2008年12月県議会 藤井 健太郎 一般質問

2008年12月11日





1.経済対策について

(1)県経済と新年度予算編成について
  @所得の減少と雇用不安について
  A新年度の新政策と予算編成方針
(2)県民の雇用と労働行政
  @県民の雇用の現状と今後の見通し
  A県民の働き方と正規雇用の拡大
  B賃金引き上げと格差の解消
(3)中小企業向け融資について
  @中小企業をめぐる資金需要と融資の実態
  A万全の備えができているか
  B融資円滑化へのはたらきかけ
  C指定業種の拡大、利子補給と保証料への補助
2.行財政改革について
(1)行財政改革の理念と目的
(2)トップの姿勢
(3)新年度の歳入の見通し
(4)職員数と公務労働の役割
(5)福祉医療をどう考えるか
(6)見直すべき問題はないのか
  @和歌山北港沖地区南防波堤工事
  A加太菜園の賃貸料
    要望




1.経済対策について
(1)県経済と新年度予算編成について
  @所得の減少と雇用不安について

《質問》 藤井健太郎 県議
   知事は今議会冒頭に、経済情勢への対応として、県内の景気動向や経済・雇用情勢を注視しつつ、国の動向を踏まえながら必要な対策を講じてまいりたい、と言われました。
   和歌山財務事務所の今年8月までの経済指標にもとづく報告では、企業の設備投資が前年を大幅に上回る計画となっており、企業の生産活動は緩やかに増加しているものの雇用情勢は緩やかに悪化している。県内経済は足踏み状態で、景況感は下降の見通しとなっている。また、前年比経常利益は大企業で増加、中小企業になるほど減少していると分析しています。
   住友金属和歌山工場の高炉増強や中小企業ものづくり300社に県内企業もこの3年間に16社選出されるなど一部で明るい話もありましたが、県内の倒産件数がH18年82件、19年135件、今年は9月までで120件と増加傾向にあり、廃業を含め、事業所数の減少に歯止めがかからない状況です。昨年末からの燃油価格高騰を販売価格に転嫁できないことや消費の低迷による売上の不振で、製造・非製造業を問わず中小企業になるほど経営の厳しさが増している状況にあります。事業所数、従業者数で大きな役割を占めているのが地場の中小零細規模の事業所であり、県民の所得や雇用を支えている重要な役割を果たしています。その中小企業に、この秋以降の株安、円高、金融不安がおそいかかりました。更なる倒産、廃業に追い込まれるのではないか、先行き不安感が広がっています。
   雇用をめぐる状況では、全国大手の自動車、電機、機械などの製造業を中心として派遣労働者の雇い止めなどで非正規労働者3万人が職を失うことや新卒者の採用内定の取り消し、雇用期間を定めた契約社員の期間途中での解雇などが報道され、大きな社会問題となりつつあります。
   和歌山労働局に県内の状況を聞いてみますと、派遣元の会社への聞き取りでは5件50人の更新打ち切りということで、今のところ1社で30人を越す大規模な契約打ち切りの報告はないが、偽装請負や二重派遣などを含め派遣労働の実態についてはつぶさには把握できないということでした。
   今日の経済情勢をみる視点として、最終消費者である国民の所得の動向、直接消費に回せる可処分所得や雇用の状況がどのようになっているのか、が重要なポイントだと思います。
   昨今、経済対策の柱として、いっせいに外需だのみから内需の拡大、内需主導型の経済成長へといわれていますが、これまで内需の根底である国民の所得や雇用そのものを痛めつける政策がとられてきたのではないでしょうか。
   賃金の上昇が抑えられ、そこに定率減税の廃止などの庶民増税、医療、介護、年金など保険料の引き上げで社会保障負担の増大が勤労者に押し付けられました。また、働き方についても派遣労働の原則自由化や派遣期間の延長、期間を定めた有期雇用など労働法制のあいつぐ規制緩和が不安定雇用を広げ、年間の給与所得が300万円に満たない労働者が増え続けています。景気回復を内需主導型にしていくためには、これまで痛めつけられてきた家計の購買力の回復や将来の雇用不安を取り除いていくことが必要なのではないでしょうか。そのためにも社会保障に対する国民負担を軽減させ、賃金の引き上げや安定した雇用の確立が求められます。
   知事は医療、介護、年金など社会保障の国民負担の増大や労働法制のあいつぐ規制緩和についてどのように考えておられますか。
   社会保障に対する県民負担の軽減や安定的な雇用の確保が県経済の今後にとっても重要な課題となってくるのではないでしょうか。知事の見解をお聞かせください。


