2008年12月県議会 建設委員会 概要記録

2008年12月12日

《質問》 松坂委員
   12月補正の経済対策としての効果について伺いたい。
   部長説明にあったように、県の補正予算の総額は約32億円で、その中で土木費は約27億円と大部分を占めている。今回の補正予算は、緊急の経済対策という面が正面にでているとすれば、実際に県民生活と県内業者の経営を支援する中身になることが求められる。
 県財政厳しい折、財源は莫大な借金をして補正予算を組んでいるわけですから、この27億円を他府県の業者でなく、全部県内の業者の仕事になるくらいのことを求めたいわけですが、説明によると12億円は直轄事業の負担金であり、国へお金を納めるために借金をするように見える。
 残りの15億円が、県経済に対してどのような経済効果をもたらす事業になると考えているのか答弁を求める。

《答弁》 県土整備総務課長
   今回の補正予算については、国の緊急総合対策により追加された国庫補助金を活用し、主に緊急輸送道路の整備や橋梁の耐震補強工事等を前倒しして実施するものと考えている。
   県の事業は15億円となっている。その中で一部の橋梁工事については、県内業者と県外業者の両者が入った形での入札を含んでいるが、それ以外の工事については県内業者への発注と考えている。従って、すべての工事について県内の業者が受注する機会が確保されると考えている。

《質問》 松坂委員
 受注の機会はあるという話であったと思うが、結果として競争入札の中で県外業者が取る率が多くなっているという声が出されている。補正予算ということで、ぱっと計画して事業化するという点では制約もあったと思う。以前から準備している計画の中から出すという制約もあったと思うが、受注機会を確保するだけでなく、県内業者だけを対象とする事業は何割くらいあって、それ以外は全体の中で何割あるのか。

《答弁》 県土整備総務課長
   県内業者だけが参加して入札を行うものが約6割、残りの約4割については県内県外両者が入った形での入札になると考えている。

《質問》 松坂委員
   景気対策の補正予算というのであれば、県外業者でなく県内業者が受注しやすいような工夫はいると思うし、特別に考える必要があると思う。今回の事業をみると、道路の安全対策や津波対策など住民に密着したものを進めてくれていますが、そういう地元に密着した事業を地元の業者が請負うことが大事である。
   ほかに私の感想として言えば、急傾斜の安全対策などたくさんの危険箇所を抱えているが、毎年の予算の中ではとてもできず、多くの順番待ちがある。過疎化が進む県内中山間地の集落対策としても、また災害時の頼りになる地元業者の育成という点でも、やりたくても平素十分にできなかったものをこの際事業量を増やしてやっていくことも大事だと思うし、河川の堆積土砂の撤去やいつも求めているが予算の中で進まないといったものは、やろうと思えば資材調達や技術者の貼り付けなどのハードルが非常に低いわけで、地元業者が十分にできる仕事だと思う。
 こういった視点で、今後2月議会での補正を見据えて流れていくと思うが、こういう知恵と工夫を一層発揮したらよいと思うがどうか。

《答弁》 県土整備総務課長
   我々もそういった視点でも考えているので、限られた財源の中ではあるが、できる範囲の中で検討していく。

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質問 松坂委員
 二つめの柱の入札制度改革についてお伺いしたい。入札制度改革の大きな主眼というのは透明性や競争性の確保という点と共に、ダンピング・下請け泣かせの防止ということだと思う。先ず一つめにダンピング・下請け泣かせ防止についてお伺いしたい。先ほど部長の説明の中でも、採算が確保できていないと思われるような入札があって対応が求められると言っていたが、ダンピングで一番被害を受けているのは、下請け業者や納入業者、そして現場の労働者の労働条件や雇用だと思っている。その点を大きな柱にする制度でないと意味がない。だから、役員ボーナスなどに使われる元請け企業の管理費などを確保するのが主たる目的ではないはずである。この低入札の対策というのはこの6月の制度発足時にどう設計され、今回の改正でどう変わったのか、その辺をお聞かせ願いたい。

