2011年12月県議会 文教委員会 雑賀光夫委員の質問概要記録


12月13日(火)

《質問》雑賀光夫 委員
 今、教育長の報告の中にも、国体で43位という不本意な成績であり、頑張りたいという話もあった。先日、スポーツ議連も開かれて、会長からも危機感を持ったあいさつがあった。国体を4年後に控え、責任を負う県の教育委員会はプレッシャーを大変感じておられると思うが、頑張っていただきたい。
 ただ、国体となると、即戦力になる選手を連れてくることをよくやられるが、競技力を向上する王道は、スポーツの裾野を広げて青少年の体力の向上を図ることであると思う。そういう点、教育委員会はどう考えているか。

《答弁》学校人事課参事
 委員御指摘のように、学校現場に様々な経験を持つ人材を採用し、学校が持つ課題を解決したり、その様々な経験を生かして競技力の裾野を広げていくことは大切なことだと感じている。子どもたちの体力向上やスポーツを好きになる指導がきちんとできる人材を採用することが大切と考えている。

《質問》雑賀光夫 委員
 2006年に国体の問題について本会議で取り上げたことがある。この前のサッカーのワールドカップで海南から初めて駒野選手が最年少で出場したときである。そのときに、海南から駒野、森下、酒本という選手を輩出しているが、それは、海南市の少年サッカーが盛んであること、裾野が広いということが基礎にあって、サッカーの振興と同時に国体のあり方についても質問した。
 そのとき、当時の教育長が、全国初の「和歌山モデルの国体」という言葉を使って、和歌山県の方針についての説明をされた。それは5年前の話であるが、その後、思うようにいかなかったこともあるし、思うようにいったこともあるし、これからも堅持していかなければならない基本的な方針もあり、多少修正もあるとは思うが、その当時言われたことを踏まえて、今、国体に向けてどのような方針であるのか。

《答弁》教育長
 今、委員御指摘の全国初の和歌山モデルというお話をいただいたが、基本的には、国体というのは、知事も県民に発信されているように、元気な和歌山のための国体である。全国初の国体モデルというのがイメージとすれば、先ほど参事が申し上げたように様々な裾野を広げていくということと同時に、和歌山にこんな素晴らしい選手がいるということを発信していくための国体でなければならないのではないかと思う。
 国体に関しては新聞でも様々な課題を指摘されているが、そのような指摘に十分留意しながら、きちんとした形で和歌山らしい人材育成、スポーツ選手の育成、さらに生涯学習にも生かせるような国体の成功に向けて取り組んでいきたい。

《質問》雑賀光夫 委員
 あのときは、「2巡目国体は簡素化、効率化という新しい国体運営の方向性を踏まえ、全国初の和歌山モデルに位置付け、近畿ブロックの広域開催を含め、質の高い特色ある大会を目指すこととする。また、国体の開催を一過性に終わらせることなく、大きな起爆剤として県民スポーツの普及、競技者及び指導者の育成、施設の有効活用、組織体制など、スポーツ振興の確立とスポーツ文化の形成に取り組んでまいりたいと考えている」と答えている。
 近畿ブロックの広域開催は、相手があることで、断られたら仕方ないので、その点は当初の方針からの変更となって、和歌山独自にできるだけ県内に会場を作りたいということもあるし、いろいろ話が出ている。
 国体が近づいてくると、男女総合優勝ということだけが目標になって本来のスポーツのあり方が忘れられる場合があるし、あるいは物が言いにくくなるということが心配である。
 スポーツというのは、より高く、より遠くというふうに上を目指すことは当然である。国体開催を機会にスポーツ施設の整備をすることもいいことである。この間もビッグウエーブを見せていただいて、よい施設ができたと大変喜んでいる。
 しかし、そのことによってゆがみを生んではいけない。国体が近づくと言いにくいから、あえて申し上げる。
 前回の黒潮国体は71年に開催されたが、そのとき私は中学校の教員をしており、体育の授業がマスゲーム一色になった。そこで、体育の授業がおもしろくないということとともに、子どもに体を思いっきり動かすスポーツをさせてやりたいということで、海南市の少年サッカーはそのときから始まり、和歌山県のサッカー選手といえば海南から出るという状況が起こった。そのようなことを5年前の議会で申し上げた。
 国体が近づけば近づくほど全国優勝というプレッシャーがかかってくるし、よりよい成績を目差すことは当然であるが、しかし、原点に戻ることは大事だと思うので、あえて申し上げる。
 今、マスゲームなどの開会行事に小中学生が参加する計画はあるか。

