2012年12月県議会
雑賀光夫 一般質問 概要記録
 中継録画

2012年1217
1.中央自動車道トンネル崩落事故にかかわって
(1)類似のトンネルは県内にあるのか
(2)その安全点検の状況とその結果
(3)道路・橋梁・トンネルなどの維持管理のとりくみ

2.学校給食について
(1)学校栄養職員・栄養教諭の配置とその役割
(2)食育基本法・地産地消の立場での学校給食のあり方
(3)デリバリー方式で、「子どもの貧困」と
   食にかかわる課題に応えられるか

3.津波防災堤防の財政負担
(1)津波防災堤防にかかわる停泊場所設置
(2)地元企業負担について
  ・企業負担は、どのように、どこに納められるのか
  ・負担金は、どう決められているのか
  ・「熱意」を「負担金」で示すのは筋違いではないか
(3)国直轄事業誘致と「地元負担」について

4.毛見琴の浦の福祉施設への進入道路の安全対策
(1)福祉施設への道路の安全についての認識
(2)「行政の谷間」でこそ知事のイニシアティブを

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《質問》雑賀光夫 県議
 昨日が総選挙の投開票でありました。とくに近畿ブロックでは私どもにとって厳しい結果になりました。
 大勝された自民党の安部総裁も、相手の失政によるもので、自民党が国民の信頼を得られるかどうかはこれからだと語っておられ、その姿勢は結構かとおもいました。
 しかし、自民党と維新の会のトップが、憲法9条をかえるんだといっておられることは大変しんぱいです。私は、自民党も維新に走った方も、その一色だとは思いませんので、平和憲法を守る国民世論の結集が勝負かなとおもっています。
 消費税を実際に引き上げるのかどうか、活断層がつぎつぎ見つかる中で原発をどうするのか、TPP協定参加はどうかなど、この選挙で決着がついたわけではありませんので、県民のみなさんの中に根を下ろして、ぶれずにがんばっていきたいと思います。

1.中央自動車道トンネル崩落事故にかかわって
 第一の柱として、最初に、この選挙中におこった中央自動車道トンネルの天井崩落事故にかかわってお伺いします。まず、犠牲になられたみなさんに心からお悔やみ申し上げたいと思います。
 今回の事故は、@むやみに公共事業をひろげて後のフォローができていない問題、A道路公団民営化にともない管理コスト3割削減を義務づけ、検査・補修の規定緩和などが行われた問題があるといわれます。あらたに、公共事業のありかたが問われるものだと考えます。
 和歌山県においても深刻な問題として、今後、問題状況・対策を検討しなくてはなりません。
 そこでとりあえず、いくつかお伺いしておきたいと思います。

(1)類似のトンネルは県内にあるのか
 第一に、和歌山県には類似のトンネルはどれだけあるのか、県土整備部長にお伺いいたします。


《答弁》 県土整備部長
 県内における、中央自動車道笹子トンネルの吊り天井形式と類似したトンネルは、県管理の国道371号紀見トンネル、および西日本高速道路株式会社管理の阪和自動車道藤白トンネル下り線の一部区間、長峰トンネル上下線の一部区間のあわせて4本があります。


(2)その安全点検の状況とその結果
《質問》雑賀光夫 県議
 紀見トンネルといえば、1969年に完成した、そうとう古いトンネルです。
 また、阪和自動車道・藤白・長峰トンネルは、私にとっても大変身近なトンネルですが、民間会社で管理しているわけです。その安全点検はどうなっているのでしょうか、また点検結果についてお聞かせください。


《答弁》 県土整備部長
 12月2日に発生した笹子トンネル内の天井板落下事故を受け、県管理の紀見トンネルについて、翌日の3日から4日にかけ、職員による目視点検を行い、5日から10日にかけて、国土交通省のトンネル天井板の緊急点検通知に準拠し、近接目視と打音、触診により、天井板等を点検しました。
 その結果、緊急に対策を要する箇所は無く、天井梁および天井板の落下の恐れもありませんでした。
 また、西日本高速道路株式会社管理の藤白トンネルおよび長峰トンネルにおいても、国土交通省からの緊急点検指示に基づき、翌日の3日から7日まで、天井板等の近接目視と打音、触診による緊急点検を実施した結果、高速道路の通行車両の安全に支障をおよぼすような異常は発見されていないと聞いております。


