2012年月県議会
雑賀光夫 一般質問 概要記録
2012年20日

1.盲学校と道路問題
(1)盲学校敷地を道路が通過することは避けられないのか
(2)教育委員会は盲学校の教育条件をどう守るのか
(3)知事は盲学校の教育条件をどう守るのか

2.「いじめ」問題について
(1)和歌山県での「いじめ」の状況把握と指導のあり方
(2)「いじめ」を見逃さない子どもを中心にした民主的な学校
(3)教員が子どもと向き合う教育条件整備
(4)定数内講師を減らすための教員採用募集枠について

3.「原発ゼロ」と自然エネルギー開発
(1)住宅や県有施設の太陽光発電
(2)メガソーラーについて
(3)コスモパーク加太の活用
 @ コスモパーク加太の賃貸価格と活用
 A コスモパーク加太を活用しやすくするために

4.県警科学捜査研究所での鑑定書類捏造疑惑について
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1.盲学校と道路問題
(1)盲学校敷地を道路が通過することは避けられないのか
《質問》雑賀光夫 県議
 議長のお許しを得ましたので、質問にはいらせていただきます。
 第一の柱は、和歌山市紀伊地区にある盲学校用地に都市計画道路・西脇山口線がかかって校地がけずられるという問題であります。
 問題は、敷地が削られてせまくなるというだけではありません。
 視力障害者のみなさんは、音を頼りにスポーツをします。盲人野球というのは、ピッチャーからバッターにボールをころがして、地面との摩擦音を頼りに、ボールを打ち、守備側は、ボールを追いかけます。先日、関係者のみなさんが、交通量の多い道路わきのグランドで実験をしました。乗用車は、そんなに音は大きくないのですが、トラックやバイクが走った時には、視力障害を持っている教員でも、ボールが分からなくなるといいます。
 もちろん、一般社会は静かな環境ばかりではありません。しかし、子どもたちは、まず静かな環境で、音を聞き分ける耳を養い、多少の騒音の中でも聞き分けられる耳を鍛えていく。それが、教育だろうとおもいます。
 盲学校では、盲人野球は近畿大会で昨年、一昨年準優勝です。それまでは、3年連続出場し、全国優勝をしています。盲人バレーは、近畿大会5年連続優、弁論大会は、11年度、全国優勝したということです。
 私も、盲教育については、全くの素人ですから、いまここで申し上げているようなことは、この度の問題が起こって、関係者のみなさんにお聞きする中で、わかったのです。
 ところで、道路行政の側は、そんなことに関係なく、都市計画決定があるというので、工事をすすめてきた。
 そして、昨年暮れ、盲学校関係者が「どうも敷地にかかるようだ」と聞きこんできた。県教育委員会が知ったのも同じころだそうです。
 6月県会の文教委員会でお伺いすると、いったんは「盲学校用地を避けてもらえるよう、道路関係者と交渉しなさい」と指示された。ところが、その後、航空写真を見ると、「ここまで道路がきていたのか」とびっくりした、そして対策を考え始めたというのが、これまでの経過であります。
 8月10日には、視力障害者の会との話し合いに私も立ち会いましたが、参加者の皆さんからは、心配なことが縷々話されました。道路関係者のみなさんも十分受け止めていただけたと思っています。
 そこで質問です。このたびの道路が盲学校の敷地にかかるという問題。どうされるおつもりなのか。県土整備部長にお伺いします。


《答弁》 県土整備部長
 都市計画道路西脇山口線につきましては、和歌山市の紀の川北部地域における唯一の東西幹線道路として、昭和40年に都市計画決定され、県市協力して工区を区切り順次整備を進めております。
 県立和歌山盲学校のある田屋工区、延長1,540mにつきましては、今年度より事業化を行い、現在測量調査を実施しているところです。
 道路建設による教育環境への影響、特に音の問題につきましては、教育委員会及び盲学校と話し合いながら、防音壁、低騒音舗装の活用の検討など、様々な体験学習にできるだけ影響を与えないよう最大限の配慮をしてまいります。


《再質問》雑賀光夫 県議
 教育委員会や盲学校関係者との話し合いをどうすすめていかれるのか。納得を得られないままに、規定方針だからと計画をすすめていくおつもりなのか。もう一度お伺いします。