《答弁》学校指導課長
 国体の式典に関しては、国体準備課にも確認しているが、今のところ内容は決まっていない。

《要望》雑賀光夫 委員
 私は、マスゲームに教育的な意義が一切ないと言っているわけではない。私が教育現場にいたころを振り返っても、学校の研究指定校で発表会を行う場合、いざ目前になってくると、発表するからには立派なものを見せたいということで、発表のための発表になるということがあった。学校現場には、教員採用にもゆがみを持ち込まないように配慮しながらスポーツの裾野を広げるような国体にしていただきたい。
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《質問》雑賀光夫 委員
 北高と西高の統合問題について、2つの校舎に分かれた学校になることと、支援学校を併置して運営が大変だろうということで心配がある。本会議でも、教職員の定数配置はどうなるのかという点について質問もありお答えがあったが、ここで少し突っ込んでお伺いしたい。
 新しい北高が2つの校舎に分かれて、平成26年には統合校が完成する。教育長は、定数法に基づく教員の数と言われたが、恐らく70人余りの教員数になると思う。この学校が統合した2校舎の学校でなく、仮に別の学校であった場合、教員の数は何人ぐらい増えるか。

《答弁》学校人事課参事
 西高、北高が今のままで存続して学級数が変わらない場合、教諭の定数は約8名程度の差になると思う。

《質問》雑賀光夫 委員
 統合すると校長の数が減るのはわかるが、教諭が8名もの差になる。もし一方が本校で一方が分校という場合はどうなるか。

《答弁》学校人事課参事
 本校、分校であっても同程度の数になると思う。

《質問》雑賀光夫 委員
 本校と分校であっても、2つの学校であっても、統合した1つの学校になると、校長を除いて教員が8人減る。ところが、2つの校舎に分かれて授業をすると、生徒も大変だし、教員も大変になる。さらに、支援学校が傍にあって交流するということで、新しい試みになる。それがうまくいくのかという心配もあるが、これまでの教育委員会の説明では積極的な意味があるということで、それを期待したいと思う。
 しかし、それでも2つの校舎に分かれるという困難を抱え、さらに支援学校と交流という新しい挑戦をする、そして教員が8人も減るというのはどうかと思うが、教育長はどう考えるか。

《答弁》教育長
 当然、統合すれば教員の数は減るが、今、教育委員会として考えているのは、全国的に新しい先導的な取組であり、標準法に基づき、生徒の実態やカリキュラム等を含めて総合的に検討して、できるだけ子どもたちが生き生きと学べるような配慮をしていきたい。

《要望》雑賀光夫 委員
 「標準法に基づいて」という言葉が必ずつくが、「生徒の実態を踏まえて」という言葉もあった。完全統合するのは3年先の話であるので、今からでも検討して、機械的な定数の配置ではなくて、配慮をしていただきたい。海南・大成や串本・古座も同じ問題を抱えて苦労しているので、よろしくお願いしたい。

《質問》雑賀光夫 委員
 教育委員会は、そういう新しい挑戦のために教員を配置した経験を持っていると思う。
 それは、和歌山高校であるが、かつて和歌山高校は高校入試のレベルで言うと低位の学校であったが、総合学科になったとき、和歌山高校はよみがえったと言われた。この前、西校の2期生の母親が「和歌山高校は、私が高校生のころと変わった」と言っていた。そのとき、総合学科という新しい学科ができることで教育委員会は相当の支援をされた。あのときは、定数法の枠だけでなく、教員数は相当積んでくれたと思うが、どのくらい積んでいるか。

《答弁》学校人事課参事
 平成8年ころの話かと思うが、和歌山高校の定数については、当時、第5次の定数改善があり、年間に30人程度の定数の改善が国の方であったと覚えている。和歌山高校については、全国初の総合学科ということで、普通科・情報科が総合学科に変わる中で、国の改善定数を使って10名程度を増員したものである。

