2012年12月和歌山県議会
   平成23年度決算の
   認定に対する反対討論
                 高田 由一
               議会中継録画(7:00〜)






20121225


 私は日本共産党県議団を代表して平成23年度決算の認定について議案第142号、第143号について反対討論をします。

 平成23年度の県税収入は、ようやくリーマンショックから立ち直り始め法人2税を中心に回復してきました。それでも平成20年度に比べてまだ200億円以上のマイナスであります。なかでも個人県民税は前年比で5億円以上マイナスであり、依然として県民の生活は厳しい状況に置かれていることに変わりはありません。
 そのことは生活保護の開始件数がここ3年間で年に1800件前後で推移していることからもうかがわれます。
 一方でこれは国の話ですが、廃止が予定されていた金持ち優遇の株式譲渡所得や配当所得にかかる税率引き下げの特別措置が延長されており、それだけでも県内地方財政への影響、税収減は5億円近くにもなります。
 また、県でも市町村でも徴税対策が強化されていますが、なかには請求額に対して過大な差押や年金口座の差押などによって今日明日の生活さえままならないという事例も生まれています。このことについてはおおいに改善を求めるものです。
 こうした厳しい県民生活の状況のなか和歌山県では昨年、台風12号災害が発生しました。この問題では災害の直後から知事、危機管理監を先頭に県職員あげて対応にあたってこられました。そのなかで被災住宅再建への県独自の支援や各分野の産業支援など積極的な対応がありました。また災害復旧にかかる予算は、翌年度に繰り越された額をいれて340億円以上の事業費となりその事業執行にあたっての現場職員のご苦労は並大抵ものではなかったと想像します。あらため敬意を表したいと思います。
 ただこの問題では平成24年度で超過勤務があまりに多くなっていないか心配です。平成23年度決算の数字では県土整備部関係での残業が増えていますが、全体としては例年並みです。職員のみなさんの体調管理にもこれまで以上の配慮が必要ではないでしょうか。
 全体の問題としては長期にわたるデフレ不況と災害。この苦境から県民生活をいかに守るかということが今の県政に課せられた何よりの課題であると考えますが、福祉分野などでの国の制度改悪と重すぎる県民負担への対応については不十分だったのではなかったでしょうか。

 以下、個別の問題を指摘したいと思います。
 まず、紀の国森づくり基金活用事業の件です。農林水産部によって、元田辺市議による補助金不正請求事件の概要は発表されました。ただ当局の議会に対する姿勢として指摘したいのは、調査報告が決算委員会には間にあわなかったことです。私は決算委員会でせめて平成23年度分にかかるものだけでも報告すべきではなかったのかと発言しましたが、不正使用があったかどうか調査中の案件、決算についてどうして判断できるでしょうか。反省を求めたいと思います。
 また、その内容についていえば5年間にわたってこの不正を見逃していたという点で監察査察監からも6点にわたる改善が求められており、早急に事業の在り方の見直しを求めるものであります。

 つぎに教育の問題では、教員のなかの定数内講師という扱いを減らし、正規職員を増員するべきということはわが党が言い続けていることですが、実態として改善されていません。教職員定数が全体として減っているなかで、講師や非常勤講師は実数で増えているというのは到底納得できるものではありません。

 福祉の分野では介護保険の財政安定化基金を取り崩した後の使い道として県が市町村を応援し、保険料の軽減などを行うことを求めていますが、実現できていません。また、後期高齢者医療制度や国保税についても軽減が求められています。「払いたくとも払えない」ほど重い負担に対して県が市町村と協力して軽減するための方策を考えていく姿勢がもっと必要です。

 毎回指摘しているコスモパーク加太の問題では、一企業への特別の優遇措置を続けたままです。一平方メートル100円の賃貸料で優遇するために県負担は1億8000万円弱にものぼります。早急に見直すことが必要です。
 また、大滝ダムの県負担金も6億円近くに上っており、認めるわけにはいきません。

 土地造成事業会計では、かねてからの指摘もあり土地の評価を時価に見直したため82億円あまりの評価損がでました。そのことも含めて一般会計から年に1億5000万円の補てんが始まり今後20年かけて処理していく計画ですが、土地の価格自体が年に5〜6%も下がっており、次の対策を練っていかなければ計画倒れになりかねないことを指摘しておきます。

 中小企業振興資金の問題では23年度あらたに破たん法人として阪和ミートセンターが公表されました。16億円の貸付に対して償還が1億ちょっと、残債務が15億円となっています。これも後に不能欠損処理になるのでしょうか。苦しい生活を続けている県民にとってあまりに大きな負の遺産と言わざるをえません。

 以上のような理由で平成23年度決算には反対です。討論を終わります。


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