和議第57号
            母子家庭の自立支援施策の充実を求める意見書(案)

 母子家庭における就労率は高いものの、その雇用形態は半数以上が非正規雇用であり、また6割の家庭では年間就労収入が200万円以下で、自立した生活を営むには厳しい状況にある。
 母子家庭の生活の安定と自立促進に寄与するための支援策として、児童扶養手当が支給されているが、所得に応じて受給額が減少するため、収入の増加がそのまま生活の向上に結びつき難い現状がある。
 更に、公的年金の受給権がある場合は児童扶養手当の支給対象とならないため、県内においても、受給している遺族年金の額が児童扶養手当よりはるかに少ないにもかかわらず、児童扶養手当を受給できない事例が発生しており、制度の改善が望まれるところである。
 また、就業支援として、看護師等の専門的な養成機関で修業する場合に支給される「高等技能訓練促進費」の支給対象期間が平成21年度に拡大され、それにより支給人員が増加した実績を踏まえ、平成24年度入学者についても一部条件付きで支給対象期間が拡大されたところである。こうした支援策が恒久的に実施されることで母子家庭の自立が促進され、児童の福祉増進につながるものである。
 よって、国においては、母子家庭の方々が安心して暮らすことができる社会を構築するため、下記事項について措置を講ずるよう強く要望する。
                            記
1 働きながら児童扶養手当を受給する母子家庭の生活水準が生活保護受給世帯より低くならないよう、また母子家庭の平均所得が一般世帯に近づくように、児童扶養手当制度の所得制限を緩和されたい。
2 児童扶養手当の支給回数について、現在の4か月毎から、選択により2か月毎でも受給できるように制度を変更されたい。
3 公的年金の支給月額が児童扶養手当の支給月額を下回る場合は、公的年金と児童扶養手当との併給禁止条項を緩和されたい。
4 高等技能訓練促進費給付制度の支給期間について、期限を設けず、修業中の全期間を支給対象とするよう改正されたい。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成24年3月16日

          様
                                         和歌山県議会議長 新島 雄

                                                    (提 出 者)
                                                     中村 裕一
                                                     長坂 隆司
                                                     雑賀 光夫
                                                     角田 秀樹
                                                     山下 大輔
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 厚生労働大臣