2008年12月県議会 福祉環境委員会 概要記録

2008年12月12日

《質問》 奥村副委員長
   国において、保育所における保育を契約にしていく検討がされているということであるが、子どもたちの環境作りに関し、その制度がいいのかということも含め、保護者、保育士、市町村等の意見を聞いていくことが必要と考えるが、県としてどう考えているか。

《答弁》 幼保・少子化対策推進室長
   現在、保育の契約については、平成9年以降、従来の保育の措置から、現在、保護者からの入所申込みを受けて、市町村が入所を決定するという契約の形態になっている。国において、保育の入所について、保育所と保護者が直接契約するということが、規制改革会議の中で議論されているが、国の社会保障審議会では、まだ議論されていないと認識している。
   そのための直接契約がどういったものとなるのか、今、議論している中では、バウチャー方式、保護者の方に配布したいわゆるクーポン券をもって保育所に入所するといった形態等、いろいろな方法を検討しているところであり、今のところ各市町村から意見を聞くということは考えていない。

《要望》 奥村副委員長
   そういうことになれば、保育の状況のなかでも、児童福祉法からはずれて子どもの環境についての格差が広がっていくことを危倶しているが、現場の保育士等の関係者からも意見を十分聞いていただきたいことを要望する。

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《質問》 奥村副委員長
   介護保険関係について、来年4月から保険制度、特に認定していくシステムが変わると聞いているが、どういったものか。

《答弁》 長寿社会課長
   認定の判定方法だが、現在82項目で認定の審査をしており、昨年来からモデル的にプラス6項目新しい項目の追加、さらに14項目削減して、74項目の方向で進めようとされている。そのモデル事業の大まかな結果だが、一次判定は機械的な判定になるが、従来は指標により主観的に評価されているところもあり、モデル事業では、重度も含めて客観的に評価できるようになっている。
   そのため、二次判定の時に重度化へ行く傾向というのが減っている状況である。これは、二次判定でみる必要がないのではという新聞紙上の報道にもあったが、逆に審査員の視点が重要となってくる。また、現場の状況を把握した上での判定になる。

《要望》 奥村副委員長
   介護制度は、介護保険料をみなさんが負担して、実際介護で困った時に十分介護サービスを受けたい、毎日の暮らしの中で少しでも豊かな暮らしをしたい、それを提供しようということも介護保険の目的だと思う。
   そういった中で、介護サービスを十分受けようと思えば利用料の負担がいるなど経済的な問題があるが、なかでも一番は、今その人にとって必要な介護がきちっと提供できるようにすることが本当に大事なことだと思うが、経済的なことで十分サービスが使えないという報告がされている面もある。
   まず認定の際、状態がきちっと客観的にみても反映されるシステムでないといけない。改定が考えられている中でそうなっているのか心配している。先程、課長から報告いただいたように、結局項目が減っている。82項目が74項目になっていると言われていたが、一次判定だけではなく、二次判定も含めて、人間だからコンピューターでは当てはまらない色々な状況があるので、そういったことがきちんと反映されて、その人にとって社会的な暮らしが成り立っていき、介護として提供すべきことが反映できるような認定方法をということで、ぜひ今度の改定の内容と実態を県から意見を上げてもらいたいと思う。

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《質問》 奥村副委員長
   新行革プランに沿ってもう1つ、ひとり親家庭の問題でも質問させていただきたい。ひとり親家庭の方の実態がどういった状況にあるのか、考えていただいた上でこの提案がなされているのか疑問に思う。朝日新聞の11月19日付けに「働けど生活ぎりぎり」と、シングルマザーの生活実態が書かれていた。経済的に大変な中で、子どもの食費を削らざるを得ない状況である。もちろん洋服などは買うお金はなく、お下がりとか、友人から譲ってもらったりして生活している。また働いても正規雇用とならないので、子どもが感染症になった時は、保育所で1週間も見てもらえないので、その間仕事を休まなければならない。これは即、収入に直結する。そういった生活の状況の中で、更に医療費の負担が生じてくることに、非常に不安を感じている。その点について、県の財政の状況ということの前に、県民がぎりぎりの生活でがんばっているところに、更に応援するといった暖かさが感じられない。そういう生活状況も合わせて、どのように考えているのか答弁いただきたい。

