2012年9月県議会 文教委員会 雑賀光夫委員の質問概要記録
9月25日


《質問》雑賀光夫 委員
 南部高校の山岳施設の問題について強い問題意識を持っていなかったが、先ほどの話(多田委員の質問)を聞いて、大変心配になった。南部高校にクラブを作るよう指導するという話もあったが、南部高校に施設を作ることについて、高校側から施設を置いてもらいたいという要望やクラブを作りたいという要望があったのかどうか。

《答弁》 スポーツ課長
 南部高校からの要望ではなく、みなべ町が国体の山岳競技の開催に手を挙げてくれ、施設の調整をした結果、最終的に南部高校への設置が決まった。

《意見》雑賀光夫 委員
 それでは学校の自主性にも関わってくることなので、大変心配する。この問題を事前に調べてこなくて申し訳ないが、高校側の意見を聞いてみたいと思う。もう少し調べた上で、本会議で賛成するかどうかは別にして、確信が持てないので、この委員会では態度を保留にしたいと思う。
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《質問》雑賀光夫 委員
 本会議では、いじめの問題を取り上げた。教育長からも、「見過ごしているのではないかという危機意識を持って取り組んでいく」との答弁があった。これは結構だと思う。学校でも教育困難な問題校は、校内暴力、不登校、中途退学、いじめといろんな問題が出てくるが、特にいじめの問題というのはなかなか表に出てきにくい。毎年、この数字が上下するが、実態が上下しているのではなく、むしろ調べる側の意識によって数字が上下しているのではないかという感じもする。そういう点で教育長も「見過ごしているのではないかという危機意識を持って」と言っていただいているので結構であるが、それ以外の表にも出やすい暴力の問題、不登校の問題、中途退学の問題、この辺の数字はどうなっているか。

《答弁》 学校指導課長
 今、委員から御指摘があったように、いじめの件数については、年ごとに変化をしている。本県はいじめの認知件数は全国的にも少ない傾向にあるが、平成18年度、22年度には200件を超える状況であった。これについては、平成18年度に国において、いじめの定義がいじめられる側の視点に立ったものにということで変更され、全国的にも数が増加した。また、平成22年度は、国のほうからも指示があったが、児童生徒を対象としたいじめアンケートの実施を徹底したため、 増加をしたと捉えている。いじめに関わる社会の状況にも敏感に反映して変動するものでもあると捉えている。
 また、不登校については、本県における不登校児童生徒数は、年により変動はあるが、ピークであったのは平成12年度で、それ以降は減少傾向にあり、平成21年度以降は小中学校の合計で1,000〜1,050名で、また高等学校では、平成20年度から400〜500名程度で推移をしている。平成23年度で、小学校219人、中学校829人、高等学校471人となっており、平成22年度に比べると増加傾向にある。
 また、中途退学については、平成20年度から減少傾向にあったが、平成23年度は一転増加をしており、全日制で373人、定時制で147人の合計520人である。
 前年度と比べて、全日制で50人の増加、定時制で14人の減少となり、合計36人の増加となっている。
 また、暴力行為については、本県の発生件数は平成20年度から増加傾向にある。平成23年度の公立小・中・高等学校での数は、小学校15件、中学校571件、高等学校147件の合計733件であり、前年度に比べて特に中学校で143件の増加となっている。

《質問》雑賀光夫 委員
 いろいろな問題があって、全部についてここで究明するわけにいかないが、中途退学が増えている問題がある。中途退学には、生徒が学校へ行く意欲をなくして退学をするという場合もあるが、今の経済的に不安定な状況の中で、経済的理由で退学をするという場合もあると思う。経済的理由で退学をする数字はつかんでいるのか。

