2012年2月県議会
奥村規子一般質問
 概要記録
201

1.防災・安全のまちづくりについて
(1)耐震改修の現状について
(2)木造住宅耐震化の促進について
(3)保育所の耐震化の促進と防災の取り組み
(4)水門・樋門・陸閘(りっこう)の現状と
   管理の実態及び管理者の安全確保について

2.県民のくらしと社会保障について
(1)政府の「社会保障・税の一体改革」への感想
(2)安心できる介護保険制度について
  ・保険料の負担軽減について
  ・「改正」介護保険法の問題について

3.産廃行政について
(1)安定型最終処分場の廃止に当たっての県の対応について
(2)和歌山市の山口地域の処分場計画についての住民要望の受け止めと対応
(3)葛Iノ川産業に対する行政処分について


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1.防災・安全のまちづくりについて
(1)耐震改修の現状について
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので3項目にわたって分割方式で質問させていただきます。
 項目の1つ目は防災・安全のまちづくりについてです。
 昨年の3月11日の東日本大震災と原発事故からまもなく一年を迎えようとしています。3月2日現在の警察庁調べでは亡くなられた方1万5,854人、いまだ行方不明の方が3,276人もいらっしゃいます。避難生活を強いられている方は34万3,935人(2月23日現在、復興庁発表)です。紀伊半島を襲った豪雨災害からは半年になります。突然生きることを絶たれた命やいまだ見つからない、見つけることができない命、その命と向き合いながら言葉に出せない思いを抱え、何とか毎日を過ごされている方も多くいらっしゃいます。すべての被災された方々が早く平穏な暮らしに戻れるよう私もいっそう力を尽くして行きたいと思います。
 そして同時に予想される東海・東南海・南海地震等の大規模地震への備えのために、「防災・安全のまちづくりをどうすすめるか」ということがさしせまった課題になっています。
 防災・安全のまちづくりについての基本的な考え方は災害の発生を最小限に抑え、被害の拡大を防止することです。防災対策の基本は予防・応急・復旧・復興という4つの局面で考えることが必要です。
 1995年の阪神・淡路大震災では密集市街地の老朽木造住宅の倒壊による圧死で多くの高齢者が犠牲になりましたが危険な住宅を放置してきた結果が悲劇を生みだしたと考えます。そこで、まず住宅の耐震改修の現状についてお尋ねします。
 和歌山県耐震化促進計画によると平成17年の住宅耐震化率は67%、目標は平成27年には85%の耐震化率を目指すとしています。現在までの住宅耐震改修の現状はいかがですか。


《答弁》 県土整備部長
 本県では、平成16年度に耐震診断、耐震改修の補助制度を創設し、市町村と共に耐震改修の促進に取り組んでおります。
 平成22年度までに8,783戸の耐震診断、465戸の耐震改修の補助を行ってきました。
 今年度の耐震診断及び耐震改修の補助戸数は、年度途中ではありますが、昨年度を既に上回っております。東日本大震災で、耐震改修への関心が高まっていると考えていますので、一層の耐震化の促進に努めてまいります。
 なお、本県の住宅総戸数のうち、耐震性を満たす住宅の割合は、推計値ではありますが、平成20年で70%となっております。


(2)木造住宅耐震化の促進について
《質問》奥村規子 県議
 2点目は目標に向けて木造住宅耐震化の促進をどのように考えていますか。低所得の方への対応も含めて県土整備部長にお尋ねいたします。また生活保護世帯への対応については福祉保健部長にお尋ねいたします。


《答弁》 県土整備部長
 昭和56年5月以前に建築された木造住宅を対象とし、耐震診断、耐震設計、耐震改修に対する補助を行っております。
 これに加えて、耐震診断により倒壊の可能性があると判断された場合には、高齢者などの方を対象に、専門家を無料で派遣する耐震改修サポート事業を実施しております。
 所得の低い方につきましては、人命優先の考えから、避難を重視した基準を満足する改修工事も補助対象としています。
 また、来年度は市町村からの要望をふまえ、補助戸数を増加させることを予定しております。
 今後も、各地域での説明会で助成制度の周知を図ることにより、耐震化の促進に努めてまいります。


