2009年月県議会 総務委員会 概要記録

2009年月2
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《質問》 藤井健太郎 委員
 第2次補正予算も含めて前の自公政権の予算について、特に経済対策分は地方自治体に関係する予算がかなりのウェートを占めている。例えば、地域活性化臨時交付金は85億円近くあり、6月補正で11億円、9月補正で残りのほとんどが事業化される。6月補正でかなりの公共事業に補正債を起こし、それに対して交付金で9割方措置され、160億円見込まれると聞いている。これは、国の方から言えば、税財源の移譲に当たるという観点で私はとらえている。地方自治体が本来すべき事業が、一般財源が窮屈な中で、中々、住民の要求に応えきれないという状況のもと、6月補正及び9月補正でかなり細かな地元密着型の公共事業が行われることになる。
 この財源が確保されなければ、起債とか財源に穴が開くことになってくる。民主党政権では、地方にかかわるものは原則として触らないという報道もされており、県当局からは、地方分権改革の進展が期待されるとか、全国知事会とも連携しながら意見を言ったり要望していくと言われている。予算審議にもかかわってくる問題でもあり、歳入確保の観点から、一部でも穴が開くと、直ちに財源の確保の手立てをして行かなければならなくなる。そういったことも含めて、予算を提案する限りは、財源の見通しについて確たるものがないと審議に耐えないと考える。県当局の立場と方向性について、どう考えているのか。

《答弁》 知事室長
   国の経済対策の補正予算に関しては、6月議会で議決をいただき執行中のものと9月議会においても上程しているものである。これらは、前の政権が現下の経済対策として必要なものと決定され、我々もその内容を精査し要望しながら予算案を提示したところである。公共事業対策や今まで出来なかった福祉施設の改修などきめ細かい後順位に置かれていた対策にも充てることとしている。我々としては、経済対策はもちろんのこと、地方がやるべき施策について議会で審議いただいているところであり、政権が代わったからといって、交付決定済みの部分について執行停止や見直すとされるのは納得できない。地方の部分については尊重すると聞こえてくるが、声を大きくして全国知事会と一緒になって、今ある経済対策については執行できるように要望していきたいと考えている。
   また、国からの交付決定を財源の根拠として議会に提案しており、国の交付決定の返上ということは想定していない。政権交代の結果、いろいろな交付金を見直していくといった報道はあるが、当然、交付されるものであると理解している。

《質問》 藤井健太郎 委員
 今回の予算に計上された国庫支出金は確保できるという理解で良いのか。

《答弁》 知事室長
   確保したいと考えている。

要望》 藤井健太郎 委員
 地方自治体としては、国の政権交代にかかわらず、地方分権、税財源の移譲を言っていかなければならない。旧政権下で決定した予算であるとしても、その路線上にある予算ということで確保することに遺漏のないようにしていただきたい。

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《質問》 藤井健太郎 委員
 議案第134号の和歌山県高等学校等修学支援対策基金の設置により、私立学校の授業料軽減制度が従来とどう変わるのか。

《答弁》 総務学事課長
   当該基金は私立学校授業料軽減補助及び教育委員会が所管している高等学校等に在学する生徒に対する奨学金事業の2本である。

《質問》 藤井健太郎 委員
 従来から事業がある中、今回の基金の設置において授業料が軽減される生徒が増えるのか、内容がより改善されるのかといった点でどういう違いがあるのか。
 国からの交付金で行うとなっているので聞かせてもらいたい。

《答弁》 総務学事課長
   先ほど説明した2本の事業に対して、現下の経済状況から見て、平成20年度実績を超える部分について基金を活用するものである。

《質問》 藤井健太郎 委員
 平成20年度実績を超える部分について基金を活用するということだが、中身が県民にとってどうなるのかということを聞きたい。
 以前は、補助額2万円で県外の私立学校に通う場合も対象だった。現在は所得制限を設け年間10万円の補助額となっている。所得制限がより緩和されることになるのか、県外の学校に通う家庭も対象になるのか、その辺のことを聞きたい。
 今の制度は所得制限が厳しいのでそれを緩和してほしいということも要望したい。さらに教育の機会均等ということもある。県内私立学校の入試日が統一されている関係でどうしても県外の私立学校に通わざるを得ない生徒もいる。経済的に困難なことが理由であれば県内も県外も同じような条件にあるわけで、県外に通うほうがより困難であるとも言える。今回の基金で改善につなげられるのではないかということを聞きたい。

《答弁》 総務学事課長
   
私立学校授業料軽減補助の現行要件は、県内の私立学校に在籍し、学費負担者が県内在住でかつ市町村民税所得割が非課税であること。要件は従来どおりとしている。また、授業料の軽減補助制度は、県内私立学校が行う授業料軽減措置により、学校の収入が減少分を補助するということにより、学校運営の安定、教育環境の維持確保が図られるようにということで、県内の私立学校を対象に行っているところである。