《再答弁》 県土整備部長
 今回の都市計画道路の問題につきましては、特に西脇山口線は地権者の協力も得て順次進めております。また、地域全体からも強い要望を受けております。そうした中で、一刻も早く整備を進めていきたいという思いがございます。
 また、今の問題につきましては、音の問題と出来るだけ機能回復を図るとともに騒音の影響のないような形で、充分話し合いながら進めていきたいと考えております。


《コメント》雑賀光夫 県議
 盲学校の教育環境、校地の広さを確保することと、騒音対策の両方をどう確保するのか。とりあえず、測量など延期していただいているようですが、まずこうした問題を全面的に検討すべきであります。教育環境整備はあとから考えるということで、測量などすすめていくということでは、県行政への信頼が全面的にくずれるということになりかねません。


(2)教育委員会は盲学校の教育条件をどう守るのか
《質問》雑賀光夫 県議
 では、教育長は、この事態をどう考えておられるのか。お伺いします。


《答弁》 教育長
 教育委員会といたしましては、これまでも盲学校をはじめ、特別支援学校について、障害のある子どもたちが適切な学習ができるよう教育環境の整備に努めてきたところでございます。
 現在整備中の都市計画道路西脇山口線の予定地が和歌山盲学校の敷地の一部と重なっており、視覚障害のある児童生徒にとっての大切な情報源である音の問題等様々な面で学習に影響を与えることは大きな課題であると認識しております。
 教育委員会といたしましては、学校や関係部局との十分な協議を踏まえ、障害のある子どもたちのための教育環境の整備に今後とも努めてまいります。


《コメント》雑賀光夫 県議
 教育委員会としては、教育環境を守るという立場に立ち切っていただきたい。


(3)知事は盲学校の教育条件をどう守るのか
《質問》雑賀光夫 県議
 知事に対しても、メールなど要請がなされていると思います。知事は、この事態を、どうお考えなのでしょうか。


《答弁》 仁坂知事
 都市計画道路西脇山口線は、和歌山市北部地域における重要な幹線道路でございまして、部長が申しましたように昭和40年の都市計画で決まっております。ただ、ほとんど進んでおりませんで放置されておると、俗な言葉で言えばですね、そういうことであったんですが、和歌山の発展には不可欠でございますので、最近力を入れて早期に全通するように努力をしているところでございます。
 また、関係する地権者の協力はもとより、地域全体で強力なご支援を頂きながら事業を推進しております。これは、たとえば地域全体でですね、どうしても土地を売らないというような地主さんなんかには説得して頂くというような協力もして頂いておるわけであります。
 今年度には、宇田森工区を完成させるなど、着実に整備を進めてきておりまして、全線で大体29年度に完成を目指しているところでございます。
 メールが何度か私のところに、県政ポストっていうんですけど誰でも出せるもんですから、来ております。それは全部私は読ませて頂いておりますが、この中身にはですね、特に誰とおっしゃいませんでしたけど、たぶんあれだと、という認識で申し上げておりますが、傾聴に値するところもあって検討してもらっております。
 始めにはですね、盲学校の敷地は一寸たりとも削るなとかですね、よそへ道を持って行けとか、そういうような意見がありましたが、これはちょっと過去の経緯からすればですね、少し間違いだというふうに思います。
 しかしですね、一方で、道路建設によって盲学校の様々な体験学習、盲学校そのものの機能ですね、それにできるだけ影響を与えないようにするということは大変重要なことだと思います。
 ご指摘のようにですね、視覚障害のある児童生徒にとって、音は重要な手がかりであり、実物に触れる学習は大切であります。
 先ほども県土整備部長から申し上げたとおり、教育環境を保持できるように全力を挙げて対策を検討していかなきゃいけないと思っております。
 技術的にはですね、技術的な措置による静音化っていうのは可能だと私は思いますけど、仮に障害が出るようなら適切に対応するということだと思います。


