2010年12月県議会 雑賀光夫 一般質問        2010年12月9日

1.経済活性化シンポジウムにかかわって
(1)大企業が地域にもたらす問題
・東燃ゼネラルの「撤退」問題
・大企業誘致への補助金のあり方について
(2)内航海運について
・内航海運事業者への支援について
・内航海運業への金融支援について
(3)大規模店舗と町づくりについて
・買い物難民対策
・町づくり新法にもとづく取り組みでの商店街の悩みについて
(4)住宅リフォーム助成制度など「仕事を増やす」施策について
・「働く場をもっと増やす」を第一にあげた知事挨拶について
・現行の耐震などリフォーム助成は、利用をどう広げるのか
・枠を取り払った「住宅リフォーム助成制度」を導入してはどうか
(5)紀美野町でりら創造芸術高等専修学校とともに進められている世界民族芸術などの取り組み
   について

(6)「人の心に貯金する」についての感想
(7)このたびの「経済活性化シンポジウム」を生かしていただきたい(要望)

2.高校生の就職問題について
(1)今年の高校生就職の状況
(2)学校内および社会的な対策
(3)県庁内の緊急雇用について

3.プレジャーボート係留施設についての取り組み
(1)プレジャーボート係留施設の整備状況
(2)係留施設関連道路などの整備について
(3)海南市に過重な負担をかけることはないのか

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1.経済活性化シンポジウムにかかわって
《質問》 雑賀光夫 県議
 議長のお許しを得ましたので、質問にはいらせていただきます。
 第一の柱は、地域経済活性化の問題です。
 いま、どこに行っても業者のみなさんからは「仕事がない」という嘆きがきかされます。そんななかで、10月30日、海南商工会議所ホールをお借りして私たち共産党海南海草議員団がよびかけ、「みんなで考えよう!地域経済活性化シンポジウム」を開催しました。その報告書(PDFファイル)を、お手元にお配りしています。
 シンポジウムには、角谷 勝司・海南商工会議所会頭、大谷 雅己・下津町商工会会長、中村 修史・紀美野町商工会会長、そして吉井英勝・日本共産党衆議院議員がパネラーとして参加いただき、私は、「開会あいさつ」として、日ごろ考えていることをお話させていただきました。
 商工会議所・商工会の3トップは、べつに共産党を応援していただいているわけではありません。それでも、私たちの立場から見ると、地域経済活性化のためにとりくんでおられる、商工会議所・商工会とそのトップのみなさんとお話しすると、私たちとして大いに共感できるところがある。
 下津の商工会を訪問したときです。たまたま東大阪市で共産党員市長であった長尾淳三さんといっしょだったのですが、長尾さんが市長をしていたころの東大阪市では、市内の事業所を悉皆調査で市の管理職の方が訪問したそうです。地域の民商でも海南市にそんなことを要望している。その話を聞かれた下津商工会の役員さんは「うちの商工会でそれをやろうと検討している」というお話です。商工会が、地域の小規模零細企業のめんどうを実に良く見ていることに感動しました。
 海南市よりも高齢化・過疎化がすすむ紀美野町は大変です。そんななか夏祭りや農業商工祭りに呼んでいただきますが、商工会をはじめとする町民のみなさんが力を合わせていると感じます。商工会の中村会長は、和歌山市や紀ノ川市にいくつもの洋品店をひらいておられる事業家ですが、紀美野町の自宅に本社を置いておられる、こよなくふるさとを愛する方です。
 商工会議所の会頭をなさっている角谷さんをサンコー本社に訪ねました。
 家庭用品業界が中国で生産しているなかで、サンコーは、国内での生産をおこなっています。10年ほど前に、中国に進出する会社と国内でがんばる会社に分けて、角谷さんは国内での生産に徹してこられたそうです。
 最初に工夫した商品は、袋状になっていた便座カバーを便座の上に貼り付けるようにしたもの。その後、奥さんや子どもの様子を見ては、「こんなものがあれば喜ばれる」と工夫して商品を開発されます。
 帰りに頂いたのは、「人の心に貯金する」という題の自伝でした。家に帰って一気に読みました。
 中学校を出ただけで商売に飛び込まれた角谷さんが、どんな苦労をし、何を考えてやってきたのか。事業を引きつぐ人に伝えたいことが書かれています。人生論としても地場産業の歴史としても、面白いと思いました。
 その後お会いした折りに「あの本を子どもたちに読ませたいですね」というお話をしました。そして、その後、シンポジウムを開くのに、「ぜひパネラーに」とお願いに上がりました。角谷さんは「商工会議所というのは、一党一派に偏らない市民党ですよ」といわれて、パネラー参加を了承してくださったのです。
 それだけではありません。「人の心に貯金する」の本を100冊梱包して、「どうぞ使って下さい」とおっしゃるのです。
 早速、山口教育長にも海南市教育長にもお渡しして、県立図書館・海南市民図書館にも置いていただくことにしました。さらに、小中学校・高校・公民館に一冊ずつ置いてもらっています。
 中学校の先生におききすると、これまでも地元の中学校でこの方に生徒に話をしていただいたことがあるそうです。「ヤンチャ坊主が一番目を輝かせて聞いた」と退職教員仲間からお聞きしました。
 こうした、地域の経済界のみなさんの活動に私たちが共感した、みなさんの活動に私たち共産党が考えていることと響きあうものがある。そのことが、今回のシンポジウム成功の基礎にあったと思うのです。
 今日は、このシンポジウムでみなさんから提言されたこと、私からお話したことについて、県当局にも一緒に考えていただくと言う立場で、質問いたします。

