2008年9月県議会 福祉環境委員会 概要記録

2008年9月22日


《質問》 奥村規子 副委員長

 事故米の件について質問をさせていただきたい。先ほどから他の委員も言われていたが、県民が何を一番説明して欲しいのかについては、いろいろな仕組みや、いろいろな分からないことがある点であると思う。三笠フーズが引き起こしたことについてはもちろん許されるべきことではないと思うが、なぜそのようなことが起こったのかということに、各委員が心配して県に対して説明を求めているのだと思う。
 その点も含めて、先ほど担当課長が言ったように、この間題は産業の問題だけではなく、いろいろなことを挙げて、経済の問題も含め、中小業者への経済的な影響とか様々な問題があるかと思う。連絡会議と言われているが、本当に今の県民の声に応えていく体制になっているのか、内部の総合的・対策的な会議が考えられているのか、その点での取り組んできたことをお聞きしたい。
 もう一点は、健康被害ということが言われているが、これは今のところ健康被害がないとして受け止めたらいいのか。実際的にいろいろと報道された施設はもちろんのこと、これからもそういったことがあるかもしれないが、それについてはまた、健康被害調査がされていくべきなのか、考えがあれば答えていただきたい。

《答弁》 野添食品・生活衛生課長
   先ほどの関係課室連絡会議であるが、これは危機管理的な連絡会議であり、事件が起こったことに対応して、これからどうしていくということを庁内で連携する会議である。今回もこの会議を開催して、これを教訓として、今後どのような対策、予防施策が必要かということを検討していきたいと考えているところである。
   なぜこういう事態が起こったというのかということであるが、食糧法が16年に改正され、米の卸、小売りが国への届出制へと変わっている。米の流通は、国の農政事務所の方が一括して把握しており、なかなか流通先がこちらではつかめていなかった。

   健康被害についてであるが、今のところ健康被害は出ていない。米の検査ではメタミドホスが検出され、基準が0.01ppmのところ、0.02ppmが検出されたという結果が出ている。
   一番初めにこの米では0.05ppmが含まれていると言われていた。人が毎日一生食べ続けても大丈夫な量というのがあり、体重1kgあたり0.0006mgである。これをわかりやすく言うと、体重50kgの人であれば、毎日、米で600g、約4合のお米を毎日食べ続けても安全ということである。今回でいうと、製品、例えば餅の検査をしてもメタミドホスは検出されない。米の時にはあっても、洗ったり蒸したり加工の段階でほとんど流れ出てしまう。そういうものなので、健康への影響はないということで発表させていただいている。

   今後とも保健所を窓口として健康相談には十分応じていきたいと考えている。

《要望》 奥村規子 副委員長
 要望であるが、やはり県の対応がよく見えるようにしていただきたい。

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《質問》 奥村規子 副委員長

 妊婦健診の公費負担の問題では、全国的に見て和歌山県の水準が低いと言われており、県としても市町村への働きかけに努力していただいていると思うが、市町村が実際にはなかなか取り組めていないとか、検討中であるとかいったことも含め、今の状況はどうなっているか。

《答弁》 山本子ども未来課長
   妊婦健診については、昨年度から海南市が3回実施しており、今年度からは新たに6町が5回実施している状況である。国が5回分の交付税措置をしているため、県としては5回実施するよう、各市町村をまわり、十分に説明をしてきたところである。そうした中で、殆どの市町村において前向きに取り組んでいただけるという感触を得ている。

《要望》 奥村規子 副委員長
 安心して安全なお産をするためには14回の健診が望ましいと言われているので、県として、それが実現できるように、国に対してもさらに働きかけをお願いしたい。

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《意見》 奥村規子 副委員長
 高齢者の問題だが、先ほど当局から説明のあった「いつまでも健康で長寿を喜び合える社会」ということは長期総合計画の大きな柱としてあげられているが、今、健康で生きがいをもっておられる方が、更に生きがいをもっていけるための支援策というのが色々ある中で、先ほど藤本委員も言われていたが、収入が少なくて弱い立場の方がどんな支援策を受けていくのかというところが、どんどん縮小されていっているのではないかと非常に思う。
 財源等いろんな問題が先行し、そういったことがされていっているのではないかということが何点かあり、高齢者の67歳〜69歳の所得制限が以前はもっと緩やかで対象者も多かったと思うが、現在、非常に少なくなっている状況で、費用としてもこうしたものを削滅しなくてはならないのかと疑問に思う。
 それから、来年度に介護保険制度が見直しされていく。今回で3回目の見直しとなり、そのたびに保険料が上がっていった。介護保険制度でサービスを十分受けたいと思って受けるほどに介護保険財政の負担が多くなり、その負担を全体として支えていかないといけないということで介護保険料がまた引き上げられていくという、根本的な仕組みの問題があると思う。
 今、お年寄で病気をされている方や介護が必要とされている方、一人暮らしの方、高齢者夫婦の方も含めて現れている問題が、孤独死であるとか、サービスを受けたいけれど利用者負担が1割あるので受けられないという問題、また、病気になって入院しても十分受けらず、その後、在宅でもご家族の介護力が低くて十分な生活ができない、それでまた入院といっても病院に受け入れてもらうのにベッドを探さなくていけない。こういった、高齢者をめぐっての大変な状況が和歌山県としてあると思う。そういうところを根本的にどう引き上げていくかという点で、こういう施策がどんどん削られていくということは非常に問題であると思う。そうした立場で色んなところで当たっていただきたいと願うところである。