《コメント》雑賀光夫 県議
 それぞれ教育環境に十分配慮するとお答えいただきました。
 和歌山県の障害児教育の歴史には、たくさんのドラマがありますが、この際、知事と県議会が深くかかわるエピソードを紹介しておきたいと思います。
 「和歌山県教育史」第二巻406ページに、「昭和30年9月には、県議会で使用されていたバスが盲学校と聾学校に贈られ…通学等の送迎がおこなわれ」と記載されています。
 なぜそんなことになったのか。盲聾学校の先生が、「スクールバスを買って下さい」と当時の小野知事に直訴した。けれどもニッパチ水害のあと、県の財政は大変です。そこで、「議会専用バスを使わして下さい」とお願いした。小野知事は、「議会バスは県議会議長の権限だ」といってその場に議長にきてもらいました。当時の議長は、平越孝一氏でありました。
 平越議長はお答えになった。「私も九度山から列車で和歌山駅に通っています。盲学校の生徒が危ない中、通学している姿を見ています。各会派と相談します」
 この一言で、「議会専用バス」が、盲聾学校に貸し出され、その後、贈与されたのです。
 ここまで「県教育史」には書いていませんが、知事に直訴した永田先生という方が、20年ほど前に私に手記を送ってくれました。わたしはそれを自分のHPに紹介していたのですが、図らずも日の目を見ることになりました。なんと、県民と県知事・県議会が近かったことか。私は、現在の県知事と県議会も同じように血が通った政治ができることを期待し、信じたいと思っています。
 盲学校の歴史には、それとは違った県政から冷たくされた事件もありました。それは、和歌山市の中心部にあった盲学校が、昭和38年、現在の紀伊地区に移転させられたことです。猛反対もおこりました。この、紀伊移転とほぼ同じ時期に、都市計画道路西脇山口線が計画されていたわけです。
 ここでは、どうするといえないでしょうが、歴史的に評価されるような知事の決断をお願いして、次へいきます。


2.「いじめ」問題について
《質問》雑賀光夫 県議
 第二の柱は、いじめの問題です。
 滋賀県・大津での「いじめ」をきっかけにして、あらためていじめ問題が大きな社会問題になっています。学校名が公表されていませんが、国会論戦では、平成21年度・22年度、文部科学省指定「道徳教育実践推進校」であったことがわかります。HPから「研究発表」の膨大な資料をみると「学校環境宣言」として「一 いじめのない学校 二 ゴミのない学校 三 あいさつあふれる学校」という3項目があげられていました。
 「道徳教育の研究の推進」については、「校長による道徳教育方針の提示」からはじまるようで、校長の大きな指導性が発揮されている学校であることが強調されています。表面からみると、立派な学校、立派な校長にみえます。
 この事件では、警察の捜査が教育委員会や学校に入ると言う異常な事態にまでなってしまった。「いじめ」を隠そうとする学校と教育委員会の体質が何よりも問われるでしょう。
 この事件をきっかけに、「いじめは犯罪だから犯罪として取り締まるべきだ」という議論もあります。ここまでくれば、それももっともです。また「道徳教育が欠けている」「しつけが足りない」など、その一つ一つは間違ったことではないのですが、それだけでは解決しません。
 議席に、学習資料「一緒に考えよう『いじめ』の問題」というリーフレットをお配りしました。16年前に「教育相談・講師派遣センター」が発行したものです。このセンターは、和歌山県教職員組合が設置したもので、リーフレットの中身は、教育相談の経験豊かな退職教員のみなさんがまとめてくださったものです。今読み返しても、すばらしいものだと思います。
 「学習資料」は、「どんな理由があっても、いじめは絶対に許されない」という立場をつらぬきながら、その根本原因として、教育現場で、どの子も、「ストレス」をつのらせているという状況があることを指摘しています。ですから、「いじめ」は、どこの学級でも起こりうる。「いじめる子」が、いつ「いじめられる子」になるかもしれない。いじめる子が、家に帰れば親から「塾にいけ」と追われて、ストレスいっぱいという場合があります。
 「いじめる子」に対しては、「いじめは許されない」という立場に立ち切った上で、その子の「ストレス」や悩みを聞き出しながら教育的指導をしなくてはならない。力で抑えても解決にならないことを説いています。
 子どもの心をつかんでこそ、いじめられた子どもの訴えを聞くことができるし、いじめる子どもにも厳しく指導することもできる。
 私は「いじめ」問題は、先生が生徒と向き合い、心を通わせる学校を作ってこそ解決の一歩が開かれると考えます。
 そこで教育長にお伺いします。