《要望》雑賀光夫 委員
 そのときの条件があるにしても、新しい挑戦だからということで、10名が適当であったかどうかわからないが、基準よりも定数を積んで学校を支援した経験が和歌山県にはある。
 今度の場合は2つの校舎で、しかも支援学校との交流という新しい挑戦もあるので、是非ともそれにふさわしい手当をしてほしい。
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《質問》雑賀光夫 委員
 この日曜日、紀美野町立小川小学校の学習発表会へ行ってきた。児童数は23名だが、講堂がいっぱいになり、地域の方が見守っている大変楽しい発表会であった。公民館でやっているお年寄りの歌のサークルでは、月に1回は子供たちと一緒に歌っているそうである。その皆さんも出演され、癖に学校が地域に支えられているという点に非常に感動した。この学校は、今3学級で、来年1年生が入ってこなければ2学級になるということで非常に心配している。町の教育長も大変心配していた。
 県教育委員会の方針では、これを「過小規模校」という名前をつけて切り捨てる方針があることに対し、前から批判してきた。しかし、地域に学校を残すというのは地域の灯を守ることになる。もちろん、余りの小規模校になると、親の方から大きな学校に行かせたい、統合してほしいとの声が上がることがあり、それには決して否定はしない。しかし、地域で学校を守っていきたいというケースは、県下至るところにある。こういうことを切り捨てて統廃合を支援するというのではなく、地域で学校を守っていきたいという皆さんには、むしろ守っていくよう支援してほしいと思うが、このことについて教育長の考えを聞きたい。

《答弁》教育長
 過小規模校については、現在、少子化が進んでいく中で、どういう学校が本当に学習効果を上げていくのか、子どもたちの成長を促していくのにどういう形がいいのか、地域住民の声を大事にして考えていかなければならないと思う。ただ、地域の声だけだと、どんなに小規模になっても学校を存続させていかなければならないということにもなり、それが県民全体から見て、本当にその地域にとっていいのかどうかということも慎重に考えていかなければならない。委員御指摘のような、切り捨てるという発想は、教育委員会としては持っていない。
 地域で学校をどうしていくのか、地域で子どもたちをどう育んでいくのかという観点から、本年度より共育ミニ集会などの改組を進めている。今後とも、保護者や地域の方々からの意見を十分踏まえながら、子どもたちが和歌山で生まれてよかった、その地域で生まれてよかったという教育を慎重に検討していきたい。

《要望》雑賀光夫 委員
 私も、どんなに小さくなってもと主張しているわけではない。そんなに小さくなれば、むしろ親の方から統合してほしいと声が上がる。
 地域で子どもを一生懸命守っていくのを切り捨てるつもりはないという話であるが、特に、来年もし2学級になると今7人いる教職員が3人に激減するのではないかと心配している。これも小さい学校を守っていく1つの挑戦であるので大事にしてもらいたい。
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《質問》雑賀光夫 委員
 今回の大雨災害では学校現場も大変だったし、県の教育委員会も現地へ出向いて御苦労であった。これまでに経験したことのなかった事態だけに、現地でなくてはわからないことがいっぱいあると思う。
 先日、教職員組合の教育研究集会の防災分科会に参加した人から聞いたが、例えば、サッカーゴールが倒れてしまい、運動部の部室が壊れたということで、先生、生徒が整理しようとしたものの、10月に国の監査があるのでそれまで触るなと言われたが、どう考えたらいいのかという声があったそうである。あるいは、学校が避難所になった場合、教員はどんな役割を果たしたらいいのかといったような議論もあったようである。お世話をするのは市町村の職員が中心で、学校の先生は被災した生徒のケアをするのが中心だと思うが、いろいろ悩んだり、経験をしたり、いろんなことをしているだろうと思う。教育委員会も、校長、市町村教委を通じて、いろいろ意見を集められていると思うが、そこにも引っかかってこないようないろんな思いを少し集めてみてはどうか。

《答弁》健康体育課長
 災害時に学校が避難所や臨時診療所としてその役割を果たすことは、地域防災の拠点として非常に重要であると考えているが、委員御指摘のとおり、その中で、教員の役割等で様々な課題があると考えている。
 東日本大震災後には、まず、学校におけるこれまでの取組や対策、課題などを把握するために各学校に照会した。また、台風12号では多くの学校が被災したが、復旧にかかる情報収集や学校再開に向けての活動などの過程で、各学校から様々な意見をいただいている。その後も、校長会、教頭会、あるいは市町村教育委員会をはじめ、各種団体からも多くの意見や要望をいただいている。今後は、学校長等からの意見も踏まえて対応等について考えてまいりたい。

《要望》雑賀光夫 委員
 教育委員会が調査するといったら大体校長を通じてとなるが、そこで引っかかってこない意見もある。しかし、全教職員にアンケート用紙を配って皆に書いてもらうとなると、仕事を増やすことにもなる。やり方はいろいろあると思うが、皆いろいろ苦労していろんな思いを持っているので、いろんな声を吸い上げるようなことも考えてもらえたらと思う。これは要望とする。

◇ 議案に対する採決
議案第141号 財産の取得について
議案第153号 県民交流プラザ和歌山ビッグ愛・和歌山ビッグホエール・武道・体育センター和歌山ビッグウエーブの指定管理者の指定について
は全会一致で原案可決



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