《答弁》 福祉保健部長
 生活保護制度では、現に居住する家屋の補修その他維持のために経費を要する場合には「補修費等住宅維持費」を認定することとされています。
 この「補修費等住宅維持費」の基準額は、年額で11万8千円以内、やむを得ない事情があると認められるときは基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において必要な額を認定して差し支えないものと定められています。
 他方、社会福祉協議会が実施している生活福祉資金貸付制度において、住宅の増改築・補修等に必要な経費を福祉費として貸し付ける制度があり、県の耐震改修補助制度を併せて活用すれば、耐震診断の評価評点を0.7以上とする避難重視型補強の改修工事は行えるものと考えております。


《再質問》奥村規子 県議
 耐震改修の必要な人が県の助成制度を利用する場合、一旦は全額を立て替えなければなりません。これが収入の少ない人には大きな負担になります。せっかく県の助成制度があるわけですから、適用されるケースでは自己負担分だけを支払い、助成分を立て替えなくてもよいように改善すべきではないでしょうか。こうすればもっと活用が広がると思いますので要望しておきます。
 所得の低い人への対応について、詳しく説明を県土整備部長にお願いします。


《再答弁》 県土整備部長
 所得の低い方を対象として、倒壊しないとされる基準に至らないまでも、人命優先の考えから、避難を重視した基準を満足する改修工事を補助対象としています。
 この場合には倒壊しないとされる基準まで改修する工事よりも工事費を低く抑えることが可能となります。
 これに加え、新しい金物などを利用した安価な工法を取り入れることにより、工事費が90万円となり、国・県・市町村の補助金を除きますと、個人負担は20万円程度で収まった事例もございます。
 また、耐震診断は無料で実施しており、設計費の補助を行うなど、工事の前段階での助成も行い全体の負担を抑えるように取り組んでいます。
 なお、高齢者などの方が対象となりますが、耐震改修サポート事業により専門家を無料で派遣し、工事費を低く抑えるための相談や改修計画の提案を行っておりますので、ご活用いただけたらと考えております。


《要望》奥村規子 県議
 生活保護世帯の場合は、生活保護の補修費等住宅維持費を自己負担分にあてるとか、足らない分は社会福祉協議会の生活福祉資金の融資を活用する、などの答弁がありました。住宅を耐震化するのは命にかかわる問題ですから、そういうこともよく知らせて、この制度が活用されるようにすることを強く要望します。
 そして、すべての住民のみなさんの命を守るためにも住宅耐震化助成を現物給付にすることを重ねて要望しておきます。


(3)保育所の耐震化の促進と防災の取り組み
《質問》奥村規子 県議
 次に3点目は保育所の耐震化について福祉保健部長にお伺いします。2010年4月の厚労省調査では全国の保育所や特別養護老人ホームなどの社会福祉施設の耐震化率は81.3%であることがわかりました。厚労省によると、すべての社会福祉施設を対象にした調査は初めてということです。全国約14万6千施設のうち約11万8千施設で耐震基準を満たしていたが、保育所の耐震化率は67.5%であることがわかりました。社会福祉施設全体の平均を大きく下回っています。これでは子どもを大切にする国とはいえません。
 そこで和歌山県における保育所の耐震化の現状と促進をどのように考え、また子どもの安全確保の取り組みをどのように考えているか、福祉保健部長にお尋ねします。


《答弁》 福祉保健部長
 平成22年4月時点での本県の保育所の耐震化率は、68.2%でした。平成22年度以降も安心子ども基金を活用した施設整備等により、着実に耐震化が進んでおります。
 議員ご指摘のとおり、保育所の耐震化は緊急性の高い問題でありますので、市町村や民間法人等と十分協議しながら、耐震整備の促進に取組んでいるところであります。
 また、保育所の防災の取組につきましては、保育所は、避難に介助を要する乳幼児が多く適所していることから、災害発生時の室内の安全対策に加え、避難訓練を少なくとも月1回実施することの徹底を指導しているところであります。
 県といたしましては、保育所の施設整備や防災対策をより一層促進し、子どもたちが安心して過ごすことのできる保育環境を整えてまいりたいと考えてございます。


