2009年12月県議会  藤井 健太郎 一般質問
                             2009年12月11日
1.経済情勢への対応と新年度予算編成方針について
(1)年末、年度末に向けての対応
 @ 中小零細事業者への対応
 A 生活困窮者への支援
 B ハローワークのワンストップサービス
 C 総合相談活動
 D 生活福祉資金の活用

(2)新年度予算編成方針について
 @ 「希望」と「安心」とは
 A 福祉医療制度について

2.災害対策について
(1)風水害からの生活と営業の再建支援
(2)家具の転倒防止対策

3.国民健康保険の医療費一部自己負担の減免について
(1)減免についての基本的な考え方と今後の対応
(2)市町村の実施状況
(3)減免に対する国、県の財政支援

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1.経済情勢への対応と新年度予算編成方針について
(1)年末、年度末に向けての対応

《質問》 藤井健太郎 県議
 一昨年は重油・ガソリンなどの燃油高騰問題が、昨年はアメリカ発の金融危機が日本経済に打撃を与え、本県の地域経済にも深刻な影響をもたらしました。
   この間、政府は数度の経済対策を打ち出し、輸出依存の経済構造から内需主導へと舵を切り替えることをかかげましたが、内需主導型経済のけん引役ともいえる安定した雇用の確保と賃金水準の引き上げは実現できず、逆に雇用も賃金も落ち込みを続け、今年も年末を迎えることとなりました。
   本県の有効求人倍率は平成19年度の0.9倍から落ち込みを続け、今年の10月には0.53倍に。労働者の給与総額も平成17年から下がり続けている状況となっています。購買力、消費力が冷え込んでいくようでは、内需を喚起することもできず、中小事業者の売上の大幅減少へとつながってきています。
   日本経済を立て直していくためにも、くらしと雇用の立て直しが急務の政治課題と考えられますが、さしあたり、県政の場では、年末・年度末を迎えて県民生活、地域経済を下支えしていく緊急対応が求められているところです。
   知事は今議会の冒頭に、現下の経済情勢への対応として、中小企業をとりまく環境や雇用、所得環境については懸念要因が払拭しきれない状態が続いており、中小企業に対する一層の資金繰りを行っているところであり、国の動向を踏まえながら、年末・年度末に向け必要な施策を機動的に講じていくと言われていました。
   深刻化する中小事業者の経営や県民生活をどう守るのか、その基本的な考え方といくつか具体的な中身について、お尋ねします。

@ 中小零細事業者への対応
   県は緊急経済対策本部においてとりくみの強化をすすめられているところですが、中小零細事業者の資金需要や経営の維持に対して万全の対策となるようきめ細かく心してとりくんでもらいたい、と思います。
 県内ほとんどの産業で、中小零細になればなるほど売上の大幅減が見られます。保証協会の保証をうけ借り換え融資を受けたものの、売上の大幅減少で返済の目途が立たないといった事業者もあります。さらに保証協会の保証も得られないという事業者も現実にあります。取引先の倒産や発注の減などに対する資金繰りへのいっそうの支援を強めることや、年末を控えて、国の返済猶予など条件変更への金融機関の努力義務を課す金融円滑化法を、当面の危機を乗り切るためにも、生きたものとして有効活用していくことが求められています。県として保証協会や金融機関に特段の配慮を求める要請を行ったとうかがっていますが、事業者にとって万全のものとなるように一層の努力をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。


