2012年9月県議会
 福祉環境委員会

 奥村規子委員の質問概要記録

 9月25日
 環境生活部
 福祉保健部

――――――――――――――――――――――――――

環境生活部
《質問》奥村規子 委員
 電力不足の問題について、県庁が先頭に立ち節電に取り組んだ効果もあり、電力不足を回避できたということであるが、もし大飯原発の再稼働がなされていなかったとすれば、この夏の電力不足は乗り切れたかどうかという点について、どのように考えているか。

《答弁》 環境生活総務課長
 現時点での評価は難しいと考える。今後、関西電力や政府において、電力需給の状況がどうであったか、具体的に評価がなされるものと思われる。

《要望》奥村規子 委員
 その評価がなされた際は、報告してもらいたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員
 地域グリーンニューディール基金活用事業について、前回の基金事業は終了したと思うが、今回の基金事業では、今後5年間にわたり実施されるという内容であるが、今回の補正予算ではどういった事業を行うのか。

《答弁》 環境生活総務課長
 今回の補正予算で提出している予算では、高台等の避難場所に至る避難路にLED誘導灯を設置する事業に対する補助を3件、避難所に太陽光発電器と蓄電池を導入するための設計業務に対する補助を1件行う予定である。

《質問》奥村規子 委員
 防災目的で活用されることが多いように思われるが、平成23年度までの地域グリーンニューディール基金活用事業では地域の街灯をLED灯に替えたり、太陽光発電の導入を進めるなど、低炭素社会を地域から促進させるという目的があったと思う。防災の取組は、本来、防災対策予算により県民の安全といった観点で行われるものだと思うが、今後5年間の方向性をどのように考えているのか。

《答弁》 環境生活総務課長
 今回の地域グリーンニューディール基金活用事業については、国の事業目的として再生可能エネルギー等の地域資源を活用し、災害に強い自立分散型エネルギーシステムの導入等を支援することとなっており、委員御指摘のとおり、災害等に対応することになっているが、一方で、再生可能エネルギーシステムを導入することを支援することになっている。また、地域の防災拠点や避難所が対象施設となるが、そういう施設は市町村庁舎や学校などであり、こうした公共施設等への太陽光発電設備等の再生可能エネルギーの導入を積極的に進めていくことで、低炭素社会の実現を図っていきたいと考えている。

《質問》奥村規子 委員
 防災の中だけでなく、それも含め、県内の低炭素化、CO2削減の取り組みを一般家庭からも進めていけるような形で取り組んでもらいたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員
 先日、私は御坊市の森岡産廃に関して、アドバイザー会議に参加したが、住民の不安もかなりあるようで、県として事業者と住民と含めてしっかり説明する場を設けてもらえたらという趣旨でこれから質問させていただく。
 このアドバイザー会議の位置づけ、性格について、会議の設置要綱を先日資料としてもらった。要綱には「審議事項ではアドバイザー会議は知事の審査に際し、周辺地域の生活環境の保全について、適切な配慮がなされているかを審議し、助言を行うほか、知事の求めに応じ必要な助言を行うとされている」と書いてあるが、ここでいう助言というのは誰に対する助言なのか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 アドバイザー会議から知事に対する助言である。会議で出されたいろいろな意見をまとめて、知事に対して助言がなされる。

《質問》奥村規子 委員
 知事に対して住民の不安や意見などを含めて、それがアドバイザー会議でいろいろ審議されて、知事にも助言されるということでよろしいか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 前回のアドバイザー会議では、住民から寄せられた意見、御坊市、印南町、御坊市議会から寄せられた意見に対して、それに対する事業者の考え方、回答を示して、それが生活環境上支障がないかどうかという点について、アドバイザー会議の委員の意見を聴いたところである。そうした考え方を整理した上で、アドバイザー会議の意見として知事に意見書が提出されることになっている。

《質問》奥村規子 委員
 私は前回もアドバイザー会議に出席したが、事業者にアドバイスするという印象がある。県が技術アドバイザーに求めている役割というのは、どういったことか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 事業者の計画が、周辺地域の生活環境保全等に配慮されたものであるかどうか、そういう視点に立ってアドバイザー会議の意見を知事が聞くという会議である。

