2011年6月県議会 総務委員会 松坂英樹委員の質問概要記録
 627日(月)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
《質問》 松坂英樹 委員
 県立医科大学の監査のあり方について、本会議の一般質問でも随意契約の問題についての一般質問もあり、今、代表監査委員から不適切な随意契約への指摘を行った旨の報告があったところだが、県立医科大学が独立行政法人となってから、県の監査は、どうなったのか、今までと同じように行っているのか。

《答弁》 代表監査委員
 地方自治法において、県の直接の機関に対し、監査委員は、年に一回定期監査を行わなければならないと義務づけされている。県立医科大学の場合は、平成18年度から公立大学法人となり、監査委員の関わり方として地方自治法上、県が25%以上出資している団体に対しては、監査をすることができると定められており、県立医科大学は、県が100%出資している団体で、当該団体に該当する。当然、監査をすることが出来るわけだが、出資団体については、数が多く、これまでは、3〜5年に1回監査を行っている状況であり、県立医科大学に対しては、財援団体等の監査基準に基づき、昨年実施したところである。

《質問》 松坂英樹 委員
 25%以上出資している法人は数も多いし大変だと思うが、県立医科大学は、今も言われた100%出資なので、25%程度の他の法人と同列に扱うのではなく、3〜5年に1回とはいわずに、毎年、監査を実施する必要があると思うがどうか。

《答弁》 代表監査委員
 全くそのとおりであり、県立医科大学の場合、県から毎年約40億円もの運営交付金が支出されていて、かつ医大全体で決算額約300億円という大変大きい法人であり、今回の監査により、長年にわたりこのような随意契約が行われていたことが判明したので、今後は県の機関と同様に、毎年、監査をしていく必要があると考え実施して参りたい。
…………………………………………………………………………………………………………………
《質問》 松坂英樹 委員
 県民の方から「県の入札制度が改革されたと聞くが、一方で、地元の業者からはなかなか仕事がとれないと不満の声も聞く。県内業者の声を聞いて改善されたところもあるとのことだがよくわからない。だから一般の県民にもわかるような、やさしい解説を県民の友などで掲載して欲しい」という意見をいただいた。
 県の制度や事業は専門的なことも多く、それだけに広く一般の県民にも理解を広げていくことは大事で、機会を捉えて県民の友などで解説記事を工夫してわかりやすく提供してはどうか。

《答弁》 広報課長
 県民の友は、県の施策を親しみやすい紙面でわかりやすく伝えることを基本方針として制作しており、県民の皆さんが今何を知りたいのかということを、私どもも情報収集に努めているところである。
 委員指摘の入札制度改革等についても、県民の皆様が関心ありということなので、わかりやすく解説するような紙面を検討したいと考えているが、かなり専門的なところもあり、限られた紙面でどういった形で解説を加えるか、また掲載のタイミングも含め、担当の県土整備部と調整しながら検討を進める。
…………………………………………………………………………………………………………………
《質問》 松坂英樹 委員
 地デジ対策の関係について、2月議会でも取り上げ、アナログ停波を控えて県内の地デジ対策の到達点や課題を聞き、アナログ停波の延期も提案したところである。停波まで1か月を切った中で、テレビを見られない方がないよう万全な対策を願いたいが現状はどうか。まだ対策がされていない要対策世帯はどれくらい残っているのか。今後対策はどうしていくのか。

《答弁》 情報政策課長
 地デジ対策については、誠実に努力しているところだが、5月末時点で対策未定箇所711世帯67箇所にまで減らしてきている。こちらについては、すでに国の暫定的難視対策を利用できるよう対処している。新たな難視がまた発生してきているが、それについても極力早く対応できるよう、国のデジサポなどを活用しながら市町村と連携して十全に対応していきたい。
…………………………………………………………………………………………………………………
《質問》 松坂英樹 委員
 携帯電話のエリア拡大について、携帯電話のつながらない地域の解消に向けてかなり努力も事業化も進んだと思うが、到達的課題を示すとともに、さらにエリア拡大に取り組んでもらいたい。
 一方で携帯電話の鉄塔が建ったが、携帯電話がつながらないという意見も聞いている。先日、生石高原の山開きの会場で、大勢の観光客や行政・報道関係者が集まったのだが、ここは、つい最近ドコモの中継局が開設されたばかりである。ドコモはつながるがauやソフトバンクの携帯電話はつながらない。これを何とかしてはしいという声が関係者の間から聞かれた。
 このようにドコモだけでなく、他のキャリアにも中継局の開設をしてエリア拡大をするよう積極的に働きかけるべきであると思うがどうか。

