2010年2月県議会 建設委員会 松坂英樹委員の質問概要記録
○ 2月25日 補正予算等議案審査
○ 3月15日 付託議案審査

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2月25日 補正予算等議案審査

《質問》 松坂英樹 委員
 建築指導費の、木造住宅耐震化促進の減額補正について聞きたい。木造住宅の耐震化は県としても非常に力を入れているけれども、診断は進むがなかなか改修には至らないというところで苦労しているんだと思う。1億400万円弱の当初予算であったが、今回、残念ながら約2,600万円の減額が提案されている。昨年の決算委員会でもこの間題に関する資料をもらった。昨年20年度も、約1億1,000万円の当初予算を計上して、今年と同じように約2,600万円の減額補正をせざるを得ないということで、20年度決算としては3,800万円しか執行できなかった。非常に苦労しているのはわかるが、来年度も引き続き頑張ろうという予算を計上している中で、今年度の減額補正に至った状況や問題意識、方向等を答弁されたい。

《答弁》 建築住宅課長
   従来、耐震診断、それから設計して改修に至るまで、いろんな助成を県下市町村の協力をいただいてやってきた。当初の改修していこうという意識の高まりから、若干そのあたりが下がってきている状況にあると思っている。ただ、診断については、ご存じのように7,000戸あまりの診断をこれまでに実施している。ご指摘いただいたように、改修の部分が若干ついてきておらない状況にある。それらに対して、改修した方々の意見等をお伺いすると、価格的な問題とか、それから高齢者の方々の改修する意欲が、若い方々より若干弱いところがあるという問題意識を持っている。それに対する直接的な取り組みとして、高齢者の方々に対して、制度内容の周知であるとか、補助を使っていただくための申請をサポートする事業などを今年度から新たに実施している。
   また、耐震設計は結構費用も掛かるので、設計に対する補助も加えて実施している。今後もこういった総合的な取り組みを、関係各位のご協力を得て実施し、できるだけ改修促進を図っていきたいと考えている。

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◇ 議案に対する採決
議案第60号 平成21年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
は、賛成多数で原案可決(共産党は反対)
議案第17号 平成21年度和歌山県一般会計補正予算
議案第23号 平成21年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
議案第24号 平成21年度和歌山県流域下水道事業特別会計補正予算
議案第27号 平成21年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
は全会一致で原案可決

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3月15日 付託議案審査等


《質問》 松坂英樹 委員
 部長などから一般会計と特別会計の総額は前年度比91.4%という説明があった。道路局合計で466億円ということだが、道路予算について資料を作成した。400億円程の道路関係の予算がどう推移して来年どうなるのかについて提供された資料をグラフにしたものである。
 昨年の予算案の時には、直轄負担金が大きくなって、県財政に占める県民負担は重たいので減らしていけとの意見をしたところである。2010年の来年度予算を見ると、直轄予算はずいぶん減っているのだが、全体としては右肩下がり、国全体も公共事業を抑えているし県全体も当初予算ベースで見れば昨年よりもマイナスとなっている。これにプラスして、景気対策の年度末補正があるので、県全体としても、道路予算としても、前年度対比プラスになるという説明があったと思う。
 中身を見てみると、国の補助事業や県単独事業から交付金事業へシフトが進んでいる。また、心配していた維持管理事業については横ばいを保っているのが分かる。
 こういう全体として、当初ベースではマイナスで推移している国・県の道路予算の推移について、どういうふうにみているのか。

《答弁》 道路政策課長
   平成21年度の国の道路関係予算は国費で約2兆7,000億円となっており、21年度までは骨太の方針に基づく公共事業の削減に伴い、毎年3〜4%削減されて推移している。
   また、県の直轄事業を除く道路関係予算の傾向についても、同様に厳しい県財政の状況を踏まえ、毎年数パーセントの減額が続いている。
   一方、平成22年度については、現在国会審議中の国予算は、道路部分としてはまだはっきりしていないが、公共事業全体でマイナス15%と大幅に減額されており、大変厳しい状況である。
   平成22年度の県予算においては、このような厳しい状況に鑑み、補助率の高い交付金制度をできるだけ活用し、一部予算を2月補正に前倒しすることにより、具体的には地域活力基盤創造交付金の第3回配分等で、22年度の実質的な事業費の必要額を確保し、また、国2次補正(きめ細かな臨時交付金)による事業の追加を併せて行い、その結果、前倒しを含んだ平成22年度予算額は、21年度と比べ約20%の伸びとなっている。

