2011年6月和歌山県議会 意見書・決議
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和議第7号
            原発・エネルギー政策の抜本的見直しを求める意見書(案)

 東京電力・福島第一原子力発電所で発生した事故は日本社会に深刻な不安と被害をもたらし、世界の人々にも大きな衝撃をあたえている。
 原発事故には他の事故にはみられない「異質の危険」があり、ひとたび事故が発生し放射性物質が外部に放出されるとそれを抑える手段は存在せず、被害を空間的、時間的、社会的に制限できない他に類のないものである。
 いま世界では、ドイツやスイスが期限を決めた原発の全面廃止を決断し、イタリアでも国民投票で原発復活への反対票が圧倒的多数を占めるなど原発撤退への動きが広がり、日本でも国民世論は原発の「縮小・廃止」が圧倒的多数へと劇的に変化している。
 以上のことをふまえ、国に対し次のことを強く要望する。

                              記

1 原発の新増設計画は中止も含めて見直すこと。
2 定期点検中などにより停止している原発については地元同意のない限り再稼働させないこと。
3 自然エネルギーの本格的導入と低エネルギー社会への移行に向けて国をあげて取り組むこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成23年6月30日
                                             和歌山県議会議長 新島 雄

                                                       (提 出 者)
                                                        雑賀 光夫
                                                        松坂 英樹
                                                        角田 秀樹
                                                        山下 大輔
(意見書提出先)
 内閣総理大臣
 経済産業大臣

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和議第8号 

         震災からの復興に向けた補正予算の早期編成を求める意見書(案)

 3月11日に発災した東日本巨大地震・大津波被害からの本格的な復興は被災地のみならず、日本経済全体の復興を意味することとなる。わが国全体が非常事態である今、政府が迅速に復興に向けた大規模な補正予算を編成し、執行していくことが、被災者に安心を与え、自治体が躊躇なく的確な事業を実施することにつながる。したがって一刻も早い復興に向けて更なる補正予算を編成し、本格的な復興に向けた力強いメッセージを内外に発出することは、国会及び政府に課せられた重大な使命と考える。
 しかしながら、菅直人総理は5月16日の衆院予算委員会で「拙速は気をつけなければならない」などと述べたが、本格的な復興に向けた早期の大規模な補正予算編成は、一刻も早く復興を願う国民の期待や、復旧・復興に向けて活動する被災民の気持ちに応えるものである。
 このような中、6月2日、内閣不信任決議案が提出され、否決されたものの、現在は、与党の民主党内でも、菅政権への信頼は失われつつあり、混乱を極めている。
 よって、菅直人総理は、すみやかに退陣し、このたびの未曾有の大災害から一刻も早い復興を実現するため、新しい体制で第二次補正予算を編成し、早期成立を図るよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成23年6月30日
                                             和歌山県議会議長 新島 雄

                                                       (提 出 者)
                                                        中村 裕一
                                                        長坂 隆司
                                                        角田 秀樹
                                                        山下 大輔
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 財務大臣
 内閣官房長官
 国家戦略担当大臣
 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

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和議第9号

 教育基本法・学習指導要領の目標を達成するため、最も適した教科書の採択を求める決議(案)

 教育基本法及び学校教育法の改正並びに学習指導要領の全面改訂を受け、文部科学省は、平成21年、新しい教科用図書検定基準を告示した。
 これらの中で、教科書は、公共の精神を尊び、国家・社会の形成に主体的に参画する国民及び我が国の伝統と文化を基盤として国際社会を生きる日本人を育成するため、豊かな情操と道徳心、伝統と文化の尊重や我が国と郷土を愛すること等、教育基本法に示す教育の目標と一致するよう求めている。
 和歌山県教育委員会は、教科書採択に当たり、教科用図書選定審議会の答申を受け、「教科用図書採択基準」及び「教科用図書選定資料」を作成し、各市町村教育委員会に参考資料として示している。また、それに基づいて各市町村教育委員会が教科書の選定・採択をするよう求めている。
 昨年3月には小学校の教科用図書検定結果が発表され、昨年度に小学校の教科書採択は終了しているが、本年度においては中学校の教科書採択が行われる。
 よって、本県議会は、県教育委員会において下記の事項を実施するよう強く求める。

                              記

1 審議会の答申を踏まえ、教育委員会の委員その他学校関係者に教育基本法及び学校教育法の改正並びに学習指導要領改訂の趣旨について周知徹底を図ること。
2 教育基本法の目標及び学習指導要領の目標や内容を達成し得る「教科用図書採択基準」及び「教科用図書選定資料」を作成し、それに最も適した教科書を採択するよう、各市町村教育委員会を指導・助言すること。
3 各教育委員は、それぞれの責務において、法律の定めるところにのっとり、主体的に教科書の採択を行うこと。