《要望》奥村規子 県議
 保育所の耐震化については、耐震化の見通しのない保育所への支援を強めていただきたい、ということを指摘しておきます。


(4)水門・樋門・陸閘(りっこう)の現状と管理の実態及び管理者の安全確保について
《質問》奥村規子 県議
 次に4点目の水門・樋門・陸閘(りっこう)の問題です。
 東日本大震災で陸前高田市の「奇跡の一本松」、7万本の松の中で一本だけ残った松の木の横に開いたままの大きな水門があります。消防団員が閉めにいったが地盤が沈下してうまく閉まらず、手間取っている間に津波が来て消防団員が犠牲になりました。このようなことがあって、私自身、あらためて水門・樋門・陸閘の管理に当たってくださっている方々のことを思いました。
 県内でも、県や市町村から水門の管理を頼まれている方は、「絶えず気象情報が気になりテレビやラジオから目や耳が放せない」、「台風情報などあると、しょっちゅう川へ行き、水位の状態を見に行くことになる」など、ほかにもたくさんのご苦労をお聞きしました。
 そこで県下の水門・樋門・陸閘の現状と管理の実態、管理者の安全確保はどのようになっていますか。県土整備部長お答え下さい。


《答弁》 県土整備部長
 現在、沿岸部には県管理の河川・港湾・漁港・海岸に水門・樋門約90基と陸閘約500基が設置されております。その管理や操作については、県の出先機関で実施しているものや、地元の方々にお願いしているものがあり、関係の方々にはご苦労をおかけしているところでございます。
 東日本大震災を踏まえ実施した、防災・減災対策の総点検の結果、水門・樋門については、操作者が、閉鎖作業完了後津波到達時間に対して避難する時間が不足する箇所については、短期的な対応として、操作せずに逃げるとする旨の通知を発出したところであり、さらに、中期的な対応として、順次、自動化あるいは遠隔操作化等を進めることとしております。
 また、陸閘については、階段やスロープにより代替が可能な施設等については、出来る限り廃止を進めることとし、利用状況等から廃止できない施設については、操作者の安全を確保するための管理指針の策定等を進めることとしております。


《要望》奥村規子 県議
 水門などの管理者の安全確保については、ほとんどが無償ボランティアでやっていただいていると聞いています。実際のご苦労をもっと把握して対策を立てていただきたいと思います。
 次に水門の改修についてです。
 磯ノ浦の海水浴場近くにある水門は海に面した堤防から、10数メートル川を上ったところにあり川の堤防が低いために地元の人たちは、津波が川を上ってきたら、水門を閉めても海水が住宅地に流れ込むのでは、と心配されていました。
 津波想定の見直しに伴い、このような水門については、自動化とともに堤防も含めた見直しを要望しておきます。


2.県民のくらしと社会保障について
(1)政府の「社会保障・税の一体改革」への感想
《質問》奥村規子 県議
 2項目目は、県民のくらしと社会保障についてお尋ねします。
 野田政権は「社会保障・税の一体改革」を平成24年2月17日に閣議決定しました。
 知事にこの『社会保障・税の一体改革』についてお尋ねいたします。
 社会保障改革といいますが高齢世代には年金支給額の引き下げ、介護保険の利用料の引き上げ、受診時の窓口定額負担の導入、70歳から74歳の窓口負担の2倍化などを押し付けようとしています。
 子育て世代には、「子ども・子育て新システム」によって、市町村の保育実施義務をなくし、保育所探しまで自己責任化するものです。これでは安心して子育てできません。
 消費税は2014年4月から8%に、2015年10月から10%に引き上げ、国民には13.5兆円もの増税になります。先の社会保障改悪とあわせて、20兆円ものすさまじい負担増になります。私はこんなことが強行されればくらしも経済も押しつぶされ、かえって税収が減ってしまい、財政もますます悪くなるばかりだと考えますが知事の見解をお聞かせ下さい。