《質問》奥村規子 委員
 知事にアドバイスするという会議ということで理解した。
 次に、アドバイザー会議で利害関係者と呼ばれている住民の意見に対して、全く審議していなかったのではないか。少なくとも何も意見を言っていなかったように思う。大栄環境の考え方に質問したりという印象があったが、それだけではなく、専門的な検討をして、知事に意見を言うことが大事ではないかと思うがその点についてはいかがか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 今回のアドバイザー会議開催にあたり、委員には事前に住民の意見、こういう意見がきているということ等含めて、それに対する事業者の回答ということで説明はしている。そうした意見やそれに対する事業者の計画はこうだという点を踏まえた上で、アドバイザー会議の委員からは貴重な意見をもらったと判断している。

《質問》奥村規子 委員
 会議は5人でということで書かれていたが、当日は4人でなかったか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 現在委員は5名であるが、1名については当初から大栄環境の審議には関わっていない。最近1名変更になったので、当初からよくわかっている4名ということで当日は会議を開催している。

《質問》奥村規子 委員
 アドバイザー会議の委員は5名で、当日の出席は4名だったということでよろしいか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 委員は現在5名である。

《質問》奥村規子 委員
 アドバイザー会議が終わったあと、知事への助言をするにあたって、委員たちで意見をまとめる時間はあったのか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 その場でということではなしに、議事録等も作成をした上で、各委員に今後確認をして意見をとりまとめるということになる。その場ですぐに意見をとりまとめて、すぐに知事に回答するというシステムではない。

《質問》奥村規子 委員
 まとめたものを持ち回りでやるということで、もう一度委員が集まって意見を確認するとかいうことは考えていないのか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 もし、委員長の判断により、どうしてももう一度委員全員に集まって判断してもらわなければならないということであれば、そういう可能性がないことはない。しかし一応は、それぞれ委員に聞いて、委員が主に指摘した内容について、これで間違いないかということを個々に確認した上で、最後は委員長がとりまとめることになる。

《質問》奥村規子 委員
 県の策定した第3次和歌山県廃棄物処理計画について、以前、私は本会議でも質問したが、平成39年度まで大阪湾のフェニックスで年量10万トンの処分委託が約束されている。県内で埋立処分する必要はない計画ということで述べたが、少なくとも10年間は産廃処分の技術の進歩とか、10年後に様変わりしていくことが見通せると思う。その点で産廃処分技術の現状とか加速度的に進歩していくのではないかという点はどのように考えているか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 処理計画では、処分を目的とした産業廃棄物の持ち込みを規制するとともに、県内発生廃棄物の県内適正処理体制の構築を目指すことをうたっている。最終処分場の必要性については、必要であることは計画でもうたっているので、技術が進歩するという話もあるが、県内で稼働中の最終処分場の残容量とかをみて、あるいは廃棄物の処理量をみて、最終処分場が必要であるということには変わりがないと思う。

《質問》奥村規子 委員
 今年度のフェニックスへの処分委託量はどのくらいか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 具体的な数量は、資料を持ち合わせていないので把握していない。

《要望》奥村規子 委員
 あとで資料の提供を願う。

《質問》奥村規子 委員
 最終処分場に関する調整池等の構造上の問題で、市道の「猪野々野島線」を防護堤とすることはおかしいと思うが、県はどのように考えているか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 最終処分場の安全性については、市道が防護堤ということではなく、最終処分場の施設として安全かどうかということを審査しているので、その上で現在の計画で安全だということを確認している。

《質問》奥村規子 委員
 市道が防護堤の肩代わりをするということはないということでよろしいか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 一番下のところに築堤を設けるので、その計画に基づいて安全かどうかということであるので、市道を含めてということではない。

《質問》奥村規子 委員
 遮水シートの問題について、前にも委員会で質問したが、業者が答えることと、県の対応とで住民が不安を感じている。遮水シートのメーカー保証は何年なのか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 遮水シートの耐久性については、全国都市清掃会議の要領において基準が定められており、この基準を満足するとの試験報告書が添付されており、問題ないと考えている。

