2010年6月県議会 松坂 英樹 一般質問   2010年6月14日

1.普天間基地問題
(1)普天間基地返還にむけての
   知事の所見

(2)米軍基地・訓練の再編・移転に
   対する県としての今後の対応

2.就学援助制度について
(1)就学援助の現状と必要性について
  ・制度の対象が狭くなる中でも受給者が
   増えている実態があり、就学援助の
   必要性をどう考えるのか

(2)就学援助制度の充実・改善にむけて
  ・県としても実態をより把握・調査し、市町村を援助してゆくべきではないか
3.森林・林業の再生にむけて県産材の活用について
(1)国の「木材利用促進法」への対応
  ・成立した「法」を和歌山県としてどう生かしてゆくのか、県産材活用の支援制度拡充
   にむけて大きく動くべきではないか

(2)県内製材業への支援
  ・施設の高度化や外材から国産材設備への転換などに一層の支援を
(3)木材単価の下支えについて
  ・再造林や間伐材搬出ができる材価となるよう、材価の下支えにどう対応してゆくか
4.県立射撃場計画中止について
(1)計画中止にいたったことへの総括
(2)今後の対応について
  ・今後とも、鳥獣害対策推進とともに、計画用地の活用について県としても連携・協力
   してゆくべきではないか


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1.普天間基地問題
(1)普天間基地返還にむけての知事の所見
(2)米軍基地・訓練の再編・移転に対する県としての今後の対応
《質問》 松坂英樹 県議
 鳩山内閣が普天間基地問題や政治とカネの問題などを理由に総辞職し、菅内閣が新たに発足しました。普天間基地返還問題は決して沖縄県だけの問題ではなく、国と地方、日本の政治のおおもとにかかわる性格をもってきたと考えます。
 私自身も4月25日に開催された、「沖縄県民大会」に直接参加をし、大きな政治の流れを肌で感じてまいりました。県内に米軍の新基地建設はもう受け入れられない、基地のたらいまわしはもうゴメンだという点で、知事をはじめ県議会の全会派全議員、全市町村長が一致した歴史的な集会でした。これは大会の様子を報道する琉球新報ですが、本当に感動的な大会でした。
 県民大会では、仲井真知事、高嶺県議会議長らが、「県民の訴えが一つになった」とあいさつ。普天間高校の高校生は、「厚さ6センチの窓。その窓いっぱいに見える飛行機の胴体。これが私たち普天間高校の日常の光景です」と語りはじめ、「授業中でもテスト中でも、容赦なくすべてを中断させる音、うるさいと叫んだこともあります。でも入学から2年がたち、でもしょうがない、いつものこと、と思う自分がいたのです。この問題をしかたがないからと、考えるのをやめていないか。私を含めて、いま一度多くの方に考えてほしい。私たち一人ひとりがかわれば、なにかがかわる、そう信じて私はここに立っています。この基地問題は普天間だけでなく、沖縄県民だけでもなく、日本国民すべての人が自分の問題として考えてほしい」と訴え、「未来は私たちの手の中に」と結びました。この普天間の異常な日常をただすことこそが、日本の政治に求められているのです。
 鳩山首相の辞任をうけて誕生した菅内閣は、辺野古移設プラス訓練の県外再編という鳩山内閣の方針を継承するとしていて、問題は少しも解決していません。米軍の求める地元合意のとれる移設先は、沖縄県内にはありません。そして日本のどこにもありません。普天間基地の米海兵隊の危険な実態をふまえ、移設先さがしではなく普天間基地無条件撤去をアメリカ政府と交渉すること、このことこそが沖縄県民・国民の求める解決方向であると私は考えます。
 5月27日の全国知事会では、民主党政権から各県知事にこの問題での協力要請がされました。出席した知事からは色んな発言があったようですが、知事会としても議論を重ねた上で「普天間基地の移設及び沖縄の負担軽減について」の声明が出されています。橋下大阪府知事がこの間、「関空受入」や「関西受入」をとたびたび発言していることもあり、地方としても、和歌山県としても今後の対応が注目されています。
 そこで仁坂知事にお尋ねします。政治家たる知事として、また一方で県行政のトップたる知事として、普天間基地返還にむけての知事の所見と、米軍基地・訓練の再編・移転に対する県としての今後の対応についてお考えをお示し下さい。