《答弁》 知事
 私は、少子高齢化の進展や雇用形態が変化する中で、近い将来、我が国の社会保障制度がこのままでは維持していけなくなるのではないかという強い危機感を感じております。
 そういう意味で、先の議会でも、社会保障制度の機能を維持し、制度の持続可能性を確保するための改革が必要であり、そのために、最後の財源である消費税を充てることは理解できると申し上げました。
 同時に、最後の財源である消費税を上げることで日本がずっと安泰になることが国民に理解されないといけない。
 そのための改革は数多くあると思うので、その内容を明確に示さなければ、なかなか理解が得られないのではないかと思います。
 現在の閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」では、新しい年金制度の創設をはじめ、社会保障改革やその財源についての内容が、長い目で見た時の国家の安泰や社会保障制度の持続という点から、本当に明確になっているのか、私はまだ確証に至っておりません。
 したがって、将来の見通しをしっかり立て、社会保障と税の一体改革の必要性をこの際国民的に徹底的に議論し、その上で、国民の理解を得つつ、これを進めていくことが大切であると考えております。


《再質問》奥村規子 県議
 今、消費税増税については、くらしの面からも、中小企業の営業の面からも、10%にもなったのでは、とてもたちゆかないという声が大きくなっています。消費税を増税すれば景気はよりいっそう冷え込み、ものは売れなくなり、経営を圧迫します。商店では消費税は売値に転嫁できず、身銭を切って支払っている、10%になればとてもやっていけない、という声があがっています。しかも先ほどいったように、税収は増えず社会保障の財源も生まれてきません。
 知事は今回の改革の内容や財源が明確でないという認識を示されましたが、その中で消費税増税だけが法提案されようとしています。
 県民をさらに苦しめる消費税増税を十分な議論なしに決めるなという声を上げていただきたいと思いますがいかがですか。


《再答弁》 知事
 私の考えは先ほど述べたとおりでございます。そういう観点から、消費税を上げるなというのも一方的すぎるし、逆に社会保障の改革をしなくてもいいというのもよくないの、で、先ほど申し上げた考え方になります。


(2)安心できる介護保険制度について
・保険料の負担軽減について
《質問》奥村規子 県議
 2点目は安心できる介護保険制度について福祉保健部長にお尋ねします。
 介護保険料の負担軽減についての問題です。
 和歌山県第5期保険料の平均額の予測額はいくらでしょうか。
 昨年12月議会でもお聞きしましたが今回の改定で全国的に保険料月額平均1,000円の値上げが予想される、そのもとで、出来るだけ低減をはかるために、県の財政安定化基金を取り崩し、県の返納分を保険料低減にあてるように求めました。今の時点で、この基金取り崩し額とその活用はどうなっていますか。
 介護保険料は、所得税・住民税、国保料(税)に比べて、所得の少ない人ほど負担割合が高くなるという逆進性が強く、低所得者には非常に重い負担となっています。生活保護受給者は介護保険料分を生活保護費から支給されていることから見ても、年間収入80万円以下という生活保護基準以下で暮らす高齢者は、本来なら保険料を免除すべきと考えますがいかがですか。またこのような方々への県独自の介護保険料減免制度の創設を考えてはいかがですか。


《答弁》 福祉保健部長
 第5期保険料基準額の平均は、約5,500円と見込まれていますが、この額は、現在各市町村が提案している介護保険条例の改正案に基づくものであるため、今後変動する可能性もございます。
 また、財政安定化基金における平成23年度末残高は29億1835万円で、このうち16億1928万円を平成24年度に取り崩し、取崩額の3分の1ずつを、国、県、市町村に返還することとしております。
 なお、県分につきましては、地域福祉等基金へ積み立てて介護保険サービスの質の向上を図る事業などに役立てたいと考えております。
 次に、第1号被保険者の保険料率は、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、所得段階別の定額保険料率が法令で定められておりますが、特別の必要がある場合は、市町村が独自に定めることも可能ですが、議員ご提案の第2段階の保険料を一律に免除することは困難であると考えております。
 また、県独自の介護保険料減免制度の創設につきましては、介護保険法で国、県、市町村などの負担割合が定められていることから、それ以上の県の負担は現状では困難であると考えております。
 なお、社会保障・税の一体改革では、国費を投入することにより第1号保険料の低所得者軽減の強化が検討されているところであります。