《再質問》雑賀光夫 県議
 今回の事故を受けて緊急点検されたそうですが、それ以前の点検マニュアルといいますか、日常点検というものはあったのでしょうか。また、笹子トンネルの場合、打音点検がいうものが問題になっていますが、これらのトンネルではやられていたのでしょうか。


《再答弁》 県土整備部長
 県管理道路においては、今年の4月現在で、延長2,575km、トンネル148本、橋梁2,492本を管理しております。
 道路は、生活および産業活動の基盤であり、今後、これらトンネルや橋梁などを適切に維持管理しなければ、構造物の老朽化が進み、安全な通行に支障がきたす恐れがあります。
 そのため、予防保全的に橋梁を5年ごとに点検を行い、長寿命化修繕計画に基づき、修繕を行っております。また、トンネルについても定期的に点検を行っており、その他の道路構造物においても、定期的に点検をおこない、修繕をおこなってまいります。
 また、これまで打音検査をおこなってきたかとのご質問でございますが、確認したところ県のトンネルにおいては今まで打音検査というのはおこなっておりません。以上です。


《コメント》雑賀光夫 県議
 トンネルの崩落事故がおこったとき、一体何のために不安定な天井をつけているのだろうかという疑問を持つところからスタートしました。トンネル内の空気流通のためであって、技術の進歩とともの、天井を付ける個所は一部にとどめたり、天井なしでも空気流通のできるようになってきているとお伺いしました。それでも古いトンネルの安全点検は、おこたりなくすすめなくてはなりません。
 私も、まだ技術上の詳しいことを勉強していませんが、打音点検にしてもどこまで詳しく点検するのかというような問題もあろうかと思います。ひきつづき十分な安全対策をお願いして次にいきます。


(3)道路・橋梁・トンネルなどの維持管理のとりくみ
《質問》雑賀光夫 県議
 トンネルの崩落は、ひとつのあらわれにすぎません。道路、トンネル、橋梁などの交通機関だけでなく、水道などのインフラ、学校施設などいろいろあると思います。ここですべての問題について論議するわけにもいきません。
 そこで、今後の課題を共有するために、県土整備部の関係でいえば、どういう課題があるのか、今後どういう計画をもっていくのか、大まかなところをお示しいただきたいと思います。


《答弁》 県土整備部長
 さきほど答弁した部分もありますので、ちょっと重複します。
 道路は、生活および産業活動の基盤であり、今後、これらトンネル、橋梁などを適切に管理しなければ、構造物の老朽化が進み、安全な通行に支障が来す恐れがあります。
 そのため、あらかじめ補修箇所を直していくという予防保全的に橋梁を5年ごとに点検をおこない、長寿命化修繕計画というのを立てておりまして、それに基づいて修繕をおこなっております。
 また、トンネルにつきましても定期的に点検をおこなっております。今後はさらにその他の道路構造物についても、定期的に点検をおこない、必要な修繕をおこなってまいりたいと考えております。


《コメント》雑賀光夫 県議
 公共事業のあり方や民営化の問題は、国会でもわが党の穀田議員がとりあげたところですが、現実に惨事がおこってみると、必要な検査もおこなわれなかったという問題、それを許していた政治への大きな怒りを覚えます。
 公共事業の必要な事業への集約という観点から、あらためて、県内の工事でも国が事業を採択したからそれでいいのかどうか問い直す必要があるようにケースもありますが、とりあえずは、今回のトンネル事故は、私たち県政にたずさわる者にも大きな課題をなげかけているということだけ、お互いに確認しあって、次にいきたいと思います。