《答弁》 技術調査課長
   6月に導入した新公共調達制度におけるダンピング対策としては、安易なくじによる落札者決定を防ぐ、「巌低制限価格」「低入札調査基準価格」を事後公表とし、また算定方法について、国土交通省が4月から導入している算定方式を導入している。次に、粗雑工事や事故等を防ぐため、不適格行為等による処分を行っている。また、低入札価格で落札した工事について、契約保証金の引き上げや重点監督の実施、立ち入り調査の強化等を盛り込んでいる。

《質問》 松坂委員
   今の答弁のように、低入札の場合は、立ち入り調査や下請けの見積り調査をすることが基本としてはあるが、見積りといっても下請け業者の見積りだけである。孫請けや、そのまた下請けの、現場の労働者の実際の賃金というのは掴めるようにはなっていない仕組みだと思う。定期的な調査とか最低賃金で補償されているとかいったセーフティネットしかない。だから、入札調査時にこの価格で品質を保持できるのか、下請け泣かせになってないのか、というのを全て掴むのは無理だというのであれば、実績を報告させたらいいと私は素朴に思っている。見積りはこうだったけれども、実際はこういう取引をして賃金でこんな風に払ったというのを付けさせるとすれば、ひどいことが行われていれば次からの入札参加や仕事にペナルティを与えるということをすれば是正されていくと私自身は考えている。
   今後、そういう低入札防止の取組はどんな流れで考えているのか。

《答弁》 技術調査課長
   今後の対応であるが、今回の制度改正において部長からも説明したが、過度の低入札に対する対策をとっている。
   建設工事では、5千万円未満であった調査基準価格を1億円未満に拡大している。それに伴い、1億円以上の工事については調査を厳格化するということで、過去の実績などを求めて調査を厳格にするようにしている。それと1億円以上の予定価格について、事後公表とする。建設工事についてはそのような改正を行ったところである。

《質問》 松坂委員
   次に積算単価についてお伺いするが、業者の県民の声として、「県の設計単価というのは安すぎて仕事を取りに行く気がしない。損をしてまで仕事をしろというのか」という声も聞く。積算単価の決め方が足りない点があるのではないか。実際の価格をどうやって決めているのか。一番取引されている価格を選んでいるんだといつも説明されるが、高い、中間、安い、があって、きれいに分布しておれば、その一番取引されている部分をとるのは意味があると思う。しかし、ダンピングがまかり通るなかで、ものすごく安いところでの取引部分が多くて、業者が少ないロットで頼んでも、とてもそんな値段では入らないというところの部分が多かったら問題である。業者が調達するときの価格を調べられていないということも実際にあると思う。現実との差をどうやって埋めていくのかというのは、考え方の問題かとも思うが、積算単価についてどういう風に考えているのか。

《答弁》 技術調査課長
   県の設計単価は、国から毎月提供を受けている単価資料、市販の物価資料及び県独自で調査している単価調査の結果により決定している。それで県独自で調査している単価調査については、財団法人経済調査会に委託している。
   それで、設計単価に無い資材等の単価は流通価格を調査しており、先ほど委員ご指摘のように、原則としてもっとも頻度の高い取引価格を実勢単価として採用している。

《要望》 松坂委員
 業界最安値が標準になったりすることがないように、そういう調査の正確さを上げるために努力をして頂きたいと思う。

《質問》 松坂委員
   総合評価方式のことについて伺いたい。総合評価方式は価格だけでなく、ちゃんとした調査をする大事な方式だと思っているが、この総合評価方式の加算点について、県民の意見をいろいろ聞いて入札執行調書を見ると、加算点には入札企業間に開きがあり、ずいぶんと差がある。もちろんその差を出すためにやっているのだから差があって当然とは思うが、県内業者にしてみれば点数差を見たときに、あの点数差であれば、少々値段で頑張っても無理だ、初めから勝負にならないと思う。実績のある企業が点数が高いというシステムであれば、大手の企業は実績があるから有利になって落札をする。そうすれば、また落札をしたことが実績となって次に繋がる。結局、中小業者が不利になってくるのではないかという声がある。
   その評価の実績点と項目はどうか。今後の方向性も含めてご答弁願いたい。

