2012年2月和歌山県議会
  議案に対する反対討論
  高田由一
   議会中継録画 (28:30)







 日本共産党県議団を代表して議案第1号、第3号、第7号、第16号、第38号、第45号、第46号、第69号、第81号、第85号について反対討論をさせていただきます。
 平成24年度和歌山県一般会計予算案については、前年比5.9%増の5748億円の予算となっています。増額は321億円となっており、このうち台風12号災害対応分は136億円でこれを除いても大きな増額予算となっています。
 この要因は国体関連施設整備などが大きいわけです。施設整備すること自体は評価するものですが、施設の老朽化についてはずいぶんと以前から県議会各会派より要望が出されており、せっぱつまってようやく整備するという結果になってしまいました。やはりもっと計画性を持って対応していくべきではなかったでしょうか。
 一般会計予算の歳入では、県税が前年より11億円増となっています。これは個人県民税の増がおもなもので今年から15歳以下の年少扶養控除の廃止、16〜18歳の特定扶養控除の縮小など子育て世代の住民税が増税されています。この原因は民主党政権が子ども手当の財源として増税を決めたもので、例えば15歳以下の子どもがいる世帯では所得税、住民税あわせて年間5万7000円の増税となります。紀の国森づくり税の継続や今後の復興増税を考えるとこうした県民負担の増加は納得できるものではありません。
 歳出では台風12号災害への復旧、復興対策、地震・津波対策の充実などこの間の取り組みをさらに充実させる内容となっていることは大いに評価をしたいと思います。また、紀中地域の看護師養成所新設への支援や鳥獣害対策でも予算を倍加すること、農業への新規就農への支援なども充実しております。
 ただ気になるのは国直轄事業負担金です。新年度は災害関連を除いても和歌山北港沖南防波堤工事など県負担金は総額138億円で45億円の増になる予定です。いっそうの軽減を求めるべきではないでしょうか。そのなかで大滝ダム追加工事の県負担も最終年度ということですからぜひもうこれ以上支払うことのないようお願いします。
 つぎに個々の事業について意見をのべます。
 コスモパーク加太については今年度も6億6千万円以上の支出をする予定です。消防学校の移転など利用について前進面もありますが、カゴメ加太菜園への土地賃貸代金は計画が縮小されたにもかかわらず、県は優遇措置を続けます。これまでどおり1u100円で貸し付けるために県が1億8000万円弱を負担することになります。賃料の優遇は見直すべきではないでしょうか。
 子どもの医療費を無料にしている乳幼児医療費助成事業ですが、新年度でみると県の制度に上乗せして実施する自治体は23にものぼる予定です。そのなかでも14の自治体で中学校卒業まで無料化になります。県の制度としてもさらなる拡充を求めるものです。
 介護保険制度は第5期が始まるわけですが、介護保険料の見直しが現在、すすめられており、県下自治体の平均で5501円、上昇率は約19パーセントになる予定です。最高は九度山町の5996円、最大の値上げ幅は日高町の50,6%になるようであります。このことについては一般質問のなかで奥村県議が、財政安定化基金を取り崩した後、保険料の軽減へ使うよう求めましたが、まだその方向は見えていません。
 介護保険に関連して高齢者居宅改修補助事業について一言、申し上げます。この事業は在宅の高齢者の住宅改良に補助し、介護保険制度を補完するものですが、使い勝手が悪く利用が少ない状況があります。予算そのものに異論はありませんが制度の改善を要望しておきます。
 看護職員の養成や充足対策については看護職員修学資金貸付金については申込みが多いものの希望者の4割にしか貸付ができない状況です。改善を求めます。
 また、一般質問で雑賀県議が取り上げた特定の子ども会への補助金を出し続けている問題もこの際、見直しをするべきではないでしょうか。
 職員の定数については教員で41名の減、警察で7名の増となっています。県は中学校で1学級35人定数など少人数学級を実施していますが、そのための教員増をおこなわず、しかも定数内に非正規の講師も多く含まれています。きちんと定数を確保すべきです。
 次に各議案についての意見をのべます。
 議案第3号は中小企業振興資金特別会計予算です。今年の予算でも債権回収に取り組むことになっていますが、高度化資金の貸付や債権管理の実態が不透明なものを残しており県民の理解をえることはできないと考え、反対です。
 議案第7号は公営ギャンブルは認められないという立場から反対です。
 議案第16号については土地造成事業会計ですが、保有土地の時価評価が採用されたことは評価するものですが、過去の県政への根本的な検証をしないまま82億円もの特別損失を計上したことについて県民の理解が得られているとは思えません。
 議案第38号については県税条例の一部を改正するものですが、個人県民税の均等割の税率を上げるものであり反対です。
 議案第45号、第46号については、児童福祉法の一部改正によるものですが、県が行ってきた事業の一部が市町村に移管されます。現場では保護者などから市町村によって不公平が生じることについて、また、広域的な対応が難しくならないかと不安の声がでており反対です。
 議案第69号については市町村負担金を求める議案ですが、防災関連事業などはさらなる地元負担の軽減を求める立場から反対です。
 議案第81号については切目川ダムの工事契約ですが、私たちはダムに頼らない治水を求めておりますが、ダム事業に一律に反対するものではありませんし、このダムの意義についても理解をするところです。しかし、昨年の12号台風の水害をうけてダムの治水機能について不安の声があがっているのも事実であります。地元住民のさらなる合意形成を求める立場から今回は反対したいと思います。
 議案第85号については関西広域連合規約の一部変更です。私たちは広域連合結成には道州制に道を開くものになりかねないと反対しました。今回の規約変更でさらに広域連合の参加団体を増やし、仕事も増やそうという動きには反対です。
 最後に請願について発言します。
 議請第5号については公的年金の引き下げに反対する意見書提出を求める請願ですが、ただでさえ低い国民年金ですが、和歌山県はなかでも一人当たりの平均年金月額が5万2千円あまりと全国でも下から3番目であります。これ以上の引き下げは到底、認めるわけにはまいりません。よって請願の採択を求めるものです。
 議請第6号は、子ども・子育て新システム導入に反対し、現行保育制度の拡充を求める意見書提出を求めるものでありますが、この新システムは国と市町村の保育実施義務をなくすもので保護者は保育所を自力で探し直接契約、しかも保育料も所得に関係なく利用時間に応じて決まるというものです。保育の公的責任を放棄するもので、民主党政権のすすめる最悪の改革のひとつであります。本請願については、私たちは採択されてしかるべきだと考えます。
 以上で反対討論を終わります。


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反対討論する、高田由一県議=3月16日、和歌山県議会