(1)大企業が地域にもたらす問題
・東燃ゼネラルの「撤退」問題
 開会あいさつで、東燃ゼネラルの撤退の心配について、私たちも東京まで行ってきたことを報告しております。私は松坂議員などとともに、吉井英勝衆議院議員のお世話で東燃ゼネラル本社や経済産業省に出向いて、有田地方や海南市の立場を訴えてまいりました。経産省は、知事はもちろんですが、海南市、有田市の市長さんや商工会議所などが働きかけをなさっていることを重く受け止めているということでしたが、予断を許さないと感じました。このシンポジウムの翌日が、東燃ゼネラルが計画を提出する期限だったのですが、これから3年間のあいだに検討するというか、有田市にとっては、戦々恐々としながらすごさなくてはならないような内容のようです。県としては、現時点ではどういう分析をしておられるのか、どう対応されるのか、知事にお伺いいたします。


《答弁》 知事
 東燃ゼネラルの和歌山工場につきましては、海南市、有田市をはじめ、地域の雇用・経済面を中心に大いに貢献していただいていると認識しております。
 私は、エネルギー供給構造高度化法に基づき経済産業省が石油精製業の供給過剰構造の改善をしようとしているという情報を入手致しましたので、それ以来ずっと有田精油所を守るべく努力してきました。
 経済産業省、それから東燃ゼネラル石油(株)の社長等々と面談を致しまして、様々な方法で和歌山工場の存続を働きかけてまいりました。
 この基準に対応した東燃ゼネラル石油(株)の計画、これは10月末が期限でしたが、現在のところ公表されておりませんが、入手した情報を総合致しますと、現段階では和歌山工場の縮小等を示したということはございませんで、引き続き全体でですね、どういう風に対応するか具体的に検討してまいるという風になっていると承知しております。
 今後とも、工場が撤退し地域経済が衰退することのないよう、私に課せられた義務として、持てる人脈とノウハウを駆使し、常に必要な手段を講じていきたいと考えております。


・大企業誘致への補助金のあり方について
《質問》 雑賀光夫 県議
 このたびの問題では、東燃ゼネラルに問題があったわけではなく、国の新しい法律との関係からこういう問題が起こったのですから、東燃ゼネラルが有田市から撤退しなくてもいいような支援を経済産業省にも要請して来たのですが、大企業の中には、自治体から多大の支援を受けながら、利益追求のために無責任な行動をとる場合もあります。亀山市から一部撤退したシャープ工場の問題について、吉井代議士が、パネラーとしての発言でふれています。シャープ亀山工場については、一時期、ばら色に宣伝され、私も平成21年2月の防災特別委員会の視察で行ったことがあります。あのころまでは、全国各県が、多額の補助金を積み上げて誘致合戦をしました。木村前知事のころでしたが、和歌山県も「100億円の補助金」をぶち上げました。あの補助金のシステムは、今も続いているのでしょうか。平成8年の予算委員会で、私は無責任な撤退をさせない協定を結ぶべきだと主張し、当時の商工労働部長は、「その必要はない」と答弁されました。シャープ亀山のような問題が起こらないような保証は、とりつけているのでしょうか。