《答弁》 情報政策課長
 携帯電話について、私が赴任した時には携帯電話が全く利用できない地域が多数あった。1つでも使えるように不感地区の解消に取り組んできた。事業者・市町村とも連携し進めてきたところである。
 委員指摘のとおり、1つは利用できるようになったが、まだすべてが利用できない所について、事業者としては採算性を見ているため、簡単にエリア拡大とはならない現状がある。ただ、携帯電話事業者は採算性を見る一方、競争性の観点でもエリア拡大を検討しているので、地域のニーズについては事業者に伝えて、働きかけていきたい。
…………………………………………………………………………………………………………………
《質問》 松坂英樹 委員
 選挙を通じて過疎地域を回ると、話題になるのが過疎集落支援総合対策事業であった。その中で、期待感や苦労とか各方面の方から聞くが、特に計画策定中である有田川町の清水地域の取組で、共通して話題となるのが、交通手段の確保という問題である。
 かろうじて残っている路線バスの便数が極端に少ないし、町のコミュニティバスはなかなか使い勝手が良くない、一方で有田川沿いを最近走り始めた観光客用の無料バスというのがあるが、これが殆ど空っぽで走っていてもったいないという声や、スクールバスももっと活用できないのかという声も出てくる。
 今回の事業を通じてなんとか良い知恵を出して解決し、医療機関へ通う交通手段の確保や買い物難民の解消につなげたいという願いが強く、交通システムの関係は様々なところとの調整も必要になってくると思うが、この事業を活かして計画や取組、現在の状況がどうなっているか聞きたい。

《答弁》 過疎対策課長
 有田川町での過疎集落支援総合対策の取組であるが、委員指摘の旧清水町においては、現在、八幡、西八幡、四村・粟生、安諦の四つが過疎生活圏ということで、具体的に寄合会を設置して、日常生活機能の確保、地域の活性化に向けて、地域住民が主体となって、様々な議論を進めているところである。
 そうした議論の中で、委員指摘のように生活交通の確保は、一つの大きなテーマとなっている。当地の現状は、路線バスが国道480号を1日6往復、安諦地区については1日3往復で運行している。
 それとコミュニティバスについては、4つの生活圏の中に12の路線があり、基本的には、1路線あたり1週間に1往復というような運行形態となっている。
 こうした現状を踏まえて、寄合会での主な意見としては、「コミュニティバスの運行本数が少ない」、「運行時間が医療機関の診療時間と合っていない」、また「停留所まで遠くて高齢者の負担となっている」、「買い物も一緒に行えるような循環バスというものを走らせてほしい」というような様々な意見が出ている。
 更には、「自分達が自家用車を使って住民を運送する、いわゆる過疎地有償運送について取り組んではどうか」という意見も出ている。
 一方で、有田川町では、町全体の交通体系の見直し作業において、コミュニティバスと過疎地有償運送の可能性を含め、寄合会での議論と平行する形で検討が進められているところである。
 いずれにしても、高齢化が進んでいる過疎集落においては、高齢者の通院、買い物、社会参加等を支える生活交通は非常に重要であるので、寄合会での議論を踏まえながら、県としても積極的に支援していきたいと考えている。
…………………………………………………………………………………………………………………
《質問》 松坂英樹 委員
 消防士の資格取得と県消防学校について何点か聞きたい。
 先日、地元自治体の消防本部で状況を聞く機会があり、最近の複雑・多様化する事故や災害現場に対応できるよう消防隊員も様々な能力向上のための訓練や資格の取得に取り組んでいるということである。
 例えば、水難事故に対応する潜水隊員として業務にあたろうとすれば、潜水の講習、資格が必要になる。また、交通事故や災害時にレスキュー車にユニックというクレーンの付いたものが最近は配備され、作業をする時にもクレーンの免許や玉掛けの免許が必要になる。長い海岸線や河川、ダムを持ち、自然災害の多い和歌山県であるが、県内での潜水隊の編成及び任免状況、潜水の資格、クレーン、玉掛けの資格の取得状況はどうなっているのか。