2.学校給食について
《質問》雑賀光夫 県議
 第2の柱は、学校給食、とくに今すすみはじめている中学校給食にかかわってであります。
 いま、中学校学校給食の気運がたかまっています。紀美野町では来年から中学校給食が実施されます。海南市でもその検討がすすんでいます。
 いま問われるのは、中学校給食を実施するかしないかにとどまらず、食育基本法の基本をふまえた、こどもたちによろこばれる給食を実施するかどうかであります。
 私が出身の海南市では、10数年前に、小学校給食を各学校で調理する自校方式からセンター方式にきりかえようという動きがあり、「子どもたちにあたたかく美味しい給食をたべさせてやりたい」という立場から大きな市民運動がおこりました。
 当時、「南野上小学校の給食は美味しい」といわれました。海南市で一番小さい学校で農村部にあった南野上小学校では、給食調理員のみなさんから子供の顔が見える、そして「地産地消」の立場で、地元の新鮮な食材がつかわれていたからです。
 自校方式の場合には、調理員からは、つくった給食を子ども達が喜んで食べる姿が見え、また食べ残したものも見えます。ところが、センター方式で、何100人、大きなところでは1000人もの給食をつくって運ぶということになると、そんなことにはなりません。
 市民の皆さんがたくさんの署名をあつめ、自校方式をまもる運動をすすめました。結局、センター方式にはなりませんでしたが、海南市を3つにわける「拠点方式」というものが採用されて現在に至っています。
 いま、中学校給食がもとめられるにいたって、多くの方が、あのとき、自校方式を守っていたら、中学校区を単位にした給食拠点で、あたたかい給食を子どもたちに提供できるのに、また、あのとき拠点方式にお金をつかわなくても良かったのにという思いを抱いています。かつての小学校は、相当な人数の児童をかかえていましたから、今ならその給食設備だけで、中学校区の給食を充分賄うことは、できるからです。
 ところが、いま、給食のセンター方式どころか、デリバリー方式と言う、希望生徒にだけ業者弁当を買わせるという方式まで検討されています。これで、食育基本法でいう学校給食といえるのかどうかは、きわめて疑問とするところです。
 そこで教育長にお伺いいたします。

(1)学校栄養職員・栄養教諭の配置とその役割
 第一点、和歌山県では、学校栄養職員、栄養教員の配置の現状、さらにこうした専門職員が食育を進めるうえで果たしている役割を、どう考えておられるのでしょうか。


《答弁》 教育長
 本県では、現在、67名の学校栄養職員と20名の栄養教諭を公立学校に配置しております。
 これら職員は、栄養に関する専門性をもち、子どもたちに望ましい食習慣を身に付けさせるため、栄養バランスのとれたおいしい魅力ある給食を提供する役割とともに、栄養教諭を中心に学校・家庭・地域と連携して食育を推進する中核的な役割を担っていると考えてございます。


(2)食育基本法・地産地消の立場での学校給食のあり方
《質問》雑賀光夫 県議
 第二点 食育基本法の立場に立った学校給食、地産地消の給食という場合、給食調理と子どもが近い「自校方式」が理想であると思います。もちろん、財政上の理由で、なにもかも理想通りにならないことは分かりますが、理想は、自校方式だということについて、教育長は、どうお考えでしょうか。


《答弁》 教育長
 学校給食の実施については、議員ご指摘のとおり自校方式、或いは共同調理場方式、全面委託方式等があります。中でも自校方式は、議員ご指摘のとおり、調理員が直接学校で作るため、食物アレルギーの児童生徒への対応や配送時間の短縮、地産地消が容易になるというメリットがございます。また一方で、人件費や施設整備費が節減できないというコスト面での課題もあることも事実でございます。こうしたことから、各市町村教育委員会がそれぞれの実情に応じて選択して、より望ましい学校給食を実施しているところでございます。


《コメント》雑賀光夫 県議
 あるべき姿からいえば、自校方式、子どもに近いところで調理されることが望ましいということが、表明されたと思います。
 どうそれに近づけるかが課題であります。


