2012年12月県議会 文教委員会 雑賀光夫委員の質問概要記録
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《質問》雑賀光夫 委員
 9月の県議会で、いじめ問題についてのリーフレットを議場に配らせていただいて質問をした。今回は大変きれいなパンフレットをつくっていただき、これも読んだ。良いなと思う点もあれば、どうかなと思う点もある。
 この前、私のところにいじめ問題についての相談があり、教育委員会に話して委員会の関係者にも対応してもらった。小学校6年生のときのいじめで、同じ地域の中学校へ行けずに日高の中学校でお世話になったが、そこにも行けなかった、
 また有田の高校に入学したものの、そこでもいろいろな問題にぶつかったという訴えであった。教育委員会の方にも入ってもらったが、お父さんは、「こんな話の聞かれ方をするのであれば会いたくない」と言われた。その後、お母さんから、「お世話になったが、大阪の高校に転校することになった」という話があった。
 どういうやりとりだったかわからないが、表面に表れたのはそういうことであった。ちょうどその日に教育要求の集会があり、関係の退職教員から教育委員会に対しても話があったと思う。
 そういうことも踏まえながら、このマニュアルを読ませてもらった。マニュアルというのは手順書であるので、魂が抜けては困る。こうやったら良いというだけでは困るという気持ちも持っている。そこで、マニュアルを開いてみると、初めの1、2は良いが、3の子どもに関わるところから問題になるところがある。4ページにあるチェックシートはなかなか良く、現場でも役に立つ。「組織的に動く」ということで「24時間以内の動き」は、いじめがあった場合、24時間以内にすぐに行動することと書かれたのは大変良いことである。
 しかし、7ページには「いじめの事実を正確に聞き取る」というのがある。私が9月議会で議場に配ったリーフレット「いっしょに考えよう『いじめ』の問題」には、「『いじめ』への対応とりくみ」、「まずとるべき緊急措置」として、「『いじめ』を知ったとき、まず第一に、いじめられている子どものつらさや気持ちをよく聞きとること。そのためには、事実調査を目的にするのでなく、それも含みますが、いじめられている子どものつらさや気持ちを、その子どもの立場になって聞いてあげなくてはなりません」と、こう書かれている。つまり、いじめがあったとき、それが本当にいじめなのかどうなのか、周りに誰かいたのか、場所はどこかということを聞く前に、まず「つらかったでしょう」と、親であれ子どもであれ、共感することが大変大事であると書かれているが、これがなかなかそうなっていない。それで、教育委員会の職員がお父さんにどんな話をされたかわからないので決めつける気はないが、お父さんが「もうそんな話は聞きたくなし、聞かれるのがいやだ」と言って帰ってこられたのには、そういうことがあったからではないかなと心配しながら読んだ。
 ただ、教育委員会の名誉として申し上げるなら、ちゃんとそういうことを踏まえて書かれているところがある。9ページの「被害児童生徒に対して」というところで、「いかなる理由があっても、徹底して被害者児童生徒の立場に立って対応します。教師は聞き役に徹して、被害児童生徒のつらい気持ちをまずは理解するように努めます」と書かれている。これは大変良い。いじめへの対応は、24時間対応も含めて、この立場を初めから貫かなくてはならない。それが一番大事なことである。
 教育長、私が申し上げたことについて御感想があればお聞かせいただきたい。

《答弁》 教育長
 私もパンフレットに目を通した。大津の事件以来、全国で起こっているという状況を踏まえて、パンフレットの趣旨に沿って、子どもの立場、特にいじめの場合は被害を受けた子どもたちが悩んだり苦しんでいるということを大前提として対応するようにということで、職員にも指示をしている。昨日の本会議でのいじめの質問についても、そういう視点で答弁させていただいた。本当に心を開いて親と子どもが話をできる、本当にふれあいができる、相手の気持ちを理解できる、まさに共感できるような親と教師の関係でなければだめである。それは、特に子供を介するものだと思っている。
 委員御指摘の件は、私も報告を受けている。そこに立ち会っていないので具体的に状況はわからないが、おそらく様々な人間関係の中で、言葉の一つ一つに誤解を招いたり、お互いの意が通じなかったりというようなことが想定される。今回の事例を通して、さらにきめ細かな対応をし、本当の意味でいじめられた子を救えるような指導ができるように徹底していきたい。
 今回のパンフレットについては、そういうものを前提としながら、そういう趣旨を踏まえながら精査している。これを土台にして、教職員、あるいは保護者、子どもたちにより深く関わっていって、いじめのない、安心して過ごせる学校現場をつくっていきたい。

