和議第55号
       年金制度抜本改革の全体像を早期に公表することを求める意見書(案)

 政府は、税と社会保障の一体改革に強い意欲を示しているが、年金制度改革の全体像が明らかにされていない。政府・民主党は、平成21年の衆院選公約(マニフェスト)で「月額7万円の最低保障年金の創設」・「年金一元化」を掲げていたが、政権交代から2年6ヶ月が経過しても、最低保障年金創設に必要な財源や、年金一元化への具体的な制度設計が示されていない。2月17日に閣議決定された「税と社会保障一体改革大綱」では、平成25年の通常国会に法案を提出するとしているが、全体像が示されないままでは通常国会へ提出される見込みは薄く、「新たな年金制度創設のための法律を平成25年までに成立させる」というマニフェストは実現の目途が立っていない。
 民主党は、野党の求めに応じ、最低保障年金を導入した場合、「新たに消費税率7.1%の増税が必要になる」、との平成23年3月の財政試算を公表した。本来ならば、その試算を基にして党内論議を重ね、制度設計を行うことが与党として当然の努めであるが、その責任を果たさないまま、試算を「民主党の案でもない」と位置付けており、このような民主党の姿勢からは、新しい年金制度の全体像を示そうという意思は全く感じられない。
 「税と社会保障の一体改革」であれば、消費税増税と年金制度改革は一体で議論されるべきで、年金制度改革の全体像を示さないまま消費税増税を進めることは、とうてい国民の理解を得ることはできない。
 よって、政府においては、年金制度の抜本改革の全体像について、早期に明確にし公表するよう強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成24年3月16日

          様
                                         和歌山県議会議長 新島 雄

                                                    (提 出 者)
                                                     中村 裕一
                                                     長坂 隆司
                                                     雑賀 光夫
                                                     角田 秀樹
 
                                                    山下 大輔
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 社会保障・税一体改革担当大臣
 厚生労働大臣
 国家戦略担当大臣
 内閣官房長官