以上、決議する。

  平成23年6月30日
                                                      和歌山県議会

                                                       (提 出 者)
                                                        中村 裕一
                                                        長坂 隆司
                                                        角田 秀樹
                                                        山下 大輔

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和議第10号

                地方財政の充実・強化を求める意見書(案)

 東日本大震災によって、東北・関東では多くの自治体が甚大な被害を受けた。
 今後は、自治体が中心となった復興が求められる。また、全国の経済状況は依然として停滞しており、地域の雇用確保、社会保障の充実など、地域のセーフティネットとしての地方自治体が果たす役割はますます重要となっている。
 特に、地域経済と雇用対策の活性化が求められる中、介護・福祉施策の充実、農林水産業の振興、クリーンエネルギーの開発など、雇用確保と結びつけ、これらの政策分野の充実・強化が求められている。平成23年度政府予算では地方交付税について総額17.5兆円を確保しており、平成24年度予算においても、震災対策費を確保しつつ、平成23年度と同規模の地方財政計画・地方交付税が求められる。
 このため、平成24年度の地方財政予算全体の安定確保に向けて、政府に次の通り対策を求める。

                              記

1 被災自治体に対する復興費については、国の責任において確保し、自治体の財政が悪化しないよう各種施策を十分に講ずること。
2 医療、福祉分野の人材確保をはじめとするセーフティネット対策の充実、農林水産業の再興、環境対策など、今後増大する財政需要を的確に取り入れ、平成24年度地方財政計画・地方交付税総額を確保すること。
3 地方財源の充実・強化をはかるため、国・地方の税収配分5:5を実現する税源移譲と格差是正のための地方交付税確保、地方消費税の充実、国の直轄事業負担金の見直しなど、抜本的な対策を進めること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成23年6月30日
                                             和歌山県議会議長 新島 雄

                                                       (提 出 者)
                                                        中村 裕一
                                                        長坂 隆司
                                                        角田 秀樹
                                                        山下 大輔
(意見書提出先)
 内閣総理大臣
 総務大臣
 財務大臣
 経済産業大臣
 内閣官房長官
 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

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和議第11号

                当面の電力需給対策に関する意見書(案)

 3月11日に発生した東日本大震災に伴い、東北電力・東京電力管内地域は原子力発電所の停止などにより電力供給が大幅に減少した。さらに、中部電力浜岡原子力発電所の停止要請等により、夏場の電力不足問題は東日本のみならず全国的な問題に発展している。
 電力供給力不足は国民生活や日本経済全体に大きな影響を及ぼすこととなるため、政府は今夏の電力需給対策に加え、将来的な新エネルギー戦略を見据えた施策を速やかに打ち出す必要がある。しかしながら、政府の電力需給対策本部が5月に発表した対策では国民に節電を呼び掛けるばかりで、節電のインセンティブが働くような施策が盛り込まれなかった。
 夏場の電力不足を前に政府及び国会は、予算措置を含めた電力需給対策を早急に打ち出すべきである。
 よって政府及び国会におかれては、下記項目について速やかに実現を図るよう強く要望する。

1 自家発電設備、太陽光発電・蓄電池、太陽熱利用システムの導入補助を大幅に拡充すること。
2 LED照明設備の導入補助や、エコポイント制度の復活等、国民に対して節電のメリットが実感できる施策を早急に実施すること。
3 稼働中の原子力発電所の災害対策について、政府として早急に指針を示し、安全対策を講じること。
4 電力需給のひっ迫が長期化することを踏まえた、法制度の見直しや運用改善について早急に検討し、必要な事項を実施すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成23年6月30日
                                             和歌山県議会議長 新島 雄

                                                       (提 出 者)
                                                        中村 裕一
                                                        長坂 隆司
                                                        角田 秀樹
                                                        山下 大輔
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 財務大臣
 経済産業大臣
 内閣官房長官
 国家戦略担当大臣

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和議第12号

            和歌山県立医科大学の正常化を求める意見書(案)

 和歌山県立医科大学は、和歌山県の医療に係る臨床・教育・研究の中心的な役割を担う機関である。現在は、公立大学法人として独立した組織であるが、その運営には公金が投入されており、運営にあたっては法令等を遵守することは当然であり、経営の合理化及び透明化に努めなければならない。
 しかるに、先般和歌山県監査委員の監査により、規程を無視した不適切な事務処理があったことを指摘されたことは、誠に遺憾である。
 大学当局は、県民の信頼を回復すべく、監査結果報告書の指摘を真摯に受け止め、適切な防止策を講じるとともに、県当局との意思疎通を図り、地方独立行政法人として自浄能力を高め、経営の正常化・健全化に取り組むことを強く要望する。

  平成23年6月30日
                                             和歌山県議会議長 新島 雄

                                                       (提 出 者)
                                                        中村 裕一
                                                        長坂 隆司
                                                        角田 秀樹
                                                        山下 大輔
(提出先)
 公立大学法人和歌山県立医科大学

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