《答弁者》 知事
   そもそも、普天間基地の移設、訓練の分散という問題は、日本の安全保障に関わる問題であります。もっと端的に申し上げますと、どこの国と仲良くして、どこの国と防衛をともにするか、とすればどの国に対して備えをすることになるのか、あるいは、ということであると、どこにどういう備えをするのか、というような問題であり、これは、国が国民に直接働きかけて解を出さなければいけないことでございます。私も一国民でありますので、自分の意見はありますけれども、この間題は、和歌山県でいうと100万人の県民が一人ひとり考えないといけない問題であろうかと思います。私は、県知事という立場でありますので、ある意味では県の代表として色々なことを言わないといけないということであります。しかし、こういう問題について代表してよいのかということについては、いつも問題ごとに自閉しております。時には抑制的に行動していきたいと考えております。
   しかしながら、一言申し上げるならば、これは、国の問題として現政権が辺野古への移設を米国と合意したということは、日本全体、アジア全体の安全のために、引き続き、沖縄県の皆様に多大な負担をおかけするということになるわけであります。沖縄の方々の気持ちを考えると、私としてはただただ沖縄の県民の皆さんに頭を下げなければならないと考えております。


《要望》 松坂英樹 県議
 普天間基地問題では、知事に対して、政治家としての姿勢を問うたわけですが、安全保障のことは国のやることだということで、知事としての意見は控えているというお話しでした。ところが、米国との合意を鳩山政権、そして新内閣が引き継いだことについて、沖縄に多大な負担をかけ、頭を下げると言いながら、これを肯定する立場を表明されました。基地の固定化に対してどうあるべきか、今政治はどうすべきか、という考えを示されなかったことは残念です。
 沖縄県民の世論調査では、無条件撤去・国外移設を求める声が7割から8割をしめていて圧倒的な県民世論です。
 日米安保の「抑止力」という言葉で政治が止まってしまってはいけませんし、日米安保の抑止力を肯定する方々も含めて、今、基地撤去のかわりに新基地を求められることはもうやめにしよう、このことが一致されているわけで、この方向にこそ解決の道があり、アメリカ政府に対しても正面から話し合うことが、政治に求められていることだということを指摘しておきたいと思います。


《再答弁者》 知事
   原案を肯定されたのは現政権なので、私では全然ございませんので、一言申し上げておきます。


2.就学援助制度について
(1)就学援助の現状と必要性について
《質問》 松坂英樹 県議
 2つ目に、教育問題として就学援助制度について質問させていただきます。貧困と格差のひろがりのなか、子どもたちの生活する家庭の貧困や生活困窮が増加してきていることが、この間の教育現場の調査でも明らかになってきています。2月県議会での雑賀県議の質問でも詳しく紹介されたところです。
 就学援助制度は、経済的困難をかかえる家庭に対し、学用品費や修学旅行費・給食費などが支給される制度です。生活保護基準に準じた「要保護」と各自治体がそれに準じて所得基準を設ける「準要保護」に分かれてていて、これまで国が費用の2分の1を負担してきましたが、国の三位一体改革によって「準要保護」の財源が交付税化されてしまいました。市町村の財政負担の厳しさもあいまって、各地で基準の切り下げや給付額の減額がおこっているのが全国的な状況です。
 深刻な問題は、このように制度の対象者が狭くされているのに、就学援助率も世帯数も逆に増加しているという実態です。全国的には、1997年の78万人から2006年の141万人へ、就学援助率では、6.53%から13.57%と、それぞれ2倍になっています。和歌山県でも、5.68%から12.78%へと同様の傾向です。
 議場内に配付しております資料1をご覧ください。これは「就学援助率と県民所得」の関係をグラフ化したもので、就学援助率が高い順から左から右に県名が並んでいます。30%近くに達している大阪府から5%のところまでずいぶん差があるわけですが、一般的に考えて、県民所得の低い都道府県は援助率が高くて、県民所得の高いところは援助率が低いということになっていそうなものですが、このグラフをご覧になっていただくとわかるように、東京都などは県民所得がずばぬけているにもかかわらず就学援助率は3位となっていて、そのあとを見てもバラバラというように、就学援助率と県民所得はまったく相関していないことがわかります。これは制度の周知徹底や活用実態など、自治体の取り組みに明らかな差があるからだと考えられます。
 この間、民主党政権が「子ども手当」や「高校授業料無償化」をすすめるなかで、一方で、就学援助制度の改悪など経済的弱者への支援策が縮小されたり、廃止が検討されたりという懸念があります。
 貧困と格差が広がっている今こそ、就学援助制度のもつ意義が重要になってきていると考えますが、県教育委員会として、就学支援制度の現状と必要性をどう認識しているか教育長より答弁を願います。