《答弁者》 知事
   少子高齢化が進行する中では、今後社会が支える人口の減少が見込まれます。そうした中で、将来の社会保障の水準をどうするか、それを持続させるために負担をどうするか、そういうことは議論を必ずしておかなければならないことだと思います。この医療・介護・年金など常にわれわれは守りたいとすれば、その負担をどのようにしてこれを持続させるかという問題が大事ではないかと思います。そういう意味では何がしかの負担が求められることもやむを得ない、と考える場合もあるかと思います。
   ただ、もうーつ考えておかなければならないのは、この実行の最良時点、例えば県内状況はどうであるか、ということもまた考えながら、どういう制度設計をしていかなければならないか、ということだと思います。
   次に、労働法制の規制緩和についてでございますが、近年の経済社会の構造変化の中で、多様な働き方を可能にするなど、労働者が能力を発揮できるような社会を実現する目的で色々な改革が行われたとういことも理解しております。
   もう一つの本件の目的は、何よりも日本の経済力をつけるということです。
   というのは、たとえば常雇だけに限るとすれば、私も個人的には常雇に対する大変な重心をおいてますが、それに限るという制度ができたならば、企業は、先の見通しがたたないので人は雇えない、あるいは事業をしない、投資もしないということになってしまう可能性もある。
   そうすれば、経済も成長しないし、あるいは雇用も増えないし、結局、人々はあまり幸せではないということになる。それならば、日本の経済力をつけるために、労働法制の規制緩和も必要であったのではないかという考え方であったと思います。
   ただその中で、当然、色々な副作用みたいなものが出てまいります。
   急激な経済環境の変化の中で、不安定な就労形態がもともとある。その中でさらに、景気が悪くなると、そういう方々にしわがまず行く。もちろん常雇の方々にも起こってくるわけですが、まずいくことは、事実であろうと思います。
   従って、そういう弊害の除去に対しては、勇気を持って、当たらなければいけないということではないかと思います。
   例えば、現在、国において、日雇い派遣の原則禁止などの見直しが行われております。
   その他たくさんあると思いますけれども、こういう点についても、我々はよく見ていかなければならないというふうに思います。
   それから、県といたしましては、この様な動向をみながら、不安定な就労がより改善できるように、経済団体や主要な県内企業に正規求人やあるいは非正規労働者の正社員化の要請を行ってまいらなければいけないと思います。
   ただ、そういう弊害を除去する、あるいは努力をするにいたしましても、本件のような問題の根本的治療は、働く場の確保があって、求人が多いということであります。
   従いまして、国にあっては、経済の立て直し、景気対策。県にあっては、産業活動の振興等々。そういうことを、一生懸命することが、長い目で見ると、効果があるということです。


A新年度の新政策と予算編成方針

《質問》 藤井健太郎 県議
   知事は、新年度の新政策について「和歌山の強みをのばす取り組み」「県民生活の根底を支える取り組み」に重点投資する予算編成を行い、経済発展に向けたとりくみをさらにすすめるといわれています。具体的にはどのようなことを考えておられるのでしょうか。「和歌山の強み」ということでは、温暖な気候にはくぐまれた自然環境や文化・歴史遺産を生かしたとりくみ、果樹王国といわれる農林水産業の振興をさらにはかること、「県民生活の根底を支えるとりくみ」と言われると、少子高齢化への対応はじめ、社会保障・福祉施策、雇用のセーフティネットづくりなどを早急に拡充していくことをイメージするわけですが、今日の経済状況の見通しにそった新年度予算であることが求められています。具体的な施策については国の動向と合わせてこれからのこととなるでしょうが、今議会では、県がとりくもうとする施策についての基本的な考え方をお聞きしておきたい。


《答弁者》 知事
   本県の豊富な地域資源を活かした経済の活性化を一層進めていくために、「和歌山の強みを伸ばす取組」といたしまして、例えば、今申し上げました企業誘致や、あるいは観光資源の売り出しや、あるいは農林水産物の販売促進など、様々な具体的なプランに、たゆまず、ねばり強く一層取り組んでまいりたいと考えております。
   それと同時に、地域の活力の創造のためには県民の将来への不安感を払拭するということも大事だろうと思います。例えば、医療等、大事なことはちゃんと守られるというようなことも大事だろうと思います。従って、「県民生活の根底を支える取組」として、様々な対応もしていかないといけないというふうに考えております。
   いずれにしても、財政破綻を招かないように配慮しながら、県の経済や、あるいは県民生活の情勢を十分念頭に置いて、元気な和歌山の創造に向けた施策を積極的に展開するような、そういう予算にしたいと、こういうふうに思っております。


(2)県民の雇用と労働行政
@県民の雇用の現状と今後の見通し

《質問》 藤井健太郎 県議
   愛知のトヨタ自動車で2年11ヶ月の期間契約社員として働いていて、10月に契約更新を打ち切られ雇い止めとなって、会社の寮を出て和歌山に戻ってきた人がいました。今後の生活設計についての相談を受けたのですが、現在は雇用保険を請求し、就職先を探しておられますが、なかなかうまくいかないようです。
   雇用問題について定めた雇用対策法では、その目的に経済情勢の変化に対応して、雇用に関し、その政策全般にわたり必要な施策を総合的に講ずることにより、完全雇用の達成に資することとされています。そして、そのための国の施策と地方公共団体の施策についての定めがあります。
 第5条に地方公共団体の施策として、国の施策とあいまって、当該地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならない。とあり、完全雇用の達成をめざすのは第一義的には国の仕事、和歌山でいえば和歌山労働局が対応するところとなっていますが、雇用対策法がいうところの地域の実情に応じた雇用対策をすすめる上で、県の労働行政の果たす役割はきわめて大きいものがあるといえます。
   県は県民の雇用をめぐる現在の状況と今後の見通しをどのように認識し、県として強めていくべき課題をどのように考えているのか。県としての今後の対応はどうしていくのか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   世界的な金融危機の影響等により、雇用情勢は急激に悪化しつつあり、今後、派遣労働者等の非正規労働者を中心とした離職の発生や新規学卒者の採用内定取り消しも大いに懸念しているところでございます。
   このような厳しい状況の下で、本県の労働行政が果たす役割は重要であり、雇用の維持や雇用の確保を通じて、県民生活の安定を図って参りたいと考えてございます。
   このため県では、去る8日に「緊急経済対策本部」を設置し、雇用問題についても部局横断の観点から迅速に対応しているところでございます。
   また、和歌山労働局におきましても「雇用対策本部」が設置されており、今後より一層緊密に連携し、雇用の維持や離職された方々の再就職を支援するための共同就職支援センターの設置や、機動的な面談会の開催などを実施して参りたいと考えてございます。