《答弁者》 知事
   議員ご指摘を待つまでもなく、多くの県民から景気が悪くてとても苦しいという声が、現にたくさん聞こえてまいります。
   また、具体的に聞いていないもっともっと多くの方々の声も聞こえるような気がいたします。
   まずはじめに、中小零細事業者への対応についてでございますが、県では、昨年末からなんですが、国の緊急保証制度を受けて県融資制度の新設、拡充を行い、昨年11月からの1年間で、中小企業者の方々に、過去最大となる1千億円を超える県融資制度のご利用をいただいております。
   また、本年10月から貸出金利をもう一段引き下げるなど、中小企業者の金利負担の軽減を図り、より一層の資金繰り支援を行っております。
   更に、12月1日に発表いたしましたが、県制度を円滑に使っていただいて、お助けできるものについてはもれなくお助けしようということで、年末対策を指令したところであります。
   その際、県庁の中にじっと待って座り込んでおるとわからないことがたくさんあると思います。
   その結果、救うことのできるはずのものも救えないようではたいへん申し訳ないというふうに思いますので、今、養成中の産業別担当者による企業訪問の強化とか、あるいは「中小企業支援施策説明会」の開催などを通じて、中小企業者に対する県支援策の周知徹底、あるいは場合によってはおすすめ、そういうことを行うとともに、11月30日に成立しました「中小企業等金融円滑化法」の趣旨も踏まえ、中小企業向け県融資制度の取扱金融機関及び県信用保証協会に対し、返済猶予等既往債務の条件変更など、より一層柔軟に対応するよう要請したところであります。
   県内中小企業者の資金繰り支援は、県経済の活力、浮揚のための重要施策であると認識しておりまして、年末対策はもとより、今般発表された国の緊急経済対策に盛り込まれた金融支援策を踏まえ、厳しい経営環境にある中小企業の皆さんを、引き続き積極的に支援してまいりたいと考えております。


A生活困窮者への支援
《質問》 藤井健太郎 県議
   長期失業者など当面の生活に困窮する人への生活支援の手立ては万全になっているのでしょうか。県民生活にも厳しいものが見られます。県民1人とて、路頭に迷わすことのないように、取り組みを強めていただきたい。どのように考えておられるのか。


《答弁者》 知事
   厳しい経済・雇用情勢の中で、年末、年度末を迎えるにあたり、生活に困窮されている方のことを大変危倶しているところでございます。県民一人ひとりが安定した生活を維持し、路頭に迷わないように、国や県の施策を総動員して、対応して参りたいと考えております。
   私としては、失業者、低所得者の困難さ、苦しさが増しているのではないかと心配しておりまして、例えばセーフティネット施策の大きな柱である生活福祉資金の貸付制度、これは前政権の時にできた制度でございますが、これの抜本的見直しがありましたので、低所得者等に対して、効果的な支援策を講じて参りたい、使って頂きたい、そんなふうに思っております。
   その他にも、既にございました様々な施策があります。就職の斡旋、生活支援の給付・貸付、生活保護などの困窮者に真摯に対応していくことが肝要でありまして、ハローワーク、市町村など関係機関との連携を一層密にして、その施策を有効に活用して参る所存であります。


Bハローワークのワンストップサービス
《質問》 藤井健太郎 県議
   仕事・住まい・生活の総合支援窓口を試験的に設置する「ワンストップサービスディ」が11月30日、17都道府県77か所のハローワークで行われました。国は一括して解決するためとして、ハローワークの職業紹介、職業訓練に加え、公営住宅への入居、納税や生活保護、社会福祉協議会の生活資金、保健所による心のケア、弁護士の法律相談など、関係機関が1か所に集まり実施したもので、和歌山ではとりくまれませんでした。和歌山労働局でも実施について検討されていたようですが、県としてこの取り組みについて、どう対応してきたのか。また、今後、どうしていくのか


《答弁者》 福祉保健部長
   年末、年度末を迎え、職業紹介、生活支援等の相談窓口を設けるワンストップ・サービス・デイの実施につきましては、国の要請の下、去る11月30日に17都道府県、215市町村の参加により試行されたところです。その結果を踏まえ、現在、国におきましては、年内に実施地域を拡大しての開催を目指すこととしております。
   県といたしましても、今後、和歌山労働局、和歌山市、県社会福祉協議会等の関係機関と連携し、年内開催に向け取り組んで参ります。