(3)デリバリー方式で、「子どもの貧困」と食にかかわる課題に応えられるか
《質問》雑賀光夫 県議
 そこで第三点ですが 「デリバリー方式」ということも出てきているわけです。ここでは、学校栄養職員を配置してもその役割を果たすことはできません。食育基本法の立場に立った学校給食としてどうなのだろうかという問題があります。
 それとともに、私は「子どもの貧困問題」をとりあげた際、「お弁当を持ってこられない子」の問題をとりあげたことがあります。和歌山市の子どもの実態をとりあげました。和歌山市の中学校で、デリバリー方式の中学校給食がはじまりましたが、実施率はどうなのでしょうか。「弁当をもってこられない子」というのは、親が弁当を持たせたいけれども経済的に持たせられないという場合もあれば、育児放棄という場合もある。任意の注文によるデリバリー方式で、本当にすべての子どもをカバーできているのでしょうか。小学校では、全員参加の給食ですから、援護家庭のこどもは給食費はいりません。そのこどもたちが、みんなお弁当をたべられているのかどうか、大変心配しています。
 新聞報道では、デリバリー方式を導入した和歌山市で申し込み率がひくい学校では、11、7%にとどまっています。デリバリー方式は、その質の問題とともに、広さという面で、「子どもの貧困」と食という問題に応えられるのかどうか心配する者ですが、教育長のご見解をお伺いいたします。


《答弁》 教育長
 和歌山市における中学校給食は、今年の10月から6校で始まり、申込者の平均は、24.3%であったと承知しております。
 学校給食は、栄養不足の貧困児童の救済のために始まったものであり、今では、児童生徒の心身の健全な発達のために、学校教育活動の一環として実施されています。先ほどもお答えしたとおり、学校給食には様々な方式がありますが、その方式にかかわらず、すべての児童生徒が栄養バランスのとれた給食を受給できることが重要であり、学校設置者が様々な条件を勘案しながら実施しているところでございます。引き続き、子どもたちの健やかな成長を促すという観点から、学校給食の普及・充実に向け、実施主体である市町村教育委員会に働きかけてまいります。


《コメント》雑賀光夫 県議
 和歌山市でも、デリバリー方式であっても、一歩前進の努力をしていただいていると思います。
 しかし、「子どもの貧困」の問題をとりあげたとき、教育現場のことをよく知っているつもりだった私も、その深刻な現状にびっくりしたものです。その問題におおきくかかわる学校給食を、ぜひ豊かなものとして、すべての子どもたちに保証したいものです。関係者のみなさんと力を合わせていきたいということを表明して次に行きます。


3.津波防災堤防の財政負担
《質問》雑賀光夫 県議
 第3の柱は、津波防災堤防建設をめぐる問題についてであります。
 いま、海南市入り口に、浮上式津波防災堤防の建設がすすんでいます。それだけで津波を完全に防げるわけではありませんが、津波減災に大きな役割を果たすことは間違いありません。私は、この事業を歓迎していますし、この実験的事業を海南市に誘致した海南市長をはじめみなさんのご努力も評価するものです。
 ところで、この事業は、国直轄事業であり、基本的には国が3分の2、県が3分の1を負担するものです。
 この事業の誘致に当たって、「地元の熱意を示す」として、「海南市と地元企業もお金を出す」ということになりました。
 経過があるからそうなってきたのでしょうが、税金の使い方です。県民にわかるようにしなければなりません。

(1)津波防災堤防にかかわる停泊場所設置
 まず、海南市の負担です。「海南市が国の直轄事業にお金を出すことはできない」ということで、そのかわりに、県がおこなうべきプレジャーボートの係留施設を、県に代わって海南市がつくるという変則的なことになってまいりました。
 もともと、プレジャーボートの係留施設については、私が「津波の時、放置されている船舶が、凶器になる」という住民のみなさんの心配を2007年6月県議会でとりあげ、タイミングよくその直後に仁坂知事が新たな条例と係留場所整備を表明していただいてすすんできたもので、期待する事業です。
 まず、海南市付近の施設の建設計画と財政負担については、どうなっているのでしょうか。県土整備部長にお伺いします。