《質問》 奥村規子 副委員長
 高齢の方が病気に関わらず、たとえばがんが発生し専門病院で治療を受け、その病院の入院期間が2週間で退院となっても、退院先を一般病院で受けてもらいにくい。ベッド数が本当に足りているか。
 その後、介護、老健施設とか特別養護老人ホームでといっても、今、2,300人の人が在宅で待たれていると聞いているが、老人保健施設に入られている方でも待たれている人が何割かいる。そうした方々を含めれば、2,300人以上の方が希望をされている。
 そういったことに応えていけるのか、そういったプランになっていけるのかについて総合的に見直し、体の弱い、自立が難しい方への支援を厚くしていく方向で考えていただきたい。
 医療、福祉、介護の連携が速やかに、支障のないようやっていけるように、医療からの問題はないのかについて質問する。

《答弁》 若宮医務課長
   病床が足りているかについて、県全体の病床利用率は約83%程度である。よって、理論的には、県全体での必要な総病床数は確保されていると思われる。
   病院と病院等との連携についての話であるが、高齢者の脳疾患、心疾患などで患者が増加している。そういう中で、大病院志向、専門医志向がある。県内では、地域医療連携を担当する部門を設置しており、その部門で適切な患者紹介も含めて、地域の実状を踏まえながら、病病連携、病診連携を進めている。
   医療と福祉の連携について、特に今回の長期総合計画や保健医療計画においては、脳卒中をはじめとした4疾病において、疾病が発生してから高度医療、リハビリテーション治療、在宅ケアにおいて、地域の連携、いわゆる地域連携クリティカルパスを構築し、切れ目のない効率的な医療の提供を進めることに取り組んでいる。

《質問》 奥村規子 副委員長
 83%で足りていると言明されているが、偏在しているのでなく、県内の病院を平均すると83%ということか。偏在しているのではないのか。

《答弁》 若宮医務課長
   これは、平成17年度の県全体の病床利用率である。

《質問》 奥村規子 副委員長
 それでは医療の立場から、この人はこの病気で、治療・入院が必要であるが入院ができないという実態はあるか。

《答弁》 若宮医務課長
   診療科によっては6ケ月待ちなどもあると聞いているが、後方の病院と連携しながら対応できていると考えている。

《要望》 奥村規子 副委員長
 具体的には、高齢者のがんの治療の場合で、病院で治療をおこなって、それから在宅に帰れないとか、病院のベッドが空いていないというような状況が現にある。
 そのような状況を速やかに、それぞれの病院まかせではなく、総合的にできるシステムを今後考えてほしい。

《質問》 奥村規子 副委員長
 後期高齢者医療制度の問題についてであるが、後期高齢者医療制度が始まって、県民の方からいろいろな意見が出ていると思う。最近では不服審査も出ており、件数を教えてほしい。
 この制度は説明不足であったということが前回の委員会でも出ていたが、説明がどの程度され、それにより理解が得られたと考えられているのか。医療関係の団体からも、都道府県の医師会の中からも、35都道府県からも、この制度についての意見が出ていると思う。その意味で、もう少し検討するなど県としても考えていただきたいと思うが、いろいろ感じていることを教えてほしい。

《答弁》 幸前健康づくり推進課長
   後期高齢者医療制度に関して、市町村、広域連合、県に対して、4月から7月末までに寄せられた問い合わせ、意見等は合わせて11,755件であった。最も多かったのが、被保険者証に関する問い合わせで4,000件ほど、これ以外では、年金からの徴収に関することが1,600件余り、最近では保険料の軽減に関することが多く、800件余りとなっている。それに対して、市町村等において説明会の開催など、さまざまな対応をおこなっている。広報誌への掲載は、すべての市町村でおこなっているほか、チラシ等の配布や説明会を実施している。7月の保険料の賦課処分等に関して、9月に審査請求が出されている。現在県の審査会に出されている審査請求は87件である。今後要件審査を経て受理されたものについて、広域連合、市町村に弁明書を提出してもらい、本人に反論書の提出を求めたうえで、審査会で裁決がおこなわれる。

《質問》 奥村規子 副委員長
 説明をおこなって、理解を得られたと考えているか。

《答弁》 幸前健康づくり推進課長
   保険料の問題等の説明をおこない、理解してもらっている部分もたくさんあると思う。ただし、制度そのものに対しての意見というのもあり、中には、意見が食い違うこともある。

《要望》 奥村規子 副委員長
 保険料が下がった人もあると思うが、月1万5,000円以上の年金の人から天引きしている。県がおこなった高齢者の意識調査の中でも、年間50万円以下の収入の人が10人に1人あり、また、300万円以下、200万円以下の人も多いわけであるから、年金から天引きをされ、非常に厳しい生活をしており、今、物価高という背景の中で、さらに苦しくなっていると思う。今後とも、年金の状況、実態をしっかりと把握して、いろいろな施策を進めていってほしい。


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