2012年度当初予算案


 2012年度予算案が提案されました。
【歳入面】
 一般会計は前年比5.9%増の5748億円、台風12号災害対応分は136億円で、これを除いても前年より185億円の増額予算となっています。
 地方交付税は前年より31億円増となりましたが交付税の財源不足を補う臨時財政対策債は30億円の減で、合計では微増にとどまりました。
 歳入歳出差引の不足分17億円は県債管理基金を取り崩し補填、財政調整基金と県債管理基金の2012年度末残高は合わせて200億円を見込んでいます。県債は臨時財政対策債を除き591億円を発行(前年度比26.3%、123億円増)し、県債残高は2012年度末で9680億円(前年度比4%、375億円増)を見込んでいます。
 県税が前年より10.5億円増えています。これは個人県民税の増が大きく、今年1月からの15歳以下の年少扶養控除の廃止と、16〜18歳の特定扶養控除の縮小によって、子育て世代の住民税が増税されることによるものです。所得税ではすでに2011年から始まっており、15歳以下の子どもがいる世帯では所得税・住民税合わせて年57,000円の増税、16〜18歳の子どものいる世帯では37,500円の増税になります。

【歳出面】
 人件費では教員の定数41人減などにより、38億円が減額となりました。教職員はさくら支援学校の新設等に伴い特別支援学校で22人増やしたものの、小中高校で計63人を削減。県は中学校で1学級35人定数など少人数学級を実施していますが、国の定数内でやりくりをしている状態で、定数内に非正規の講師も多く含まれています。県として、非正規の講師を減らし定数増・人員増をはかることが求められます。
 県は2008年に策定した新行財政改革推進プランにより大幅な職員削減をすすめ、2011年4月までの目標768人を上回る812人を削減。知事部局職員の定数は、1954(昭和29)年の水準と同規模となるところまで削減されました。今回改定されたこのプランの素案では、職員数の減少による業務量増大と、大水害からの復興や地震・津波対策、国体開催などの行政需要に対応するために一定の人員が必要だとし、削減規模を見直しました。
 人件費や補助事業費は減額されましたが、投資的経費は大幅に増やされました。台風復興対策を除いても前年より80億円の増額です。
 2015年開催の国体に向けた施設整備に122億円(前年比93億円増)、また国体までの供用をめざすとして、高速道路ネットワーク整備の国直轄事業負担金を92億円(同29億円増)計上しました。
 一方、公共街路事業で22億円、国道改良で8億円をそれぞれ減額、老人福祉施設整備では台風12号関連で44億円増額したものの、差引6億円を前年度より減額しました。
 国直轄事業では、関西電力LNG発電所用の和歌山北港沖南防波堤工事の県負担金も継続。大滝ダムの追加工事分は最終年度として3137万円の負担金を計上しました。大滝ダムは台風12号で大規模な土砂くずれがおこり、その修復工事が必要となっていますが、現在試験湛水が始められています。
 台風12号災害関連では2011年度補正予算に引き続き、河川・砂防・道路や農業、社会福祉施設の復旧に131億円、中小企業、農林水産業の復旧・復興支援に3億円、被災者住宅支援に8500万円を計上。
 東海・東南海・南海地震に備え、国の被害想定の見直しを踏まえた県の地震・津波被害予測、河川津波遡上予測の見直しに1.3億円を計上しました。
 日本共産党和歌山県議団は地震・津波対策で水門・樋門の自動化やため池耐震化、今回の台風被災の教訓を生かし孤立集落への無線機や発電機、防災無線の戸別受信機の整備などを求めてきました。ため池整備や災害拠点病院の建替・耐震化、橋梁の耐震化、水門・樋門等の自動化など、防災の基盤づくりが拡充され87億5000万円を計上。孤立集落への無線機整備、福祉関係施設への戸別受信機整備、ライフジャケットの学校・社会福祉施設への配備、要援護者の避難支援に必要な資機材の整備補助、障害者向け避難スペースの整備などがもりこまれ、市町村がおこなう避難場所や避難路整備、家具転倒防止対策などを支援する事業が拡大されました。
 また、日本共産党和歌山県議団が要求し続けてきた紀中地域への看護師養成所設立では、国保日高総合病院への設立が実現し、開設支援などに6000万円が計上されました。鳥獣害対策では予算を倍加した前年度を上回る4億2000万円が計上されました。
 和歌山県修学奨励金貸与条例の改正案が2月議会に提案されました。
 大学・短期大学への進学の費用として50万円を無利子で貸与する進学助成金は、これまで入学後の4月に募集し5月末、7月末に貸与されていましたが、この時期を早め、2月に募集し、最速で3月末に貸与れるように改正します。進学に必要な費用の支払いに間に合うようになります。
 また修学奨励金の貸与を受ける場合、親権者等が連帯保証人になるとともに、第三者保証人をたてることが条件となっていましたが、これをはずして連帯保証人のみとします。これまで第三者保証人を立てることが難しく、奨学金申請をあきらめることもありました。
 以上が、2012年度和歌山県当初予算案の特徴です。