《答弁》 県土整備部長
 和歌山下津港海南地区等における放置艇対策として、第1期分は、4箇所の係留施設を整備する計画で、現在、事業を実施しております。負担内訳は国が約4億円、市が約5.7億円と想定されております。
 第2期分の事業計画については、まだ具体化しておりません。


(2)地元企業負担について
 @企業負担は、どのように、どこに納められるのか
《質問》雑賀光夫 県議
 それとは別に、地元企業が負担するという約束があるようです。私たち議員としては、国、県、市の予算と企業の協力金がどのようなシステムでどのように使われているかを明らかにする責任があります。その立場からお伺いします。
1 企業の協力金は、どういうふうに集められて収められているのですか。
2 そのお金は、国の負担分を助けるものなのか、県の負担分を助けるものなのか。
3 国あるいは県には、どういう名目で受け入れされているのでしょうか。


《答弁》 県土整備部長
 各企業からの協力金は、直接、県に納付されており、県としては、一般財源に「雑入」として受け入れさせていただいております。


 A負担金は、どう決められているのか
《質問》雑賀光夫 県議
 私は、はじめは国か県の負担分の一部をたすけるものかと思っていたのですが、国直轄事業には、そういう負担金がはいりこむ余地がない、そこで県が「雑収入」として受け入れているというわけですね。
 そこで、海岸部に位置する企業が、負担していると聞いていますが、その金額は、どう決められていますか。防災堤防完成までにどれだけ負担されるのでしょうか。


《答弁》 県土整備部長
 海岸部に位置する企業7社が敷地面積割合により決めており、協力金の総額は事業費の4%で、10億円を上限として定められております。


 B「熱意」を「負担金」で示すのは筋違いではないか
《質問》雑賀光夫 県議
 私は、地元企業がそういうご協力をいただいていることには、感謝申し上げることを、さしあたり表明しておきたいと思います。
 しかし、ここまでお伺いすると、そもそもどっかおかしいのではないかと言う疑問をもつわけです。
 海南市の関係者は、津波防災堤防の誘致について、県や政府関係者に陳情したと思います。海南市が津波に弱い街であること、津波に襲われれば、被害面積が大きいことを私も県議会で申し上げてきました。そして、実験的なこの事業にあたっては、効果が大きい適地であることをわかってもらうことが、陳情活動でしょう。私は、国土交通省が、以上のことを勘案して適切な判断をしたと理解しています。
 しかし、「費用の一部を海南市と地元企業で負担しますからやってください」というような、熱意の示し方というものがあるのだろうか。これまでもあったのか。これからも、国の事業を海南市にひっぱってこようとしたら、そういういうことが必要になるのだろうか。こういう疑問がのこるわけです。
 県土整備部長のご見解をお伺いします。


《答弁》 県土整備部長
 三連動地震による津波により、海岸部に集積している企業などに大きな被害が想定されたことから、協力の申し入れがあったものであり、そのことは、県が国へ事業化の要望をする際の必須要件ではありませんが、優先度として配慮する事項のひとつであると考えており、今後についても同様であると考えております。
 また、これまでも同様の事例があったかについてですが、調べた範囲では、ありませんでした。
 県としましては、海南市が放置艇対策のための係留施設整備を実施することや、海岸部の企業7社が協力金を県に納付して頂いていることについては、海南地区の津波対策事業を全体として、うまく進めていくために、協力の方法を工夫しており、良い方法であると認識しております。


《コメント》雑賀光夫 県議
 よいか悪いかは別として、これまでの前例は、しらべたけれども見つからなかったということのようです。


(3)国直轄事業誘致と「地元負担」について
《質問》雑賀光夫 県議
 知事にも同じようなことをおうかがいすることにもなるのですが、国直轄事業誘致への「熱意」を本来負担しなくてもいいお金を負担しますからという形で示さなくてはならないというのはおかしいのではないか、善意ではあっても、行政にゆがみを生むのではないかという心配をするのですが、知事のご意見をお伺いしたいと思います。