《答弁》 子ども未来課長
   今回の県単独医療費の見直しにあたって、ひとり親家庭の状況については、大変厳しい状況であることは十分認識している。そういった中で各種団体からのご要望もいただいているが、それらを踏まえて、また市町村等の意見も聞きながら制度改正を検討していきたいと考えている。

《要望》 奥村副委員長
   ぜひ、みなさんの声を聞いていただきたい。

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《質問》 奥村副委員長
   県立医科大学の入学定員について、定員が60名から95名と1.5倍になるが、学生の増加に伴い、教育体制や教室、臨床研修など整備が必要となるものはないのか。

《答弁》 医務課長
   総務部から、定員増に伴うハード整備として、県立医科大学の新教育棟を平成20年度中に整備予定であると聞いている。更には、地域医療推進センターを整備すると聞いている。

《質問》 奥村副委員長
   教員数など指導体制には問題はないのか。

《答弁》 医務課長
   教員の定員増については、総務部と大学とで協議することになると思われる。

《質問》 奥村副委員長
   現在、看護師は何名の不足になっているか。

《答弁》 医務課長
   現在、病院だけを調査したところだが、そこでは約600名の不足。ただ、国の調査の中で、需給見通しでは700名の不足と将来予測している。

《質問》 奥村副委員長
   そのような700名近く不足している中で、看護学校での養成数で足りていると考えているか。
 私は、特に紀南も含め、日高にも看護学校が欲しいと意見を言われている。以前は国立和歌山病院に進学コースがあったが今は養成する所がないので、その点も含めて700名不足の現状の中で、看護学校を作る方向は考えられないか。

《答弁》 医務課長
   県では、養成力の確保ということで、養成所に運営費補助を出している。
   さらに、離職防止に当面力を入れるということで、看護師の病院内でいろいろな相談事業を受ける事業などを行っている。
   養成所を作るより、まず病院内で離職を防ぐことを最重点に取り組んでいる。

《質問》 奥村副委員長
   私は看護学校が必要だと思う。離職防止という点では、子育ての看護師が安心して働けるということでは院内保育の希望が多いと思うが、現在は公的病院には補助制度がない。公的病院で院内保育所を作るには経営的な問題もあり、なかなか実現しないと聞いている。
   その点で県として、積極的に離職防止として院内保育所設置に向けてなんらか頑張ってもらいたいと思うが、いかがか。

《答弁》 医務課長
   国では、平成20年度に、新たに設置する公的病院(県内では済生会病院など)と民間に補助する制度ができ、県では今回の新政策の中で支援するよう協議している。

《要望》 奥村副委員長
   奈良では公的病院に対し、運営補助を県単独補助でしていると聞いているので、参考にして欲しい。

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《質問》 奥村副委員長
   長寿医療制度の問題で聞きたい。この4月から始まったが、年金も含めて18万円、1か月1万5,000円以下の方は普通徴収になっているが、納入状況はどうなっているか教えてほしい。

《答弁》 健康づくり推進課長
   長寿医療制度においての、普通徴収の状況であるが、普通徴収が始まった7月の調定分を見ると、徴収率は88.3%であると広域連合から聞いている。

《質問》 奥村副委員長
   それ以外は納めていない方であると思うが、1年たって納められていないと資格証が発行されると思うが、本会議で子どもの資格証の問題も出たが、無保険というお年寄りが出てくる。今のままでいけば出てくるのではないかと危倶しているので、この納められてない方たちの実態を早急に把握することに、県としても指導や援助をお願いしたいと思うがどうか。