A県民の働き方と正規雇用の拡大

《質問》 藤井健太郎 県議
   雇用の中味の問題、働きかたについて、実に多様な働きかたとなってきています。ハローワーク和歌山の求人区分でも正社員、正社員以外、派遣労働者、臨時、パートなどとなっており、今年9月の有効求人数のうち、正社員の求人は実に47%と半分にたらず、正規の職を希望する人に対する正規の求人の割合も6割に満たない状況です。10月以降、全体の求人数もすくなくなってきているということです。
   県民の働きかた、就業形態はどのようになってきているのでしょうか。また、この間に県が誘致をすすめた企業での就業形態はどのようになっているのでしょうか。
   県民の雇用の安定をはかる上からも正規の雇用の拡大が望まれるところですが、どのようなはたらきかけをしているのでしょうか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   平成19年の就業構造基本調査によりますと、県内の正規雇用者は、23万5,000千人、派遣社員などの非正規雇用者は、12万人で、5年前に比べ正規雇用者は1万人の減少、非正規雇用者は2万人の増加となり、全国と同じ傾向を示してございます。
   誘致した企業につきましては、平成20年4月の調査によりますと、約6割が正社員と把握してございますが、平成18年の改正した要綱の主旨をふまえ、今後とも正社員の雇用に重点をおいて企業誘致を行ってまいりたいと考えております。
   その他、関係機関と連携しながら、経済5団体や県内企業に向けて新規高卒者の求人要請を実施してございますが、今回の経済危機を受け、改めて正規求人や非正規労働者の正社員化の要請を行うこととしてございます。


B賃金引き上げと格差の解消

《質問》 藤井健太郎 県議
   10月末に政府与党・経済閣僚会議策定の「生活対策」で経済界に対する賃金引き上げの要請が位置づけられ、麻生首相が経済団体に労働者の賃上げを要請したことが報道されています。
   勤労統計調査を見ると、県内の賃金指数は下がり続けているように思えます。県内の労働者の賃金状況はどのようになってきているのでしょうか。また、正規と非正規の格差はどのようになってきているのでしょうか。賃金引き上げや正規雇用と非正規雇用の賃金格差の是正をどのようにしてすすめていくのか。県としての考えと働きかけをどうしていくのか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   県の毎月勤労統計調査によりますと、平成17年を100とした名目賃金指数で、18年は96.5、19年は96.0とやや減少してございます。
   また、正社員とそれ以外の賃金格差についてでございますが、全国の平成19年賃金構造基本調査によりますと、正社員の賃金を100とした場合の正社員以外の賃金格差指数は、男性で65、女性では69となってございまして、3年前の調査とほぼ同じ数値でございます。
   県といたしましては、雇用の安定のために、中小企業労働施策アドバイザーの活用やセミナーの開催、正社員化支援制度の普及など、様々な施策を実施してまいりたいと考えてございます。


(3)中小企業向け融資について

《質問》 藤井健太郎 県議
 年末、また年度末を控え、県内事業者、とりわけ経営不振に見舞われている中小零細業者の資金繰りが悪化し、経営破綻や連鎖倒産に追い込まれることへの不安が広がっています。先だっても、和歌山市で親の代から事業をされている方で、取引先が倒産し、手形が不渡りになった、銀行にはきちんと返済しているが、新たな融資を断られ、別の銀行との話をすすめるしかない。保証協会の保証もむずかしい状況であり、なんとかこの時期を乗り切ることができれば、との話がありました。
@中小企業をめぐる資金需要と融資の実態
   県内中小企業をめぐる資金需要と融資の実態をどのように把握されているのでしょうか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   米国発の金融危機に端を発した経済不安により、我が国の景気も急激に減速している中、こうした状況に対処するため、県におきましては、先ほども申しましたように、12月8日に「緊急経済対策本部」を設置し、資金繰り対策などを中心に取り組んでございます。
   まず、中小企業をめぐる資金需要につきましては、国の緊急保証制度を受け、県としましても早急に資金繰り安定資金など融資制度を見直しました。その結果、11月の県制度融資額は対前年同月比、約3倍の71億円に達してございます。年末に向けては、さらに資金の需要が見込まれることから機動的に対処してまいりたいと考えております。