《答弁》 学校指導課長
 中途退学の理由別の集計も行っており、その中で経済的理由ということで平成23年度に退学をした生徒は4人となっている。

《質問》雑賀光夫 委員
 統計というのは、数字を見るだけでは、なかなか信用できない。いじめもそうであるが、果たしてこの500人のうち経済的理由による者が4人だろうか、本当に家でお金が出せないので、子どもが「先生、もう退学させてもらう」と言ってくるかどうか。私は、統計、調査というのは、文字面を捉えてそれで安心しているのではなくて、本当にそうだろうかと疑ってかかる必要があるのではないかと思う。
 何年か前に、私は子どもの貧困という問題を取り上げたが、ちょうど高校授業料が無償になった年であった。それはそれでいいが、学校納付金が多いと。それで、小中学校の子ども時代には修学援助という制度があるが、高校の場合は修学援助制度がない。それを、例えば高校まで延長するとか、あるいは給付型の奨学金を設けるとかという提案をして、「そういうものを国に対しても働きかけていく」とお答えいただいたことがある。
 私は、本当に経済的理由で退学した子どもは500人に4人しかないというのではなく、今の経済が大変ななか、中小企業が倒産するところもある中で、子どもの経済的理由という問題を教育委員会はしっかりと考える必要があると思う。その点、この給付型奨学金については、その後どういう動きになっているか。

《答弁》 生涯学習課長
 給付型奨学金利度については、高校授業料無償化の後も、修学については授業料以外の学校教育費が必要であり、特に低所得世帯には大きな負担となっていることは十分認識をしている。
 しかしながら、財政事情が非常に厳しい中、県単独で新たな給付型奨学金制度を導入することは非常に困難である。
 そのため、これまでと同様に全国知事会や全国都道府県教育長並びに教育委員長協議会を通じて、引き続き国に対し要望してまいりたい。

《質問》雑賀光夫 委員
 文部科学省は高校生修学支援基金実施要綱を改正し、返還猶予制度を導入するなどの調査をしたと聞いているが、これはどのようなことか。

《答弁》 生涯学習課長
 本年度から、国のほうで所得連動返済型無利子奨学金制度というものを導入した。この制度は、給付型奨学金への出発点として、今年度大学等に入学した学生を対象に、卒業後に一定の収入を得るまでの間、返済を猶予するという奨学金制度である。
 しかしながら、この制度については、将来にわたって奨学金事業を継続かつ安定して運営するため、将来の収支予測や回収率向上に向けた取組を行うよう会計検査院からも求められている中で、期限を設けない返済猶予制庫の導入は収支予測を非常に難しくするものであり、現状の貸与制度の維持を困難とする可能性がある。また、この返済猶予制度は卒業後の制度であり、経済的に修学することが困難な生徒に対する抜本的な解決策にはなり得ないと考えている。やはり、経済的理由により修学が困難な生徒を支援するためには、給付型奨学金制度を初めとする支援策を創設することが必要であると考えており、このため、国に対し引き続き要望していきたいと考えている。

《要望》雑賀光夫 委員
 県の財政だけでは難しいので国に働きかけていきたいということであるが、今の経済状況の中で修学が困難な生徒に対する支援は大事であると思うので、ぜひとも国に対する働きかけを強めてほしい。
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《質問》雑賀光夫 委員
 学校で不登校や中途退学、暴力、いじめなど困難がある中、困難な学校を支援するために児童生徒支援加配という教員が置かれている。この児童生徒支援加配教員というのは、海南・海草に1人も置かれていないのでひがんでいるわけではないが、配置が少し偏っているのではないかという気もする。この教員は、いつから、どういう基準で、何人置かれているのか。

《答弁》 学校人事課長
 国の児童生徒支援加配を活用した学習支援推進教員については、平成14年度から配置し、その配置数は、平成14年度は150名であったが、年々減少し、平成20年度からは100名を配置している。
 配置については、市町村教育委員会と十分協議し、児童生徒の状況や教育課題などを精査した上で、学習指導や生徒指導、進路指導等に関して特に支援が必要と認められる学校に対し、実情に応じて配置している。

