10年2月県議会 文教委員会 雑賀光夫
2010月1
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《質問》 雑賀委員
 教育長の説明では、教育予算が対前年度比で2.5%減っていくという話であった。全体的に大型予算である中で、教育予算が減っていることについてどう考えるか。

《答弁》木下教育総務局長
   主な減の理由は人件費で、定数減とか、人事院勧告による基本給や諸手当の減である。

《意見》 雑賀委員
 教育予算というのは、人件費の関係が多いということでその理由もあるだろうが、各項目を見ても、国体関係で体育館などが積み増しされているのに全体として減っており、教育にとって厳しい予算であるとの感想を持った。

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《質問》 雑賀委員
 教職員の定数の問題については、議案第54号にある条例の関係で議論した方がわかりやすいので申し上げる。
 いろいろ増減があると思うが、私なりに計算したところでは120人ぐらい減っている。国の予算で言うと、児童生徒数が減っている分があるが、いろんな要因で定数を増やして、結局、全国的には300人ほど増えていると聞いている。ところが、和歌山の場合は減っている。これは、国の方で増やした分を積んでも児童生徒の減や統合の減が多いと考えてよいのか。

《答弁》 有本学校人事課長
   児童生徒数及び学校の統廃合による減が和歌山県の場合は非常に大きい。国の定数改善では、例えば少人数指導であるとか特別支援教育の充実など、かなり積まれた定数もあるが、それを相殺しても和歌山県の場合は条例定数が減ってしまった。要するに、学級数の減、統廃合による減が大きかった。

《要望》 雑賀委員
 定数条例については、以前、私は反対をしていた時期があった。和歌山県では、特に同和地区35人学級などで県単独教員を150人ほど配置していた。同和の課題が終わったのであれば、その分を教育困難校の課題に回したらいいのではないかと、それを減らすことを含んでいたので反対してきた。削減されてしまった中では、前よりも改悪でないということで反対はしないできたので、今度もそういう態度でいこうと思っている。しかし、このように教職員定数が減ってきて、しかも教育困難校が一層深刻になっている中で、本気で国を上回ってでも県単で教員数を増やしていただきたいと要望としておく。

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《質問》 雑賀委員
 議案第55号について、今まで奨学金の延滞金を取ってこなかったが、きちっと取る、取るに当たって取らない場合を規定する、ということだが、奨学金の延滞というのは今どんな実態になっているのか。

《答弁》 東中生涯学習課長
   和歌山県の修学奨励金貸与制度では、高校生対象の奨学金と、大学に入学した方を対象の進学助成金がある。高校生対象の奨学金では、要返還額が4,724万円に対して返還額が3,934万円、未納額が790万円となっている。進学助成金では、要返還額が2,924万円に対して返還額が2,824万円、未納額が100万円となっている。

《質問》 雑賀委員
 奨学金の問題については本会議でも申し上げて、教育長から給付型奨学金を国に対して要望していくと言われたが、それはぜひとも実現していただきたい。
 そういう中で、税金ではないので延滞金は本来取るべきではないと思っている。ただ、条例で延滞金を取ることになっていて、免除することを設けるので、条例そのものには反対はしないが、本来は取るべきではないという方向へいってもらいたい。
 学生支援機構の奨学金があるが、その機構の資料をもらって調べてみた。平成19年に延滞している家庭・個人と延滞していない家庭・個人に対してアンケートを出したが、その回答の資料を見てびっくりした。予想どおりではあるが、延滞している家庭では非正規雇用の家庭が80%あり、返している人の場合は42%である。倍以上の人が非正規雇用で、身分不安定で返せないでいるという実態が出ている。また、収入から言うと、1年間の収入が200万円以下の家庭は、返している家庭では15.7%しかないが、返せないでいる家庭は37.3%で、倍以上ある。このように、今の若者の雇用や賃金の問題が奨学金を返す問題について非常に大きな影響を持っているというデータが出ている。県の奨学金については、そのような調査はあるのか。

《答弁》 東中生涯学習課長
   きちっとしたアンケートなどで調査をしているわけではないが、返還が遅れている方については、当課から家庭訪問をしたり電話で連絡したりしている。その中で、パートやアルバイトで定職に就いていない、勤めていたところを解雇された、仕事を探しているなどの事情を聞くことが多い。失業や求職中で返還が困難な場合には猶予できることを伝えて手続きするよう勧めているところである。
   なお、先ほど申し上げた金額の数字は、平成20年度末の数字ということで了解願いたい。

《質問》 雑賀委員
 議案第55号の条例では、第4項で「知事は、修学奨励金の貸与を受けた者」云々ということで、「やむを得ない事由があると認めたときは、当該延滞金の全部又は一部を免除することができる」という規定を入れており、一定の弾力的な規定だと思う。その点、今の若者が低賃金で不安定な状況に置かれていて奨学金を返すのに非常に苦労しており、教育長自身も、本来は国の方で給付型奨学金にしてほしいと申し上げていくと言われていることも踏まえて、苦労して返している方について配慮のある運用してもらいたいと思うが、教育長、いかがか。

《答弁》 山口教育長
   今回の条例の上程に関しては、免除規定が現行条例の中に書かれていないのに運用で延滞金を取っていなかったということで、このままでは条例違反となるとの包括外部監査の厳しい指摘があって、免除規定を条例できちっと書こうということになったものである。取り立てを強化しようという趣旨ではなく、余り大きな影響が出ないようにしていきたいと考えている。

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《意見》 雑賀委員

 先ほど吉井委員からも「和歌山教育史」のことで意見があったが、私もその点については同じように感じた。私が思っているのは、評価が定まらないところまで無理に歴史をまとめるということに問題があるのではないか。前の西川教育長の場合は、自分のやっていることについてちゃんと評価してくれないじゃないかという意見もあったのだろうが、こういうものは一定の時間があって、初めて歴史の評価が定まるものである。自分がやっているところまで含めた教育史をまとめるというのは、山口教育長は考えないと思うが、余りやらない方がよいのではないか。そういう感じを持った。

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◇ 議案に対する採決
   議案第52号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   議案第53号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   議案第54号 和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
   議案第55号 和歌山県高等学校定時制及び通信制課程修学奨励金貸与条例及び
          和歌山県修学奨励金貸与条例の一部を改正する条例

   議案第70号 和歌山県立体育館の指定管理者の指定について
   議案第71号 和歌山県立武道館の指定管理者の指定について
   は、全会一致で原案可決
◇ 請願に対する採決
   議請第7号 「教育改革についての請願」は、継続審査するべきものと決定
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