《答弁》 消防保安課長
 県内に今、17消防本部あるが、潜水隊については専属の潜水隊はなく、消火隊等の他の所属の隊員に潜水隊の兼務発令を出している消防本部がある。県内の13消防本部で潜水隊の任命発令が行われており、合計約140名で、4月1日現在、1,459名の消防職員の約1割が潜水隊として位置づけられている。
 なお、消防職員として救助するための潜水隊の任命であり、当然潜水士の免許を持っており、県内で約200名が免許を取得している。
 救助工作車は、県内17消防本部で20数台あり、この救助工作車に大小のクレーンが付いている。このクレーンを扱うときにクレーンの免許が必要であり、約280名の消防職員がクレーンの資格を持っている。

《質問》 松坂英樹 委員
 説明された資格を取るために県内の消防隊員は研修期間中、職場を離れ、その間の人員配置に苦労しながら熱心に努力しているということである。
 しかし、和歌山県の消防学校では、残念ながら設備や規模の面で今日的に必要とされている専門的な資格取得の訓練が行われていないとのことであるが、専門的な教育訓練はどうなっているのか。

《答弁》 消防保安課長
 消防職員になった後、6ヶ月間の初任科教育訓練が約半年間続くため、その間は今の消防学校のキャパシティでは他の専門教科を入れることはできない。
 初任科教育終了後、救助、調査、警防、予防等の専科を消防庁の教育訓練実施基準に準じて和歌山県としての教育訓練を実施している。

《質問》 松坂英樹 委員
 消防学校の施設整備について、昨年度に和歌山県の消防長会からも抜本的に何とかして欲しいという要望が出されており、老朽化して耐震診断もアウトという現在の消防学校を、中身の問題でも、ハードの問題でも、時代の要請に応えるべきと思うが、将来的な展望や構想を現在考えているのか。

《答弁》 消防保安課長
 現在の消防学校は昭和52年に開校し、30数年が経っている。
 消防が関わる災害が複雑・多様化し、時代の情勢にあった教育訓練が求められており、老朽化やこれから必要であろう訓練施設を含めた消防学校の施設の再整備が現在の和歌山県の課題となっている。この課題を踏まえて近い将来に課題をクリアできるような施設、設備の整編を検討していきたいと考えている。

《要望》 松坂英樹 委員
 再整備が課題と認識されているので、こういう情勢に応えられるよう検討して、全力で取り組んで欲しい。
…………………………………………………………………………………………………………………
◇ 請願の審査
《意見》 松坂英樹 委員
 請願の紹介議員として、説明と意見を述べる。
 今回の請願は、県内中小業者の女性の方々から、中小業者の自家労賃を必要経費として認めてほしいというものである。
 所得税法第56条は、配偶者やその家族が家業に従事しても、対価の支払いは必要経費に算入しないとされていて、その理由は、国は、事業の会計が計算できていないとか、給料を払う慣行が広まっていないとか、税金逃れになる恐れがあるなどを挙げ、必要経費として認めて欲しい場合は青色申告すればいいという態度である。
 県の課長意見も、それを踏襲したものになっていると思うが、先進主要国の中で、自家労賃を経費に算入していないのは、日本ぐらいで、世帯主が代表して税を納めるという、戦前や明治時代の世帯単位の課税の考え方であり、戦後、シャウプ勧告によって個人単位の課税に変わってきたにもかかわらず、残っている遺物であると考える。
 また、青色申告による経費算入も、青色申告をする褒美として認められているのが現状であり、申告方法の違いに関わらず、基本は認められるべきものである。最近では、国連の女性差別撤廃委員会でも、配偶者の地位が低いとして、取りあげられた問題である。
 いずれにしても、厳しい経済環境の中、人を雇わずに、また雇えず頑張っている中小業者が、圧倒的に多く、その労苦に応えるべきである。自家労賃が認められていないために、配偶者が病気や事故に遭った場合に、所得補償が出ないとか、息子の家を建てる場合も、証明が出ないのでローンが組めないなど、様々な影響も出ており、委員会に参考人を招いて、よく実態を聞くことを提案する。
…………………………………………………………………………………………………………………
◇ 請願の採決
議請第1号 所得税法第56条の廃止についての請願
は、不採択
◇ 議案に対する採決
議案第74号 平成23年度和歌山県一般会計補正予算
議案第75号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
議案第76号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
議案第77号 和歌山県税条例の一部を改正する条例
議案第78号 和歌山県立情報交流センター設置及び管理条例の一部を改正する条例
は、全会一致で原案可決
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2011年6月議会    松坂英樹プロフィール、質問一覧    松坂英樹ブログ