《質問》奥村規子 委員
 メーカーからの資料として、県は何か提出、確認などしているのか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 試験報告書が添付されているのでそれで確認している。

《質問》奥村規子 委員
 事業者か住民に答えているのは、紫外線の暴露試験をやったから、90年以上の耐久性があるとのことである。実際、産業廃棄物が積み重ねられていくと、紫外線がなくなってくるわけだから、そういった暴露試験だけでは住民は納得しないと思う。実際に住民が安心、理解できるように県が役割を果たしてもらいたいがどう考えるか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 90年の耐久性については、塩化ビニール樹脂の劣化の主な要因が紫外線ということで、それについては90年以上の耐用年数があるということは事業者が認めている。県の考え方では、繰り返しになるが、全国都市清掃会議の要領にもとづく基準があり、その基準を満足するとの試験報告書が添付されていることで問題ないと考えている。

《要望》奥村規子 委員
 住民が調べたところ、耐久年数について説明が食い違った状況があったので、県としても再度リーダーシップをとって住民の不安に応えてもらいたいと要望する。

《質問》奥村規子 委員
 事業者が、はじめて漏水検知システムを導入するといわれていたが、一定の容量が埋め立てられてからでも異常が発生したら、掘り起こして補修すると事業者は答弁した。これも県に聞きたいが、検知システムが完全に作動していて漏水反応が出た際、実際に掘り起こすのか。もし40メートル以上の深い山に検知反応が出て、掘り起こすのは大変なことだと思うし、その掘り起こしたものを別の場所に置かないといけない事態も考えられるので、それについてはどのように考えているか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 漏水検査システムでもし異常が見つかった場合どう対処するか、掘り起こしてそこを修復することは、以前から我々も事業者に確認していたし、今回のアドバイザー会議でも事業者はそう説明している。そういう事態がおこらないことが望ましいが、もしそういう事態になった場合は掘り起こすことを前提に、生活環境に影響が出ない作業方法を県と事業者で協議しながら、掘り起こして修復にあたることになると理解している。

《質問》奥村規子 委員
 現地に行ってみると近くに給食センターがあり、そこで子供たちの3,000食の給食が作られている。粉じんのことを保護者が心配するのは当然だが、県技術アドバイザーもこのことを心配する意見を事業者にいっていた。事業者は、わからないからモニター設置して対応するといっていたが、こういったことでは住民の不安はなくならないと思うが、県としてはどのように考えているか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 粉じんによる影響について、影響を評価した結果、給食センターに隣接した民家で基準を満足していることについては確認をしている。しかし、アドバイザー会議の委員からも指摘がある中で、給食センターに隣接する民家について造成期間中、粉じんのモニタリングを行う計画となっている。そういったことから生活環境上の支障が生じないよう必要な措置が講じられていると考えている。

《質問》奥村規子 委員
 モニターは県が設置するということか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 県ではなく事業者が行う。

《質問》奥村規子 委員
 アスベストの問題もいろいろ意見を聞いているが、担当課も問題の大きさを十分に認識していると感じている。地元の方は事業者の説明会での答えは二転三転して、結局飛散性のないアスベストを受け入れるという印象をもっている。
 その点については、分別が難しいとかいろいろ問題があると思う。もしそういうことがあれば、掘り起こしをしなければならないという問題が出てくると思うが、アスベストについてはどのように考えているか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 アスベストについては、飛散性のあるものについては特別管理産業廃棄物ということで受入対象品目になっていない。飛散性のないものについては、アスベスト含有ということで受入対象品目の中に含まれる。それについては、それも含めた受入品目の受入れについて安全かどうか評価、審査をしているので、安全であると考えている。

《質問》奥村規子 委員
 御坊市議会からも知事に意見があった。ぜひ再度住民を含め、事業者が十分な説明ができるような機会を作ってもらえればと思うが、その点についてどうか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 事業者は、今後も必要があれば説明を行うと言っているので、十分対応できると考えている。