(2)就学援助制度の充実・改善のために
 就学援助制度は、憲法の生存権、教育権にもとづく権利であり、必要な人にきちんと知らされ活用されることが大事です。支給基準や内容については市町村が実態に合わせて主体的に行い、それを国が義務教育を受ける権利としてきっちり支援するのが基本です。県内の市町村の就学援助の基準などを調べてみましたが、所得基準などの認定基準を公表していないところが多く、規則・要綱などにきちんと規定されていないところも残されています。このことから見てもわかるように、この制度の周知広報の状況はとても充分とは言えず、また広報されていても、「お困りの方はご相談下さい」式の説明で、具体的に所得がいくらぐらいまでが対象になるとかが示されておらず、保護者からしてみれば、わが家がその対象なのかどうなのかもわからず、申請してみようかどうか見当がつかないというところがほとんどです。
 こういった状況の改善のため、広報が充分されていないところは改めるとか、認定基準が明確に示されていないところはきちんと示すようにするとか、民生委員さんの署名が必要であったりするのを地域の実情にあわせて見直すことなど、様々な工夫や努力・改善が必要だと考えます。
 広く市民・町民に知らせたら、申請が増えて財政がたいへんと心配している市町村もあるようです。しかしそれではいけません。就学援助制度が市町村の制度ではあるものの、県教育委員会として、子どもたちの実態や市町村の悩みに思いを寄せ、市町村ごとの制度や実態をこれまで以上に把握すること、そして保護者にとってわかりやすい制度となるように、市町村を援助をしてゆくべきだと考えますがいかがでしょうか。以上2点について教育長より答弁を願います。


《答弁者》 教育長
   市町村の実施する就学援助制度は、生活保護法に規定いたします要保護者と市町村がそれに準ずると認める準要保護者を対象として、小中学校に就学する児童生徒の学用品費や給食費、医療費等を援助するものでございます。
   要保護者の援助には国庫補助がありますが、準要保護者については、市町村単独事業として実施されております。
   本県の就学援助率は、平成20年度時点で13.3%であり、全国的な状況と同様に増加傾向にございます。
   これは、昨今の経済状況の悪化により就学援助を必要とする児童生徒が増加していることの現れと考えておりまして、就学援助制度の必要性は高まっていると考えております。
   就学援助制度の援助対象者の認定、給付額等につきましては、就学援助の必要性を十分踏まえたうえで、それぞれの市町村が実情に応じ決定していくものと考えておりますが、県といたしましても教育の機会均等の確保という制度の趣旨に鑑みまして、市町村において就学援助制度を円滑に活用できるよう助言してまいります。


《要望》 松坂英樹 県議
 教育長からは、今の状況を経済状況の悪化ととらえ、教育の機会均等という点をふまえて市町村に助言してゆくとの答弁がありました。非常に大切な点を答弁いただいたと思います。
 所得基準が公表されていないなど、制度の徹底ができていないことにより、活用に差がついてしまってはいけないわけであり、どの自治体に住んでいても、制度がしっかりと機能し生かされるべきだと思います。
 これまで以上に制度の状況や実態をつかんで、県民にあまねく、わかりやすく周知徹底できるよう、指導援助していただくよう、重ねて要望をさせていただきます。