C総合相談活動
《質問》 藤井健太郎 県議
   県は、緊急経済対策として、また、日常的には県民相談の窓口を開いていますが、年末・年度末に向けて生活に困窮する人の総合的な相談にのれるように、関係部局・国や市町村などの関係機関との連携もとりながら、相談者の立場にたった相談活動を強めてもらいたいと思います。相談者が気軽に尋ねることができて、解決に向けての道筋への展望をもてるような、県に相談にきてよかったと思ってもらえるような相談活動を期待したい。と思うがいかがでしょうか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   昨年12月の「緊急経済対策本部」の立ち上げと同時に、資金繰りや生活困窮、失業などお困りの方々の相談に応じる場として、本庁と各振興局ごとの「総合相談窓口」及び相談内容別の「個別相談窓口」を設置してございます。
   開設以来、中小企業者や県民の皆様方から700件を超える相談に対応してございます。
   しかしながら、本県経済は依然として厳しい状況にあることから、今月1日、年末対策として、産業別担当者による企業訪問の強化や支援施策説明会の開催などを通じ、中小企業者に対する県の支援策の周知を図るとともに、29日及び30日に「年末相談窓口」を開設することなどを発表し、その取組を強化したところでございます。
   商工団体や金融機関などにおきましても、年末に向け、相談窓口が開設されているところでございまして、これらの関係機関とも連携しながら、総合的な相談体制をつくり、中小企業者や県民の皆様がこの苦況を乗り切れるようにきめ細かく対応してまいりたいと考えてございます。


D生活福祉資金の活用
《質問》 藤井健太郎 県議
 国、県の資金を原資として、収入が少なく必要な資金が他から受けることが困難な世帯に資金融資をする社会福祉協議会の生活福祉資金制度があります。
 失業者に月20万円以内で資金融資する離職者支援資金、一時的に生活の維持が困難となった人につなぎ資金として5万円以内を融資する緊急小口資金などの制度はあったものの、利用者がほとんどないという状態が続いていました。
   今年10月から生活福祉資金の貸し付け内容が4種類に整理統合され、資金の必要性に応じて融資限度額を増やし比較的弾力的な運用が可能となりました。また、貸付利率も3%から1.5%への引き下げや緊急小口資金は枠が10万円に拡大し、保証人を必要としないなどの条件緩和も行われました。借りたものは返さなくてはなりませんが、以前の制度に比べるとはるかに、利用しやすくなりました。
   今日までの利用状況はどのようになっているのか。有効活用が望まれるところですが、どう活用していくのか。制度の周知はもちろん、審査期間の短縮など、すぐ用立てることのできるようにとりくんでもらいたい。どのようにとりくんでいくのか。


《答弁者》 福祉保健部長
   生活福祉資金貸付制度の見直しにつきましては、本年10月1日より、「借りやすく、貸しやすい」という制度に改め、失業者等の生活再建に必要な費用等を貸し付ける「総合支援資金」の創設をはじめ、連帯保証人要件の緩和、貸付利率の引き下げ、更には償還期間の延長などを行ったところでございます。
   この制度の見直しによりまして、11月末現在の貸付件数が25件、貸付金額が1,845万円となっておりまして、従来に比べまして大幅に増加してございます。
   今後、この資金の貸付が必要と判断された場合には速やかに実行できるよう、実施主体である県社会福祉協議会を指導して参りたいと考えてございます。



(2)新年度予算編成方針について
@「希望」と「安心」とは
《質問》 藤井健太郎 県議
   知事は新年度の予算編成方針について、県民に「希望」と「安心」をもたらす取り組みを重点にすすめる、といわれています。