《質問》奥村規子 委員
 アドバイザー会議においても、委員から丁寧にしっかり対応をという意見が出ていた。県の主催で説明会を開催してほしいと考えるが、その点はいかがか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 県の主催で説明会というのは現段階では考えていない。

《要望》奥村規子 委員
 こういったことが後々に問題になってはならないので、説明会を含めて、住民が安心できるということ、疑問に徹底して答えていく姿勢が大事ではないかと思うので、再度検討してもらいたいと要望する。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員
 消費生活相談について補正予算にあげているが、具体的内容を教えてもらいたい。

《答弁》 県民生活課長
 各市町村が設置する相談室にインターネット回線を活用したテレビ電話を設置し、各市町村の相談を支援できるようにするための予算である。

《質問》奥村規子 委員
 テレビ電話を設置するような相談窓口は全市町村に設置されているのか。

《答弁》 県民生活課長
 残念ながら、全市町村には設置されていない。

《質問》奥村規子 委員
 一人暮らしの高齢者宅に太陽光発電やいろいろな電話がかかったりし、消費者被害があると思う。そういった被害を未然に防ぐために、消費者からの相談を受け付けるだけでなく、周知徹底を図ることも力を入れてほしいと思う。その点で、設備を導入して相談に応じられるということも今回の予算に入っていると思うが、この部分で、市町村がどう受け止め、どういったことに使おうと考えているのかなどの現状はどうか。

《答弁》 県民生活課長
 一人暮らしの老人対策については、役場や自治会、民生委員など地域住民の参加により、消費者被害防止ネットワーク研修会を地域ごとに開催している。

《要望》奥村規子 委員
 お年寄りだけでなく、消費者の被害がなくなるようお願いしたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員

 昨年の福島の事故以来、放射線に対する食品の安全や子どもの給食についても測定するとなっていると思うが、そういった機器が入ったり、充足されたりすると、人的な体制というか、業務が多くなると思う。県環境衛生研究センターでは、人的体制は厳しいと思うがどうか。

《答弁》 環境生活総務課長
 県環境衛生研究センターの業務量が増えているということは承知している。
 人員配置については、職場の意見をよく聴きながら、適正な配置に努めていきたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員

 上水道の施設の耐震化の現状はどうか。

《答弁》 食品・生活衛生課長
 上水道施設の平成22年度の耐震化率は、水道本管が本県で約10%、全国平均が約18%となっている。ただ、管路の布設条件から耐震性があると考えられる耐震適合性のある管を含めると本県は約20%、全国平均が約31%となっている。浄水施設は本県が約18%で、全国平均が約19%、配水池は本県が約28%で、全国平均が約38%となっている。
 市町村に対しては、水道施設の耐震化を進める国の補助事業を活用して水道管あるいは水道施設の耐震化を進めるよう指導しており、水道施設についてはまず耐震診断を実施するように推奨している。
 その結果、耐震性がない場合には耐震化を進めていくことになるが、耐震化には費用がかかることから、県としては国の補助制度等の情報をアンテナを高くして把握し、確認でき次第すぐに市町村に連絡するようにしている。
 また、国への要望として、ライフラインの耐震化の補助率が3分の1や4分の1であるのを2分の1以上にするように、また、構造物は40年以上経過しないと更新できないこととなっているところを30年以上での更新を認めてほしいといった要望を、団体を通じて国に行っているところである。

《質問》奥村規子 委員
 先ほどの耐震化率は簡易水道以外のものか。

《答弁》 食品・生活衛生課長
 先ほど申し上げた県の耐震化率は上水道のものであり、国の発表している全国平均の数値と比較している。簡易水道については全体が把握できていないが、把握できている分に限れば、簡易水道の水道管の約17%について耐震化がなされている。

《要望》奥村規子 委員
 水道はライフラインとして貴重な水を提供するための施設であるので、簡易水道の状況を含めて実態を把握してもらいたい。耐震化率を上げていくために国の補助金の活用も含め、県としても重視して取り組むように要望する。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………

