2010年12月県議会 総務委員会 藤井健太郎委員の質問概要記録
2010年12月14日
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

《質問》 藤井健太郎 委員
 高齢化の進展に伴い身体の自由が利かない方が増えてきており、投票したいが投票所に行けない方の選挙権を保障する観点から、何か考えていく必要があるのではないか。
 この間題については、県選挙管理委員会から国に対し要望・意見を出せると思うがどうか。

《答弁》 選挙管理委員会事務局長
 誰もが投票しやすい環境づくりは大変重要なテーマであると考えている。
 障害者に関する投票環境方策全般について国で検討会が設置され議論されているところである。
 選挙管理委員会としては、まずは国の議論をしっかりと見守っていくとともに、例えば投票所でスロープを設置するとか、座ったままでも記載できる記載台を整備するなど、対応できることについては、市町村選挙管理委員会と連携しながら取り組んでいく。

《質問》 藤井健太郎 委員
 いくつか不合理と思う点について述べておきたい。
 例えば、郵便投票は、下肢や体幹、内臓などそれぞれの障害の程度により対象者が限定され、1級や2級の方は利用できると広報されているにもかかわらず、「総合2級」では利用できない。
 また介護保険の要介護度「5」の方は対象となっているが、少し歩ける方ならば要介護度「4」や「3」にすらならない。しかし実際には投票所まで何Kmかあり、行くことが困難な方が多くいる。
 これらの問題は早急に是正できるのではないか。有権者の選挙権を保障するため、時代に応じた形にしていかなければならない。投票を抑制しているのかと感じる。
 選挙管理委員会も承知のこととは思うが、できることはすぐにやってもらうよう国に強く申し入れてもらいたい。

《答弁》 選挙管理委員会委員長
 高齢化が進む環境の中でそれに対応していかねばならないのは委員指摘のとおりである。
 ただ、現実問題として、選挙管理委員会が、どこで基準となる線を引くかということが大変難しい点である。
 かつて、郵便投票を行う際、投票管理者や投票立会人がいないため、不正が多発した時期がある。そういった経緯を踏まえると、管理執行の面と現実社会への対応を如何にしていくかという面とで議論がなかなか煮詰りにくいところがある。
 要介護度の問題も現行の「5」だけでは厳しく、現実には「4」でも対応すべきといった点について、国で議論されていることと思われる。直ちに対応できていないとの指摘はもっともだが、そういった動きを見極める必要がある。
 何分、選挙無効まで発展すると大変なこととなる。我々としても国の基準を守ることが求められており、踏み出しにくい面がある。
 提言のあった「移動投票所」については、市町村では相当な人員の配置や選挙の公正性の確保が問われるところである。また特定地域のみ対応することが難しく、良い点だけを捉えて直ちに実施する訳にはいかない現実があるので、これからも市町村と十分議論していきたい。
 また、近畿の選挙管理委員会連合会で議論していくなど努力していきたい。
…………………………………………………………………………………………………………………
《質問》 藤井健太郎 委員
 関西国際空港だが、今回スキームが発表され、それに対し県も意見を出しているが、経営統合した上で上物会社と下物会社を株式会社方式で運営することについて、県は関空会社にずっと出資しており、伊丹の問題も含めて空港のあり方というものを議論してきている。結局、この形で伊丹空港と関空の運営がどうなるかという案は国から出ているのか。

《答弁》 関西国際空港対策室長
 去る11月22日に第2回の意見交換会で、初めてこの統合案が国から提示された。委員指摘のとおり、上下分離された統合事業運営会社と、関空土地保有会社のキャッシュフローがどのように回っていくかについては、現在国から説明されていない。和歌山県をはじめ各団体は、次回12月下旬に予定されている意見交換会で、お金の流れなどについて国から説明を聞いた上で判断していくと考えている。

《質問》 藤井健太郎 委員
 お金の流れはそうであるが、伊丹と関空の役割分担というような空港の利用について、県の意見では伊丹空港は中・短距離の国内近距離路線専用とすることとしているが、国からの運営方針や計画は出ていないのか。

《答弁》 関西国際空港対策室長
 空港の運営は、国100%出資の統合事業運営会社という形で、民間の視点で運営されていくが中身は明らかにされていない。
 本県は、先ほど部長から説明したように、関空を国際拠点空港にするという大きな目標はあるが、民間の視点で運営する中でも、現在の国際線は関空に限る、伊丹空港は中短距離に限る、というすみ分けの中で最大活用をすべきであるという意見を出している。

《質問》 藤井健太郎 委員
 ゼロからの出発と言うことか。

《答弁》 企画部長
 有利子負債を減らすために、運営会社が民間の視点を入れて経営するというところに一番問題があるわけである。運営会社の運営利益ですべての負債を解消していくわけだから儲けていかなければいけない。儲けるためには、今ある伊丹空港をフル活用する可能性がある。フル活用という中には、国際線の就航という可能性があるので、民間経営で過度な営利目的に走らないために、国際線と国内長距離線は関空に限定すべきであるという要望を行ったところである。

