反対討論 奥村規子
2008年12月17日
議長のお許しをいただきましたので議案第116号、議案117号、議案129号、議案130号、いずれも反対の立場から討論を行ないます。
まず、決算認定案件についてであります。
平成19年度決算は、一般会計歳入5,056億3,260万円、歳出4,997億9,183万円で、実質収支は33億9,478万円の黒字となっています。平成16年度から18年度までの三位一体改革が終わり、その翌年度の決算として、地方税財源の拡充がすすんだのか、地方が自由に使える一般財源がどのようになったのか注目される決算でもありました。
県税で、所得税から住民税への税源移譲により、個人県民税が前年度比124億円の増、県税全体では80億円の増となっていますが、地方譲与税で174億円の減、地方交付税で88億円の減など、一般財源総額では減額となって、財源不足の穴埋めを財政調整基金からの取り崩しや退職手当債などに頼らねばならない厳しい状況となっています。地方税財源の拡充と一般財源総額の確保を国に強く求めるものです。
財政構造の硬直化や退職手当債に依存しなければならない財政構造が一層の行財政改革を招く結果ともなっています。限られた予算の中にあっても県民のくらしの擁護や福祉の向上に向けての施策は大事にしてほしいと思います。
19年度は森づくり税が導入された年でありました。県民から一人500円などの県民税が追加徴収され、約1億3,600万円が紀の国森づくり活用基金事業に使われています。県民参加の公募型啓発事業がその中心となっていますが、その使途については今後とも工夫を重ねて「和歌山の森を大切にしたい」という県民の願いにそったものであることが求められます。
歳出にかかわって申し上げます。
地方財政というものは、当然のことながら、県民の生活・福祉にかかわる多くの施策を実施しています。和歌山県政もそうであることを決して否定するものではありません。しかし、いくつかの看過できない問題を含んでいます。
第一は、高度化資金の問題です。その延滞額は100億円を越しています。多くは同和関係の貸付です。その最大のものがプラスパフーズ協業組合です。貸付金の回収がすすまず、債権放棄の提案にいたりました。
次に、土地造成事業は、以前から県政に重い負担になってきた問糧です。担当者のみなさんはがんばっていることは評価します。しかし、このたびの決算委員会でも、国の計算方式による試算でも、将来の不足額は28億7,800万円ということが明らかになりました。
なお一層の販売促進と有効活用の努力をもとめるものです。
次に国の直轄事業負担金の問題です。国直轄事業負担金は18年度140億円であったものが19年度は164億円にものぼっていて、県財政を圧迫している要因の一つになっています。大滝ダムの計画変更で160億円もの工事が追加となることにより17億8,000万円の追加負担が求められ、県負担金は当初計画25億円から増え続けて合計455億円にもなりました。
また、道路や河川でも、国直轄の大型公共事業が進めば進むほど、県の持ち出しである負担金も増え、そのことが県単独の予算を圧迫しているという側面があると指摘せざるをえません。
毎年申し上げておりますが、加太カゴメ菜園へは、土地開発公社から借りた土地を安く貸し、毎年、県民の税金でその差額を負担していることも問題です。
こうした支出がある一方、県民のくらし・福祉・医療・教育はどうなっているのでしょうか。
教育で言えば、県民の切実なねがいである「30人学級」は先送りされ、県民の中で意見もある「学力診断テスト」を毎年小学校4年生以上の全学校で実施し、公教育に複線化を持ち込む県立中学校の設置がすすめられました。
医療・福祉の問題では、重度心身障害児(者)医療費支給事業や老人医療費県単独支給事業では当初予算に比べて決算額が低くなっています。経済的に弱い立場の人たちへの補助制度の縮小・廃止には手をつけるべきではありません。また、紀州三人っ子施策の妊婦健診の助成は実施する市町村へ補助するものですが不用額が多く出ています。市町村への負担を軽減し第一子から全額公費負担できるように拡充をもとめるものです。
最後に会計検査院から不適正な経理処理という指摘をうけたことは非常に残念なことでした。使途不明金や私的流用などなかったとはいえ、県民からの信頼を損ねることのないようにしていただきたいものです。
議案第129号は、和歌山県使用料および手数料条例の一部を改正する条例であります。県民の負担を増やすことについては賛成できません。
議案第130号は市町村負担金の一層の軽減をもとめる立場から反対です。
以上申し上げて討論を終わります。