《再質問》奥村規子 県議
 財政安定化基金は約16億円取り崩し、県への返還分については地域福祉等基金へ積み立てるということです。これでは市町村の第5期事業の保険料低減には活用されないことになり、大変残念です。きわめて大幅な保険料引き上げになるわけで、ここで県として、少しでも引き下げるよう努力されるべきだったと思います。
 地域福祉等基金は、介護保険サービスの質の向上を図る事業などに役立てるという答弁でしたが、これを活用して県の介護保険料減免制度をつくることを要望しておきます。地域福祉等基金は、保険料軽減に使えないというものではないですね。福祉保健部長の答弁をお願いします。


《再答弁》 福祉保健部長
 地域福祉等基金を活用しての減免制度についての再質問についてお答えいたします。介護保険法で法定の負担割合が、保険料では、65歳以上の第1号被保険者が20%、それから40歳から64歳までの第2号被保険者が30%、それから公費として国が25%、県12.5%、市町村12.5%と、議員もご承知のようにそういうふうに定められております。このため、65歳以上高齢者の第1号保険料の減免を実施する場合は、第1号保険料を財源とした、先ほど申し上げました20%の範囲内で、保険者であるそれぞれの市町村が、対象範囲や減免の程度を検討して、条例等に規定して実施すべきものでございます。
 従って、県の補助による全県的な一律の減免制度については、この減免の財源が基金であれ一般財源であっても、県の法定負担割合を超えることとなる等制度の趣旨にそぐわないものであるため、実施は困難であると考えてございます。


《再々質問》奥村規子 県議
 地域福祉等基金を積み足して、保険料低減などに充てることも含めた活用ができないわけではないということを確認したい。そういうことで理解させていただくのですが。


《再々答弁》 福祉保健部長
 地域福祉等基金の取り崩しにつきましては、高齢者のため、高齢者枠というのが中にあるんですが、それを使うにあたっては高齢者のためであれば使えるということになってございますが、議員ご質問の減免の制度につきましては、先ほど申しましたように、国とか県とか市町村の負担割合は決まっていますので、それを一律減免するにあたって、基金を使うなり一般財源を使うということは、それは負担割合が増えてしまいますので、そういう面で一律に減免することは困難だとお答えいたしました。


・「改正」介護保険法の問題について
《質問》奥村規子 県議
 2点目は介護職員の医療行為拡大の法制化についてです。厚生労働省は2010年介護サービス施設・事業所調査結果を発表しました。全国の特養に入所する高齢者の要介護度を調べたところ要介護4と5の方で67.5%に達し2000年の調査開始以来最高です。このような背景もある中で痰の吸引という医療行為が介護職も出来るようにするものです。
 私は痰吸引などの医療行為は本来、看護職が行なう体制を確保することが望ましいと考えます。そのためには介護報酬の充実も必要です。介護職の方が医療行為をするとなれば、きちんとした研修や万一の時の安全確保の体制が重要だと考えますが福祉保健部長の見解を求めます。


《答弁》 福祉保健部長
 社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、平成24年度から一定の研修を受けた介護職員が、安全が確保された施設等において、たん吸引など定められた医療行為ができるようになります。
 利用者の方が必要なケアを安全に受けられるために、介護職員にたん吸引等を実施させる施設に対しては、医師、看護師等の関係者による連携体制整備など、施設内において一定の安全体制を確保するよう指導しているところです。
 また、これらの体制を整備している施設の介護職員を対象に、今年度からたん吸引等の研修を開始しているところであり、また人員配置のあり方等につきまして、様々な介護現場の御意見等をお聞きしながら、利用者と介護職員の双方に安全なケアが実施できるように取り組みたいと考えております。


3.産廃行政について
《質問》奥村規子 県議
 項目の3つ目は、産廃行政について環境生活部長にお聞きします。
 産廃に関して県は法令にのっとって適正かどうかのチェックをするという責任と役割があります。昨年の6月議会にも産廃問題について質問いたしましたが今回も3点についてお聞きします。


(1)安定型最終処分場の廃止に当たっての県の対応について
 1点目は最終処分場の埋め立て終了と処分場の廃止についてお尋ねいたします。
 これまで県が許可してきた安定型最終処分場はのべ12事業者です。そのうち、取り消しが1、埋め立て中が3、埋め立て終了が4、処分場の廃止が4事業所と聞いています。そこでお聞きします。処分場としての埋め立てが終わってから、12年経って廃止されたところや、2004年に埋め立てが終了しながら、未だに廃止されていないところがあります。埋め立て終了から廃止にはどういう条件が必要ですか。
 また埋立が終了してから廃止までの間で、水質基準を上回った事例はありますか、あればどのように対応されたのか、以上お答え下さい。