《意見》雑賀光夫 委員
 これも、完全なものではないと思う。特にマニュアルというものは魂が抜けてはならないというところが大変大事であるので、私が申し上げたことも今後の指導に生かしていただきたい。
 それで、教育委員会の皆さんにも参考に申し上げるが、私は、セクハラの問題、いじめの問題で、たくさん相談を受ける。ただ、受けた相談の半分は、ガセネタといっては悪いが、調べてみると相談に来る方がおかしい場合もある。例えば、セクハラと言って来たが、よく調べてみると、本人に精神的にいろんな問題があって、被害妄想に近いような場合もある。しかし、そういうことであっても、人権侵害に関わる問題で相談があった場合は、だまされてもよいので、いったんは訴えに対して共感するという立場が非常に大事である。本当にセクハラか、いじめかということを聞く前に、まず「つらかったでしょう」と言って共感をして話を聞く。その結果、警察へも相談したが、調べてもらえば「あれは狂言でした」という話になって、「済まない」と言って笑うこともたくさんある。それであっても、いったんは共感するということが大事であると思っている。
 後でマスコミが整理して報道されたものを聞いて、「いじめに対応していないではないか。何を考えていたのか」という怒りがわく。しかし、警察や学校など、専門家の方々に言いたいのは、今までにもたくさんガセネタにもぶつかっているだろうが、もう一回だまされてもよいつもりで話を聞いてもらいたい。生活保護の問題でも、もちろん根本には生活保護を絞っていこうという行政指導の問題、あるいは校長の格好をつけるという問題等、いろいろあるが、第一線に立っている人にだまされてもよいから共感して聞けということを言いたいということも、あわせて申し上げたい。
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《質問》雑賀光夫 委員
 昨日の本会議において、定数内講師の問題について、7,200人の教職員の中で、今500人もの講師がいるとの答弁があった。9月県議会でも、採用人数は発表しているが、少し増やしてはどうかとの具体的な提案をしたところ、議会終了後2日目ぐらいに送られてきた資料を見ると、3人しか上乗せしていなかった。少し頭にきたが、おそらく私が質問したときには、教育委員会が既に開かれていて決定されていたのかもしれない。これからもこの問題はずっと追求していきたい。
 そこで、定数内講師というのは昔なかったと思うが、定数内講師が置かれたのはいつからか。

《答弁》 教育長
 何年前かというのは定かではないが、調べてみると、私の知っている限り、昭和35〜36年ごろ、50年ほど前から既に臨時的任用という講師制度はあったと承知している。

《質問》雑賀光夫 委員
 それは違う。30年ほど前は、教員採用試験の合格者数は定数より多かった。そのころは、採用試験に合格してもお金を積まないと採用されないという噂があった。
 採用試験に合格していない人が合格した人を差し置いて入っていたら問題であるので、非常勤講師であっても、今の定数内講師というのは一切なかったと思う。あれば、それは不正な入り方である。

《答弁》 学校人事課長
 人事記録を調べたところ、定数内講師ということで言うと委員御指摘のことかもわからないが、例えばそれ以外の臨時的任用は既にあった。

《質問》雑賀光夫 委員
 私は、例えば産休補充の臨時的任用などがあるのをどうこう言っているのではない。教育長が言っている7,200人の中に500人の定数内講師がいるというのは、本来、定数の中で試験合格者を入れなくてはいけないところに、また試験合格者があれば正式採用を入れることができるところに、試験合格者が確保されていないから試験に合格していない人を講師として入れている。そうと違うか。

