10年2月和歌山県議会 議案に対する反対討論 奥村規子
2010年3月18日
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日本共産党県議団を代表いたしまして、議案第1号、第3号、第7号、第32号、第72号、第73号、計6つの議案に反対する立場で討論をさせていただきます。
議案第1号、「平成22年度和歌山県一般会計予算」についてです。新政権になって初めての県予算でもあり、仁坂知事にとっては改選となる年度の当初予算ともなっています。
知事は、「明日の和歌山を開く『希望』の政策」と「今日のくらしを守る『安心』の政策」を2つの柱としています。県民にとっては依然として続く厳しい経済状況、雇用状況のなかにあって、県民の「希望と安心」に真にこたえる予算になっているかどうかが問われるところです。
新年度予算の規模は5,345億2,700万円と、前年当初比2.2%の増となっています。三位一体の改革の始まる平成16年度から予算規模は5年間減少しつづけ、国の経済対策が本格化する平成21年度から増に転じ、2年連続の前年度比増となっていますが、平成16年度予算に及ばない規模となっています。
新年度予算では税収が160億円減と昨年に引き続き大きく落ち込み、その分、県債とりわけ臨時財政対策債への依存が高まり、県債残高は過去最高の9,035億円にもなっています。臨時財政対策債は地方交付税にかわるものとして活用できるとのことですが、元利償還がすべて後年度の地方交付税そのものに加算されるわけではなく、将来の公債費負担を増やしていくことが懸念されます。地方交付税率の引き上げこそ求めなくてはならないと思います。
また、大資産家優遇税制ともいえる株式譲渡所得、配当所得にかかる税率の引き下げも県税収入減に影響しています。こうした優遇税制は中止すべきと考えます。
歳出面では、雇用の問題については、平成21年度12月末時点の緊急雇用創出数の実績は全国最低となっており、ふるさと雇用は44位という状況です。新年度予算ではこの事業を活用しての雇用創出をさらに強める必要があります。また緊急対策だけではなく、正規雇用を拡大する姿勢が重要です。雇用の拡大と安定、県内業者の仕事増やしと地場産業の活性化、社会保障制度の充実などを図るため、国の経済対策の効果的な活用、将来を見据えた取り組みが課題です。
福祉予算については、県単独医療費助成制度は新年度も引き続き継続となり評価できるものですが、精神疾病や訪問看護療養費は対象にはなっておりません。助成の対象を拡充すべきと考えます。また、社会保険料・介護保険料・後期高齢者医療の保険料など負担が増え、治療費の3割負担も含め、家計を大きく圧迫しています。大幅な医療費負担の軽減策も必要です。子育て支援においても子ども手当金の支給だけではなく、子どもの医療費無料化の拡充など総合的な子育て支援策や子育て環境の整備が同時に行われてこそ、子ども手当の効果もさらに強まると考えられます。
高齢者施策においては、介護保険の給付だけでは高齢者の生活を支えることはできません。公的な福祉保健事業の拡充が求められます。地域の介護基盤整備の要である特別養護老人ホームの建設は急がれますが、増床の計画があるものの待機者の解消には程遠い状況です。
介護労働者の処遇改善・人材確保のための予算が計上されていますが不十分なものです。現在の交付金制度を活用するとともに制度の改善、そして、公費による恒久的な処遇改善制度の確立と人材確保にむけていっそうの取り組みが必要です。
地球温暖化対策として太陽光発電等の普及促進が図られてきましたが、住宅用太陽光発電設備設置希望者も増加し、さらに補助対象者の枠の拡大が求められます。
道路予算は、2月補正での前倒しを含めれば前年比20%増と打ち出されていますが、当初予算対前年度比では、高速道路や府県間道路などでは25%減、内陸部骨格道路で2%増、生活道路では11%減となっています。地方の自由度を高めた交付金事業へのシフトが進むことになりますが、県民のくらしを支える面でも景気対策の面でも、大型公共工事偏重ではなく暮らし重視の計画的な社会資本整備をすすめることが望まれています。