《答弁》 技術調査課長
   総合評価方式については、「標準型」「簡易型」「特別簡易型」の3つの型式がある。最も件数が多い「特別簡易型」で説明すると、品質確保の評価項目として、大きく「企業の施工能力」「配置予定技術者の能力」「地域貢献」の3つの項目で評価している。内容としては、同種工事の施工実績の有無、工事成績、技術者の資格や本店の所在地等である。
   規模の大きな工事や専門工事、特殊な工事を除いて、新規参入を認め、入札参加機会を拡げるため、入札参加条件に工事施工実績を求めていない。
   施工実績は、過去15年間認めており、市町村工事も認めることとしているので、実績を有する業者や技術者は多いと思われる。現状として、実績を有している業者と無い業者で評価の差が出るのは、品質を確保する観点からはやむを得ないこともあるかと考えている。6月から総合評価方式を本格的に導入し、約5ケ月が経過し、現在、入札実施状況を分析しているところであり、分析結果を踏まえて、業者の受注機会を拡げる工夫も必要と認識している。

《要望》 松坂委員
   実績をあげればあげるほどポイントが高まるというのではなくて、あるかないかというのが評価の対象になっているという、そういう説明は分かった。
   今後とも実績というのが、本当に現場で頑張っている業者の方達の気持ちに沿うような形になるように一層の改善を期待している。

《質問》 松坂委員
   議案第147号、県立医科大学附属病院紀北分院の機械設備工事の議案について質問する。
   本会議でもこの間題が取り上げられ、書類添付を忘れたため無効となったという説明があったと思うが、もう少し詳しく、どんな書類を添付せず無効となったのか。

《答弁》 都市住宅局長
   技術調査資料というかたちで、電子入札の総合評価方式の用紙になっており、その中で添付書類が求められている。その中の一部が今回添付されていなかったということである。

《質問》 松坂委員
   一部ということだが、極めて特殊な書類が付けられていなかったのか、当たり前についている書類がついてなかったのか、ということも問題になると思う。
   無効・失格の実態ということを調べてみると、この間の土木の工事もあれば建設の工事もあるので、失格・無効といっても中身が違うと思うが、公共建築に係るところの今年の分の執行調書を見せていただいたんですが、前からも私が指摘していたけども失格や無効が数多く見られる。例えば、11者入札していて6者が失格になっているとか、17者入札していて6者が失格・無効になっているとか、3者しか入札していなくて1者が無効になっているとか、そういった例が数多く見られる。こういう事態をどうみているのか。失格や無効となる理由については、今まで説明を受けた中ではケアレスミスが非常に多い。中小業者じゃなく、大手ゼネコン、全国メジャーでも、そんなミスがこれまで土木工事でも目についた。なぜこんなミスをするのか、わざとじゃないかとの疑問の声すらある。
   こういった無効や失格の実態についてどう分析し、どう対応しているのか。

《答弁》 技術調査課長
   無効・失格については、20年10月末現在で、全体で759件の入札を実施し、その内、約半数に失格もしくは無効が含まれている。

《質問》 松坂委員
   半数がそうだということだが、いろいろな面でなんとか対応をしていかなければならないのではないかと思う。
   次に、競争性を確保する入札参加業者数についてお伺いしたいと思う。本会議でも1者入札はどうかという議論があったと思う。世間の感覚からいえば、2者というのも1対1じゃないですか。集団的にというか、競争しているなというのは、3者は要るだろうなと恩うんですが。制度設計の議論は別にして結果としての1者としての入札、2者があって1者になったか、3者のうち2者がだめで1者になったとか、そういう例はめったにないことなのか、あることなのか。結果としての1者入札というのはどうなのか。