《答弁》 商工観光労働部長
 企業誘致につきましては、中小企業、大企業にかかわらず、優良な企業の誘致に積極的に取り組んでいるところであります。
 亀山市を例として、急激な景気後退が地域経済に与えた影響を見るとき、多様な分野からなる産業構造が必要であり、その有力な形成手段として企業誘致が必要であると考えております。
 本県の企業誘致にかかる補助制度については、誘致企業の大小に関わらず、本県の立地環境を踏まえ、きめ細かく企業ニーズに対応できるものとするため、絶えず見直しをしているところです。
 なお、実施要綱において、返還義務を明記し、企業の一方的な撤退について歯止めをかけるとともに、進出協定において地元企業との連携等、地域に根ざした企業活動を促進しているところであります。


(2)内航海運について
《質問》 雑賀光夫 県議
 下津の商工会の大谷会長さんから、内航海運振興についてのご意見が出されています。「報告書」の6ページに、船舶業者・船舶数の表があります。内航海運ですから、高知県など太平洋に面した県はすくないのですが、瀬戸内海の面した県の中では、和歌山県は船舶数でもたいへん少ない。県下の船舶の3分の2が、下津港区で保有されています。内航海運という地場産業は、あまり目立たないのですが、下津では、数あるミカン農家に匹敵する売り上げを誇っている重要な地場産業であると語られています。そして、和歌山県では、金融面での支援が他府県よりおくれているというご意見であります。
 商工観光労働部長にお伺いいたします。

・内航海運事業者への支援について
 第一、「内航海運」という地場産業の状態と和歌山の産業の中で占める位置は重要であると思います。内航海運事業者への支援についてどうお考えでしょうか。


《答弁》 商工観光労働部長
 内航海運事業を含めた県内中小企業者は、地域経済の活性化や貴重な雇用の場の創出など、大きく貢献頂いているものと認識しています。
 内航海運事業者につきましては、貨物等の取扱量や船舶の運搬能力など、その競争力に影響する点を注視し、各種経営相談等に応じるとともに、専門家の派遣や経営革新計画認定などの支援を実施してまいります。


・内航海運業への金融支援について
《質問》 雑賀光夫 県議
 第二、この産業を支援するために、金融についてはどういう施策をされているのでしょうか。
 私は、2月県会で、元気な企業を応援する「成長サポート資金」をもっと使い勝手を良くできないかと申し上げ、貸付金額、貸付期間ともに延長していただいて、また、信用保証協会のご理解もあって、内航海運業者が新しい船を建造するのにも役に立ったと喜んでいただいています。
 しかし、徳島県などとくらべると地方銀行はなかなか、内航海運の船舶振興へのご理解がいただけないというのが、関係者のご意見です。県としてどこまで指導ができるのかはともかく、地域の銀行によって、とくに徳島県にくらべて、船舶の担保価値評価の違いと言うものがあるのでしょうか。


《答弁》 商工観光労働部長
 県の中小企業向け融資制度につきましては、農林水産業やサービス業の一部などを除く幅広い業種を対象に、経営の安定化や事業の活性化に必要な資金の円滑な調達を目的に実施しており、内航海運業についても対象となっております。
 本年2月議会での議員からの質問でもお答えさせていただきましたが、県の制度融資につきましては、中小企業の皆様の資金需要などを踏まえ、毎年、制度の見直しに取り組んでおり、他府県と比べても手厚い支援措置を講じているところでございます。
 なお、県は、金融機関を直接指導・監督する立場にはございませんので、地元金融機関の担保評価については、関与すべきものではないと考えております。