《質問》 藤井健太郎 委員
 国が責任を持って航空行政を行うということだが、そこに協議の場を設定し地方自治体の意見を反映させていく必要があるのではないか、それぞれの空港をどう活用するのか、それぞれの地域の振興とどう結びつけていくのか、といったトータルな議論が必要だと思うが、国として関空と伊丹についてどう運用するのかという方針は出ていないのか。

《答弁》 企画部長
 国から示されているのは、負債を減らすため民間の視点を持って経営を行うということだけである。

《質問》 藤井健太郎 委員
 航空行政として関空の位置づけをどうするのかという国の明確な方針が必要である。有利子負債を減らすというのは、単に経営の問題であり、空港という社会資本と地域経済の振興と結びついたインフラ整備をどうするのかといった大きな話は、赤字黒字にかかわらず当然必要であると思うが、そういった観点からの方針が示されたり、地域自治体との協議の場が設定されるたりすることになるのか。

《答弁》 企画部長
 関空をどうするかという大きな航空行政の問題は、成長戦略会議の中で「関西国際空港を首都圏空港と並ぶ国際拠点空港とする」とされている。しかし、運営の問題として有利子負債を減らすという話がある。
 関空を国際拠点空港とするが、有利子負債も減らす必要があるというところにこの間題がある。
 基本的には関空を国際拠点空港にするということが重要で、守られるべきであり、守っていただきたいと申し入れている。
 地元意見の反映の仕方については、事業運営会社の株式を持って入っていくという方法もあるが、難しいため、協議会を設けて意見を言うとか、色々方法があろうと思うので、積極的に地元の意見を入れられるシステムの構築について申し入れていきたい。
…………………………………………………………………………………………………………………
《質問》 藤井健太郎 委員
 地上デジタル放送について、いよいよ来年7月24日アナログ放送が終了するのだが、難視地域がまだ残っている。現在、共聴施設を含めどう対応するかを各地域において議論されているところである。
 基本原則として県民負担、自治体負担に転嫁させず国と事業者の責任という原則を貫くことが必要だと思うが、その一つとして22年度国の補正予算で住民税非課税世帯に対してチューナーを配布する予算が成立した。
 22年度補正ということで早ければ来年1月から始まると思うが、その進め方や周知の方法、非課税世帯の方にもれなく配布できる保証はどこにあるのか。
 また、そのために解決すべきことはなにか。「県民の誰もが地デジを見られる」という基本姿勢に立った取り組みについて聞きたい。

《答弁》 情報政策課長
 22年度国の補正として、市町村民税非課税世帯に対してチューナーを配布する施策が認められたところである。現在、施策の詳細は正式に決まっておらず、検討中となっているが、事前情報を収集しながら対応していこうとしているところであり、県民の皆様に広く知っていただけるよう、テレビでの告知についても依頼しており、また市町村と連携し、具体的な周知の方法も検討していきたい。

《質問》 藤井健太郎 委員
 現実的にどんな方法でチューナーを手に入れることが出来るのか。

《答弁》 情報政策課長
 市町村役場に申請書を配置し、申請者は住民票と世帯全員分の市町村民税非課税証明書の発行を受け、申請をセンターにしていただくことになる予定である。

《質問》 藤井健太郎 委員
 ということは、市町村に負担がでてくる。住民票の写しなどを揃えるには費用が発生する。その点でもスムーズにいくかという懸念がある。チューナーが配布されても取り付けは自分でしなければならない。それぞれの段階において、細かい作業や経費負担が発生する。証明書を用意する費用を無料にするといったことはできないか。

《答弁》 情報政策課長
 非課税世帯にチューナーを配布する詳細なスキームは示されぬまま補正予算が通ったが、市町村では「市町村民税非課税世帯」を把握することが出来ないという問題があり、市町村に負担をかけることなく対処するよう、国に強く求めてきたところである。そうした要望なども踏まえ、可能なものとして、今回の方法になったものと聞いている。

《質問》 藤井健太郎 委員
 非課税世帯の抽出をしないということだが、非課税世帯の方々は自分がそれとわかっていれば申請し、チューナーが送られてきて取り付けることが出来るということでよいのだろうかと思う。非課税世帯を市町村がわかっていれば、該当者に配って取り付けることができるというような方法はできないか。

《答弁》 情報政策課長
 市町村では非課税世帯を把握できないということで、手続きの方法も検討し、現実的な方法を全国的な要望を元に作っていると聞いている。
 いずれにしても、新たに認められた施策を活用しないということにはならず、市町村と連携して、活用されるよう進めていきたい。