(1)和歌山県での「いじめ」の状況把握と指導のあり方
 県教育委員会では、「いじめ」の現状をどう把握されているでしょうか。また、「いじめ」問題にどうとりくまなくてはならないとお考えでしょうか。私が申し上げたことも踏まえてお考えをお聞かせ下さい。


《答弁》 教育長
 平成23年度の本県公立学校のいじめの認知件数は、小学校20件、中学校39件、高等学校38件、特別支援学校0件の合計97件であります。いじめの内容は、「冷やかしやからかい、悪口、仲間はずれ」などが主なもので、近年ではパソコンや携帯電話等での誹誘中傷も見られます。
 いじめに対しましては、教職員一人ひとりがいじめは決して許されない行為であるという強い思いをを常にもち、どの子どもにも、どの学校でも起こり得るものであることを十分認識した上で、すべての子どもを守るために、日頃から子どもの悩みや不安をしっかりと受け止め、心を通わせるきめ細やかな指導に努めなければならないと考えております。
 議員御提示のリーフレットも十分読ませていただきましたが、このリーフレットなども参考にさせていただきながら、いじめを許さない学校づくりに向け努力してまいります。


《コメント》雑賀光夫 県議
 文部科学省の調査で、「いじめ」の件数が少ないことが、「いじめ隠し」ではないかという論議もあります。「いじめ」の数が「学校評価」につながると、そんなことになる。それはさておき、今日は、いじめをどうとらえどう対応するかを考えたいと、「学習資料」を配らしてもらったわけです。教育長の、「いじめ」への指導についてのお考えは、私が申し上げていることとあまり大きな開きはないと受け止めました。教育委員会も「マニュアル」をお作りになるそうですが、私が申し上げた観点、お配りした「学習資料」を参考にしていただけるものと思います。


(2)「いじめ」を見逃さない子どもを中心にした民主的な学校
《質問》雑賀光夫 県議
 次の問題ですが私が知っている学校では、職員会議などで「気になる子を出し合おう」という時間をとります。
 家庭条件や周りから疎外されている気になる子を担任が名前を挙げていきます。一人一人の子どもについて養護教員など担任以外の先生の目からみて意見を交換します。教員ではない事務職員や校務員・給食調理員の方が、教員では気がつかない子どもの側面を教えてくれる場合もありました。
 わたしは、「いじめを見逃さない学校作り」というのは、子どもを中心にした、民主的であたたかい教育集団づくりが第一ではないかと考えるものです。教育長は、どうお考えでしょうか。


《答弁》 教育長
 いじめを見逃さない学校づくりを進めるためには、議員御指摘のように、すべての教職員がお互いの信頼関係の上にたって協力し合い、子どもたち一人ひとりとしっかりと関わり合うことが大切であります。こうしたことを通して、いじめが起こらない土壌づくりに努めてまいりたいと考えてございます。


《コメント》雑賀光夫 県議
 先日、私は、4月の学校教育方針を決める職員会議で校長がくばったという提案レジメをみて、びっくりしたことがあります。「提案」は立派なことが、書かれていました。その裏には、文部科学省が出した指導指針が印刷されていて「職員会議は、校長の諮問機関です。議論はしてもらいますが、決定権は校長にあります」という意味のことがかかれているのです。
 もちろん、議論して意見が分かれたとき、「校長の責任でやらせてもらいます」と締めくくる場合がある。しかし、教育論議をつくして、共通理解を作り出すのが、校長の力量であり指導性です。
 提案する前から「私に従ってもらいます」などと書いて配るというのは、どうでしょうか。こうした学校では、えてして、校長の考えをお伺いするような雰囲気がうまれます。教員以外の職員は、子どもと教育については口出しするなど論外ということになります。
 大津の中学校は、こんな学校だったのではないかと密かに思うところです。


(3)教員が子どもと向き合う教育条件整備
《質問》雑賀光夫 県議
 次に、先生が生徒と余裕を持って向き合えるためには、30人学級実現をはじめとする教育条件整備と、報告や書類づくりに追われる状況をなくさなくてはなりません。
 教育長は、教員がゆとりを持って子どもと向き合えるようにどういうことが大事だと考えているでしょうか。