(3)大規模店舗と町づくりについて
・買い物難民対策
・町づくり新法にもとづく取り組みでの商店街の悩みについて
《質問》 雑賀光夫 県議
 シンポジウムでは、フロアーからも貴重なご意見が出されています。
 海南市の商店街の会長さんからのご意見ですが「大店法規制緩和廃止で大型店舗が郊外でもうけて、商店街はシャッター通りになっている。中心市街地にもどってきなさいという法律ができたが、活性化基本計画について、総理大臣の認定を貰うのがむずかしい」といわれます。
 海南市の中心商店街では、ショッピングセンター・ココが閉店し、町の中心部で「買い物難民」ということが言われるようになりました。その対策は、県・市・商店街・地域住民など、それぞれの立場からの対応が必要だと思いますが、県としてはどういう対応を考えられているでしょうか。また、商店街の役員さんが「認証をもらうのが難しい」と言っておられる問題は、どこにネックがあるのか。商工観光労働部長のお考えをお聞かせ下さい。


《答弁》 商工観光労働部長
 大規模店舗と町づくりについてございますが、買い物難民、または買い物弱者につきましては、高齢化社会の進展等から社会的な問題となってきており、国の緊急総合経済対策におきましても、その対策が予算化されております。
 具体的には、高齢者等が徒歩で外出し、買物行為を行うことに困難を感じる人が多い地域で継続的に行う宅配や移動販売等の事業に対し、国が補助を行うもので、商工会等の公的団体だけでなく、民間事業者でも市町村や他の事業者との連携を条件に補助対象としております。
 今年5月、海南市の中心部にあったショッビングタウンココの閉店に伴い、買い物に不便を感じている方がおられると聞いております。
 県としましては、海南市をはじめ関係機関に情報提供を行い、国の制度の周知を図っており、今後、事業の要望状況を踏まえ、海南市とともに支援して参りたいと考えております。
 次に海南市中心市街地活性化基本計画(案)の国の認定につきましては、平成21年度に内閣府と事前協議を行った際、既存商店街に人を引き込む戦略、人を呼び込むための魅力づくりが不十分との指摘があり更に、事業全体としては、認定を受けることにより国の補助金が受けられる事業、国が支援することが望ましいと思われる事業が見受けられないといった指摘もあって認定に至っていないと聞いております。
 県としましては、これまでも中心市街地活性化協議会に参加し、策定に関わってきておりますので、指摘のあった課題が克服され、当計画が認定を受けられるよう引き続き支援して参ります。


(4)住宅リフォーム助成制度など「仕事を増やす」施策について
・「働く場をもっと増やす」を第一にあげた知事挨拶について
《質問》 雑賀光夫 県議
 下津の塗装業者の方から、「住宅リフォーム助成制度を海南市や和歌山県でもやってほしい」というご意見がだされました。
 この問題は、私も9月県会でとりあげ、その再発言で、経済効果が大きい岩手県・宮古市の例を紹介しました。宮古市の資料を、「報告書」16ページに載せています。
 この12月県議会冒頭、知事あいさつの第一に、「働く場をもっと増やす」ということを上げて、「日本一といわれる振興策を講じてまいります」と強調されたことに私は注目しました。
 この間、知事選挙がありました。知事は、多くの県民の皆さんにお会いになられたことと思います。私たちは、自分では分かっているつもりでいたことでも、県民のみなさんから生の話を聞くと、認識を新たにするということは、よくあることです。
 そこで「働く場を増やすために」「県庁の英知を結集し、日本一の施策を講じ」るために、いま、どういう手を打っておられるのかとお聞きするつもりだったのですが、そのものずばりの質問が、昨日、多田議員からございまして、知事の答弁をお聞きしました。
 「県内企業の技術開発、異業種交流、積極的な販売促進」をはじめ、おっしゃられることはいいことなのですが、いま求められるのは、長期的な経済活性化・雇用拡大とともに、経済不況のもとでの緊急経済対策だと思います。その点でも「日本一」というような施策を考えておられるのか、知事にお伺いいたします。


《答弁》 知事
 これにつきましては、産業振興が重要なことから、技術開発や販路開拓による企業振興の充実、国内外からの企業誘致の促進などにより、雇用の場の拡大に努めておりまして、また一方、観光や農林水産業をはじめとして、各産業別にきめ細かな振興策を実施しているところであります。これもどんどんレベルアップをしていかないといかんと思います。
 加えて、これらの産業の発展を支えるインフラ整備についても力を入れておりますが、これについても引き続きがんばらなければいけません。
 また、一方、基金の活用、この基金というのは国がくださった基金なんですが、この基金活用により雇用創出を図るとともに、経済5団体等への求人拡大要請、企業情報をはじめとした就職関連情報の提供、ミスマッチ対策等を実施しているところでありまして、今後とも雇用の確保に全力で取り組んでまいります。
 このような成長政策に加えまして景気にも配慮してまいりました。一例はリーマンショックの際のセーフティーネットを中心とするような政策金融拡充、あるいは、公共事業を1.5倍に拡大していることなどであります。この点も看過することなく今後とも色々なアイデアは、様々な観点からよく検討してまいりたいと考えております。


