2009年(平成21年)度決算認定反対討論    藤井健太郎
議会中継録画 (0600)                                      20101216
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 議案第120号、平成21年度和歌山県歳入歳出決算の認定について、及び議案第121号平成21年度和歌山県公営企業決算の認定について、反対の立場から意見を述べたいと思います。
 平成21年度、一般会計の当初予算では、歳入歳出の差し引きで62億円の収支不足が生じる見込みでしたが、決算の結果は61億5400万円の余剰となり、実質収支では26億円の黒字決算となりました。税収と地方交付税が減少するもとで、県債への依存が高まり、一般会計、特別会計合わせて、県債残高は8732億円と増えつづけています。また、21年度は国の経済対策により国庫支出金を主な財源として、一般会計で625億円の増額補正となりましたが、翌年度繰越が前年度比較で2倍の425億円、不用額は同じく1.5倍の93億円となっています。
 決算に見る県民生活の状況は、個人県民税、県営住宅使用料、高校授業料、進学奨励金などの滞納や未返済が増え、事業所数の変動では21年度の工業統計調査速報で、県内の製造業の事業所数は前年より215事業所、従業員3,739人の減少となり、毎月勤労統計調査での21年度平均給与は過去10年間で最低となっていて、県民生活の厳しさがますます深まっていることがわかります。
 一方、21年度は、経済対策としての国からの交付金315億円を原資に介護職員の処遇改善、緊急雇用の創出、子育て支援など16の基金が設置され、さらに地域活性化のための臨時交付金143億円が交付されました。これらは地域経済へのテコ入れとして、県内中小事業者の仕事づくりや県民のくらしをささえるために活用されるべきものでありますが、一部に残念な結果となった事業もありました。
 雇用の創出をすすめるための緊急雇用、ふるさと雇用の基金事業において、最終補正予算に対して、80%の執行に終わっています。厚生労働省の雇用創出数の全国調査では、緊急雇用、ふるさと雇用合わせると全国下から2番目の雇用創出数となっています。学校へのデジタルテレビやパソコンを購入する臨時交付金を活用しての事業では、地元中小事業者への発注割合が13%と全国最低クラスとなっています。全国平均は53%で、同規模の事業金額で100%地元発注とした県があることを考えると、地域に支えられている学校で利用する物品発注のありかたとして、安易であったと言わざるを得ません。
 また、高齢者ができる限り在宅で生活できる住環境の整備をすすめることを目的として、所得税非課税世帯を対象に住宅の整備に要する経費を補助する高齢者居宅改修事業が平成8年度より実施されています。当初、100万円の補助限度額であったものが、平成16年度には60万円に、そして21年度からは40万円に削減されました。対象者が、介護保険の要支援、要介護認定者で、改修内容も介護保険の給付対象の範囲ときわめて限定されていることから、高齢者の人口比率、とりわけ1人暮らしの高齢者の比率が高まるもとにあって、使い勝手が悪いものとなっています。21年度の利用者は65人、383万6,000円で一人あたり6万円の事業となっています。事業の目的にふさわしい制度設計にかえていくことが必要だと思います。
 和歌山北港に延長1000m、事業費300億円で、国直轄事業として防波堤築造工事が平成12年に着工し、完成年度を決めずにすすめられています。県の負担金は50億円で、すでに24億円を支出し、21年度は4000万円の負担となっています。この防波堤の主たる目的は、関西電力のLNG火力発電所稼動に向けたLNGタンカー入港のためのものであり、発電所建設のメドもない中にあって、防波堤だけが作り続けられているというのは、不用不急の工事と言わざるを得ません。
 公営企業決算に、土地造成事業会計があります。本来、公営企業会計は独立採算制で運営されるべきものでありますが、21年度、一般会計から1億5700万円の補填が始まりました。目的は資産価値の変動調整のためというものです。21年度は、収益18億5800万円、費用24億4400万円で、差し引き5億8600万円の損失となっています。前年度と比較して大幅に収益は伸ばしていますが、売却は時価で、費用となる製造原価は造成費用、簿価で、ということになっており、売却すればするほど損失額が大きくなるという結果になっています。これでは、企業会計として破綻していると言わざるを得ません。未造成の土地2.1haを含め未処分地64haの活用と企業債残高114億円の償還見とおしについて説明できるようにしておいていただきたいと思います。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

2010年12月議会    藤井健太郎プロフィール、質問一覧