《答弁》 健康づくり推進課長
   長寿医療制度には、高齢者の方一人ひとりが被保険者になるということから、1年以上保険料を滞納した場合には、被保険者証を返還させることができるということになっている。広域連合においは、減免や資格証明書の交付等を審査するため、一部負担金等減免審査会を設置しており、そこで運用基準を設けると聞いている。相互扶助の制度である以上、支払能力がありながら保険料を支払わないという悪質な方に対しては、厳格な対応が必要であると思うが、一方、医療の必要な方が医療が受けられないことがないよう十分な配慮が必要であると考えている。運用にあたっては、滞納者の方と接触を図って十分状況を昭握し、必要に応じて福祉部門等と連携を図るなどして、きめの細かい対応をとるように指導していきたいと考えている。

《要望》 奥村副委員長
   ぜひ、病院に掛かれなかったということがないようによろしくお願いしたい。

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《質問》 奥村副委員長
   特定検診が始まって、受診状況はどうか。

《答弁》 健康づくり推進課長
   特定健康診査の受診状況については、本年4月から始まって、保険者のそれぞれの受診率については、現在のところ集計できていない状況である。

《質問》 奥村副委員長
   検診というのは、予防に勝る治療がないと言われるように、医療費が膨らんできて大変だという前に、病気にならないようにすることが何よりも大切だと思う。早期発見という意味で、検診が受けやすい状況をつくっていただきたいと思っている。
   さらに、特定健診が始まって、今まで基本健診でやっていた項目が特定健診ではなくなっているという状況もあり、またがん検診についても、がんのいろいろな検査を受ける場合、1万円近くも費用が要るとの和歌山市内の方からの意見もある。そういった意味では、自治体間の格差というのがあるのではないかと思う。
   検診を受けてもらいたいということが県としての立場であると思うが、そういう自治体間格差がある中で、何か改善であるとか思っていることはないか。

《答弁》 健康づくり推進課長
   委員ご質問のとおり、検診は非常に重要であると県としても認識している。特定健康診査の検査項目については、昨年度まで市町村で行っていた基本健康診査と大きな差はないと思っているが、市町村が今まで独自に行っていた検査項目を、この制度の変更にあわせて見直したところがあると聞いている。
   また、がん検診については、無料で実施しているところが9市町ある一方、委員ご発言のとおり、胃、肺、大腸、乳、子宮のがん検診を受けると9,000円必要な市もある。そういうことでは、自己負担額に差が出ていると思う。
   和歌山県がん対策推進計画では、24年度に50%の受診率を目標として掲げている。財政状況等の事情はあると考えられるが、誰もが受診できるような適正な負担額の設定となるように市町村にも助言していくとともに、県としても未受診者の掘り起こし等により、がん検診受診率向上に取り組む市町村に対して、本年度から助成制度を設けたところであり、今後とも市町村とともにがん検診の受診率向上に取り組んでいきたいと考えている。

《要望》 奥村副委員長
   誰もが検診を受けやすくするため、県からも職員を派遣している県民総合健診センターが十分活躍できるような状況についても、今後ぜひ考えていただきたいと思う。
 財政の状況もいろいろいわれている中で、健診センターの検診車更新の問題も出てくると思うが、財政的な問題も含めて、今後状況を把握し、十分検診が受けられるような体制をお願いしたい。
   この補助制度を続けたいとして、現在、予算要求をしている。

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《質問》 奥村副委員長
   温暖化防止の関係で、ごみの減量について、県民への啓発を通じてごみの減量化は進んでいるのか。

《答弁》 循環型社会推進課長
   一般廃棄物について、市町村の段階でごみの排出抑制等、ごみ処理計画に従ってごみの減量に取り組んでいる。県としても、毎年度、フォローとして、市町村のごみの実態調査を行っている。