・現行の耐震などリフォーム助成は、利用をどう広げるのか
《質問》 雑賀光夫 県議
 その施策のひとつとして、住宅リフォーム助成制度が、ひとつの有効な施策ではないかというのが、次の質問項目になります。
 シンポジウム以後、海南市の建設業協会の役員さんとも懇談いたしました。いま、住宅の新築となるとナショナル住建など大手になかなか太刀打ちできない。しかし、住宅リフォームの需要をほりおこすことは大変いいのではないかという意見がでました。古いものを直ぐにつぶしてしまうのでなく、リフォームして使う。資源の有効利用としてもいいことです。
 とくに、景気対策の補正予算がくまれるときですし、83億円もの留保財源もあることですから、それを5倍、10倍の需要をひきだす施策につかうということは、ぜひとも実現していただきたいと思います。
 第一に、9月県会の質問への知事の答弁では、耐震・バリアフリーなどの限られたリフォームには取り組まれていくということです。しかし、私が指摘したように、耐震リフォームは、昨年度は、たった61件しかない。話にならない。これを大幅に引き上げる施策は、あるのでしょうか。


《答弁》 県土整備部長
 現行の耐震などのリフォーム助成につきましては、従来から木造住宅の耐震改修に対する助成制度の拡充に努めてきたところでございます。
 更に補助対象の拡大などの拡充策を検討しているところでございます。
 また、今回の国の補正予算により、従来の補助金に加え、更に上乗せすることが可能となっております。
 これらの制度拡充により、県民の方々のご利用を促進し、木造住宅の耐震化の普及に努めてまいります。


・枠を取り払った「住宅リフォーム助成制度」を導入してはどうか
《質問》 雑賀光夫 県議
 第二は、期間限定でもいいから、全国で大きな成果をあげている、幅広く利用できる「住宅リフォーム助成制度」を取り入れられたらどうかと思いますがいかがでしょうか。
 以上二点、県土整備部長からお答えください。


《答弁》 県土整備部長
 現在、県及び市町村では喫緊の課題でございます住宅の耐震化などの施策目的に応じた助成制度を実施しているところでございます。
 県といたしましては、このような助成制度をできるだけ利用していただく様、各種制度をわかりやすく説明する冊子を作成するとともに、総合的な相談窓口を設置して、助成制度の周知に努めているところでございます。
 今後とも、各種助成制度の有効な活用を図り、それぞれの施策目的の達成に努めてまいりたいと考えております。


(5)紀美野町でりら創造芸術高等専修学校とともに進められている世界民族芸術などの取り組みについて
《質問》 雑賀光夫 県議
 紀美野町商工会の中村会長から、過疎の地域での活性化をめざすいくつかの取り組みが報告されました。その一つ一つに県の支援がいただきたいのですが、今日は、紀美野町でリラ創造芸術高等専修学校とともにすすめるとりくみについて、お伺いしたいと思います。
 リラというのは…歌や踊り、舞台芸術などを学ぶ学校です。
 私も今年の世界民族祭の前夜祭で、前の紀美野町の教育長さんとならんで舞台をみたのですが、数年前に紀美野町真国小学校あとにリラ専修学校がやってきたとき、「何か宗教団体でも来るのと違うか」という心配をされる方もいて、説得に苦労したとおっしゃっておられました。
 しかし、若い人たちがやってきて、芸術を学ぶ、地域に先頭芸能もまなんで地域にとけこんだ。紀美野町の祭りにも出演する。民族祭の会場には、リラと地元で開発したお菓子もうっている。
 最初の入学生7人が卒業したのですが、卒業式には私も出席しましたが、卒業生一人一人が自分の言葉で、リラでの体験を語ります。それを聞きながら、本ものの教育があると感じました。今年は18人もの新入生があって寄宿舎が足りなくなった。そこで、休校になっている志賀野小学校を寄宿舎にという話になってきているんだけれども、「真国の地元の方は、みんな行ってしまうとさびしくなるから、真国にも寄宿舎を残してほしい」といっておられるともお聞きしました。
 紀美野町でも奥のほうにある過疎の地域で、すばらしい自然や地域の人々にとけこみながらすすめられているとりくみ。多くの方が、民族祭のボランティアで参加しています。県庁職員にもお会いしました。
 県として、こうした取り組みをどう評価し、どういう支援をなさっていかれるのか、地域振興や文化を担当される企画部長にお伺いいたします。