A万全の備えができているか

《質問》 藤井健太郎 県議
   万全の備えができているのでしょうか。国の「生活対策」では、景気下降局面が長期化、深刻化するおそれがあり、経済的な弱者に大きな波となっておしよせてくる、資金繰りに苦しむ中小・小規模企業のセーフティネットを強化し、緊急の備えを万全にすることが喫緊の課題といわれています。
   県内中小事業者への資金需要への対応は万全なのか。県は、このたび国が開始した無担保で8,000万円を限度とし、信用保証協会が100%保証する緊急保証制度を受けて、県の資金繰り安定資金や経営支援資金を新設、拡充しましたが、どの程度まで対応できると考えているのか。融資案内のチラシには、融資額については金融機関が、保証額については保証協会が判断決定するとなっていて希望にそえない場合もあると、わざわざ断り書きが読み取りにくい小さい字で書かれてありました。保証や融資の審査にあたって頭ごしに門前払いされるようでは緊急の備えを万全にしたとはいえないのではないでしょうか。融資のあっせんや融資相談も含めて運転資金を必要とする事業者にどこまで応えていこうとするのか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   今回の融資制度見直しにおける効果についてでございますが、返済期間の大幅な延長や再借換の実施など、中小零細企業が借りやすくなったことで、資金の利用が大幅に増加し、今後も多くの方々にご利用いただけるものと考えております。
   備えについてでございますが、平成20年度の新規融資枠は900億円と十分、確保しております。
   また、金融機関や保証協会には個別企業の実情に応じた配慮をしていただくよう、引き続きお願いしているところでございます。


B融資円滑化へのはたらきかけ

《質問》 藤井健太郎 県議
   昨年10月より従来の保証協会の100%保証から金融機関が20%負担する保証の責任共有制度制が実施されています。借りにくくなって融資申込みを控えているという事業者の声も聞ききますが、貸付けに変化はおこらなかったか。
   今回の緊急保証制度は保証協会の100%保証となっていますが、金融機関の審査が通らないという貸し渋りはおこらないか。それでは100%保証の意味がなくなってしまいます。貸し出し条件の緩和を含め融資円滑化の要請など保証協会、金融機関への対応はどうしていくのか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   昨年10月に導入されました責任共有制度につきましては、昨今の経済情勢の激変までは大きな影響はなかったというふうに聞いてございます。


C指定業種の拡大、利子補給と保証料への補助

《質問》 藤井健太郎 県議
   国の緊急保証制度は約1,300業種のうち現在698業種が指定、さらに増やすという動きも見られますが、業況の悪化している業種はこれ以外にもあり、業種指定の拡大をしてほしいというサービスや情報関連事業者の方からの要望も聞かされます。業況が悪化している中小企業すべてを対象に拡大していくべきだと思いますが、ぜひとも働きかけてほしいものです。いかがでしょうか。また、県制度融資への利子補給、保証料への補助の拡大など検討できないものでしょうか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   指定業種につきましては12月10日に80業種が追加され、698業種になり、企業数の約78%を占め、保証制度の拡充をもとめる中小企業のほぼすべてがカバーされています。今後も必要に応じ業種の拡大を国に働きかけて参りたいと考えてございます。
   県制度融資の拡充につきましては、中小零細企業の立場から、さまざまな角度から、逐次、検討していかなければならないと考えてございます。


2.行財政改革について
(1)行財政改革の理念と目的

《質問》 藤井健太郎 県議
   県は今年の3月、「新行財政改革推進プラン」を策定した際、その基本方針として長期総合計画がかかげる将来像を実現するためには強固な財政基盤が必要であるということ、財政健全化法での早期健全化団体・財政再生団体への転落を回避しつつ、持続可能な財政構造への転換をはかることを掲げました。
   行財政改革の目的は、めざすべき自治体の将来像の実現に向けて、行財政運営のありかたを不断にみなおしていくことだと私なりに理解するものでありますが、今年9月に示された行財政改革推進本部事務局案を見て、改めて県が推進しょうとする行財政改革の理念と目的について、お尋ねしておきたいと思います。
   事務事業見直し案のすべてについて十分精査したというわけではありませんが、中に県の長期総合計画が示す将来像の達成に向けてということを考えるならば、現在実施している事業のさらなる拡充・充実の方向にあってしかるべきではないか、と思われるものがあります。
   合併浄化槽設置整備事業補助金、長期総合計画の中でも県民の衛生的な生活の実現として下水道整備とともに合併浄化槽の整備がうたわれています。見直し案は住宅を新築した際の合併浄化槽設置に対する補助はしないというものです。県内の自治体で現在、新築、改築の区分をしているのは和歌山市だけであり、担当課に話を聞くと新築した場合の補助が全体の8割を占めていて、改築は2割であるということでした。汚水単独槽からの生活雑排水も含めた合併方式への転換をめざすとした政策がどのような成果をあげてきたのか。8割を占める新築の際の補助金廃止は、単なる補助金の大幅削減が目的であるとしか映りません。
   次代を担う青少年の育成の場として整備された、紀北、紀中、紀南のそれぞれに1ヶ所ずつ、県内にわずか3ヶ所しかない青少年の家の1ヶ所を廃止する案も示されています。わずか2ヶ所での活用をどうめざすというのか。施設の位置づけや理念も不明確で、単なる財政削減となっています。
   NPOサポートセンターについてもしかりです。少子高齢化社会への対応、地球規模での環境問題の解決など住民が参加し主体となっての市民運動の発展と成熟が今後いっそう求められることになるなかで、すでに十分育ってきているということで、県のかかわりを薄めていくのは県の一方的な都合であり、財政削減が主目的のように映ります。
   行財政改革の理念と目的は何か、財政収支の帳尻をあわせるための経費削減が目的ではないはずです。自治体本来の仕事である住民福祉の向上、生活基盤の整備、教育環境の充実や住民参加の促進などはその事業のみに着目した経済的効率性だけではおしはかれない問題だと思いますが、知事の考えはいかがでしょうか。


