2010年6月県議会 文教委員会 雑賀光夫委員の質問概要記録
2010年6月18日
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《質問》 雑賀光夫 副委員長
 提案されている(※議案第98号、財産の取得について=県立総合体育館の折りたたみ式柔道場4基の)畳の関係で、普通の畳ではないので保守点検、メンテナンスが要ると思うが、どのくらいの費用を見込んでいるのか。

《答弁者》 スポーツ課長
   今、他県の例を参考に、3年間で200万円ぐらいを見込んでいる。

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《質問》 雑賀光夫 副委員長
 「きのくに教育協議会」の第9期の中間まとめは、今、特に和歌山の教育は教育改革の総括の時期に来ていると思っているだけに注目して読んだ。
 委員の感想では、特に高校のPTAの会長さんなどが、学区制の問題でいろいろな弊害が出てきていると指摘しているが、中間まとめなので学区制までは踏み込んでいない。全体としてはどんな構想でまとめるのか。

《答弁者》 総務課長
   第9期のきのくに教育協議会は、平成21年度、22年度の2年間にわたって議論をしているところである。テーマが6つあり、大きなタイトルとしては「本県学校教育の今後の在り方」ということであるが、小さなテーマとしては6本の柱がある。1つ目は「確かな学力の向上、豊かな心と健やかな体の育成」、2つ目は「市民性を高める教育、キャリア教育・職業教育の推進」、3つ目は「地域社会全体で教育を支える体制づくり」、4つ目は「生徒指導上の課題の解決」、5つ目は「教育システムの在り方」、6つ目が「教員の実践的指導力の向上」というテーマで昨年度から議論をしており、まだ3テーマほど今年議論することになっている。

《質問》 雑賀光夫 副委員長
 特に中高一貫、学区制などいろいろ議論になっている問題は後半の「教育の今後のシステムの在り方」に入るのか。
 県の教育委員会がこれを受けて、いろいろとやらなければならないそういう問題は後半の方へくると思うが、前段で、教育の問題で非常に大事なことも議論されたと思う。しつけというのは非常に大事ではあるが、子どもというものを見る場合、しつけの対象としてだけ見るのではなく、権利と義務を持った主権者としてとらえるという視点が今までは欠けていたとまで指摘をされている。子どもの権利条約で議論されてきたことである。この点は、これから教育関係者にしっかりと勉強してもらわなければならない問題だ。これは県教委の行政施策にどうこうというより、むしろ現場の校長先生とか市町村教育委員会とか、その辺にしっかり議論してもらわなければならない問題だと思う。その点は、もちろん最終まとめに反映されるだろうが、今後どういうふうに中間まとめを生かしていくのか。

《答弁者》 教育長
   今まだ審議の途中であり、どういう形でまとめるか今決めているわけではない。座長が和歌山大学の堀内教授・副学長で、この方も、委員の言いっぱなしで終わるのではなくて、委員の中で起草委員会をつくって自分たちの手で報告書をまとめていくという形をとりたいと言っており、その中で議論がされていくと思う。この議論の中で、既に県議会の方から、この文教委員会でも、中高一貫教育あるいは学区制といったことについては見直しをしなさいという御意見を承っている。そういったことについても、今後こうすればいいというところまで議論がいくかどうかわからないが、見直しの視点というか、どういう観点から考えていくかといったものをこの中に盛り込んでもらえればありがたいと思う。

《要望》 雑賀光夫 副委員長
 非常に大事な協議会になっていくと思う。
 後半でやる、いま教育長が言われたような問題は、これを受けとめて教育委員会がいろいろ提案して議会でも決めていく問題であるが、この中間まとめに出されている今の子どものとらえ方は、教育委員会が施策としてどうこうするという問題ではなく、むしろ教育関係者の中で深く議論されなくてはならない問題だと思う。そういう点で、答申は出しっぱなしでなく、それがさらに教育関係者の中で議論されていくようなことを考えなくてはならないと思うので、その点、よろしくお願いしたい。

《質問》 雑賀光夫 副委員長
 少人数学級と教職員定数の問題があるが、これは議論になるのか心配である。
 県として少人数学級を進めているが、県はお金を出さないで、国で措置された教員のやりくりの中で教育が苦労して少人数学級を進めている。かつて同和行政をしていたころには、35人学級にするのに160人くらいは県単独で負担しており、それを減らすなと、この文教委員会でも議論をしたことがあるが、今、全国的にも財政が大変な中で、私はそうしてほしいと思うが、そういうことがなかなかできないのかなと思っていた。ところが最近、少人数学級を実施するのにどれだけ県単独あるいは市町村単独で教員を置いているかという全国的な資料を見たところ、福島県が1,000学級近く増やしている。和歌山県で言うと、少人数学級において170ぐらい増やしていることになる。ところが、1,000学級を増やしているが、その中の450人ぐらいは福島県が単独で教員の予算を負担している。この辺、今後「きのくに教育協議会」でもいろいろ議論してほしいし、またそういうデータも提供して議論をしてほしいが、全国的な状況をどう把握しているか。