《答弁》 教育長
 学校現場では、教員がゆとりをもって子どもたちと向き合うことが大変重要であることから、県教育委員会としましては、多忙化解消のために、これまでも調査の見直しや報告の簡素化等に取り組んできましたが、今後も、様々な側面から具体的な対応策を検討してまいります。
 また、現在、国は小中学校の35人学級実現に向けて動いておりますので、そうした国の動向を踏まえて教員の定数確保に努めてまいります。


《コメント》雑賀光夫 県議
 少人数学級とともに、スクールカウンセラーの増員などもいそがれるということが昨日の答弁でもありました。私からもそのことを要望しておきたいと思います。
 「忙しさ」の解消については、県教育委員会は、一定の努力をされているのはわかります。「研究指定校」など少なくして、「教育実践研究大会」を発表の場にしている。ところが、市町村教育委員会の中には、旧来型の「研究指定」をしたがる地域もあるようです。教育的指導性の発揮を期待するところであります。


(4)定数内講師を減らすための教員採用募集枠について
《質問》雑賀光夫 県議
 教職員定数改善もさることながら、県の学校現場には、教員採用試験合格者数が足りないために、「定数内講師」という不安定な雇用の教員が多くおかれています。歴代教育長は、「減らすようにする」と答弁してきました。
 6月の文教委員会で質問すると人事課長は「減らすよう採用試験募集人数をふやしている」と言われたが、「本当に減ったのか」と聞くと、「実は50人増えました」と頭を掻いた。
 こんどは定数内講師を確実にへらせるように採用試験合格者を確保されるのでしょうか。


《答弁》 教育長
 定数内講師数につきましては、少人数指導やチームティーチングなどのいわゆる加配定数の増減が年度末に確定すること、あるいは定年前での退職者数などが関係しており、その数については予測が.難しい状況にあります。
 教員採用検査における募集予定人員につきましては、定数内講師数や退職予定者数、長期的視野に立った教員の年齢バランスなど、様々な要因を検討の上、決定しており、今年度は過去最大の325名を募集したところです。今後とも、定数内講師の削減に努めてまいりたいと考えております。


《コメント》雑賀光夫 県議
 きちんと結果を出さなくてはならない。教育委員会からいただいた資料によると、定数内講師は、4年前にくらべて、80人も増えています。一度にすべて解消できなくても、まず、そこまで減らすことはできると思います。
 今年の教員の募集総数は、昨年と比べて8人多いだけです。これでは定数内講師を大幅に減らせるという保証がない。
 ところがありがたいことに、受験者数は、昨年より31人も多かった。ことしの受験者は優秀で、合格者は昨年より95人多い721人もいらっしゃる。二次試験のレベルをさげなくても、先に発表した募集枠にとらわれなければ、合格者をふやすことは十分できます。
 それで、怒る人がありますか。学校現場と子どもたちはよろこぶ。教員希望者は喜ぶ。知事も予算をつけたことですから否やはないでしょう。
 このままで、何もせずに半年後に責任を問われるよりも、教育委員会をひらいて相談された方がいいということを申し上げておきたいと思います。
 次の問題にすすみます。