《質問》 奥村副委員長
   CO2の排出削減ということでは、一般の県民も含めて努力することは大事だが、一方で、事業所も含めてということでは最近もニュースで、コンビニエンスストアの24時間営業について議論が盛り上がったところである。温暖化を防止しようとすれば、誰かがプラスマイナスということが出てくると思う。各所にたくさんある自動販売機だが、その2台分で1家庭と同じ量の電気を使用しているとも聞き、びっくりもしている。マイポット運動をしていくなど、いろいろな努力をしていかなければならない温暖化防止の問題だが、先日公表された原油価格高騰の対応状況の中で、大規模事業者の排出抑制計画が提出されたと思うが、その中身は努力が進んでいるような内容なのかどうか。

《答弁》 環境生活総務課長
   昨年9月に施行された和歌山県地球温暖化対策条例に基づき、昨年度に提出された排出抑制計画の実績報告を提出いただくこととなっているが、その提出が遅れており、現在、集計中である。
   今年度は、最初の報告となるため比較するものはないが、来年度になれば、平成19年度分と平成20年度分の実績を比較できるようになる。今年度は、当該事業者は排出量はこれだけだったということしか把握できない。

《要望》 奥村副委員長
   事業者や各家庭、各個人が努力していくことが課題だと思っているが、現在、ポーランドのポズナニで開催されている国際会議で、日本は「化石賞」と椰輸されている。先ほど原委員からも話があったが、この課題にどう取り組んでいったらいいのか、その姿勢が問われていると思う。一つひとつ、これをやったらいい、あれをやったらいいというのではなく、行財政改革や財源の問題が出てくる中で県民としては閉塞感があるので、環境問題は人間としての英知を集める経済展望を探すための課題でもある。
   ドイツでは、再生可能エネルギーの分野で21万4,000人の新規雇用を開拓したという話も聞くが、財源をカットするのではなく、県勢が明るい気持ちになっていけるような大きな課題の一つとして「環境」があると思う。そういったことや、雇用を作り出す観点も含めて、転換していく施策が問われていることから、一課ではなく、全庁を挙げて取り組んでもらいたい。

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《質問》 奥村副委員長
   食の安全の問題で以前も質問させてもらったが、いま総合衛生管理製造過程ということでHACCP(ハサップ)と、よく聞く。
   それを県としても食の安全を守ることから、認証食品企業の養成に力を入れているということだが、先日、伊藤ハムであのような事故がおこり、伊藤ハムはHACCPの認証を6月に受けたところだったということだが、そういった面でシステム自身に対する信頼、HACCPを取っていこうという企業側の信頼などに影響があるのではないかと思うが、その点はどうか。

《答弁》 食品・生活衛生課長
   HACCPについて、取り組む企業側がどういうふうに考えているかということかと思うが、HACCPというのは、食品の衛生管理の手法としては世界的に認められた手法であると言われている。
   伊藤ハムの問題であるが、これは国の総合衛生管理製造過程という認証を受けていた。すぐれたシステムを構築しているという認証なのだが、システムがいくら優れていても、それをきちんと運用していかなければこういうことが起こるということである。今回の伊藤ハムの場合においても手順書がきちんと実践されていなかったと聞いている。
   また、HACCPは、製品の安全性とか品質の安定などを担保できるというシステムなのだが、それに加え、何か問題が起こったときには、問題の原因を突き止めて、問題が二度と起こらないようにシステムを改善していくということも組み込まれている。伊藤ハムにおいても原因追及をするとともに、是正はすでにされたと聞いている。
   県版HACCP、すなわち県独自のHACCP認証制度を作っているが、やはり認定されるということが目的ではなくて、実行されていくということが一番重要であることから、認定前の講習会、アドバイザーの派遣などを行っており、認定には書類・実地の審査も必要である。
   さらに認定1年後にはもう一度審査をしている。以降は3年ごとの更新となっている。平成20年度も講習会を実施しており、20名ほどの参加を得ており、これからも推進していきたい。

《要望》 奥村副委員長
   いくらシステムがよくても、事故が起こるという問題では、事業者のトップの姿勢といったところが非常に重要。それと併せて行政の監視といった点が大きいと思うので、今後ともよろしくお願いする。


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