松坂英樹 委員
 総トータルは変わらないというのはそのとおりであるが、現状の路肩も0.75mずつあるかどうか疑問である。特に追越し車線はもっと狭いように思われる。そういう標準のサイズと比べて実態がどうなっているかの調査も含め、もっと走りやすくするための工夫ができないか検討を続けてもらいたい。

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《質問》 松坂英樹 委員
 広川町山本地区の江上川の浸水対策について、広川町から建設委員会に対する陳情書の中にも、農地の冠水、住宅の浸水、県道御坊湯浅線の冠水等が記載されているが、浸水対策についての認識と今後の進め方について聞きたい。

《答弁》 鈴木河川課長
   江上川については、昨年の平成19年7月10日の梅雨前線豪雨があり、その際に河川からの溢水が確認されていることから、浸水の要因または状況を精査し、町ならびに地元住民と調整をおこなっていく予定である。

《要望》 松坂英樹 委員
 町、地元とともに原因を探りながら、できるところからおこなってほしい。

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《要望》 松坂英樹 委員
 今議会の議案のなかに市町村負担金についての議案があるが、特に災害対策事業に対して地元負担金を求めるのは酷であり、道路の拡幅や新設等に対する地元負担金とは考え方を変える必要があると思う。危険発生箇所の多い自治体や面積の広い自治体などは、財政力とは無縁に災害対策が必要になる訳であり、そういう意味では、市町村負担金の率が変わらないということについては反対の態度をとり、負担率を引き下げたときには賛成をしてきた。今回、負担率が変わらないということであるが、今後は一層、災害対策事業については、市町村負担金を引き下げる方向で検討を進めてもらいたい。


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