《答弁者》 知事
   新しい長期総合計画の目指す将来像の実現に向けて、県政を進めるうえでは、強固な財政基盤がどうしても必要という風に思います。
   そのためには、本年3月に「新行財政改革推進プラン」を策定したところでございますけれども、このプランを着実に実行に移していかなければ、例えば、財政再生団体に転落する。そうすれば、県民の皆様へのサービスも滞るし、それから可能性は大きいと思いますが、新たな負担も求めなければいけない。そういうことにならないように、がんばりながら政策を進めていかなければいけない、というのが現状ではないかと思います。
   現在県が実施している事業というのは、例えば不必要なものというのはなかなか無いと思うと常に申し上げております。なにがしか役に立っているということであります。しかしながら、そうした中でも優先順位をつけ、徹底して事業の見直しを実施することにより財源を生み出し、新たな政策課題に対応していかなければいけないと思います。
   あれがいる、これがいるというのは簡単でありますが、それでは、あれもこれもと言いながら、どうして財政全体を維持していくかということは大変難しいことでありまして、当局及び県議会としてもこれは是非やっていかなければいけないということではないかと思います。
   藤井議員のお話を聴いておりますと、財政の規律を目的とする、つまり、これは例えば支出の切り詰めに過ぎないではないかというご表現がたくさんあります。これを私なりに解釈すると、財政の規律を目的とするようないろんな営みはあまり意味がないという風に思っておられるような気が致します。
   しかしながら、今申し上げましたところを考えれば、我々が夢のある長計を実現してそして立派な県をつくっていくためには、財政の規律もまた壊さないようしていかないといけない。したがって、支出の切り詰めがすべてではないけれども、それもまた大事な目的であると言わざるを得ないということであります。しかしながら、こればっかりではいけませんので、いろんなバランスを取りながら提案をしていかしていただきたいと考えております。


《再質問》 藤井健太郎 県議
   私は何も財政規律を壊してまでとは言っておりません。当然、財政の収支均衡をはかり、財政再生団体はなんとしても回避しなくてはいけない、これは県民を守るためにも最低限必要なことであります。
   私が言っているのは自治体の仕事というのは経済的な効率性だけで判断できるものではなく、福祉の問題であるとか生活基盤の整備であるとか、住民参加、住民運動をどう育てていくのかということは自治体の本来の仕事であり、そこのところは十分意を尽くさなくてはいけないのではないかと申し上げているわけで、補助金を削減し、いろんな行革で経費を削っていくのであれば、その制度なり補助金が持っている趣旨・意味・成果を最大限に発揮するためにどうするのかという案も同時にあわせて出さないと、単なる経費の削減に映るということを言いたいわけであります。そのことはぜひご理解いただきたいと思います。
 そして社会保障の負担の増大については、様々な制度の設計上応分の負担はやむを得ないという話で、経済状況の変動の中で制度設計を考えていく必要があるというお話がありましたが、自治体の首長として県民の暮らしを預かる上で、現下の情勢を考えればそういう社会保障に対する県民負担を少しでも軽減させていくという姿勢と努力が求められる。今まで自立支援法にしても後期高齢者医療制度にしても県独自の負担軽減を求めてきましたが、国に対しては申し上げていくという話であったのではないかと理解をしているわけでして、今のところ応分の負担はやむを得ないと言われますと、首長の負担軽減に向けて努力していく姿勢、がんばるという意思というのはないのかなと受け止めていいのかどうか、これは再度知事の見解を聞いておきたいと思います。


《再答弁者》 知事
   福祉とか、生活を守ることは関心がないと受け取ってよいのか、という質問をいただきましたので、受け取るぞと言ってひとこと言われるよりは、受け取ってはいけないんですということを申し上げる機会をいただきましてありがとうございました。
   まさに、受け取ってはいけないので、そういう安全安心を守る、いまご指摘にもありました点も踏まえて、そういう点を配慮しつつ、行財政改革との間のバランスを取っていくというのを、これから結論を出していかなければいけないということだと思っております。このことは、今回の予算の中でも、次の予算の中でも、県民生活の根底を支える取り組みというのは重点なんですと先程から申し上げているところであります。