《答弁者》 学校人事課長
   いわゆる都道府県の単独措置という教員の配置については、公式に発表されているデータはない。私どももかなり調べたが無かった。ただ、情報として、複数の都道府県では県単措置によって教員を配置していることは把握している。
   本県においても、全く県単措置がないかというとそうではなく、平成19年度以降に統合を行った学校に対して統合後2年間、加配教員の配置を行ってきた。本年度においては、計9校に加配教員を配置しているという状況である。

《要望》 雑賀光夫 副委員長
 今言った資料は教職員組合の全国組織からもらった資料で、朝から問い合わせをすると、文部科学省の会議に行ったときに出た資料であった。もう少し詳しく聞かせてほしいと言っており、こちらで手に入れた情報は提供するので、その辺もしっかりつかんでほしい。

《質問》 雑賀光夫 副委員長
 この協議会のことで議事録などを調べていくと、途中で事務局から中間的なまとめのようなものが出されているのを見て、大変おもしろいと思った。地域と学校の関係などいろんなことがあるが、わかりやすい話で言うと「PISA」という世界的な学力調査では、学校間格差が小さい国ほど成績がよいと報告をしているのが紹介されていた。日本で一番学力調査の成績がよい秋田県では、私学がなくて受験産業がほとんどなく、成績の分散が少ない。それに比べて和歌山は成績が二分されていると書かれていた。和歌山県の20年ほど前からの学力政策を見ると、受験私学を誘致すれば良くできる子はそちらに行って、いわゆるいい大学へ行くだろう。そのため、高等学校に専門学科をたくさんつくって学区を撤廃し、良くできる子がそこに集まってくるようにということで中高一貫をと、今こういう流れになってきたと思っている。
 私はこの文教委員会の議論でも駒井先生が委員長だったときに、「受験私学と公立高校の両方から生徒を受け入れた立場にあった和医大の学長でもあった駒井先生から見て、和歌山県の公立高校をどう見られるか」と質問したとき、駒井先生が「私見ではあるが、受験私学で勉強してくる子どもよりも公立学校から来た子どもの方が確かに先へ伸びる」と答弁したことがあった。これは共通したことである。和歌山の20年前からの高校政策と今PISAが言っていること、秋田県のこと、駒井先生が言われたこととは相当矛盾がある。そのあたりがこれから議論になっていくと思うが、教育長はどんなに考えているか。

《答弁者》 教育長
   きのくに教育協議会は、いろんな角度からもっと本音で深く話し合ってもらいたいということでお願いしている会である。初めのころは、お互いかなり遠慮をして本音がなかなか出なかった。それで、もっと突っ込んだ本音の話をしてほしい、もっと過激な意見が出てもいいじゃないかということでいろんな研究会等で明らかになっている資料を出した。今後も、回数は多くとれないが、小グループに分けてできるだけ全員が発言できる中で議論をしようということで進めている。皆さん方のいろんな立場から見ての和歌山県のこれまでの行政の総括になっていけばいいと思っている。

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《質問》 雑賀光夫 副委員長
 子どもの貧困の問題にかかわってかつてこの場でも、学校の先生というのは行財政に強くないので、事務職員の方が自主的に就学援助について勉強して学校の先生たちをカバーしているという話を紹介したことがある。就学援助の問題については、校長や現場の先生などが制度をよく知って、そして、この子には就学援助した方がいいかなということがあれば積極的にやれるようにした方がいいのではないかと話をしたことがある。
 その後、いま就学援助が大きな問題になっている中で、私の提言がどのように生かされているか。

《答弁者》 教育センター学びの丘所長
   就学援助制度については、平成20年度から、県教育委員会から各市町村教育委員会あてに通知している就学援助制度の説明資料を新任校長研修で配付して周知を図っている。

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◇ 議案に対する採決
議案第84号 平成22年度和歌山県一般会計補正予算
議案第98号 財産の取得について
は、全会一致で原案可決
◇ 請願に対する採決
議請第7号 教育改革についての請願
は、継続審査すべきものと決定
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