農林水産予算でも、国予算との関係で、農業・農村の基盤整備や森林整備の予算などが大きく減額されています。前倒し予算と合わせて事業量を確保したようですが、財源をみても経済対策の基金などにシフトがすすみ、今後の事業と予算の見通しに不安を残すものとなっています。
年々負担が増大していた国直轄負担金は、業務取扱や維持管理費の一部が見直されたことにより新年度予算では約18億円が軽減されました。県事業の市町村負担金は原則廃止方針を打ち出し、その一部が廃止されたことは評価するものです。国に対しては一層の直轄負担金軽減を求めるとともに、防災対策などの市町村負担金には今後とも軽減を求めるものです。
和歌山下津港北港地区の南防波堤建設は見通しのない関西電力LNG火力発電所へのタンカー接岸に向けた工事です。新年度においても3,310万円計上されていますか無駄な国直轄事業といわざるを得ません。
コスモパーク加太対策費では、これまで6年間で約34億円、新年度から14年間で約88億円の賃借料を土地開発公社に支出することになっており、今年度予算では6億円を超える支出です。カゴメ加太菜園からの転貸料は、計画面積が減ることにより、平成26年度からは半減することになっています。これまで賃料の差額を県が負担してきましたが、企業の事業計画縮小に伴い、さらに県負担が増える状況となっているわけで、企業にも適切な負担を求めるべきだと考えます。
地方改善事業費の部落史編纂支援、隣保館活動助成、また、地域子ども団体育成事業や雇用支援就職促進事業など、旧同和対策事業や、実質的に旧同和地区だけを対象としている事業が従来どおり続けられていることは問題です。一般地区との垣根をなくし、雇用相談など必要な事業は広範な地域で開催することが、雇用対策などの課題にとっても、同和問題の解決のためにも、求められていると指摘するものです。
教育予算は前年度よりも2.5%の減になっています。児童生徒数減少にともなう教職員定数減が大きな要因だといいますが、教育困難が大きい中で、教員を減らすのではなく、少人数学級などの施策をもっと進めるべきです。
高校授業料無償化・私立高校への修学支援金交付が実現したことは大変結構です。しかし、これまでも授業料減免を受けていた困難な家庭への支援はありません。給付型奨学金の実現を急ぐこと、学校納付金などを少なくするための施策を進めることが求められています。
議案第3号は中小企業振興資金特別会計予算案、議案第72号、73号は債権放棄議案であります。
一昨年の中小企業高度化資金貸付金の大型債権放棄が問題となり、附帯決議により、貸し付けや債権回収、今後の債権放棄について、特段の注意と適切な執行を求めたところです。今年度予算でも回収目標を立てて努力をしており、関係者の粘り強い努力には敬意を表するものです。
しかし、一昨年、昨年に続いて高度化資金、設備近代化資金での最終処理を余儀なくされ、高度化資金の貸し付けや債権管理の実態がいまだ不透明なものを残しているという点では、県民の理解を得ることはできないと考えています。
議案第7号は、公営ギャンブルは認められないという立場から反対です。
議案32号は和歌山県職員定数条例の一部を改正する条例についてです。
知事部局の職員定数を、3,844人から3,764人に80人の削減をするものとなっています。職員定数の削減は、平成20年3月に定めた行財政改革推進プランに基づき、計画どおりに進められようとしています。平成20年12月議会から始まる国の生活対策、経済対策により、この2月最終補正にいたる計7回の補正で900億円の予算措置がされ、21年度から22年度への繰越事業は460億円と、かつてない規模の大きいものとなっており、事務量・事業量も拡大しています。
また、国体準備、植樹祭、関西広域連合への対応など、新たな行政課題も目前にあります。
職員定数の削減が先にありきではなく、現下の経済状況に見合った必要な体制をとり、確実に事業執行に結び付けていくことが優先されるべきだと考えます。
以上で、反対討論を終わります。
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