(2)トップの姿勢

《質問》 藤井健太郎 県議
   今回、示されている行財政改革の内容は、県職員はもとより住民へもがまんを求めるものとなっています。くらしの困難さなど経済情勢が厳しさを増すもとで、県民の行政に対する視線、職務の執行についての監視と批判も高まりつつあります。
   そういうなかで、知事、副知事など行政のトップが自らの経費を節減していく方策をどのように考えているのか。その姿勢を示していくことも重要ではないかと思います。知事で任期ごとに4,065万円、副知事で2,280万円という退職手当てのありかたなどを含めてどのように考えておられるのか。


《答弁者》 知事
   人件費総額の縮減あるいは事務事業の見直しによって、行革プランでは、687億円の歳出削減を図ることになっております。この計画によりますと、知事・副知事の給料についても6%のカットを継続しているところです。
   実は県庁の諸君と話をしても、この6%ではありませんけれども、一番給料の安い人でも1%のカットをお願いしていますが、是非元に戻してくれというような話がたくさんございます。私は、実は元に戻してあげたいという風に思っております。しかしながら、現下の情勢を考えるとやっぱり戻せない。だから、前からずっとやっているようなカットを続けざるを得ないので我慢してくれということを言っております。
   一方、じゃあもっと切ったらいいではないかということも、当然、解としてはございます。それについては、私はあまり望ましくないという風に思っております。例えば、私の給料をうんと切るというと、個人的にはすぐには路頭に迷いません、またカッコいいと思います、人気も出るかもしれません。そういう誘惑に駆られるときもありますけれども、もしそれをやったら、和歌山県の知事というのは、慈善事業家か、あるいは大金持ちしかなかなかなれないという職業になるとお思いになりませんか。それから同じことは、県庁の職員について言えば、県庁へ行ってみんなのために働くんだという人に対しては、全国的にみて普通の給料は出して差し上げたいという風に私は思っております。従いまして、バランスを取り持って従来どおり我慢してやっていこうとみんなと張り切って計画を立てているところであります。
   ただ、これは他に比べれば明らかに多いなというのもありました。これが県知事の退職金であります。これについては、こんなに和歌山が困っているのに多いものを貰うわけにはいきませんので水準以下にさせていただきました。


(3)新年度の歳入の見通し

《質問》 藤井健太郎 県議
   新年度の歳入の見通しはどうか。地方税収の落ち込みも予測されますが、地方交付税の財源である国税の落ち込みによる地方財政への影響など、国から地方財政へのしわよせがいっそう厳しくなりはしないか。財源対策としての地方債への依存が高まりはしないか、一般財源を中心とする歳入確保に向けての手立てをどのように考えているのでしょうか。


《答弁者》 総務部長
   ご指摘のとおり、世界的な金融経済情勢の悪化に伴う日本経済の減速により、県税収入の大幅な減少と地方交付税の原資となる国税収入の落ち込みによる地方財政の財源不足額の大幅な増加の見通しが強まっております。
   現在、国においては、地方財政対策をめぐる折衝が本格化しているところでありますけれども、財源不足額の拡大によって臨時財政対策債の発行増など、地方債への依存が高まることも懸念されております。
   このようなことから、県といたしましては、新行財政改革推進プランの着実な実施により、規律ある行財政運営に取り組むのはもちろんのことですが、全国知事会などとともに、地方交付税の増額など地方税財源の充実強化について、国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。


(4)職員数と公務労働の役割

《質問》 藤井健太郎 県議
   人事問題については、これまでにも適材適所への配置、極端にある年齢層だけが少なくなるなど年代の断層をつくらないこと、技術職・専門職の計画的採用を重視すること、重複する事務をなくし職員配置の合理化をはかること、女性の幹部職員への登用をはかる条件整備をすすめること、職員の公務員としての自覚と能力を高める研修を重視すること、むやみに幹部職員のポストづくりをしないことなどを折に触れ求めてきました。
   職員数については事業のありかたに見合った適正数であるべきと考えますが、今回の行革プランでは、知事部局の職員数を5年間で12%480人を削減するとなっています。その根拠は何か。県の事業と職員数の均衡をどのように考えているのか。削減数が先にありきで、あとで帳尻をあわせるための機構改革による組織の見直し、民間委託などの業務の外部化、公務員の非公務員化による人件費削減をすすめていくこととなるのではないか。今日、自治体に民間経営なみの経済的効率性を求める流れが強まり、自治体事務のすべての仕分けを行い、外部委託をすすめることや民間との競争を求める市場化テストの導入などで、逆に自治体がもつべき公共性とは何か、自治体職員の仕事は何かが問われるようになってきています。住民と民間経営との関係は商取引の相手方として売り手と買い手としての関係であらわすことができますが、住民と自治体の関係はそうではありません。
   住民のくらし全体に責任を負っているのが公務員であり、行政サービスの担い手が民間にうつされようとも、最終責任は自治体がおわなければならないはずです。
   そのための専門性、問題発見能力や解決能力が求められ、そのための一定の職員数は確保しておかねばならず、民間にうつしたその分がまるまる余剰になるわけではありません。
   公務員は住民全体の奉仕者ともいわれていますが、憲法で定められている住民の生存に向けての権利、幸福を追求する権利など基本的人権を保障していくべき仕事が公務労働であるともいえます。公務労働の果たす役割をどのように考えているのか。これだけは公務労働でというもの、外部化、非常勤化をすすめるにあたっての基本方針のようなものがあるのか。職員の削減数に合わせてその場その場で判断していっているのではないか。