◇ 議案に対する採決
議案第107号 平成24年度和歌山県一般会計補正予算
議案第113号 和歌山県指定猟法禁止区域等の標識の寸法を定める条例
議案第114号 食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
は、全会一致で原案可決


福祉保健部
《質問》奥村規子 委員
 昨年、東日本大震災の後、9月に紀伊半島大水害があり、避難のあり方は切実な課題となっている。福祉避難所の県下の状況はどうなっているか。

《答弁》 福祉保健総務課長
 現在の設置状況は、16市町87カ所となっている。

《要望》奥村規子 委員
 全30市町村の過半数になったところなので、ぜひ早急に取り組んでもらいたい。

《質問》奥村規子 委員
 備蓄の状況はどうなっているか。

《答弁》 福祉保健総務課長
 平成19年度から10年間で30万食を備蓄する計画となっていて、今年度は3万食を追加する予定であり、現在は85,312食分である。内容は長期保存食品、アルファ化米、乾パンなどである。

《質問》奥村規子 委員
 備蓄品の入札は、総合防災課で行っているのか。

《答弁》 福祉保健総務課長
 福祉保健総務課で、それぞれ仕様書に基づき一般競争入札を行っている。

《要望》奥村規子 委員
 備蓄品については、県民の方たちのいろんな知恵を集めて考えていただきたい。
 たとえば健康上ストレスが過度にかかったときは、乾パンは、ばさばさで食べにくいことがある。高齢者はおかゆにするなど、配慮をお願いする。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員
 子育て支援のシステムは、現段階でどのようになっているのか。

《答弁》 子ども未来課長
 平成24年3月16日付けで、和歌山県議会議長から国に対して意見書を提出いただいた。全国でも同じような動きもあり、制度を大幅に修正したものが8月に可決され、それが子ども・子育て関連三法である。
 「総合こども園法」が廃案となり、「認定こども園法」が一部改正されたが、幼保連携型認定こども園の改善が主で、制度、補助金、認可・指導権限を一元化することになり、所管庁も内閣府に一本化される制度となった。保護者の視点に立った具体的な例として、保育制度では、保護者と施設の直接契約とされていたところを、「市町村の実施義務がなくなることにより、保育を必要とする子どもに対する保育が確保できるかどうか疑問である。」というような声があり、従前どおり市町村が保育の実施義務を担うこととなった。
 また、待機児童対策として指定制度の導入や多様な事業者の参入ができるものとされていたが、教育・保育の質の低下につながるのではないかという意見があり、指定制度が見送られ、認可制度が継続、事業者の参入も制限されている。
 新制度においては、現行の保育制度を踏襲しつつ、更なる充実という点で、7千億円の財源が確保され、保育の量的拡大を図る他、職員の処遇改善にも充てていくというように変わってきている。

《要望》奥村規子 委員
 議会や県民の声が吸い上げられて、当初のシステムからいえば、根幹部分も以前からの制度が踏襲されるということであるが、保育士の身分を社会的に向上させていく状況を作っていかねばならないと思っているので、これから保護者や現場の保育士の声を十分聞いていただきたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員
 障害者施策について、先日8月8日に国土交通省は各バス事業者に精神障害者のバス運賃の割引の対象ということを通知したと思うが、これについて県としてはどのように周知するのか。対象者がどれくらい和歌山県内にあって、どうしていきたいのか意見を伺いたい。

《答弁》 障害福祉課長
 先般、国土交通省の方から各バス事業者の方に、標準運送約款という国土交通省が示しているものがあるが、そちらが改正されて、精神障害者についてもバス運賃の割引の対象になるという形で示されている。
 実際にそれを反映して、各バス事業者が運賃の割引を実施するかどうかというのは、あくまでバス事業者の判断ということになるので、障害福祉課として、まずバス事業者の方にこの標準運送約款の主旨を踏まえて割引を実施するようお願いするとともに、今和歌山県内で精神障害者の手帳をお持ちの方は大体5,000人位おられるので、その方々にバス事業者の状況を踏まえながら、割引が始まる通知を「県民の友」に掲載する、あるいは市町村経由で伝えていただく、そういうような形で周知に取り組んでいきたいと考えている。