《答弁》 環境生活部長
 最終処分場の設置者は、埋立終了後の水質及び悪臭等について、環境省令で定める技術上の基準に基づきまして、適正に維持管理することが義務づけられています。
 最終処分場の廃止に当たっては、県に対し申請を行うことにより、環境省令で定める技術上の基準に適合していることについての確認を受ける必要があります。
 県は、水質の監視データ、そして現地における悪臭等の状況を十分に確認するなど、廃止の適否について慎重に審査しているところです。
 次に、未廃止の処分場において、水質が基準を上回った事例はありますが、当事例につきましては、水質の継続監視を行った結果、基準を超えたのは一時的なものであり、その後水質は基準内で安定しております。


《要望》奥村規子 県議
 埋立終了から廃止にいたるまで、水質、悪臭等について、廃止基準を満たすまでには、相当長期間かかっている、なかなか廃止できないというのは、何らかの環境汚染が続いていると考えられます。相当長期間かかっています。問題で早く廃止しろ、といっているわけではありません。水質や悪臭などが基準に適合するところまで、十分みきわめてから廃止されるべきですが、安定型最終処分場というのは素掘りですから、埋立終了後も環境に影響がなくなることを確認するまで相当な時間がかかる、そういうものだということで、だからこそ許可に際しては慎重な対応が必要だということを指摘したいと思います。
 法令では廃止後の水質検査など義務付けはありません。廃止後は県として検査をしていないわけですから住民・県民にとって産廃行政に不信感のないように、不安感の内容にしていただきたい。
 また廃止までの間、水質や悪臭など、県民がデータの公表を求めた場合は、きちんと公開するよう、求めます。


(2)和歌山市の山口地域の処分場計画についての住民要望の受け止めと対応
《質問》奥村規子 県議
 2点目は和歌山市の山口地域の処分場計画についてお聞きします。
 住民のみなさんから9万筆の反対署名が和歌山市に届けられていると聞きました。
 県にも要望書が提出されたと聞きますが、たくさんの住民から反対の声があがっていることをどのように認識し、対応を考えていますか。


《答弁》 環境生活部長
 和歌山市に計画されている最終処分場の設置計画については和歌山市が許可権限者となっており、その審査に当たっては、計画が環境省令に定める技術上の基準に適合しているか、生活環境保全上問題がないかなど十分に検討を行い、許可する場合は、その検討結果を住民に十分説明し納得してもらう必要があると認識しております。
 今後は、和歌山市から、設置許可の審査に当たり、必要な助言を求められた場合は、適切な技術的助言を行い、適切な審査が行われるよう協力して参ります。


(3)葛Iノ川産業に対する行政処分について
《質問》奥村規子 県議
 最後に3点目は(株)紀ノ川産業についてお尋ねします。
 昨年6月議会でも取り上げましたが今回の行政処分を出した理由と内容はどんなものかお聞きします。


《答弁》 環境生活部長
 紀ノ川産業に対しては、最終処分場について必要な改善を命じるとともに、京奈和自動車道道路敷地への不法投棄を行ったことにより、許可を取り消したところであります。
 今回の行政処分は、生活環境保全上の支障が認められる不法投棄した廃棄物の撤去や最終処分場における廃棄物の飛散流出防止及び水質改善などの措置を命じたものです。
 今後とも、当最終処分場に係る生活環境保全上の支障について、改善が図られるよう取り組んで参ります。


《再質問》奥村規子 県議
 紀の川産業への措置命令について、期限は本年4月20日となっていますが、最終処分場に放置された産業廃棄物の飛散、及び悪臭や汚水について、住民の環境を守る立場から、強力な姿勢で臨んでいただきたいと考えますが、決意のほどをお示しください。この点について、環境生活部長の答弁をお願いします。


《再答弁》 環境生活部長
 先ほども申し上げましたけれども、当最終処分場にかかる生活環境保全上の支障につきましてはですね、今後ともしっかりと改善をして参りたいというふうに考えてございます。


  知事の答弁を聞く、奥村規子県議=3月5日

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