   たいへんタイムリーなテーマであり、ぜひとも、その実現を望むものであります。
   一般質問初日の答弁で、知事は、元気なわかやまを創造するのに、今、何が必要か、それは少しずつでも和歌山がよくなるという希望をもってもらうこと、そして、いろんな不安があると元気も出なくなる、元気な和歌山にしていくために、今「希望」と「安心」が求められている、というような答弁をされていたように思います。
   知事の基本的な理念について、私なりにもう少しお尋ねしておきたい、と思います。
   そもそも地方自治体が行う行政は住民のくらしの擁護、福祉の増進であり、そのために日常生活の安全・安心を確保することは、最大の責務でもあります。
   この実現は、住民が地方行政に期待をよせ、信頼できる自治体にしていくためにも欠かせない課題でもあります。
   したがって、「希望」と「安心」は決して一過性のスローガンではなく、自治体行政の根幹となるものであり、かたときも忘れることなく、常に目指していくべきテーマであると考えます。
   知事の言う県民生活における「希望」と「安心」とは、どのような内容、どのような状態が実現できることをさして言っておられるのか。
   新年度だけの重点テーマに終わらせてはならないとものと考えますが、どの程度までの成果を考えて政策の組み立てを考えているのか。お尋ねしておきたいと思います。
   今日、生活の貧困、格差の拡大がすすむなかで、生きていくのが精一杯という状況におかれている県民の方が多くなってきていることに心を痛めます。
   私のところへ生活相談に来られた方で、大学を卒業して、就職したもののうまくいかず、職を幾度となく変え、家庭もいきづまって崩壊し、現在、一人身で、古新聞・雑誌などの古紙回収をしている40才代の男性の方がいました。回収車のレンタルが1日500円、ガソリンなど消耗品は自分持ちとなっていて、新聞紙の引き取り価格がキロ6円、雑誌が4円、今、暫定価格として新聞紙は7円でひきとってもらえるということですが、一日回っても3000円から4000円ぐらいにしかならず、生活が成り立たないということです。そこで、生活保護の申請をして、現在は、保護をうけながら、古紙回収の仕事を続け、もっと収入のある他の仕事を探す日々を送っています。しかし、職を変えつづけてきた本人ができるような仕事はアルバイトぐらいしかなく、それでは現在の収入とあまり変わらず、先の展望が見えないと、言われています。ワーキングプアから抜け出せない現実がここにはあります。
   また、夫からの暴力に耐えかね、5才の子供をつれて家をとびだしたものの行く先もなく、途方にくれて相談にみえられた人ですが、子供は児童相談所を通じて里親にお願いして、本人の住む住宅を確保して、そこから生活保護の申請を行い、保護を受けながら、できる仕事を探しました。ようやく介護事業所での仕事が見つかり、現在は、保護の廃止を申し出て、働きながらヘルパーの資格取得を目指しています。生活の自立と再建への展望が開け、その結果、来年、春には子供を引き取れる話へとすすみ、今は希望が見えてきたと喜ばれています。
   しかし、現在の生活保護より少し上回るだけのホームヘルパーの収入だけでは、この先、厳しいものがあります。
   以上はほんの一例ですが、このような経験を通じて、思うことは、希望と安心を実現するためにも、努力すれば報われる社会、何度でも立ち上がることのできる社会であること、病気、失業、不慮の事故、災害などから県民生活を守るとともに、生活の再建をすすめることができること。そのための支援のしくみが県行政としても整備されていることが大事ではないかと思います。
   どこまで到達したのかをたえず検証をして、施策の整備と拡充をめざしていってもらいたいと思います。


《答弁者》 知事
   予算編成方針の基本理念として発表された「希望」と「安心」という事でございますが、まず、「希望」につきましては、政策が一つずつ効果を持って、県民が「明日は今日よりいいかもしれない」という風に考え、それを信じてがんばろうと考えるような、そういう政策をしようという風に考えている訳です。
   それから、将来及び現在に不安があるため人々の元気が出てきにくくならないように、肝心な所は不安を払拭できるような、そういう政策をしようという事でございます。それが長期総合計画で将来像として私どもが描きました「元気な和歌山」を実現していくことになるんだ、そういう事を考えております。言わば、長期総合計画実現のために22年度政策を考えていく時の、現下の状況を踏まえた設計思想というべきものだと考えております。いろいろな制約があります。財政等々ありますが、この考え方に沿ってこれから予算編成に努めて参りたいと考えております。
   また、議員のご質問にありました「新年度だけの重点テーマに終わらせてはならない」とのご意見につきましては、私も同感であります。そのような考えから、長期総合計画で描いた将来像の実現に向け、「元気な和歌山」を創造していくために、全庁で、今、何をなすべきかを考え、毎年度「新政策プロセス」を通じた検討を行っているところでございまして、今年の設計思想として「希望」と「安心」という事に焦点を当てていこうというのもこのプロセスの中で出てきた話でございます。この二つの設計思想は、当然、大変大事な話だと思いますので、こういう考え方をずっと持ち続けながら、頑張っていかなければならないという風に考えております。


A福祉医療制度について
《質問》 藤井健太郎 県議
 県の単独医療費助成制度として、重度の心身障害児者、乳幼児、一人親、67才から69才までの高齢者を対象に医療費の窓口での一部自己負担金を所得制限の範囲内で助成をおこない、県民福祉の増進に貢献をしています。