《答弁者》 総務部長
   職員数と公務労働の役割についてですが、「新行財政改革推進プラン」におきましては、平成20年度から24年度にかけて、合計990名の職員削減を実施する計画となっております。
   この削減目標につきましては、厳しい県財政の状況を踏まえるとともに国家公務員の削減計画や他府県の動向等を勘案して判断したところであります。
   このため、徹底した事務事業の見直し、業務委託の推進や指定管理者制度の導入など民間活力の積極的な活用、市町村への権限移譲の推進等により、業務の削減・簡素化と行政サービスの質の保持・向上を図ることとしております。
   今後とも、職員の削減によって、必要な県民サービスの低下を招くことのないよう努めてまいります。


(5)福祉医療をどう考えるか

《質問》 藤井健太郎 県議
   67歳から69歳までの人を対象として自己負担分を3割から1割に軽減する老人医療制度は廃止、重度心身障害者、母子・父子家庭など一人親家庭は新たに自己負担金の徴収が考えられています。その理由は何でしょうか。受益者負担、他府県の動向ということだけでは、県の福祉医療そのものに対する考え方が不明確です。受益者負担という考え方はそもそも福祉にはなじみません。福祉医療に対する従来の考え方から変ったのか。今日の経済情勢のもとで福祉医療をどのように位置づけているのか。福祉保健部の予算の範囲内での制度設計を考える問題ではないと思います。健康長寿日本一をめざす、子育て環境No.1をめざすとした県の基本的スタンス、めざすべき将来像を定めた長期総合計画の基本姿勢からの後退と映ります。命と健康にかかわる基本的な施策を後退させることになるのではないか。


《答弁者》 福祉保健部長
   重度心身障害児者やひとり親家庭等を対象といたします県単独医療費助成制度につきましては、県の厳しい財政状況を踏まえ 本年3月に策定した「新行財政改革推進プラン」の趣旨に基づき、歳出削減を図る中で、県単独医療につきましても制度全体の中で総合的な見直しを検討しているところでございます。現在の案といたしましては、新たに訪問看護療養費及び重身医療における精神障害者を補助対象とするとともに、受益と負担の観点から他の多くの都道府県の例も参考にし、一定額の自己負担等をお願いしたいと考えているところでございます。
   県といたしましては、限られた財源の中で、将来にわたり持続可能な制度とすることが何よりも肝要であると考え、見直しを検討しているものであり、現在、市町村及び関係団体の皆様に説明するとともにご意見をお伺いしているところでございます。


(6)見直すべき問題はないのか

《質問》 藤井健太郎 県議
   知事は明らかにムダだといえるものはほとんどなくなっているということですが、そもそも誰もが明らかにムダだといえるものがあっては困るわけで、ないのが当たり前です。しかし、国直轄事業の負担のありかたをはじめ、県の事業・施策で県民負担に転嫁させずに見直すべき問題はないのか。さらに精査が求められる問題はないのか。立場や見解によっても見方が異なってくるのは当然のことではありますが、いくつか聞いておきたいと思います。
@和歌山北港沖地区南防波堤工事
   和歌山港北港沖地区で防波堤の築造工事が行われています。この防波堤に接続する埋立地は、住友金属和歌山工場が公害施設の沖だしを目的に公有水面の埋立て免許をとって埋立てた土地で、住友金属が沖だし移転を中止し、現在は関西電力の和歌山発電所用地と埠頭用地・交流拠点用地となっています。埋立地そのものが防波堤の役割を果たしていることや和歌山発電所の稼動のめどが立たないことから、この防波堤の有用性について、お聞きしておきたいと思います。
   この防波堤工事の概要と必要性は何か、全体の事業費と進捗率、完成年度はいつか、これまでの県の負担額と今後の負担見込み額はいくらか。


《答弁者》 県土整備部長
   和歌山下津港北港沖防波堤についてでございます。この防波堤は延長1,000メートルでございまして、北港埋立地の北側に計画しております3箇所の係留施設及び現在供用中であります水深10メートルの公共岸壁の静穏度を確保するためのものでございます。
   全体事業費は約300億円、うち150億円は電力会社の負担でございます。現在、進捗率は約46パーセントでございまして、平成20年代後半を目指して国の直轄事業で整備が進められております。
   なお、これまでの県の負担額は約24億円でございまして、今後、同程度の負担が見込まれております。


A加太菜園の賃貸料

《質問》 藤井健太郎 県議
   加太コスモパークに土地造成費約20億円をかけて誘致した加太菜園がトマトの栽培、生産出荷をおこなっています。県は土地開発公社の土地を借り上げ、その一部を加太菜園に1平方mあたり100円の賃貸料で20年貸し出す契約を結んでいます。県が土地開発公社に支払う賃借料と加太菜園から県に入る賃貸料との差額は契約期間でいくらになると見込まれるのか。その差額は県財政からの負担となるのではないか。
   企業が新たに立地することにより県民の雇用が生まれ、関連業種に経済効果が波及することはよく承知しており、地域特性に適した企業の誘致は有効な政策であると考えますが、この賃貸料は他の企業誘致用地の条件と比較しても破格の優遇を受けていると思えます。県の財政状況を鑑みて相手側にも理解と協力を求めることも必要なのではないでしょうか。