《要望》奥村規子 委員
 公共交通機関がもっと利用率を上げるということも含めて、こういった機会でぜひ県民に周知徹底を県としてもしていただきたいのと、事業者が実施しようということになっていく方向でかかわりをしていただきたいと思っている。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員
 介護保険法が改正され半年経ったが、県としての実態把握を要望したいし、お返事いただきたい。私の聞いているところでは、介護報酬は全体的に1.2%引き上げられたが、介護職員の処遇改善も含めて介護報酬で算定されることになっている。そこで実質的にどうなのか、また、このたびの改正によって現場は良くなったのか、利用者にとってどうなのか教えてほしい。このような意見が上がっているというのがあれば教えてほしいし、現時点でつかめていないのであれば、ぜひ実態を掴んでほしい。

《答弁》 長寿社会課長
 介護報酬については1.2%の改定だが、そのうち処遇改善交付金に相当する2%が含まれているので、実質は差し引きマイナス0.8%と言われている。そういった中で、事業者や利用者から話を聞いたところ、特別養護老人ホームや介護老人保健施設では介護報酬がマイナス改定になっているため、経営に影響があると聞いている。また、利用者の意見としては、訪問介護サービスで時間区分が60分から45分に変更されたため、これまで60分で受けていたサービスを45分に短縮するように事業者から言われているなどといった話を聞いている。
 こうした意見は網羅的に調査したわけではないが、関係者や事業者、業界団体などから状況をヒアリングしたものである。調査については、国の社会保障審議会介護給付費分科会で介護報酬改定の検証・研究委員会を作って、調査研究がされることになっている。県でもこうした議論が委員会で適切にされるよう、特に今回の報酬改定では特別養護老人ホームや介護老人保健施設のマイナス改定がかなり大きかったので、そういった点を少し考えるべきであるという意見を、8月に近畿府県民生主管部長会議を通じて国へ要望しているところである。今後も関係者の方々の意見を聞きながら、必要に応じて国へ要望・提案をしていきたい。

《要望》奥村規子 委員
 要望だが、実態をリアルにつかんでいただきたい。国の調査項目だけでなく、和歌山県独自の関係団体や施設に色んな話を聞いて、調査する項目も含めて検討していただきたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員
 救急医療については、地域医療再生化基金の活用で機器整備を進めている。
 その反面、救急患者を受けられるようにすると、看護体制においては救急医療に伴って病棟の患者が重症化し、また高齢の救急患者を受けると介護度があがったりする実態があると考えられ、厳しい労働環境であると感じている。
 看護師の確保に関連し、平成23年6月の厚生労働省5局長通知(看護師等の「雇用の質」の向上のための取組について)について、県はどのように対応を進めているか。

《答弁》 医務課長
 今年度の県の取組みは、和歌山労働局主催の企画委員会への参画、看護管理者を対象とした研修などを和歌山労働局と連携し実施の予定である。
 また、看護職員の就労環境改善に向けた取組をしようとする医療機関への支援についても検討中である。

《質問》奥村規子 委員
 看護業務の環境改善についても、県として一緒に考えていくということか。

《答弁》 医務課長
 看護職員の就労環境改善策として、医療機関に対して、多様な勤務形態の啓発や導入研修などを看護協会のナースセンター事業として行っている。

《質問》奥村規子 委員
 看護業務の効率化には、病院の努力以外にも行政の取組が必要であり、チーム医療など他職種との連携、医療クラークの活用など実践的事例集の普及を図るべきであると考える。病棟事務がおらず看護師がさまざまな業務を担う就労実態を把握し、また、実習生の実習受入病院への就業が少ないことの原因を把握するとともに対策を講じていただきたい。

《答弁》 医務課長
 県内就業率は、看護師3年課程で80%程度である。学生が、どの病院に就職するか選択することになるが、県内への就業促進を図るため、就職説明会など、病院がPRできる機会を設けていきたい。