   県が昨年3月に策定した新行財政改革推進プランの中で、歳出削減をはかる事務事業の見直しの中に、この福祉医療制度への補助対象として訪問看護療養費と精神障害者を加えることと合わせて、新たに一定額の自己負担金を徴収することが検討課題とされ、議論が続けられて、現在は、現行の制度での運用がされております。
   今年の2月議会で、福祉医療制度に新たに自己負担を導入するとした行革方針の凍結もしくは撤回を求める私の質問に対して、知事は、景気が悪くなっていくと、県財政は苦しくなっていくが、助成の対象になっている人に負担を課すのも苦しくなってくる、その苦しさを理解する県政でありたい、と答えられました。
   知事は新年度の予算編成方針の中で、行財政改革を着実にすすめるともいわれていますが、県民の所得が減少していくもとで、医療、福祉に対する負担が増大するようでは県民の生活の安心は確保できません。財政状況に余裕があるとは決して思いませんが、福祉医療制度の拡充の方向こそが求められています。
   そこで、新年度、福祉医療制度についてどのように考えているのか、現在の制度内容で継続していく考えなのか。
   福祉医療制度の重度心身医療の助成対象に自立支援医療として一元化された精神疾患を加えることを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。


《答弁者》 知事
   重度心身障害児者やひとり親家庭等を対象といたします県単独医療費助成制度につきましては、県議会をはじめ市町村長及び関係団体の皆様からのご意見を十分踏まえまして、本制度を見直しすることなく、今年度においても継続することといたしました。
   ちょうど今、中央政府で仕分けなどがありますが、いわば仕分けというのを別の形で行って、皆さんから大変きつい意見も頂いて、それで最終的に判断をして、存続ということにしたわけであります。
   新行財政改革推進プランにおいては、財政状況を考慮しつつ、引き続き見直しを検討していくこととしておりますが、見直しというのは、推進プランをやめるという意味ではなくて、その中身をいつも考えながら、実行のための政策を見直していかなければいけないということでありますが、県単独医療費助成制度の必要性は認識しておりまして、一度大議論した後でございますから、また、現下の厳しい財政状況下ではあるものの、一方、現下の厳しい経済情勢でありますから、新年度においても現行制度を維持してまいりたいと私は考えております。
   また、精神障害のある方々を助成対象に加えることにつきましては、県単独医療費助成制度を持続可能なものにしなければいけませんので、その関係から現行の対象者を含めた制度全体の中で、総合的に検討してまいりたいと考えております。


《要望》 藤井健太郎 県議
 知事のほうから、年末・年度末に向けて大変な苦況に立ち入っている中小零細事業のみなんさんを、もれなくお助けするというお話があったり、生活に困窮する県民のみなさんを路頭に迷わせないといった意気込みはよしとしておきたいと思います。しかし実際に、保証協会の保証もとれず、お金を借りたくても借りる体力がない、後はもう廃業しかないのではというようなドン底のところまで陥っている事業者の方は実にたくさんいらっしゃいまして、私も大変苦労していることが多いわけです。もれなくお助けするという心意気を現実のものとして、年末・年度末に安心をして年越しができる状況に、ぜひしていただきたい。新年度は希望が持てるようにお願いしたいと思います。
   金融円滑化法なども金融機関の努力義務ということになっています。実際、私は金融機関に足を運び何度か話をして返済を猶予してもらったことがありますが、しかし、その次はもう借りられないということになってくるわけです。
   そういうことも含めて、当面この時期を何とか乗り切り、新年度には新たな展望が開けるよう、これは県だけでするのは大変難しいことではあろうかと思いますが、国・市町村と連携をとりながらそこの目と構えは忘れずにぜひやっていただきたいと思います。