3.森林・林業の再生にむけた県産材の活用について
(1)国の「木材利用促進法」への対応
《質問》 松坂英樹 県議
 次に、森林・林業の再生にむけた県産材の活用について3点、農林水産部長にお尋ねします。
 去る5月29日に、共産党県議団などの主催で「森林・林業の再生を考えるシンポジウム」を田辺市龍神村で開催しまた。パネラーには県森林組合連合会や地元森林組合、製材業団体の代表の方、県行政など幅広い方々に御出席いただき、森林整備から加工流通、木材の活用・消費まで、長い大きな目で森林・林業の再生に対する議論の場にしていただきました。
 シンポジウム当日のご議論を通して、またこの催しを準備しご案内する取り組みを通じて、多くの森林・林業・製材関係の方々と意見交換し要望をお聞きしてまいりました。私は先の県議会で、森林・林業政策の森林整備、主に川上側の質問をさせていただきましたが、今回はこのシンポジウムで出されたご意見などもふまえ、木材の利用拡大を中心とした川下側の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、木材の利用促進の分野ですが、公共建築物に木材をもっと取り入れようとする努力と取組がこの間続けてこられました。とても重要な取組みです。ところが供給側の現場のお話をうかがうと、公共事業の仕事は、年度主義であることから、夏ごろ事業化されて設計にかかり、秋に発注されてから冬までにすぐ納品を求められる、これでは地元の材を伐採する時期、搬出・乾燥させるサイクルからみても、段取りをして用意するのが間に合いません。かといって大量の在庫をかかえるわけにもいきません。そこらへんが仕組みとして何とかならないか、等のご意見を数多くいただきました。
 今度の国会で、「公共建築物木材利用促進法」が全会一致で成立しました。国会審議を通じて、法案は努力義務だけで掛け声だ、もっと数値目標や財政措置の裏づけを入れるべきだとか、公共建築だけでなく民間住宅への取組が重要だ、など与野党こえて各党が「熱い論議」をして成立した法律だと聞いています。国としても、また地方自治体としても木材利用の大幅な拡大と予算措置が望まれています。和歌山県として、今年から来年度にむけて、どうこの法律を力にし、生かしていくのか、また県としても県産材活用の支援制度を、これまでの延長線上でとらえるのではなく、制度拡充にむけて大きく動くべきではないかと考えますがいかがでしょうか。

(2)県内製材業への支援
 二点目に、加工・流通・出荷の分野である県内製材業への支援について伺います。今日、加工流通をめぐる状況は、外材丸太の輸入激減と北欧材製品輸入の増大という変化とともに、プレカット工法での住宅建設や、年間取扱量が10万立方メートル単位という超大型製材工場による大規模流通への対応も迫られる一方で、地域流通をどうするのかという課題があり、製材・販売の出口をになう県内製材業への支援が急務であると考えます。
 議場内に配付しております資料2をご覧下さい。県外出荷量全国第4位を誇っていた約10年前1997年と、直近の2007年における県内の木材需給構造をそれぞれ図表化したものです。これを見ますと、97年の左上にある外材入荷が84万6000立法メートルもあったものが、07年にはわずか19万8000立法メートルと4分の1以下に激減しています。それに対して、国産材は22万3000立法メートルが17万1000立方メートルですから減少しながらもがんばっているんですね。一昔前は、地元材を引く小さな製材所がどんどん淘汰され、外材を引く大きな製材所しか残らなかったという時期があったわけです。しかし97年当時の製材工場は256工場とありますが、そのうち外材を扱っていたのは151工場ありました。そして07年には県内製材工場は157工場となっており、そのうち外材を扱うところは69工場しか含まれていないという実態です。今、外材を製材してきた施設に国産材対応にむけたシフトが求められたり、国産材の製材工場はじめ県内製材所の能力向上が求められている時期なのです。
 40年から50年に育った森林が主流となり、日本は年間の木材成長量が年間木材消費量に匹敵し、現在2割台の木材自給率を飛躍的に上げる条件は整っています。この木材を山から出してこようとしても川下の産業の力が疲弊したままではいけません。輸入材中心の加工・流通体制を国産材中心の生産・加工・流通体制に改革し、林業経営が成り立つ条件を実現することが大切です。
 県産材の増産をめざす上でも、施設の高度化や国産材設備への転換などに一層の支援を求めるものですがいかがでしょうか。