《質問》 松坂英樹 委員
 補助事業から交付金事業への移行が和歌山にとってプラスかマイナスか、それをどう活かそうとしているのか、県としての考えを聞きたい。

《答弁》 道路政策課長
   道路特定財源の一般財源化にともない、平政21年度から地域活力基盤創造交付金が創設され、国の補助事業予算が減額される一方で交付金へシフトされた。主に補助国道事業が交付金事業へ移行した形になっている。
   補助事業から交付金事業への移行については、国費割合が補助事業の場合は1/2に対して交付金事業は6.5/10となることより、県負担額が軽減する。また、事業実施に当たっても箇所付けなど地方の自由度が高まることも、メリットである。
   県としては、道路整備が遅れている現状に鑑み、今後も補助事業と交付金事業を合わせて必要な事業費の確保をすることが重要であると考えている。

《質問》 松坂英樹 委員
 県として、高速道路ネットワーク事業や府県間道路、内陸部骨格道路に柱建てをし、事業の集中や効果を発揮するところに力を入れるというのは理解するが、そのために、生活道路の予算や維持管理の予算を減らしたりすることは駄目ではないかと今までも指摘している。来年度の高速・骨格道路などの大きな予算、生活道路予算、維持管理予算に分けてみるとそれぞれどうなるか。

《答弁》 道路政策課長
   高速道路などの直轄事業については、直轄事業に係る国の予算が対前年比0.84と大変厳しい状況である。予算額については、「平成22年度の実施を見込んでいる直轄事業」として先日示された額を踏まえ、また、業務取扱費や維持管理費にかかる地方負担金が廃止されたこととあわせて、対前年比0.73と大幅な減額となっている。
   直轄負担金を除く県の道路事業全体としては、対前年度比0.98で約2%減となっているが、平成22年度予算の前倒しとして地域活力基盤創造交付金ときめ細かな臨時交付金を含めると、約22%増となっている。
   内訳としては、府県間道路や]軸ネットワークなどの内陸部骨格道路については、地域活力基盤創造交付金の第3回配分も活用しながら目標年次での整備を目指し重点配分を行い、整備が進んだ結果の必要額として約15%増となっている。
   生活道路についても、生活圏30分圏域の拡大に資する箇所などを重点に整備を進めており、きめ細かな臨時交付金も活用しながら、約23%増となっている。
   その他維持管理、交通安全等については、橋梁の長寿命化や緊急輸送道路の橋梁耐震化対策などを重点に両交付金を活用して、約27%増となっている。

《要望》 松坂英樹 委員
 前倒し分を含めると生活道路も前年度と比べ、プラス30億円となっており、景気対策としても暮らしの問題としても評価できると思うが、当初比較をすると7億円ぐらいマイナスとなっているので、次の年の予算を心配するわけではないが、その次の年の予算の蓋を開けたら大変だということにならないように十分留意しながら、全体を見て予算執行するよう要望しておく。

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《質問》 松坂英樹 委員
 県事業の発注と職員体制について伺いたい。本会議でも景気対策としての県予算の組み方が、県民の暮らしや県内業者の方の仕事にうまく活きるようにという議論がされた。これだけ前倒し予算、繰越予算があり、これに加えて、通常の繰越予算もある。平成22年度予算というのは、随分と事業量としては大きい。それだけに、できるだけ事業を県内業者が取れるような細かい発注をしたり、事業が効率的に発注できるような職員体制をとらないといけないと考える。昨年も景気対策などで仕事が増えて大変だったと思うがどうか。

《答弁》 技術調査課長
   本会議での藤井議員の質問に対する答弁のとおり、公共事業の発注に当たっては、基本的にきめ細やかな発注を考えており、可能な限り分離分割発注することを原則として、県内事業者へ発注することとしている。
   予算の推移については、平成22年度についても、繰越予算も含めて多額の予算がある。その中で、いろんな面で懸念されることがあるが、公共事業の執行に当たっては、用地費からはじまり、工事、施工という形で、一体的な執行を考えている。各発注機関において、業務の効率化を図り、円滑な事業執行に努めていきたい。