2.災害対策について
(1)風水害からの生活と営業の再建支援
《質問》 藤井健太郎 県議
 11月11日未明、和歌山市を中心に紀北地域への集中豪雨は記録的な雨量となりました。和歌山市では、1時間に120ミリ、3時間雨量が221ミリといずれも観測史上最高の雨量を記録し、尊い命を亡くされた方をはじめ、多くの世帯が床上、床下浸水の被害を受け、生活と営業の再建に多大の苦労がありました。とりわけ高齢化がすすむなかで、年金に頼る一人ぐらしの高齢者で被災された方の心労は、いかほどであったでしょうか。
   あってほしくはないことですが、広域で大規模な災害ならば、国の災害救助法や被災者生活再建支援法の適用ともなりますが、今回の場合は、その適用とはなりません。近年、集中豪雨による局地的な災害が頻発する傾向にありますが、法の適用とはならない災害に対する県民の生活と営業の再建を支援する手立ての整備が求められているのではないかと思います。とりわけ低所得の高齢者、障害をもつ人など災害時援護を要する被災者への手立てについて、支援策を確立しておくことが求められているのではないでしょうか。
 
知事は「台風18号被害、11月11日の集中豪雨などの風水害に対して、県としても一日も早い復旧に向け取り組んでいく」といわれていますが、これは土木事業を中心とした災害復旧事業、ハード面での事業を主に指していると思われます。県民生活や営業の再建支援というソフト面での支援も同時に必要なのではないでしょうか。
   そこで、担当部長にお尋ねします。

@生活と営業を再建する支援策として、どういう施策が準備されているのか。
A県独自の施策としてはどのようなものがあるのか。
B県に「和歌山県災害見舞金支給にかかる内規」があると聞いております。自然災害により家屋が全壊したときは1万円、半壊したときは5000円、住宅が床上浸水したとき5000円、死亡者が生じたとき5万円、負傷者が生じたとき5000円と支給基準と金額を定めています。今回、多くの被災者を出した床上浸水の場合では5000円と畳1枚分にもならない金額です。この20年間金額は変わっていないということです。拡充が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
C国の法律の適用にならない被災者に対して、生活を再建していくための支援策といえるにふさわしいものとしていくために、たとえば被災者生活再建支援基金なるものを造成して、被災者救援の準備をすすめていくことも一つの方策だと思いますが、いかがでしょうか。


《答弁者》 商工観光労働部長
   先日の和歌山市を中心とした記録的な集中豪雨により、工場、事業所が床上、床下浸水の被害を受け、経済環境の厳しい折、更に深刻な状況になったのではないかと危惧してございます。
   県といたしましては、中小零細事業者の皆様がご利用しやすい、長期・低利な設備資金、運転資金として、「振興対策資金」あるいは「小企業応援資金」などの融資制度がございまして、金融機関等とともに、その利用拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
   そのほか、今回の被害などにより売上減少した中小企業の皆様方には、緊急保証関連融資制度といった、今時の不況対策資金もございますので、金融機関等と連携しながら、きめ細かな対応を行ってまいりたいと考えております。


《答弁者》 福祉保健部長
   台風18号におきましては床上浸水等の被害はなかったものの、11月11日の豪雨による災害では、和歌山市、海南市、紀の川市及び岩出市の複数自治体にわたり、600戸を超える床上浸水被害が生じたところです。
   今回の災害により、国の「災害弔慰金制度」が適用される見込みとなっており、県の「災害見舞金制度」も、少額ではございますが、活用する予定でございます。「災害見舞金制度」の見直し及び基金創設につきましては、今後検討して参りたいと考えております。
   県といたしましては、生活福祉資金貸付制度等の利用により、一日も早く安心できる生活を取り戻して頂きたいと存じます。


《要望》 藤井健太郎 県議
 営業再建では融資しかないというお話です。被災を受け、今ただでさえ売り上げが減っているところに、ボイラーや機械が浸かってしまって使えなくなり、それを借りかえないと商売ができないという方もたくさんいらっしゃいます。
   今回、生活再建支援のための見舞金であるとか支援制度を独自につくってほしいという質問をしました。拡充に向けてとか、基金の設置については検討していきたいといったご答弁でありましたけれども、そういう今の状況の中で、せめて被災した時は心配することがないという県の姿勢もぜひ新年度に向けて示していっていただきたい。このことを強く要望します。