3.「原発ゼロ」と自然エネルギー開発
《質問》雑賀光夫 県議
 第三の柱は、原発からの撤退と自然エネルギー開発であります。あわせてコスモパーク加太の活用についても考えたいと思います。
 9月3、4の両日、私たち日本共産党県議団は、福島県にまいりました。南相馬市の4月16日から立ち入りが許可された地域を、現地の方に案内していただいて、レンタカーでまわりました。そこでは、3.11大震災・大津波から時間が止まったように見えます。放射能被害がなかったら復興がはじまっていたであろう堤防が、田畑が、家屋が放置されている。みなさんは、どんなにか悔しい思いをされているだろうと思いました。
 人々が暮らしている地域でも、放射線量は高く、除染は気が遠くなるような大変な作業です。原子力事故の恐ろしさの一端を実感してまいりました。
 さて、今年の夏は、たいへん暑い夏でした。電力需給が心配されましたが、県民の協力もり切ることができました。県庁職員のみなさんは、県民に率先垂範してクーラーの節電、昼休みは消灯などご苦労様でした。
 県民に節電を呼びかけることは大切です。しかし、6月県議会前に、仁坂知事がおこなった電力需給についての記者発表は、それを通り越して、過剰に電力不足の危機感をあおり、大飯原発再稼働への世論誘導であったと、私たち共産党県議団は抗議の申し入れをおこないました。
 夏をすぎて、「原発は再稼働しなくても、この夏は十分乗り切れた」ということが明らかになっています。
 原発というものは、燃料の最終処理まで見通せば国民にとってコストがかかるものですが、電力会社の目先の収支からいえば、原発再稼働したほうが安上がりで利益が上がるという思惑があったのではないかと言われます。「原発からの脱却」は、国民的な討論の中で決着がついていくでしょう。
 今日はそのことを議論するのではなくて、電力不足の危機感を訴えたのと同じぐらい、自然エネルギー開発に力を注いでいたら脱原発、自然エネルギーへの道が開けるのではないかということを申し上げたいと思います。
 和歌山県としても一定の努力はいただいています。島の瀬ダムの小水力発電、コスモパークの傾斜地をメガソーラーに活用したことは評価できます。しかし、転換期にふさわしいさらに積極的施策を求めたいと思います。今回は、太陽光発電を中心にしてお伺いしたいと思います。

(1)住宅や県有施設の太陽光発電
 第一点、和歌山県下の個人住宅や県有施設での太陽光発電のこれまでの導入状況は、どうなっているのでしょうか。国の補助件数、県独自の補助件数について、環境生活部長からお答え下さい。


《答弁》 環境生活部長
 県内の住宅への太陽光発電につきましては、国による「太陽光発電システム等の普及動向に関する調査」と太陽光発電普及拡大センターが公表している国の住宅太陽光補助の実績を合算した数値によりますと、設置件数は約一万件、発電能力は累計で約4万kWとなっております。
 また、県有施設への太陽光発電につきましては、設置件数37件、発電能力は累計で582kWとなっております。
 このうち、昨年度の住宅用太陽光発電導入補助の状況につきまして、国の補助件数は2,062件となっており、一方、県では申込総数1,562件に対して抽選により195件の補助を行っており、抽選倍率は8倍となっています。
 本年度、県では、昨年度の太陽光発電のみの補助に加えて、太陽光発電を補完し、CO2削減・省エネ効果を高める、エネファーム等を併設した場合の補助枠を創設し、予算額を2960万円に増額しております。


《再質問》雑賀光夫 県議
 私が手にしている資料でも、県内の住宅太陽光発電設置は、近年延びてきております。しかし、日照時間が長い県でありながら、全国順位でいえば、36位、37位あたりにある。県の独自補助は、8倍という高い競争率になっている。
 たった2900万円の補助金予算であります。大幅に増やすお気持ちはあるのでしょうか。知事にお伺いします。


《再答弁》 仁坂知事
 申込件数は、毎年大幅に増加しているため、公開抽選とさせていただいておりますが、太陽光発電の導入を奨励する事業としては、一定の効果を発揮できているものと考えております。
 さらに補助金予算を増やしていくことは、限られた財源の中でなかなか難しいと思われますが、自然エネルギーへの転換が求められる中、県としても、引き続き太陽光発電導入について、最も効果的な推進施策を検討してまいりたいと考えております。


《コメント》雑賀光夫 県議
 太陽光発電への補助の全国の資料を見せていただいたのですが、その限りで県の補助総額があたまうちというのは、あまりみられません。奈良県は、一件の補助は10万円ですが、1,000件で打ち切りとなっている。予算額では1億円です。滋賀県でも1億円。和歌山県の3倍以上です。十分検討していただきたいことをお願いして、次に行きます。


(2)メガソーラーについて
《質問》雑賀光夫 県議
 では、メガソーラーについては、どのくらい進んでいるのでしょうか。商工観光労働部長からお答え下さい。


《答弁》 商工観光労働部長
 県内のメガソーラーの進捗状況についてですが、現在、株式会社ウェストホールディングスがコスモパーク加太で、ノーリツ鋼機株式会社のグループ会社であるNKワークス株式会社が自社敷地内で建設工事中であり、また、三井物産株式会社が串本町内の南海電気鉄道株式会社の所有地内で準備工事を進めているところです。
 さらに、今月6日に県、広川町及び事業者で協定を締結したところですが、大阪ガス株式会社のグループ会社である株式会社広川明神山風力発電所が自社風車サイト内で建設を計画しているところです。