《答弁》 企画部長
 りら創造芸術高等専修学校についてでございますが、同校は教育の一環として、五穀豊穣を祈る田楽「真国御田の舞(まくにおんだのまい)」を復活させたり、さらには地元の特産品づくりに協力するなど地域に根ざした活動を展開しております。
 これらの活動が地域に受け入れられ、本年開催の「世界民族祭in真国」は、子供から老人まで大勢が参加する地域ぐるみのイベントとなっています。
 こうした若者が移り住み、地域の人々と交わることで生まれる地域を元気にする効果は、数値で表される以上のものがあり、過疎・高齢化に悩む地域の活性化の一つのあり方と評価しております。
 真国地区では、地域住民が同校と連携しながら、自らの課題として過疎対策に真摯に取り組んでいただいておりますので、今後とも、地元自治体と連携し、同地区の再生・活性化を積極的に支援してまいります。


(6)「人の心に貯金する」についての感想
《質問》 雑賀光夫 県議
 山口教育長に「人の心に貯金する」の本をお届けしたとき、私の携帯にお礼のお電話を頂き、「海南に立派な方がおられるんですねえ」とおっしゃった。私のところにくる教育委員会の幹部の方が、「教育長に薦められて読みました」とも言ってくれていました。私が「子どもたちに読ませたい」と思い、角谷さんから託された100冊の本を配って回っていることに、おそらく共感いただけていると思っています。山口教育長の感想をお聞かせ下さい。


《答弁》 教育長
 角谷勝司さんがお書きになりました「人の心に貯金する」という自伝を読んでの感想をお尋ねいただきました。
 日本中が貧しかった時代ではありますが、戦争で父親を亡くされ、一家の家計を支えるため、中学校を卒業後、地元産品の問屋に住み込みで働き、人付き合いが一番苦手だった少年が、本人の努力とアイデアによって苦労を乗り越えていく物語には、深い感銘を覚えました。
 とりわけ、売り込み先のお店で、番頭さんたちに相手にされず、黙って立って待っている間に、脱ぎ散らかされた履き物をそっと揃えておいた、これはお母さんからそのように教えられていたそうでございますが、そのことが店の主人の目にとまり、初めて声をかけてもらい、商談が成立したというくだりは、そのような気配りを大切にし合う心や文化が生きていたということに、胸が熱くなる思いがいたしました。
 また、国際的な競争が激しくなる昨今、ひたむきに、喜んでもらえる余所にない製品とサービスを磨いていけば、必ずお客様の気持ちを掴み、難局を打開できるという不撓の精神は、角谷さんの努力と誠実で常に前向きな生き様に裏付けられたものでございまして、不況に直面している地元産業関係者のみならず、私たち教育関係者や子どもたちにとっても、学ぶべきことがたくさんあると感じた次第でございます。


(7)このたびの「経済活性化シンポジウム」を生かしていただきたい(要望)
《要望》 雑賀光夫 県議
 最後に、私たちが開いた「経済活性化シンポジウム」は、私たち共産党議員団がよびかけ、共産党国会議員も参加し、私たちとは政治的立場はちがうが地域経済について真剣に考えていらっしゃるみなさんとが語り合うと、肝胆相い照らしたというところに大きな意義があります。報告書を知事にもぜひお読みいただきたい。要望としますが、もし、感想などありましたら、お聞かせください。