(2)家具の転倒防止対策
《質問》 藤井健太郎 県議
   風水害対策とともに地震対策も着実にすすめていかねばならない差し迫った課題となっています。県では地震防災対策アクションプログラムを策定し、短期、中期、長期に整備する課題がまとめられ、必要に応じて見直しがされ、進捗状況について進行管理がされています。
   大規模地震への備えとして、また、県民の命を守るとりくみとして、建物の耐震化、津波対策など様々な課題がある中で、以前にもとりあげさせていただきましたが、家具の転倒防止対策の普及の緊急性について、お尋ねしたいと思います。
 三重、和歌山、徳島、高知の4県共同で地震・津波県民意識調査が3年ごとに行われており、第2回目の調査報告が昨年3月に行われています。来年、第3回目の調査を行うこととされているようです。
 
その中で、家具類の固定についての調査も行われており、全部または大部分固定している人は4県平均で5.5%、一部のみ固定している人は29.8%という結果が報告されています。本県でみると全部または大部分固定している人は6%、一部のみ固定している人は30%となっており、ほぼ4県平均なみとなっています。ちなみに、防災先進県といわれる静岡県は、全部または大部分固定している人は10%、一部固定している人は52.7%と60%をこす人が家具の固定対策を始めているということです。
 本県では、その半分ほどの到達ですが、前回調査時から比べると家具の固定対策を始めたひとは10%も伸びており、急速に普及しつつあることがうかがえます。家具の固定に多少の手間はかかりますが、費用的にはわずかの金額ですみ、地震の際の脱出を容易にすることや負傷を軽微なものとすることの効果は絶大で、極めて有効な地震災害対策であるといえます。また、家具の固定がどれだけおこなわれているかは、地震対策に対する真剣さをおしはかる重要な指標ともなります。活動期にはいったといわれる大規模地震への備えは急務の課題であり、さしたる費用も時間もかからずに手身近にできる対策として、家具の固定を一気に普及するための対策の強化を求めたいと思います。
   そこで、危機管理監にお尋ねします。

@家具の転倒防止対策をどのように位置づけているか。
A保育所、幼稚園、学校などの公共施設での転倒防止対策は万全か。
B個人住宅への転倒防止対策をどうすすめていくか。
   とりわけ高齢者、障害者など要援護者宅への対策をどうすすめるのか。県補助制度の拡充と防止対策の普及に向けてのいっそうの努力を求めたい、と思います。


《答弁者》 危機管理監
   震災対策について、被害を軽減するためには、議員ご指摘のとおり家具などの転倒防止対策が大変重要であると認識してございます。
   保育所、幼稚園、学校等における転倒防止対策の状況は、一部固定も含めますと、固定実施施設数は約6割となっております。また、県庁舎の転倒防止対策につきましては、平成20年度から庁舎の耐震化に併せて計画的に実施しているところでございます。
   個人住宅対策につきましては、「県民の友」やパンフレット等で啓発してまいりましたが、固定方法がわからないとか、どこで相談すればいいのかなどの声も依然として多くあり、そのため、本年11月からふるさと雇用再生事業を活用して、専門業者による家具転倒防止講習会を実施しております。さらに、来年1月から高齢者世帯等の固定作業を実施できる人材育成のための技術講習会も開催する予定です。今後とも家具固定率を引き上げるための対策に取り組んでまいります。
   また、要援護者への対策でございますが、県では一部の市町に対し、補助金や緊急雇用創出事業臨時特例基金で支援しておりますが、今後さらに多くの市町村でも実施するよう積極的に働きかけてまいります。


3.国民健康保険の医療費一部自己負担の減免について
《質問》 藤井健太郎 県議
 平成18年の2月議会で、県民の医療保障の充実を求める観点から、国民健康保険の保険料滞納世帯への対応として、通常の被保険者証にかわって資格証明書や短期の被保険者証の発行がふえていることや地方税回収機構に保険料の滞納処分を移管する問題点とあわせて、国民健康保険法に規定する医療費の一部自己負担金、現在、就学前までは、かかった医療費の2割、69才までは3割、74才までは1割となっている一部自己負担の減額について、県内での適用をすすめていくべきではないかという趣旨の質問をいたしました。
 