《要望》 藤井健太郎 委員
 個人が非課税であることはわかっても、世帯が非課税であるかを把握できないということがわかりづらいところだが、本来なら、非課税世帯に個々に配布して設定してあげることが必要であり、県民や自治体負担にならないよう、手立てを県として国に要望願いたい。
…………………………………………………………………………………………………………………
《質問》 藤井健太郎 委員
 財政課長から歳入の説明があり、人勧分と国の経済対策分の増額補正ということであった。22年度の地方交付税についてどういう状況であるのかということを聞きたい。12月の予算書を見ると、12月補正で地方交付税の普通交付税で予算化されているのが1463億円ということだが、国の22年度の補正予算の中で1兆3000億円という交付税を出し、1兆円は来年度に送って3000億円は今年度で分配するという話もある。22年度の交付税の確定額と12月補正で地方に分配される交付税額は、全て予算計上はされていないわけなので、実際に予算計上されている額との差額は留保財源、要するに埋蔵金ということになり、最終補正とか決算でどう処理するのかということになるかと思うが、その金額というのはどのくらいあるのか。

《答弁》 財政課長
 交付税の現状については、委員の指摘のとおり国の補正等による追加交付があり交付額が現計予算額を約106億円上回るという状況になっており、臨時財政対策債を含めた実質的な交付税では約98億円上回る状況になっている。

《質問》 藤井健太郎 委員
 98億円の留保財源があるということになるが、あとはこの98億円をどう活用していくのかと今後なろうかと思う。12月補正はこの形でできているので最終の2月補正でどうしていくのかということになるのだが、一方税収の見込みというのもあると思う。昨年度は最終補正で60億円ほど減額補正をしたが、22年度の税収の見込みというのはどうか。

《答弁》 税務課長
 22年度の県税収入は754億円ということで見積りを行っているところであるが、現時点での調定状況等から見ると法人の企業収益に回復傾向が見られること等から、当初予算をどうやら確保できる見込みであると考えている。今後も県税収入の確保に最大限努力するとともに、県税の収入動向を注視していきたいと考えている。

《質問》 藤井健太郎 委員
 県税収入がほぼ予算どおり確保できるということであれば、留保財源の98億円が手元に残るが、おそらくこれをどう使うかという議論はたくさんあると思う。高金利の県債の繰上償還に充てるとか、財調、県債管理基金に積立てるとかいうことが多々あると思うが、私としては県下の経済状況から見て景気回復に資するような、そういう事業に充てる予算として活用するというのも是非進めてほしい。また国の交付金もくるが、地域活性化交付金の和歌山県の配分はいくらかということはもう出たのか。

《答弁》 財政課長
 国の補正予算で決定された地域活性化交付金については、まだ内示額は示されていない。

《質問》 藤井健太郎 委員
 おそらくそれも数十億円という単位で、国のパイを見れば過去の経験からすれば20億円くらいは期待できるのかなという感じはするわけだが、それと合わせるとざっと120億円の留保財源がある。一般財源で120億円というのはかなりの金額になるので、それは県民要望に応えていくという形で是非事業予算として執行してほしい。地域活性化交付金はおそらく事業予算で執行されるだろうが、それ以外の交付税の留保財源についてもそういう形で各部局で県民要望をよく聞いて、それを景気対策に資するという観点、知事は働く場の拡大というのを第一に考えているので、内需を掘り起こすという点で使えるようなところへ予算配分をしてほしいと考えている。当局の考えはどうか。

《答弁》 財政課長
 実質的な交付税で上回っている額の今後の使用用途は、当然今は検討中であるが、先ほど委員から指摘のあった将来の公債費負担を抑えるために22年度の当初では取り崩すこととなっている県債管理基金の繰り戻しや退職手当債などの交付税措置がない起債の発行額を減らすことと合わせて、今後2月補正で必要となる財源としての活用など、委員から指摘のあったことも踏まえて、23年度の経済状況等も考えながら2月補正に向けて検討を進めていきたいと考えている。

《要望》 藤井健太郎 委員
 私が言ったことも含めて検討するということだが、是非検討してもらって実現できるようにしてほしい。今は行革推進プランというのもやっているが、それに対しても21年度でも成果はプラン以上に上がっている。かといって、それを低めるということにもならないわけだが、しかし今本当に県民が必要とするところへこの留保財源を活用して施策を広げていく、新しい施策を作るというところも是非留意して進めてほしい。借金返済とかに回すということも将来に向けて大事なことだと思うのだが、当面やるべき仕事である県民向けの施策に予算を振り向けるということで当該部・事業課から要望が上がってきたら対応してほしい。

◇ 議案に対する採決
議案第134号 平成22年度和歌山県一般会計補正予算
議案第143号 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を
        改正する条例

議案第149号 当せん金付証票の発売総額について
議案第152号 和歌山県民文化会館の指定管理者の指定について
議案第153号 和歌山県国際交流センターの指定管理者の指定について
議案第170号 平成22年度和歌山県一般会計補正予算
議案第176号 平成22年度和歌山県一般会計補正予算
については、全会一致で原案可決

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2010年12月議会    藤井健太郎プロフィール、質問一覧