・まとめ
《要望》 雑賀光夫 県議
 経済活性化、地元を元気にする、雇用を増やすという問題は、立場の違いに関わらずお互い共通の思いだろうと思っています。
 知事がおっしゃった「仕事を増やす日本一の施策」について、昨日、さらに今日も答弁していただきましたがまだまだ抽象的で、具体化はこれからだと思っています。それに加えて私は、景気対策という立場からも日本一の施策を考えないのかと申し上げました。
 もちろん緊急経済対策として基金を使い公共事業をするといった、いろいろなことはあります。しかしそれに加えて私は、全国的にも大きな成果をあげている住宅リフォーム助成にどうして目を向けないのだろうかということが、なかなか理解できません。秋田県では大きな成果を上げているといわれていますし、岩手県議会、宮城県議会でも全会一致で請願が可決され、これから進むでしょう。きのうの赤旗新聞に、山形県も来年度から住宅リフォーム総合支援事業ということで7億円あまりの予算を組むと、あちらの県土整備部長が言われている報道がありました。
 いま国から景気対策予算が来ているわけです。保留財源は83億7900万円ある。そこへ今度、さらに補正で22億円上積みされると聞いております。これは一般財源ですから何でも使えるわけです。借金の返済や将来のために基金を積み立てるということもあるでしょうが、しかし景気が悪いからということで景気対策としてお金がきているわけです。それを有効に使うことを、まず考えるべきです。
 例えば83億円、さらに22億円積まれた一部でも基金にして、3年間ぐらい住宅リフォーム助成制度をやれないのか。期間を切った施策ですから永続的なものにはなりませんが、エコポイントだって期間を切って、今やはり大変だからやるわけでしょう。そういうものは考えてもいいのではないか。それをそのまま公共事業に使うのとは違い、助成金にして県民の懐からお金を引き出すわけですから、5倍にも、うまくいけば10倍にも経済効果を持つ施策です。これをぜひとも当初予算で検討していただきたいと思います。
 9月に答弁されたときよりも、さらに新たな国の予算も付いたわけですから、前の答弁にかかわりなく新たな検討がなされると思います。ぜひとも当初予算ではこれを実現していただきたいと要望します。


2.高校生の就職問題について
(1)今年の高校生就職の状況
(2)学校内および社会的な対策
《質問》 雑賀光夫 県議
 第二の柱は、高校生の就職問題です。
 和歌山労働局の調べでは、10月末現在、就職内定率は微増ですが、新宮市や海南市のように10%以上落ち込んでいる地域もあります。また、高等学校教職員組合のアンケートには、きびしい状況とともに、「昨年より微増。就職支援相談員な活動によるもの」という報告があり、教育委員会が配置された相談員ががんばっておられることが伺われます。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 第一に、今年の高校生の就職見通しはどうでようか。
 第二に、学校の中での高校生の就職への支援は、どうでしょうか。昨年からの就職アドバイザーは、そのまま残していただいている先の文教委員会でお伺いしました。そのほかに、高校生が資格を取って就職しやすくするなどの支援も、他府県でおこなわれたこともあると聞いていますが、そういうことも含めて、どういう支援をされるのでしょうか。


《答弁》 教育長
 今年の高校生就職の状況につきましては、昨今の雇用状況の悪化に伴いまして、本年10月末現在の高校生の就職内定率は、57.5パーセントと、前年同時期を1.9ポイント上回ってはいるものの、依然として厳しい状況が続いてございます。
 こうした中でも、県内には、求人のニーズはあるけれども、満たされていないという企業もたくさんあるとうかがっており、現在配置しております就職支援員と教員とが協力しながら、こうした企業の情報収集や求人開拓を行うとともに、生徒や保護者が多様な職種に視野を広げて就職先を探すよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。
 また、資格取得につきましても、わかやま版「地域産業の担い手育成プロジェクト」事業を実施し、企業の方を学校に招き、専門的技能の指導を受けたり、資格につながる内容を授業に取り入れたりするなど、各学校で工夫しているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、就職を希望する高校生を支援するため、県内を5地域に分けて、「きのくに人材育成協議会」を設置し、学校、ハローワーク、県労働関係部局、経済団体等が、就職関連情報の共有等を行い、それぞれの機関の取組が有効に機能するよう努めているところでございます。
 また、和歌山労働局及び県労働関係部局と連携し、10月には知事を筆頭に、経済5団体に対して今年度2度目の求人拡大を要請するとともに、現在、県内約1,200の事業所へ個別訪問を関係部局と協力して実施しているところでございます。
 今後とも、一人でも多くの生徒の希望が叶うよう、全力を挙げて取り組んでまいります。以上でございます。