《答弁》 技術調整課長
   現行の、参加者が2者の規定を設けたのは、17年8月に1者応札で高止まりがあったということで、それ以降、参加者2名以上と取り決めており、それ以降で、現在まで、入札もしくは失格というのは9件ある。

《意見》 松坂委員
   県内業者の中で、対象の業者数が少ないという、いろんな事情があると思うが、それじゃあ対象を広げて全国的に応募出来るようにすればという問題でもない。そこは難しいところだと思う。その点で、どう競争性を確保していくのかという点は、今後とも引き続き議論していきたいと思う。

《質問》 松坂委員
   この間題の3つめに、談合情報についてお聞きします。今回の147号の契約案件について談合情報といったものは、県や監察査察官に寄せられているのかないのか。今回の入札業者の組み合わせや入札内容、そういったものを見て県として不自然な点はあると考えているのか、ないと考えているのか。

《答弁》 都市住宅局長
   そのような情報は聴いておりませんし、われわれはないと思っております。

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《質問》 松坂委員
   合併浄化槽について、行財政改革推進プラン事務局案では、新築は補助対象から外すということだが、事務局案のまま行けば市町村事業にどの様な影響を与えると考えているのか。市町村からの要望の状況はどうなのか。

《答弁》 下水道課長
   行財政改革推進プラン事務局案を発表して以来、市町村長から強い要望がある。一方で、大変厳しい県財政状況もあり、現在、行財政改革推進本部と議論をしているところである。
   市町村長からは、8月には市長会、町村会、和歌山県浄化槽普及促進協議会、11月には橋本市・市議会の要望をいただいているところである。

《質問》 松坂委員
   和歌山市は、新築と改築を分けて補助しているので影響についてよくわかるが、他の市町村では分けずにしているので影響がよくわからない。
   その影響をよく調査していただきたい。
   この事業は、単に個人の利便性のためだけではないと思うが、国はこの制度をどの様に考えているのか。

《答弁》 下水道課長
   環境省では、予算の削減もなくこれまでどおりの補助を継続している。

《要望》 松坂委員
   下水道普及率がこれだけ低い和歌山県の実態を踏まえて議論していただきたい。

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《質問》 松坂委員
   県道吉備金屋線の垣倉地区の法面対策工事について伺いたい。
   道路工事により法面が崩壊し危険な状態であり、地元と協議を進め対策をしていただき、しっかりとした法面が見えてきたがいつ完成するのか。
   矢板を打っているので道路が狭くなっている。安全な交通に支障をきたしているので、現状と見通しについてお聞かせ願いたい。

《答弁》 道路建設課長
   県道吉備金屋線垣倉地区の法面対策については、平成18年1月に地すべり現象を確認後、地すべり頭部の排土や排水ボーリング、防護柵など18年度末までに応急対策を実施した。現在、法面対策実施中であり進捗率は約74%である。今年度未までに法面の最下段部分を残し対策を完了させる予定である。来年度は予算の状況にもよるが、押え盛土を撤去後、最下段の法枠工事、仮設防護柵の撤去などを行い、法面対策を完了したいと考えている。

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《質問》 松坂委員
   県営二川ダム管理事務所の耐震改築について伺いたい。
   用地取得が進んでいると聞いているが、ダム管理事務所の耐震工事の現状と今後の見通しについて聞きたい。

《答弁》 河川課長
   二川ダム管理事務所の耐震工事については、平成20年度から着手しており、移転先の測量調査、用地・物件保証及び建物設計、設備設計を実施している。移転先の用地については、有田川町の協力を得て、町の12月議会での議決後、契約し、年度内に取得できる見込みである。
   今後のスケジュールは、平成21年度は、新庁舎の建築に着手し、平成21年12月中の完成を予定している。平成22年1月から設備等の移転を行い、現庁舎の撤去を平成22年3月に完了する予定である。


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