《答弁者》 企画部長
   加太菜園の誘致につきましては、県土地開発公社の経営再建及びコスモパーク加太の土地の利活用という取り組みの中の一環として進めたもので、賃貸料設定に当たっては、他県の状況や県議会でのご議論、諸般の状況を踏まえ、総合的に決めたものでございます。
   議員ご質問の、土地開発公社に支払う賃借料と加太菜園からの賃貸料との契約期間内における差額総額でございますが契約期間19年3カ月で現状を前提に計算いたしますと約34億円となります。
   ちなみに、加太菜園からの賃貸料収入は同じ計算では約6億3,000万円となります。カゴメの立地、無かりせば、ということを考えますと、そこからの賃貸料収入も無いわけですから、こうした観点からのご理解も賜りたいと存じます。
   次に賃貸料の改定につきましては、土地価格の上昇をはじめとする経済情勢等を勘案して協議することとしており、現時点においては、そういう状況下にないと考えております。
   何れにいたしましても、賃貸料につきましては、契約の主旨に則り、適切に対応して参ります。


《要望》 藤井健太郎 県議
 大変な経済情勢であることは誰もが分かっていることだと思いますが、新年度予算が知事の言われる県民生活の根底を支える予算になるということを切に願う上から、いくつか質問の内容とも重なるかもしれませんが、重ねて要望を申し上げておきたいと思います。

@ 雇用の確保
 一つは雇用の確保の問題です。和歌山労働局と連携をしていろんな指針とか方向なりを出しておられます。和歌山労働局目標ではフリーターの常用雇用2,300人を目指す、労働局と県との共同目標としてはジョブカフェ利用者1万4,000人、就職300人、これは20年度目標としてつくられているわけです。そういった目標の完全達成を目指す、もしくは目標のアップを目指すということでぜひ取り組んでいただきたい。これはまたの機会にどうだったのかということを聞かせていただきたいと思います。

A 融資問題
 融資問題について国の対策がとられておりますが、今日の経営危機の原因を考えますと、実体経済と離れたところでの投機資金が原因であるとか、アメリカ金融危機が原因であるとか、決して経営者自身の放漫経営が原因であるというようなことではなく、外部の誘因によることによって自らの経営が圧迫されることが多いわけです。そういう点では経営者自身に責任はないわけで、経営が赤字だからということで対応するのではなく、この時期を乗り切れるという展望を共有していく立場で、ぜひ有効な融資を実行していただきたいと思います。

B 福祉医療制度
 福祉医療制度ですが、制度設計に非常にこだわっておられます。制度を維持するためにやむを得ないというお話であるかもしれませんが、福祉というのは受益者負担という考え方ではないですよね。心臓や腎臓、呼吸器など内部疾患、重度の障害がある人というのは、まさに医療を受けることが生きていくことなんです。医療がなければ命がなくなる、そういう意味で福祉医療制度の役割があるわけだと思います。母子家庭の皆さんもそうです。児童扶養手当の受給者でないと母子医療が受けられない、その児童扶養手当が削減されてきているなかでますます厳しい状況になるわけです。そのなかで経済的負担を自治体が、更にあえてかけることをしてはけないと思うんです。福祉医療への自己負担徴収というのは撤回してほしいと思います。とりわけ生まれながらにして障害を負った子ども、子どもには責任はありませんよね。先ほども国民健康保険の資格証明書の問題で、子どもには責任がないという議論がこの議会でもおこなわれました。重度障害を負った家庭のお母さん、お父さんがどんな思いでこの子を成長させていこうとされているのかと、そういう思いにぜひ心をよせてほしいと思います。他府県とどうこうということを言われましたが、福祉医療だけで比較するのではなく、福祉施策全体のソフト面・ハード面でどうなっているのかといった他府県との比較のなかで、福祉医療がどういう役割を果たしているのかというのを考えて、自己負担金を徴収することが適当であるのかどうかということを考えないといけないと思います。障害児の医療に対応する医療機関が県内にどれぐらいありますか。紀北・紀中・紀南それぞれに配置はされているでしょうか。そうではないです。子どもを連れて県外に行かれているお母さんもたくさんいらっしゃいます。電車には乗れず、車やタクシーを利用しなくてはいけない方もたくさんいらっしゃいます。そういうことも考えて、県の福祉医療の制度だけを考えるのではなく、今何が必要なのかと、知事が県民の生活の根底を支える予算をつくりたいと言われるのであれば、ぜひそういうことにも思いを馳せて考えていただきたいと思います。

C 財源問題
   財源をどうやって捻出するかという問題ですが、これは知恵も出して汗も掻かなくてはいけない。知事自身の姿勢というのが見られていますから、今後もいろんな面で考えていきたいと思いますが、ぜひ検討していただきたいということを申し上げて終わります。



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12月議会 藤井健太郎 一般質問=08年12月11日
12月議会 藤井健太郎 一般質問=08年12月11日