10年9月和歌山県議会
議案に対する反対討論
松坂英樹



2010928

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   日本共産党県議団を代表して、議案第102号、110号、115号、116号、133号に対する反対討論をさせていただきます。
   議案第116号は関西広域連合の規約案であり、議案第102号の補正予算案には、その設立のための予算が含まれています。
   関西広域連合については、予想されるメリットやデメリット、県民への周知などの検討すべき点をあげ、慎重に対応するよう求めてきましたが、一部の県が参加を見合わせる中、和歌山県として設立に参加する規約と予算が提案されたものであります。

   知事は、関西広域連合の設立意義として、関西の復権をはたすための広域連携をすすめる主体をつくること、国からの権限委譲の受け皿づくりをめざすと説明されてきました。しかし、近畿知事会を構成する奈良県、三重県、福井県が加入しておらず、また、防災、観光、産業振興などで大きな力をもつ近畿4政令市が加入していないことは、関西広域連合そのものの存在の必要性に疑問を投げかけるものとなっています。
   そもそも、関西広域連合の規約案で示されている広域事務は、防災や観光など、現在すでに府県間協定が行われている事務であり、新たに広域組織をつくって事務をすることは屋上屋を重ねることにもなり、経費の増大にみあった行政効果が期待できない懸念があります。
   そして何よりも、順次拡大していく事務として、大阪湾岸の開発を中心とした近畿圏広域地方計画、社会資本整備重点計画などが位置づけられていますが、関西の復権を大阪湾ベイエリアの大規模開発に求めていることに重大な問題があります。

   関西広域連合は、近畿2府8県4政令市と関西経済連合会などの経済団体でつくる「関西広域機構」という官民連携組織の分権改革推進本部で設立をめざした議論が重ねられてきました。もともと関西経済界がリードして、道州としての「関西州」の実現をめざして運動をすすめてきたものであり、関経連の関西ビジョン2020においては「関西での広域連合へのとりくみが、道州制導入に向けての議論を深め、実現させる先駆けとなる」とし、関西広域連合を関西州に向けての一里塚としてきました。
   先の8月27日に開かれた分権改革推進本部会議において、道州制につながるとの批判をかわすために、広域連合が道州制に転化するものではないとし、知事もこのことを議会答弁で強調しましたが、同時にこの会議は「道州制については広域連合の活動実績を積み重ねた上で検討していく」と、道州制への道を否定しない立場をとっています。また政府は、今年6月に策定された地域主権戦略大綱において「道州制についての検討も射程にいれていく」とし、日本経団連との作業部会を設置しています。
   大阪では規約案上程にさいし、府当局から府議会への説明資料において、「道州制導入に向けたコンセンサス形成にも有効であることから早期実現に向けて取り組む」と明記されています。この間の議論の中で、広域連合を作るメリットが具体的に見えてこないとか、小さく生んで大きく育てるというが一体どこへ行こうとしているのか、こういった疑問が出される中、一部の不参加県を残してでも見切り発車を急ぐねらいが、この「道州制導入へのコンセンサス形成に有効であるから」という表現に端的にあらわれているのではないでしょうか。
   道州制は、国の国民生活に対する責任を放棄し、国民生活における道州間の格差、道州内の格差をいっそう広げるものとなり、わが党は反対の立場です。道州制が展望できる府県域をこえた新たな広域自治体づくりには賛同できません。

   次に、議案第110号「県国民健康保険広域化等支援基金の設置、管理および処分に関する条例の一部を改正する条例」は、国民健康保険の広域化をすすめるものです。
   国保の広域化は、市町村国保の「財政改善」や国保料(税)を均一にすることなどが目的とされていますが、市町村による一般財源の繰り入れや独自減免などの保険料・医療費の負担軽減策をなくし、保険料(税)の値上げにつながるものとなります。国民健康保険制度における財源難の、主たる要因は国庫負担の削減にこそあり、そこを転換せずに広域化だけをすすめても、県民負担が増大するだけとなることから賛成できません。

   議案第115号並びに133号は、補正予算にともなう市町村負担金を求めるものであり、県事業における市町村負担金のいっそうの軽減を求める立場から反対であります。以上をもって反対討論を終わります。
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議案に対し反対討論する松坂県議=9月28日、和歌山県議会