《要望》 松坂英樹 委員
 補正予算をたくさんとっても、その分の人件費は振り替えをして、なかなか人員は増えない。当初予算を組む時も、人的配置は当初予算ベースで組む。当初枠は減ってきているが、仕事は増えてきている。職員体制をきっちり整えないと、3つに分けるところを2つに分けてしようかとか、1つで発注しようかということになる。また、入札や低入札調査など大変だと思う。そのあたりについて、よく配慮をしながら事業執行して欲しい。

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《質問》 松坂英樹 委員
 直轄事業負担金に関する国の見直しの動向や新年度予算への影響、また、直轄負担金が減った分の予算はどこに使われたのか答弁願いたい。

《答弁》 県土整備総務課長
   まず、平成21年度の見直しについては、業務取扱費の中から、これまで問題となっていた退職手当、営繕宿舎費が除外された。また、按分方法についても変更があり、平成21年度で当初より約2億6,000万円が減額となっている。
   次に、平成22年度の見直しについては、2点あり、まず1点は業務取扱費が全て廃止になるということ。もう1点は維持管理費についても見直しが行われることとなっている。今国会で維持管理費も全て廃止するという法案が出されているところだが、平成22年度についてはその内の一部を残して維持管理費が無くなり、平成23年度については全ての負担が無くなるということになっている。
   平成25年度までには直轄負担金制度の廃止に向けての検討が進められる。
   平成22年度予算への影響については、今回の見直しにより業務取扱費の部分で約10億円、維持管理費の部分で約8億円、合計で約18億円の減少額を見込んでいる。
   減少した部分がどの様に使われたのかということに関しては、直轄事業負担金は通常の建設事業等に充てる予算とは違い、必要額を要求して予算化される事業であり、減少した部分の予算の使い方は県全体の予算編成の中で検討されることである。

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《質問》 松坂英樹委員
 県の急傾斜事業で受益者負担金を求める法的根拠は何か。

《答弁》 砂防課長
   根拠法令は地方財政法である。地方財政法第27条第1項には「都道府県は、市町村に対し、建設事業に要する経費の一部を負担させることができる」と規定されている。

《質問》 松坂英樹 委員
 国の急傾斜事業には、受益者負担金は義務づけられているのか。

《答弁》 砂防課長
   国庫補助事業については、急傾斜地法第23条第1項に「県営工事に要する費用の一部を負担させることができる」と規定されており、受益者負担金について義務づけはしていない。

《質問》 松坂英樹 委員
 今後、負担金を無くしたとしても、法的な問題はないということか。

《答弁》 砂防課長
   地方財政法、急傾斜地法のいずれも負担金については、「負担させることができる」との規定であるため、負担金を無くすことについて法的な問題は無い。
   しかしながら、他の事業と比べて、受益者が限定的であることから、受益者負担金は継続したい。

《要望》 松坂英樹 委員
 今後も急傾斜事業に関する市町村負担金について、一層の軽減を要望したい。

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《質問》 松坂英樹 委員
 津波警報による水門の閉鎖・作動状況について、有田の湯浅広湾の水門で今回の警報発令において、想定通り問題なく閉まったかどうか報告願いたい。

《答弁》 港湾整備課長
   2月27日のチリ地震により発生した津波の対応についてであるが、県では、28日9時33分の気象庁の津波警報の発表を受けて、同9時49分に県管理の水門等の閉鎖を指示した。
   有田管内の港湾、漁港及び河川にある水門や陸閘(りっこう)合計58基については、県職員、町職員及び地元消防団等の協力により、同午後1時には、閉鎖を完了することができた。
   なお、閉鎖指示から閉鎖完了までに約3時間も要したのは、津波警報発表時刻から第1波到達予測時刻まで約5時間もあり、余裕をもって閉鎖することが可能であったためだと思われる。
   また、自動化、遠隔操作化を整備した水門の作動状況については、自動化の湯浅(弁天堀)水門では、津波警報を受信し、通常約40分かかるところ、約15分の緊急降下で閉鎖した。
   また、遠隔操作化された広川町の水門等は、今回津波到達までに時間の余裕があったため、十分に周辺の安全を確認しながら、通常の約40分で降下させた。