《要望》奥村規子 委員
 PRの場を設定しているのが県の役割であるとのことだが、看護職員確保に関して、新卒者の県内就業には偏りがあるので、その原因等分析をし、災害医療や紀南地域の救急医療体制を整える対策を行っていただきたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員
 今回20件の条例が上程されているが、パブリックコメントの結果、特徴的な意見はどんなものがあったか。

《答弁》 長寿社会課長
 例えば、特別養護老人ホームでは多床室をつくれるように、また、人権擁護、非常災害、衛生管理の推進など独自基準項目では、いろんなやり方を示してほしいというコメントがあった。

《質問》奥村規子 委員
 パブリックコメントでの意見は何件あったか。

《答弁》 長寿社会課長
 長寿関係では、4件あった。

《答弁》 子ども未来課長
 1件あった。

《答弁》 障害福祉課長
 障害福祉関係の意見数は1件であった。

《質問》奥村規子 委員
 非常に少ないと思う。関係機関や関係施設に条例の提案をどんな関わり方で行ったか。

《答弁》 福祉保健政策局長
 関係団体等については、障害者、高齢者等それぞれの団体と意見交換、協議を行った。
 条例を定めるにあたり、配置する職員や居室の床面積等主要なものについては省令で定められており、「従うべき基準」として法律上位置づけられている。一方、それ以外のものについては「参酌する基準」として、県が地域の実情に応じて定めていくことになっているが、「参酌する基準」が限られており、結果的に今回のパブリックコメントの意見が少なかったのではないかと考えている。

《質問》奥村規子 委員
 なかなか伝わっているとは言いにくいと思う。意見を出しやすいように取り組んでもらいたい。
 私は、災害対策推進員、人権擁護推進員等を各施設に設置するというのではなくて、全体の管理運営の中で当然あるべきものだと思う。現場としては、さらに仕事が増える状況になると思うが、人員配置を上乗せできるのか。

《答弁》 福祉保健政策局長
 従うべき基準でも、上乗せについては可能な場合もある。

《質問》奥村規子 委員
 居室面積でもあるのか。

《答弁》 福祉保健政策局長
 そういったものもある。先ほどの推進員の設置や施設の管理運営については、その責任を管理者のみに頼るのではなくて、組織的に対応していただき、指定された推進員が自覚をもってその職務にあたっていただくことが、より一層効果が期待できると考えている。
 災害等への対応は、施設として本来実施すべき国の基準であって、推進員を置いたから直ちに仕事が増えるものではない。従前どおり国の基準に従って業務をこなしていれば、そんなに大きな負担はなく、今後将来に向けた適切な管理体制を作りたいという趣旨である。

《要望》奥村規子 委員
 「この条例で定めるもののほか、条例に必要な事項は知事が別に定める」ということについては、研修の財政措置等いろんな事があるので、要綱を作る際には、ぜひ意見を聞いていただく姿勢でお願いしたい。

◇ 議案に対する採決
議案第107号 平成24年度和歌山県一般会計補正予算
議案第115号 和歌山県救護施設等の設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第116号 和歌山県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第117号 和歌山県婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第118号 和歌山県特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第119号 和歌山県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第120号 和歌山県軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第121号 和歌山県指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例
議案第122号 和歌山県介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例
議案第123号 和歌山県指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第124号 和歌山県指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例
議案第125号 和歌山県指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係
        る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例

議案第126号 和歌山県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例
議案第127号 和歌山県指定障害者支援施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例
議案第128号 和歌山県障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第129号 和歌山県地域活動支援センターの設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第130号 和歌山県福祉ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第131号 和歌山県障害者支援施設の設備及び運営に関する基準を定める条例
議案第132号 和歌山県指定通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例
議案第133号 和歌山県指定障害児入所施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例
議案第134号 和歌山県病床数の補正並びに病院及び診療所の人員及び施設に関する基準等を定める条例
は、全会一致で原案可決


2012年9月議会   奥村規子プロフィール、質問一覧   ブログ「おくむらのり子のぴょんぴょん日記」


福祉環境委員会で質問する、奥村規子委員=9月25日、和歌山県庁