当時の福祉保健部長からは、県として医療費の自己負担の軽減が、適切におこなわれていくよう助言をしていくという答弁があり、市町村にその旨が通知をされました。
 
今日の経済情勢のもとで、保険料と医療費の自己負担金の支払いが困難となる家庭の増加が懸念されます。資格証明書や短期被保険者証の発行がさらにすすみ、県民が医療を受ける機会を失することにつながらないか、そのことが県民の健康破壊や重症化を招き、医療費のさらなる高騰と社会全体としての活力が失われることとならないか、危惧するところであります。資格証明書世帯にあって、中学生までには短期被保険者証の発行がされるようになりましたが、高すぎる保険料の引き下げ、無保険問題、一部負担金の軽減が依然として課題となっています。
   一部負担金でいうと、国民健康保険法44条の一部負担金減免制度の活用が求められます。自己負担金の支払いの困難さは医療機関窓口での未収金となって表れてきます。県立医大附属病院に未収金の状況を聞きますと、今年の11月末現在で、21年度に発生している未収金は入院・外来合わせて1504件、3017万円あり、この10年間の累計では約5000件、1億8千万円になっていて、督促をすすめているということです。
 今年の7月1日付けで「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」という通知が厚生労働省からだされました。その内容は、増大する医療機関の未収金問題の解決、未然防止を前提として、一部負担金減免等の適切な運用、生活保護等の相談、無料低額診療事業の情報提供など具体的な推進を都道府県及び政令指定都市に指示し、各都道府県において、モデル事業を今年の9月から来年の3月までの半年間に実施するとなっています。
   県には、社会保障としての国民健康保険が、県民に必要とする医療を保障していく、それを推進するという立場からの努力がいっそう求められています。
   そこで、福祉保健部長にお尋ねします。

(1)減免についての基本的な考え方と今後の対応
   県の一部負担金の減免についての基本的な考え方と今後のとりくみはどうか。


《答弁者》 福祉保健部長
   国民健康保険法第44条により、保険者は、特別の理由があり一部負担金を支払うことが困難であると認められる被保険者につきましては、一部負担金の減免措置を採ることができると規定されており、適切に運用されることが重要と考えております。
   本県では、有田市が本年9月より「国民健康保険における一部負担金の適切な運用に係るモデル事業」に取り組んでおり、平成22年度中には、当該モデル事業の全国的な結果を踏まえ、一部負担金減免に係る運用基準が、国から示される予定となっております。
   県といたしましては、この運用基準に基づき、市町村において一部負担金減免制度が適切に運用されるよう指導して参りたいと考えております。


(2)市町村の実施状況
《質問》 藤井健太郎 県議
   県は一部自己負担金の適切な実施についての通知を市町村に出しましたが、現在、減免の規定を設けている市町村と申請受付数、減免の実施状況は、どのようになっているのでしょうか。


《答弁者》 福祉保健部長
   現行の一部負担金の減免措置につきましては、減免に必要な国による財政支援制度がなく、また、一部負担金を支払うことが困難であると判断するための運用基準も国から示されていないため、県内では独自の規定を設けているのは2市1町の保険者であり、平成20年度の減免実績は、1町で免除1件となっております。


(3)減免に対する国、県の財政支援
《質問》 藤井健太郎 県議
   国、県の市町村国保への一部負担金減免に対する財政支援をどうしていくのか。
 現行で実施するとなれば、市町村は国民健康保険の特別会計の中からの財源捻出を余儀なくされ、国保の運営をいっそう厳しいものとしていくことになります。国民健康保険の安定した運営のための財政支援の責任は第一義的には国にあります。県には市町村への適切な助言と援助が求められているところです。
   国に対して、しっかりと働きかけてもらいたいと思います。


《答弁者》 福祉保健部長
   市町村国民健康保険の一部負担金の減免につきましては、市町村保険者が財政負担を行っております。
   県といたしましては、平成22年度中に、国から全国統一的な運用基準が示される予定となっていることから、一部負担金の減免実施に必要な財政支援を、他府県とも連携しながら国に要望して参りたいと考えております。

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09年12月議会


藤井健太郎プロフィール、質問一覧




09年12月県議会、藤井健太郎 一般質問=12月11日
09年12月県議会、藤井健太郎 一般質問=12月11日