(3)コスモパーク加太の活用
 @ コスモパーク加太の賃貸価格と活用
《質問》雑賀光夫 県議
 和歌山県は、メガソーラー候補地を県内4か所、HPで紹介しています。
 私は今年の3月、メガソーラーをコスモパーク加太に設置することを検討したいという業者の話を聞いていたのですが、1u100円から150円ぐらいで、設備投資の関係で20年間借りられることが最低条件だといっていました。
 県が、候補地としている用地は、場所によってちがうでしょうが、大体1uいくらで貸出できるのでしょうか。また、引き合いはありますか。


《答弁》 商工観光労働部長
 現在、県有地2ヶ所をメガソーラー候補地として紹介しているところですが、うち1ヶ所は売却のため公募中であり、賃貸が可能な用地は日高港工業団地の1ヶ所でございます。
 当該土地につきましては、企業用地として鑑定評価に基づき賃貸価格を決定しているため、平米あたり年間1,020円となっております。
 引き合いにつきましては、4候補地を中心に、問い合わせが84件あり、現地案内が35件です。


《質問》雑賀光夫 県議
 1,020円で貸しますというのでは、利用されることがないのを承知で、かっこうをつけていると言われても仕方がありません。遊休地をもっと安く提供できる方策などに知恵を絞らなくてはなりません。
 ここで、コスモパーク加太について少しおさらいしてみますと、県は、土地開発公社から、1u560円で土地を借りています。加太菜園株式会社のために20億円かけて整地し、それを、1u100円で貸している。期限まで貸して6億円しか入らない。加太菜園の縮小でそれも全部は入ってこない。整地費用もでてきません。
 加太菜園が使わなくなった整地した土地と整地されていないままの土地がのこされています。
 企画部長にお伺いします。整地された土地を、誘致企業にはいくらで売ったり貸したりするのか。未造成地の場合は、どうでしょうか。


《答弁》 企画部長
 加太菜園につきましては、当時県議会のコスモパーク加太対策検討委員会からの「民間企業へは無償も視野に入れて貸し付けるなど、相当思い切ったインセンティブを導入すべき」とのご報告も踏まえ、雇用、経済波及効果及び他県の状況を勘案しながら、賃料を設定したものでございます。
 ご質問の誘致企業へは、時価である土地鑑定価格での売却を、賃貸の場合につきましては、その5%を賃料としてございます。
 ただし、未造成地につきましては、造成した上で、売却もしくは賃貸をする方針でございます。
 県土地開発公社といたしましては、未造成エリアをより有効に利活用するために、土地を平坦にし、雨水・排水対策や隣地との境界対策、必要に応じ進入路などを併せて整備をした後で企業へお渡しすることといたしております。


 A コスモパーク加太を活用しやすくするために
《質問》雑賀光夫 県議
 6月県議会で、コスモパーク加太の県市の共有地を解消することを求める質問がありました。結論として解消する方向を出されたからそれはいいでしょう。もうひとつ、県が土地開発公社から借りている期間は、あと12年しかありません。そうなると民間企業はメガソーラーの設備投資をあきらめ、手を引くわけです。
 コスモパーク加太の銀行との約束、「調停にかわる決定」には、私たち共産党県議団は、県民に大きな負担を負わせるものと反対しましたが、20年後の執行までにできるだけ県民の負担を減らさなくてはならないと考えています。
 そのためメガソーラーも含めて、引き合いに担当者が対応できるようにしておかなくてはならない。企画部長のお考えをお聞かせ下さい。


《答弁》 企画部長
 「調停に代わる決定」につきましては、県議会で賛同を得たうえで決定されたものでございますが、返済のスキーム上、様々な制約はありますが、早期売却や、長期貸賃を進めることは、返済の負担を軽くすることに繋がるため、現在あらゆる可能性を否定せず、企業の提示条件に基づき、スピード感を持って、職員一丸となって対応をしているところでございます。
 なお、現在建設中の太陽光発電につきましても、債権者と協議いたしまして、20年間の長期賃貸を可能としてございます。
 今後も商工観光労働部と連携を強めまして全力で企業誘致を進めながら、経済波及効果を見据え、様々な利活用に知恵を出して、地域の活性化に繋がるよう引き続き取り組んでまいります。