《質問》雑賀光夫 委員
 私は「過去4年間ほどの資料を持ってきてください」と言って教育委員会から資料をもらったが、それを見ると、同じ学校に毎年配置されている。その中には、そう大きくない学校で3人配置されているところもある。あるいは、これもそう大きくない学校で2人が配置されているところがあるが、その学校の様子を見た場合、学習状況調査の結果などを見ても、非常に落ち着いた、学力の高い学校である。非常に偏った配置ではないか。旧同和行政の延長ではないかという意見もあったので、聞けば「同和地区だけではない」と言われたが、非常に不自然な配置であると思う。
 教育委員会の事務局は、昔からのしがらみがあって全く見直さずに、前からずっとやってきているというのがあると私は思う。恐らく、教員定数配置については膨大な資料が教育委員会に渡されると思う。渡されても、その中でどんな問題があるか、非常勤の教育委員はなかなか見つけ出せないのは当たり前である。その配置を一度、教育委員会で検討していただければと思う。恐らく誰が見てもこの配置は正常でないと気付いてもらえるだろう。
 教育委員会は、事務局から示されたものをまず審議されるであろうが、その中で私が提起したこの問題について、「一度、その問題を持ってこい」と言って、教育委員の目で、一般市民の目で、しがらみのない目で一度検討していただきたい。ここで、それをどうするという結果を聞くのではない。検討していただきたいと思うが、教育委員長、いかがか。

《答弁》 教育委員会委員長
 私はまだ資料を受け取ったことはないが、市町村教育委員会と十分検討しながら配置をしているということは聞いている。しかし、今の話のように、我々教育委員会としても、その辺をもう少し詳しく報告を受け、それをよく精査しながら教育委員会の中でより一層検討したいと考えている。

《質問》雑賀光夫 委員
 私が本会議で取り上げた定数内講師を減らす問題も、やはり同じような問題である。
 県議会では、教員定数は何人というふうに、予算として知事も認めてやっている。ところが、合格者数が何百人も定数に足りないために、定数内講師という身分不安定な職員が置かれている。それも歴代教育長が、聞かれれば「減らす」と言うが、実際に減っていない。そして、「募集定員を増やした」と言うが、6人くらいしか増やしていない。これでは減らせる見通しがないので、私は本会議で、「ありがたいことに、今度は教員の希望者が多くて、一次試験の合格者は90何人も多い。二次試験のレベルを下げなくても、普通にすれば募集定員より50人〜70人ほど増やすことができる。教育委員会でも検討いただきたい」と申し上げた。
 教育長は、一旦、募集定員をこういうふうにすると提案した関係で、合格者を70人増やすのはしにくいであろうが、そこは教育委員の出番である。教育委員が客観的にそれを考えて、「募集定員はこうなっているが、しかし、合格者を増やす条件もあるし、そうすれば定数内講師を減らすという教育長自身の公約も果たせるから、この際は思い切って増やしたらどうか」というようなことを、決をとるかどうかは別にして、一度、教育委員会の会議で資料を出してもらって議論をし、教育委員長自身の普通の感覚で、以前からのしがらみにとらわれない感覚で検討してよい助言をしていただきたい。

《答弁》 教育委員会委員長
 定数内講師の件も事務局から報告を受けている。しかしながら、最近特にいわゆる管理職の先生方で、定年60歳までに退職する方も多い。これの予測が非常にできにくいという形の中で、定員をある程度決めていく。したがって、定数内講師の数も増えてくるというか、そのような状態が今続いているのではないかと考えている。

《要望》雑賀光夫 委員
 500人もいる定数内講師を一度にゼロにせよと言っているのではない。前から300人〜400人もあったのを「減らす」と言ったのに、4年ほど前から言えば、さらに80人も増えている。去年から言えば、50人増えている。せめて、その50人をもとに戻せるぐらいの予想をし、予想が外れて50人減らすのが80人減っても、それでも、以前置かれていた範囲の中であるならそんなにおかしなことにはならない。決して無理なことを言っているのではないと思うので、教育委員会の常識的な判断で、それをもう一度見ていただきたい。
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◇ 議案に対する採決
議案第107号 平成24年度和歌山県一般会計補正予算
は賛成多数で原案可決


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