《答弁》 仁坂知事
 海南の津波対策事業でございますが、海南は結構、北の方にあります。したがって、適切に避難すると人の命はだいたい救われます。しかし、動かないものがあります。一般の住宅はどこにでもありますが、海南というのは、産業集積が大事であって、一回津波に遭ってしまうと、産業活動はもう二度と立ち上がれない。したがって、命の他に、特に海南においては、財産も守ってくれというような声が、私の就任の時にありました。人の命を地元負担ないしは自発的な分担金によって、優先度を左右するということはできないと思いますが、実際に、営業活動の対象であり、お金儲けの対象である、産業的な財産を守る順番として、例えば全県的に、あるいは全国的に必要な中で、優先順位として配慮して、私はそれが何か問題があるとは考えておりません。
 そもそも、この問題は自分たちも大いに協力するから、是非優先的にこちらにやってくれと、こういう話が地元の産業界及び海南市からあった話でございますので、私どもが、公共事業をやる、あるいは、公共事業を誘致する際に、負担金を出せといったような要請をした訳ではないということだけは、是非ご理解いただきたいと思います。


《コメント》雑賀光夫 県議
 私は、この質問について、負担する海南市にも地元企業にも相談もしておりません。純粋に、システムとしてどうなのかという問題意識で質問させていただきました。相談したら、関係者は県に遠慮して「そんな質問せんといてくれ。わしらが雑賀さんに質問してもらったように思われるから」と言われるかもしれません。海南市議会では、市会議員がとりあげていますが、企業のみなさんにとってはまったく,寝耳に水の質問であることを申し上げておきます。
 それにしても地元企業の負担は小さいものではありません。10億円を上限としていますが、これまでは工事がすすんでいなかったから負担はそう大きくなかったのです。決算委員会に提出された資料によりますと、ある企業は、平成21年度32万円あまりの負担でした。この企業にとってたいした額ではなかったと思います。しかし、22年度は、68万円、23年度は、107万円の負担です。最終的には、総額2000万円になるという計算になります。優良企業であっても中企業というところですから、たいへんだろうと思います。
 5億円とか1億8000万円円はらうというのは、和歌山県で有数の大企業ですが、地元の石油関連会社で1億7000万円払うというのは、それなりに大変だろうと思います。
 国の直轄事業であれ、県の直轄事業であれ、地元にとってメリットもあるものです。そのことを理由に、地元負担金というものもあったのですが、私たちはその廃止を求めてきた。知事も基本的には廃止しますという方向になってきているのでしょう。また、国に対して「国直轄負担金制度廃止」を要望しておられるわけでしょう。
 ところがこの「津波防災堤防」にだけ、根拠のない「地元負担」があって、それも「思いやり予算」のようなものになっている。
 私は、予算の執行というものは、ルールに従ってやるべきで、義理と人情、浪花節の世界になってはいけないと思います。


4.毛見琴の浦の福祉施設への進入道路の安全対策
《質問》雑賀光夫 県議
 第4の柱として、毛見琴の浦にあるリハビリセンター周辺施設への進入路についてお伺いいたします。
 私は、海南海草の選出ですが、和歌山市の毛見トンネルを越えた海南市側のみなさんとは、交流があるので、いろいろと相談もいただきます。
 毛見・琴の浦の地域は、リハビリテーション付属病院があり、パナソニックの乾電池をつくる福祉工場があり、若竹園という障害児の訓練施設があります。その後、児童相談所がこの地域にうつり、いまでは、「和歌山県子ども・女性・障害者相談センター」がおかれています。いわば一大福祉ゾーンというべき地域になっています。ところが、この福祉ゾーンへの進入路が狭く、歩道もありません。地域のみなさんは、ときどき車椅子の方が通行するのを大変心配して見守っておりました。
 先日、自治会のみなさんがあつまったとき、「この道路は、『やすらぎゾーン』になっているのに、交通規制はどうなっているのか」というお話がでましたので、私が警察に問い合わせいたしました。
 そうすると、「たしかにやすらぎゾーンといっていますが、交通規制標識がないので、スピード規制は60キロです」というお答えです。それでも「公安委員会に諮って対処します」「30キロ規制で検討している」というご返事をいただいています。
 「こんなことをなぜ今まで放置していたのか」思いましたが、ある面では、無理もありません。この道は、県道でも市道でもないのです。福祉施設がもっている県有地が、福祉施設とともに、その向こうにある造成地の住宅への進入路になっていて、乗用車も通行しているのです。
 なんとかして、道路を広げて車椅子の方も安心して通れる安全な道路にできないのかというのが、地元自治会のご意見です。
 この道路に脇には、関西電力の社員寮がたっていました。しかし、2年ほど前に社員寮が撤去され、大きな空き地になっています。そこで、私は自治会長さんと一緒に関西電力和歌山支社にでむき、「道路を広げるとなったら、協力いただけるだろうか」という相談をかけました。そこで質問です。