(3)木材単価の下支えについて
 三点目に木材単価の下支えについて伺います。国産材は外材よりも高い、安く家を建てるには外材を使っても仕方がないという意識が消費者の中にありました。ところがこの間の材価の低迷に経済環境の悪化もともなって、現在は外材よりも国産材の方が安いという逆転現象がおこっています。川上側からも川下側からも材価の安定と回復を求める声が数多く出されました。
 シンポでは国産材の製材関係者から、「あかね材」の活用の取り組みが報告されました。スギノアカネトラカミキリによる模様が残る食痕材は、見た目の美しさに欠けるというだけで敬遠されてきましたが、「あかね材」とネーミングして、強度等に問題がなくねばりのある優良材として活用をすすめておられます。これらの努力にもいっそうの支援が求められます。また木質パウダーによるボイラーの実用化がはじまっています。木質パウダーやチップが県内農業の果樹や野菜のハウス栽培の燃料として重油におきかわって普及するならば、計り知れない経済効果と和歌山のブランド力アップにつながると期待するものです。
 こうした木材活用の骨格も裾野もひろげつつ、国産材がきちんと評価される木材市場全体の底上げをはかることが重要です。そして再生産と手入れができる価格にすることがどうしても必要です。
 森林・林業にかかわる全体を通じて、50年・100年単位で森を育てる仕事にしっかりとした見通しが立てられる国の政策、そして県の政策が求められていると痛感しています。木を切り出しても採算が取れない状況を改善し、再造林や間伐材搬出ができる材価となるように、材価の下支えにどう取り組むのか、県としての考えをお示し下さい。


《答弁者》 農林水産部長
   森林・林業の再生にむけました県産材の活用についてのご質問につきまして、一括して答弁させて頂きます。
   森林・林業の再生に向けましては、川上での森林整備の推進などとともに、川下での加工・流通体制の整備や県産材の需要拡大が重要でありますことから、紀州材生産販売プランにおける6万立方メートル増産に対応した紀州材の加工体制の整備のため、これまで、林業・木材産業改善資金等の融資制度を中心に支援してきたところでございます。また、昨年度からは、国の補正予算事業を活用し、製材施設や乾燥施設などの紀州材加工施設の近代化等に対して支援を行っているところでございます。
   一方、木材の利用促進につきましては、大都市圏等への販路拡大対策とともに、県内の公共建築物等への利用拡大に向けまして「木の国プロジェクト推進会議」を平成9年に発足し、また、平成15年には「木材の利用推進に関する指針」を定め、公共建築・公共土木工事等への紀州材利用を推進しているところでございます。今回、公共建築物等への木材利用に関する国や地方公共団体への責務などが規定されました「公共建築物等における木材利用の促進に関する法律」が制定されましたことから、先日、建築物の木造化に係る支援措置について、政府提案を行ったところでございます。今後、県といたしましては、国の動向を踏まえ、関係部局との連携を図りながら、法に定められた「木材の利用の促進に関する方針」を策定し、これまでの取り組みを更に強化するとともに、市町村に対しましても、公共建築物等への木材利用を促してまいりたいと考えてございます。
   いずれにいたしましても、森林・林業の再生に向けては木材価格の安定と利用拡大が重要であることから、加工・流通体制の整備と利用拡大対策を総合的に推進し、引き続き、紀州材の振興に取り組んでまいりたいと考えてございます。