《再質問》雑賀光夫 県議
 私が調べた資料とつきあわせてみると、加太菜園には100円で貸しているのと同じ条件の造成地は1,000円程度で貸したい。それで借りに来る企業があるのだろうかと思います。未造成地は、300円あまりで、加太菜園に貸している造成地よりも高い。それでも、メガソーラー用地として宣伝している土地よりは、ずっと安いわけです。
 こうした用地に対して、企業進出の引き合いはありますか。また、メガソーラーについては、どうでしょうか。


《再答弁》 企画部長
 問い合わせや現地案内等につきましては、平成23年度においては、38件ありまして、その内25件がメガソーラーでございました。
 平成24年度現時点でございますけれども、27件の問い合わせ・現地案内をしてございますが、その内19件がメガソーラーでございます。
 ご承知のとおり現在2メガワットの太陽光発電が間もなく完成予定でございます。
 また、東日本大震災以降につきましては、沿岸に立地する企業が移転時に高台を希望するケースもいくつか見受けられておりますので、コスモパーク加太は標高100mであること、それから強固な岩盤であること等を今後一層、アピールしてまいりたいと考えております。


《コメント》雑賀光夫 県議
 企業誘致では、メガソーラーの引き合いが多いと言うことが、答弁から分かりました。しかし、価格で折り合わない。貸し出しの期間については、業者から、「20年借りたい」といわれてから、「銀行と相談してみます」というのでは商談にならない。そんな心配はないようなら、結構です。
 私たち議員は、県当局のような情報を自分で持っているわけではありませんから、「コスモパークを借りにくる企業もあるんです」と言われると「そうですか。期待します」としか言いようがないのですが、県民の負の遺産を少しでも軽くし、同時に、自然エネルギーへの転換につながるようなことがあれば、検討されたらいいのではないかと思います。
 自然エネルギーの開発、たとえば、メガソーラーというのは、利用されない荒地を利用する場合もあれば、高速道路の法面を使う場合もある。いろいろな小さい可能性でもくみ上げる必要がある。私はそのためのプロジェクトチームをつくれと言ったのですが、市町村を含めた担当者会議で「和歌山県新エネルギー利用研究会」を立ち上げられたということもお聞きしました。それ自体はまだ小さいものだけれども、市町村でも補助制度が少しづつ進みだしていることともあいまって、大きな可能性を切り開いてくれることを期待して、次に行きます。


4.県警科学捜査研究所での鑑定書類捏造疑惑について
《質問》雑賀光夫 県議
 第四の柱として、県警科学捜査研究所主任研究員による鑑定書類捏造疑惑についてお伺いします。
 私はこれまでも冤罪問題をとりあげ、「足利事件」のようなことを引き起こしてはならないと訴えてきた立場から、今回の問題は大変重大にうけとめています。実情の究明と今後の再発防止についてどういうことを考えておられるのかお伺いいたします。


《答弁》 警察本部長
 議員ご質問の事案につきましては、警察捜査の信頼を損なう不適正な事案として重く受け止め、事案の全容解明に向け徹底した捜査を進めているところでございます。
 また、今回の事案は、鑑定人による検査、鑑定書の作成といった業務の中で発生したことから、今後は、鑑定業務のチェックをより強化するなど業務管理を徹底するとともに、職員に対する職務倫理教養を反復継続して実施するなど、再発防止に全力を挙げて参る所存です。


《要望》雑賀光夫 県議
 この問題は、堅警察本部も重大な問題であると思っておられることですから、これ以上申し上げません。事件がおきたばかりであり、究明途上であるとのことですので、全容解明ののち、しっかりした対策をおとりいただけるよう要望しておきます。
 以上で、私の質問をおわります。ありがとうございました。


  仁坂知事の答弁を聞く、雑賀光夫県議(左)=9月20日、和歌山県議会

2012年9月県議会    雑賀光夫プロフィール、質問一覧
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2012年9月和歌山県議会 雑賀光夫 一般質問=9月20日
2012年9月和歌山県議会 雑賀光夫 一般質問=9月20日