《答弁》 学校人事課長
 例えば今年の募集定員を決めるに当たっては、現在の544名という定数内講師のことも勘案しながら、今後の定数減も含めて、さまざまなことを勘案しながら決定しているところである。

《質問》雑賀光夫 委員
 そんなことは聞いていない。定数内講師がいつからあるのかと聞くと、50年前からあると言うので、もし50年も前からあったとすれば、試験合格していない者が定数の中で採用されているとしたら、試験に合格している人は外で待っているわけであるから、それは不正な入れ方であって、そんなものがあるということは言えないのではないかということである。私の認識は間違っているか。

《答弁》 学校人事課長
 委員御指摘のとおり、昭和53年以前は合格・不合格という判定であった。昭和54年からA・B・Cの3種類の判定をしており、Aは合格、Bは補欠という形となっていた。平成11年度以降も、まだA・B・Cと判定していたが、要項上、合格はAだけで、Bについては臨時的任用をするとなっていた。

《質問》雑賀光夫 委員
 私の質問することに何も答えていない。
 定数内講師が50年も前からあったというのは、間違った認識である。そして、採用試験制度がA合格、B合格、あるいはA・B・Cと変わってきたのはよく知っている。A・Bとなっていれば、定数内で足りなければB合格者を入れて、後から面接等で、ちゃんと勤務すればA合格とみなすということで定数内講師を減らす努力をした時期もある。ところが、今は500人も定数内講師がありながら、採用試験のやり方についても、何ら減らそうという努力をしていない。聞かれれば「減らす努力をしている」と言うが、現に50人増えているという結果になっている。
 教育長にお聞きするが、来年度、これで定数内講師は減るのか。

《答弁》 教育長
 これで減るかどうかという意図がよくわからないが、私自身が今考えているのは、公立の校長をしたとき、学校運営で、クラブとか教科選択でいろいろと学校の先生方の要望があり、県と交渉して講師を入れてほしいという要望をした。私学に行くと、学校の中で採用の対応をしていかなければならない。私学の中では、当然、教育の質の向上ということを考えたとき、早期に退職する先生が出てくる。また、やめても、もう1年させてほしい、もう3年させてほしいという希望も出てくる。公立でも、同じように早期退職もあるし、再任用制度もある。そういう中で、事前に講師の数を読むのは極めて難しい状況である。
 たまたまこういう立場に立って、今、公教育は難しい問題であると認識している。実際に何人ぐらいあるかということになってくると、どれが適正なのかということにもなるし、先生を希望する講師の雇用の側面もある。それから、魅力ある学校にするための先生方への意欲の問題もある。そういうさまざまな状況の中で、どれだけの数が望ましいのかということは、公立・私立を問わず悩ましい問題である。現実に公立と私立を比べると、定数内講師に極めて大きな差がある。
 人数ではなく、例えば和歌山県の場合は定数内講師が544名いるが、そのことに対して人数を減らせとか増やせとかというのではなく、県全体としてその比率はどれだけあるのかということを他府県と比べて、本当に和歌山県は適正かどうかを考えていかなければならないと思っている。全教員に対する比率については、例えば奈良県では定数内講師等の教員の割合は13.1%、大阪府では8.9%、兵庫県では9.8%となっており、近畿府県と比べると和歌山県の場合は8.2%と若干低い、まあいい意味では頑張っていると私は思っている。それが本当によいのかどうかということは別の問題として、全国的な状況から見て、和歌山県としても、今、人事課長が申し上げたように、さまざまなことを考慮しながら減らすように努力はしているということも御理解いただきたい。