(3)県庁内の緊急雇用について
《質問》 雑賀光夫 県議
 第三は、就職先を開拓する問題です。教育委員会としてどういう取り組みをされておられるのでしょうか。
 第四は、昨年も実施された100人を限度とする県庁での緊急雇用であります。来年も、この制度は、継続していただきたいと思いますが、この点も、昨日、多田議員から同趣旨の質問がありました。来年も緊急雇用を続けていただけるように要望するとともに、「成果ならびに課題を検証して」といわれた、どういう課題があると考えておられるのか商工観光労働部長にお伺いします。


《答弁》 商工観光労働部長
 高卒未就職者の臨時雇用の今後の対応を検討する上で、課題としましては、職場における研修やジョブカフェ等におけるより効果的な支援の内容、高校生本人の職業観の醸成、卒業校との連携などが考えられます。このような課題並びに成果を検証しながら、現時の高校生の雇用情勢を注視しつつ、今後の対応を検討してまいります。


《要望》 雑賀光夫 県議
 高校生の緊急雇用の問題で課題があると昨日聞いたので、何か難しいことがあるのかと思ったのですが、ご説明いただきますと課題は前向きに進めていけるものだと思いました。また県としても雇用するだけではなく、職業に就くためにサポートをしっかりやっていただいている点は大変ありがたいと思います。県のサポート、それから卒業させた高校側のフォローも含めてしっかりとこの緊急雇用された卒業生の面倒をみていただきたい。このことを関係者にお願い申し上げ、緊急雇用はぜひとも来年も続けていただけるように要望しておきます。


3.プレジャーボート係留施設についての取り組み
(1)プレジャーボート係留施設の整備状況
《質問》 雑賀光夫 県議
 第三の柱は、プレジャーボートの係留場所設置の問題です。
 私は多くのプレジャーボートなどが、海南市周辺に無秩序に係留されている問題をとりあげ、津波防災の立場からも規制をお願いしました。
 この問題には、すぐに対応していただいて、規制条例が制定され、暫定的な置き場になっている場所のボートも登録され、係留場所が設置されればそちらに移されることになっています。
 ここで新たな問題が起こっています。県との役割分担で海南市が主体となってプレジャーボートの係留施設設置を進めようとしていた事業について、民主党政権がすすめる事業仕分けの影響なのか、海南市があてにしていた係留施設への補助金が採択されなかったのです。この係留施設は、遊びのための船の問題でなく、津波のときに船が凶器になることを防ぐ、防災の施設として位置づけられるものです。
 第一に、係留場所の整備は、どのようにすすんでいるのでしょうか。


《答弁》 県土整備部長
 当該事業につきましては、平成22年度の新規事業として国に要望を行っておりましたが、「みなと振興交付金」の廃止等により、事業実施が認められませんでした。県といたしましては、平成23年度予算に向けて、海南市と協議の上、「社会資本整備総合交付金」事業に切り換え、事業実施に向けた要望を行っているところでございます。


(2)係留施設関連道路などの整備について
《質問》 雑賀光夫 県議
 第二に、係留場所設置にかかわる周辺道路整備は大丈夫なのかと言うご意見をお聞きしましたが、どうなっているでしょうか。


《答弁》 県土整備部長
 海南市が、整備計画に基づき、係留施設の整備と併せて一体的に整備していくこととしております。


(3)海南市に過重な負担をかけることはないのか
《質問》 雑賀光夫 県議
 第三に、事業仕分けの関係で、国の補助金はいろいろ変転もあったようですが、海南市に過重な負担を強いるような心配はないのでしょうか。


《答弁》 県土整備部長
 先ほど申し上げましたとおり、平成23年度予算において、市が国の補助を得て事業を実施できるよう、要望を行っているところでございます。以上でございます。


《要望》 雑賀光夫 県議
 いろいろご答弁がありましたが、国の補助金事業になるように要望いただいているということです。これができればいいのですが、県はせっかく条例をつくっていただいたのですから、海南市に過重な負担をさせるわけにいかない。最後まで面倒を見ていただけるようにお願いしておきます。

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2010年12月議会
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10年12月県議会、雑賀光夫 一般質問=12月9日
10年12月県議会、雑賀光夫 一般質問=12月9日