4.県立射撃場計画中止について
(1)計画中止にいたったことへの総括
《質問》 松坂英樹 県議
 昨年9月県議会で補正予算化された湯浅町山田山への県立射撃場建設計画が、先の5月17日の農林水産委員会において計画を断念するとの報告がされました。当局からの説明では、事業費や工期の増加、新たな用地確保が必要などの諸問題が浮上し、年度内完成が見込めなくなったということでした。億単位の事業を補正予算化しながら、わずか半年で執行を断念するという、県政史上でも異例の結果となりました。
 私は補正予算が提案された9月県議会の一般質問で、知事が示してきた射撃場建設の4条件をはじめとする前提条件はクリアされていないと指摘し、拙速な予算化にあたっては反対をいたしました。
 今回の計画中止は、計画が進行する中で不測の事態によりやむなく中止したというものではありません。また、チャレンジしたが目標達成できなかったという性格のものでもありません。まさに肝心要の前提条件が崩れたという結果だと批判せざるを得ません。県の計画・予算としては熟度の低いものでしかなかったと指摘するものです。
 国体にむけた射撃場建設を求める声があり、国の鳥獣被害対策が景気対策の補正予算として急遽予算化されたという複雑な状況のもとではありましたが、それらを総合的に判断して最終的にゴーサインを出したのは知事の判断です。予算規模や運営見通しなど、当初から見込みの甘い計画だと批判を受けたものが、とうとう予算執行ができなかったことを、知事としてどう総括しているのかご答弁を願います。

(2)今後の対応について
 また2点目に、山田山の計画用地の今後の利活用については、豊かな自然環境を保全・活用する形を望む声や、雇用や地域の活性化につながる活用をと求める声も出されています。今後のことについては、湯浅町としても地元山田区や町民とよく相談してじっくり検討してゆく方向だと聞いています。県としては、この度の経過もふまえ、今後とも、鳥獣害対策の一層の推進とともに、計画用地の利活用については、湯浅町と連携をして協力できるところは積極的に支援・協力してゆくように求めるものですが、今後の対応について知事のご答弁を願います。


《答弁者》 知事
   これにつきましては、議員ご指摘のように、射撃場整備の前提条件としては、「国からの補助金の活用」、「地元市町村の応分の負担」、「市町村による住民同意の取り付け」、「運営主体の存在」の4つの条件が整う必要があると申しておりまして、これは昨年の9月議会から申し上げて参りました。その上で、これは可能性があると考えまして、チャレンジをしてみようと言うことで、ご提案させていただいて、そのためには予算化がいりますので、これをお願いしたわけでございます。
   こうした中で、いろいろやってみますと、必要となる用地の増加などが起こりました。短期間で解決に至らない問題が幾つか生じまして、国庫補助金の活用条件でありますところの平成22年度内の施設完成がこれは満たせないということになりました。そういうことで、これは苦渋の決断で、断念することとした次第でございます。
   鳥獣害対策につきましては、その強化が必要でございますから、この案に変わる対策を用意しなければいけないと、私は考えておりまして、より一層積極的に取り組んで参りたいと考えております。
   当該地域の今後につきましては、基本的には地元町でよく議論してもらう問題であると考えております。


《再質問》 松坂英樹 県議
 県立射撃場計画中止の件ですが、知事からは断念した経過が述べられました。私は今後の県政運営のためにも、今回の予算付けのあり方、県行政のあり方を問い直し、重く受け止めていただくよう強く求めるものです。
 それで、地元の跡地利用の関係で知事に再質問させていただきます。
 地元では、計画中止はわかったから、あとをどうしてゆくかがこれからの課題だとなっています。知事の跡地活用に対する答弁は、今後のことは基本的には地元の問題であると、以外にあっさりした答弁でした。山田山はもともと区の山であり、今は町有林となっています。町によるゴルフ場開発が乱開発としてストップ、そして今度は県による射撃場計画がもちあがり、これも頓挫した。山田山は町や県に翻弄されてきたという側面もあるわけで、これらの経過をふまえた上で、地元のために県も町も力をあわせてゆく、協力できるところは協力してゆくのが、別に特別に何も求めているのではなくて、当たり前の話しだと思うんですが、そこのところをもう一度、知事のほうから答弁をお願いしたいと思います。


《再答弁者》 知事
   山田山につきましては、この山田山に限らず、和歌山県にある全ての地域、全ての住民のこと、或いは住民の幸せのこと、それは勿論、私ども、考えなくてはいけない。
   従いまして、湯浅町、或いは住民の方々とよく話をして、いろんな要望があったら、真摯に対応しなくてはいけない。
   これは議員ご指摘のように当然のことでございます。

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10年6月議会

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10年6月県議会、松坂英樹 一般質問=6月14日
10年6月県議会、松坂英樹 一般質問=6月14日