《質問》 松坂英樹 委員
 湯浅広港の津波対策の防波堤は、今回の津波に対してどんな効果があったのか。

《答弁》 港湾整備課長
   今回の津波の第1波においては、気象庁の観測所では御坊・和歌山でそれぞれ20cmを観測した。
   また、湯浅広港にある県の観測所で、10cmを観測した。
   このことより、津波防波堤の効果が確認できると言えるかもしれないが、今回の津波は、海面変動が数十cm程度と非常に小さかったため、この変動量では津波防波堤の効果を直ちに検証できるものではなかった。

《要望》 松坂英樹 委員
 この防波堤は非常に効果があるが、その効果は限定的で、昭和南海地震でも−50cm、東海・東南海・南海地震の3連発でも−50cm〜−1mをその元の波より減少させる。5mの波がくれば4m50cm、7mの波がくれば6m50cmになるだけなので、あれが出来たら逃げなくても大丈夫というような住民の誤解を得ないように、効果の宣伝とあわせ、その限界も一緒に周知徹底するように求めておく。

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《質問》 松坂英樹 委員
 海南有田間高速道路4車線化における現道改修期間について、先日も現場を見せてもらったところ、新しい南行きが出来て、北行きの道は現道を使いながら改修することになる。あと1年程は、道路の半分にコーンを置いて規制しても今よりも狭くなった感じがするので、より混雑が激化するのではないかと心配している。この現道改修期間をぜひ短縮するように、そして混雑期や混雑時間帯を配慮するように求めるべきと思うがどうか。

《答弁》 高速道路推進室長
   委員指摘のとおり、南行き供用後に現在の対面通行区間を1車線に規制し、トンネル工事などを実施する。この場合、車を通しながら実施するので、非常に期間がかかると聞いている。県としても、これらの工事をできるだけ短縮し、早期に4車線化供用ができるように引き続き強く訴えていきたい。

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《質問》 松坂英樹 委員
 県営住宅の結露対策について、先日、県営吉原団地の結露対策で住民から要望があり、県当局に対応してもらった。結露対策はなかなか対応の難しい問題だと思うが、県営住宅の結露問題に、どのように対応しようと考えているのか答弁されたい。

《答弁》 建築住宅課長
   県営住宅の結露対策について、最近の県営住宅は鉄筋コンクリート造で、開口部はサッシとなっており、性能として気密性、水密性が非常によく、建物全体として非常に気密性の高いものができている。反面、冬場になると、気密性がよい上に換気回数の少なさから結露の問題が発生しやすくなっている。対策として、断熱性能の向上、換気性能の向上について建替え時、修繕時に、対策工事を実施しているが、最近新しい材料もいろいろ考案されているので、そういう材料の効果等を検証しながらそれぞれ対策工事に活かしていきたい。

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◇ 調査議案に対する意見
※ 松坂英樹委員から議案第1号平成22年度和歌山県一般会計予算について、「経済対策の効果をきめ細かく発揮させるため、一層の分離・分割発注と職員体制強化、多忙化解消に留意すべきである」と意見あり
議案第1号平成22年度和歌山県一般会計予算については、適当と認めるが意見を付すことに全会一致で決定

議案第8号 平成22年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
議案第9号 平成22年度和歌山県流域下水道事業特別会計予算
議案第12号 平成22年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
については適当である旨報告することに決定

◇ 議案に対する採決
議案第50号 和歌山県都市公園条例の一部を改正する条例
議案第51号 南紀白浜空港条例の一部を改正する条例
議案第59号 平成22年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
議案第63号 訴訟の提起について
議案第67号 紀の川中流流域下水道の指定管理者の指定について
議案第68号 和歌山県田辺漁港海岸扇ヶ浜ビーチハウス及び交流広場の指定管理者の
       指定について

議案第69号 和歌山県立体育館の指定管理者の指定について
議案第74号 紀の川河口大橋有料道路事業の変更について
議案第75号 和歌山県道路公社の解散について
議案第76〜78号 工事請負契約の締結について
議案第79〜83号 工事請負変更契約の締結について
は全会一致で原案可決


◇ 意見書案

建設委員会から「近畿自動車道紀勢線(御坊〜南紀田辺間)4車線化事業の早期着手を求める意見書(案)」を提出することに決定

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