《質問》 藤井健太郎 委員
 条件についてはかわらないということだが、基金を設置して同じ条件で県の一般財源と国の交付金を振り替えるということではないのか。

《答弁》 総務学事課長
   そうではない。

《質問》 藤井健太郎 委員
 ということは、同じ条件で申請する家庭が増えればそれに対応するという基金になるということか。

《答弁》 総務学事課長
   そのとおりである。

《質問》 藤井健太郎 委員
 これは国の交付金で、余れば返さなければならないと思われるが、国は「今の条件で行え」と限定しているのか。

《答弁》 総務学事課長
   限定はされていない。緩和しようとすれば可能である。

《質問》 藤井健太郎 委員
 教育の機会均等を図るということから見れば、公立学校でも減免基準があるが、私学の基準の方が厳しい。基金の目的で、生徒の教育機会の均等と言っており、国が同じ条件でしなくてもいいということであれば、各家庭の状況等も鑑みて所得条件の緩和や県外の学校にも適用する等といったことも行ってしかるべきではないか。また、先ほど私学の振興という話もあったが、基金名は「修学支援対策基金」であり学校の振興ではない。生徒の家庭が経済的な理由によって、進学を断念せざるを得ないということがないように、というのがこの基金の目的であると解釈している。また、3ヵ年事業であるから、条件緩和に取り組んでほしい。その考えはどうか。

《答弁》 総務学事課長
   
現時点で今年度直ちにということは難しい。
   国において高等学校授業料の制度設計が検討されているので、それらを見ながら検討したい。


《質問》 藤井健太郎 委員
 県外の私学に通っている生徒の家庭でも、どれくらいこの制度の適用を受けられるか、また現在の所得制限内で本当に教育の機会均等が図られるのか等、改善できるよう前向きに検討してもらいたい。検討の方向性はどうか。

《答弁》 総務学事課長
   今、直ちに具体的に答えられない。国の制度設計がどうなるかも踏まえて検討する。

《質問》 藤井健太郎 委員
 総務部長に聞きたい。姿勢の問題だと思う。経済的に困難な状況がある、機会均等を図らなければならないなか、県外の学校に行かざるを得ない生徒もいる。それに対して基金が有効に活用されるということが望ましいと思う。県の姿勢としてそういう方向を向いていくべきではないか。県の考え方は。

《答弁》 総務部長
   交付金の総額が交付されていない現時点で、答えを出せない。
   制度の狭間となる県外に通う生徒の支援については、国の制度の方向性を見ながら検討する。なお、私立学校授業料軽減制度について、各府県の制度がまちまちで、例えば和歌山県は県内の私立学校に対して、大阪府は大阪府下の私立学校に限定している。また、補助の交付対象が「生徒」になるのか「学校」になるのかということもあるが、まずは財源の問題もあるので、各府県で検討することも必要だと思うが、国全体の制度設計を見ながら検討する。


《質問》 藤井健太郎 委員
 県外に通う生徒に対しても補助している県はあると聞いている。県としての姿勢の問題。経済的理由で修学が困難となることが無いように、教育の機会均等という観点から助成する今の要件を拡充することが必要ではないか。

《答弁》 総務部長
   必要性を否定している訳ではない。あくまでも国において制度が検討されている中で、制度設計を見ながら検討するということである。


要望》 藤井健太郎 委員
 行政は「こころ」、「姿勢」が大事。3年間の事業だが、修学支援について必要な手立てをとる、県内であろうと県外であろうと支援する姿勢を示すことを要望する。

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《質問》 藤井健太郎 委員
 6月補正に続いて、9月補正は、国の経済対策が大きなウエートを占めている。財政規模が190億円のうち国庫支出金が160億円となっているが、これを確実に歳入しなければ、財源に穴が空くということにもなる。6月議会でも180億円の起債をして公共事業の予算を組んでおり、それ対する交付金が160億円程度見込まれるという説明を受けており、これも実際にはまだ歳入されていないということだが、この先行きがどうなるのかということによって、大きく地方財政のあり方が変わってくると思う。政権が変わっても、地方分権の推進という観点からも、きちんと地方に措置してもらうべき必要な財源であると考えている。
 国に対して要望していく必要があると考えているが、県として、予算の財源として国庫支出金としており、繰越明許でもほとんどが国庫支出金となっている。その財源が確保されるという確たる見通しがなければ、この予算は絵空事になる。そういう点で、財政当局の考え方と今後の対応、もしすべった場合にどうするかということも含めて考えているのか。

《答弁》 財政課長
   今回の補正予算については、委員からの指摘のとおり、国の補正予算に伴うものがほとんどである。当然、我々としては、切れ目のない経済対策ということで、今回の予算を計上しており、今回、国庫補助等で歳入することとなっているものは、きちんと措置されるものという前提に立って、予算を組んでいるところである。政権交代があり、我々も心配していたところでもあるが、先週の金曜日に初めて閣僚会議が開かれ、その後の財務大臣の会見でも、明確に地方に対する配慮をきちんとすると、議員の指摘があったように、一つは経済対策、一つは地方分権推進の観点から、地方に対する予算は基本的にはいじらない。公益法人や独立行政法人など、指摘されているところに対して、予算を厳しく見直しするということなので、我々としては、きちんと措置されるものと考えているし、当然、我々としても、国に対して、地域経済に重要なものであるということは、折に触れて訴えていきたいと考えている。


要望》 藤井健太郎 委員
 明快な答弁をしてもらった。実際に現実のものとして確保されるよう働きかけを強めていってほしいと思う。予算を審議する委員会なので、確認しておく。

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