(1)福祉施設への道路の安全についての認識
 福祉保健部長にお伺いいたします。福祉施設の集積地というべきこの地の進入路の安全問題について、どういう認識をお持ちでしょうか。道路を広げるとすれば、いまがチャンスですが、この土地の現状についてどう把握されていますか。また県土整備部と協議されておられるでしょうか。


《答弁》 福祉保健部長
 福祉施設の集積地への進入道路の安全問題についてですが、進入道路の利用状況を踏まえ、可能な限り安全を確保しておくことは重要であると認識しております。
 進入道路の現状といたしましては、国道42号に接続する和歌山市毛見の市道琴ノ浦1号線の一部と県有地で構成されており、自動車の対向に支障のない程度の幅員がございます。
 また、進入道路にあたる県有地は、公図の整備がされておらず、隣接する関西電力株式会社などの民有地との境界が明確でない箇所がございます。
 なお、議員ご提案の道路拡幅につきましては、現状の進入道路は県道としての整備にはなじみませんが、県土整備部の技術的協力を得ながら進めることとなります。


(2)「行政の谷間」でこそ知事のイニシアティブを
《質問》雑賀光夫 県議
 私が申し上げている道路は、福祉施設の集積センターにかかわる、福祉保健行政の側から声を上げなくてはならない。しかし、県の土地と和歌山市の道路がつながっているだけで、県道でもないという、行政の谷間というべき地域です。
 こんなときは知事の出番だろうと思います。知事がイニシアティブを発揮していただきたい。いちど現地をみて考えていただけませんか。知事のご意見をお伺いいたします。


《答弁》 仁坂知事
 雑賀議員は行政の谷間とおっしゃいましたけれども、私はこの話を質問に対する答弁ということで勉強させていただきましたら、これは行政の非常識だということが分かりました。
 なぜならばですね、ここはもちろん福祉施設もございます。福祉施設に対してはですね、そこの出入りもございますから、安全に通行できるようにするというのは、福祉施設を所管している我々としては、当然配慮しなければいけないことでございます。
 しかしながらですね、ここは市街化区域であってですね、一般の住宅の方が沢山住んでおられます。その中には、雑賀議員のお父様のアトリエもあってですね、それで普通の住宅もあり、そして、そういうところにはですね、当然、生活道路がきちんと整備されていなければいけない。それを、福祉施設の延長上の空間を使って、通っていることで放置しているというのは、これこそ非常識であるというふうに思います。
 したがって、こういうことが雑賀議員のご指摘で分かりましたので、市道を当然作っておくべきであった市役所とよく協議をして、それで県の持ち分についても協力し、関電にも多分、協力をしていただいて、適切な市道を作り、それを管理していただくというふうにすればよろしいじゃないかというふうに思います。


《コメント》雑賀光夫 県議
 私は、行政の立場にいる方に気を遣って「行政の谷間」行政が気がつきにくいといったのですが、知事からはさらにすすんで、「行政の非常識」とまで言っていただきました。
 ぜひとも、知事のイニシアティブで実現していただきたいと期待いたします。


    仁坂知事の答弁を聞く雑賀光夫県議(右)=12月17日、和歌山県議会

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2012年12月県議会 雑賀光夫 一般質問=12月17日
2012年12月県議会 雑賀光夫 一般質問=12月17日