《質問》雑賀光夫 委員
 私の言っていることに全然答えていない。
 教育委員会としては、定数内講師がいれば、人事課長はやりやすい。例えば、定数内に入った人に、「来年、西牟婁へ行ってください」と言って「いや」と言われればもめるが、定数内講師であれば、「西牟婁にポストが空いているので行ってくれるか」と言うと、「はい、喜んで」と言って行く。ところが、そういう方々は、学級担任を持って、しかも学校はいじめの問題など、いろいろな問題で大変である。そして、部活動も一生懸命にやって、採用試験の勉強をする時間がない。クラブが強くなって全国大会に行くとなれば、クラブを一生懸命やりたいから今年は採用試験をあきらめようかと悩む。そんな真面目な先生がたくさんいる。そういうことをほうっておいて、今の学校現場に本当に責任を持っているとは思えない。
 例えば、A合格とかB合格とかという制度をつくり、あと100人ほど余分に置いて、退職人数が確定して何人足りないとわかれば、その中からB合格でも入れるというような、そういうことも含めて教員採用制度をもう少し工夫してもよいと思うが、委員長、今どうすると言わなくてもよいので、教育委員会としてそういうことを検討していただけないか。

《答弁》 教育委員会委員長
 私も毎年採用試験に立ち会っている。委員御指摘のように、5年とか7年、もっと長く10年も講師を続けている方がいるのも事実である。そういういろいろな問題の中で、優秀な教員を採用したいという考え方の中で採用試験に臨んでいる、かつまた公平に判断できるようないろいろな見方で採用試験を行っていると思っているので、今後、委員御指摘のことを勘案しながら考えてまいりたい。

《意見》雑賀光夫 委員
 また、2月の議会でも取り上げることになると思う。
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《質問》雑賀光夫 委員
 盲学校の敷地を道路が通る問題は、その後、どのような経過をたどっているか。

《答弁》 特別支援教育室長
 県教育委員会としては、盲学校とともに、視覚障害のある児童生徒の教育環境を維持していこうという基本的なスタンスを持って関係課と連携している。道路建設に関わる問題についても、盲学校の意見を集約し、盲学校とともに、道路関係の部局に具体的な対策を要望し、検討を願っているところである。
 経過としては、11月初旬には盲学校で教職員に道路建設関係課が説明会を開き、担当者から、道路計画の概要や、事前に盲学校から出されていた質問、騒音の低減などについて方法例の説明が行われた。また、具体的な対応策については、今後、盲学校と教育委員会が協議を進めていくことについても説明された。11月中旬には測量調査が行われている。
 現時点では、今年度中に騒音調査、騒音予測、設計を行う予定で、工法案など具体的な案をつくり次第、盲学校と教育委員会との協議を行い、その後、盲学校で説明会を実施する予定であると聞いている。

《答弁》雑賀光夫 委員
 敷地の問題と騒音の問題の2つがある。測量が終わり、どのくらいの敷地が削られたか。また、代替地についてはどのように考えているか。

《答弁》 特別支援教育室長
 道路関係部局によると、今は道路の詳細設計をしているところで、騒音対策のための用地も含めて検討中である。学校用地の削減面積は、まだ確定していないので、現時点では回答できないと聞いている。
 また、代替地については、現在、盲学校が要望している土地、隣接しているところについて関係各課と協議を進めていきたい。

《意見》雑賀光夫 委員
 9月議会の知事の答弁でも、「できる限りのことをする」と答えてもらった。その後、視力障害者の会などとの話し合いの場に私も同席した。視力障害者の会との話し合いの中で、道路担当課から、いろいろな案を検討している中で、道路に壁をつくるだけではなく、壁で囲んで地上トンネル案というか、そういう案も検討しているとの話があった。参加者から、それであれば地下トンネルにせよという話が出て、それも含めて検討すると言った。騒音が防げればよいが、防げなければ「金はかかってもあらゆることを検討する」と道路担当課は言っている。その点、教育委員会は、万全を期すように学校の意見を聞いて頑張って、要求することは要求してもらいたい。今後の推移を見守りたい。
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議案に対する採決
議案第170号 和歌山県立体育館及び和歌山県立武道館の指定管理者の指定について
は、全会一致で原案可決


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