2013年2月
   和歌山県議会
       議案に対する反対討論
               松坂 英樹

                      議会中継録画

                          (23:20〜)



201331


 日本共産党県議団を代表して、議案第1号、3号、7号、16号、37号、44号、57号、61号、70号、71号の計10議案に反対する立場で討論をさせていただきます。

 2013年度和歌山県一般会計予算案は、前年度当初予算比1.3%減となっています。2012年度補正予算とあわせた「13ヶ月予算」でみれば、実質的な規模では5、4%増ですが、補正で増額されたのは、公共事業費と国からの交付金による基金積み立てだけで、県民に身近な福祉の充実やくらしをあたためる施策が増えたというものではありません。民生費で15億円、労働費で5億円、農林水産費では21億円の減額となっています。
 県債残高はとうとう1兆円を超え、県民一人あたりも100万円を超えています。この県債を返済するための後年度負担が心配されます。

 歳入では、個人県民税が増額となっていますが、これは県民所得の向上を見込んだものではなく、昨年からの年少扶養控除の廃止、特定扶養控除の縮小による増税分が主なものです。
 また地方交付税は、地方公務員給与を7月から13年度に限り国家公務員にならって7.8%削減をせまる措置により減額されました。そのうち防災・減災や地域活性化のためとして減額分の3分の1が増額されています。これらにより2012年度より41億円の減、臨時財政対策債との合計では51億円が減額されています。
 歳出で前年比1.3%減となったのは、人件費の減額によるところが大きいわけですが、退職金の減額とともに、高校40人、特別支援学校14人、小学校10人、中学校6人と教職員定数を70人減としたことによるものです。

 福祉の分野では、扶助費は障害者援護や児童措置費が増加して前年比4億円の自然増となっていますが、県内の生活困窮者はひきつづき増えているにもかかわらず、生活保護扶助費は減額の見込みとなっています。国からは生活保護の基準切り下げが押し付けられようとしています。生活保護の捕捉率も低い中、最後のセーフティーネットとしての役割をしっかりとはたすよう、丁寧な生活保護行政が求められます。
 福祉・医療分野の県民負担については、国民健康保険をはじめ、後期高齢者医療保険、介護保険など、高齢者や障がい者をはじめ県民から負担はもう限界だとの悲鳴が出されています。県民の負担軽減のために、県としても一歩踏み出すべきだと考えます。
 こども医療費助成は、県内30市町村中25市町村で対象拡大がすすんでいますが、県の制度は小学校就学前のままです。対象拡大に踏み出すべきだと考えます。
 医師・看護師確保という点では、日高看護専門学校の設置が予算化されたことは歓迎します。しかし、看護職員修学資金貸付金は、県内の看護師養成学校あたり新規分1・2名程度の枠でしかありません。この修学資金の対象拡大を含め一層の充実を求めるものです。
 議案第44号は、准看護師試験に関する事務が関西広域連合に移管されることによる条例廃止ということですが、看護師と准看護師の試験日を同一日に実施することで受験機会が減少し、看護職員の資格取得にはプラスにならないと考え反対です。
 また、児童虐待相談が全国的・全県的に増えてきている中、国の「安心こども基金」を活用した対策の強化が図られてきましたが、基金事業の一部終了にともない市町村での児童の安全確認の体制強化策が削減されています。県として引き続き市町村への支援強化を求めるものです。

 次に公共事業の分野の予算を見てみると、補正とあわせてこの分野は突出し、実質で前年比17%増、特に道路整備費は77%増です。国直轄事業負担金は事業費増にあわせ大幅増となっていて、このなかには和歌山下津港の南防波堤や日高港の港湾整備など不要不急の事業への負担金も含まれます。
 今月末に完成式典の行われる大滝ダムについては、当初の計画から16倍にも建設費がふくれあがり、これまで和歌山県として455億円もの負担金を払ってきました。当初予算のなかの大滝ダム維持管理負担金は、新年度から新しく負担するものです。国の8億円の維持管理費用の概算に対し、利水分の和歌山県分の費用負担割合1.3%をかけて求めた数字であり、当面はこの県としての利水分の負担が求められるのですが、2年後には建設地である奈良県川上村への納付金も発生してきます。さらに今後、大規模な災害が発生した場合に負担がのってくる可能性もあり、際限のない負担増にならないよう国に働きかけることが大切です。
 コスモパーク加太では今年も6億6千万円余の対策事業費が予算化されています。事業計画が半分に縮小されたカゴメ加太菜園からの賃借料は、2014年から半減することになり、いっそう県の負担する差額が増えることとなります。ゆきすぎた優遇措置を続けるのは適当ではないと考えます。
 新年度予算の中で。県民にとって身近な生活道路や要望の多い道路の整備とともに、通学路安全対策が進むことは評価するものです。今後、道路をはじめとした社会資本の維持管理・老朽化対策へのウェイトを上げ、管理費用の分散・軽減、防災対策にとりくむことが求められます。このことは将来負担の軽減につながるとともに、中小業者の持続的な仕事づくりとなり、地元の景気対策ともなるものです。

 次に景気対策では、ふるさと雇用再生特別基金事業が2012年度で終了となりました。継続となった緊急雇用創出事業もふくめ、ひきつづき雇用対策に全力を上げる必要があります。地域経済をあたためる有効な景気対策として「住宅リフォーム助成制度」の創設も、重ねて提案するものです。
 そうしたなかで今回、職員の退職手当削減が条例化されようとしています。
 政府は、国家公務員の退職手当について人事院勧告も受けないまま、昨年8月、一方的に「国家公務員の退職手当の支給水準引き下げ等について」とする閣議決定をしました。 その後、衆院が解散されたどさくさの中、退職手当改悪法案が可決され、これを受けて総務省は各地方自治体に対し、国にならって退職手当を下げるよう要請する通知を出したのです。
 また加えて、職員の給与については、政府が地方公務員の賃金を7月からさらに7・8%引き下げること、地方自治体に押し付けてきています。
 このように国が一方的に下げ幅を決め押し付けることは、人事委員会制度の根幹にもかかわる問題でもあり、地方6団体も「きわめて遺憾である」との共同声明を出しました。
 こうした経過を見るならば、今回の議案第37号は賛成することはできませんし、賃金アップをすすめている政府の経済対策にも逆行するものだと指摘するものです。

 教育の分野では、「学力到達度調査」という名のもとに、県独自の学力調査の復活が予算化されています。このような学力テストは、児童生徒へますます負担を増やすだけであり反対です。
また、35人学級の予算措置が国でおこなわれなかったことは大問題です。最悪、県単ででもカバーしなくてはなりません。議案第57号の教職員定数条例は、国の予算措置をそのまま受け入れた内容であるために、賛成できません。

 議案第7号の競輪事業特別会計については、ギャンブル反対の立場から認められません。公営ギャンブルは、もう廃止すべきではないでしょうか。

 議案第16号の土地造成事業では、ようやく時価評価が採用されるようになりましたが、呼び込み型開発失敗の責任を反省し、説明責任をはたすことなしに、県民の税金からの損失補てんを続けることに賛成はできません。

 議案第3号中小企業振興資金特別会計予算、議案第70号、71号の債権放棄議案については、時効案件の最終処理を余儀なくされるものとともに、ゆがんだ同和行政への反省もなく、貸し付けや債権管理の実態が不透明なものを残しているという点では、県民の理解を得ることはできないと考えます。

 議案第61号の市町村負担金については、災害・防災対策的な県単事業の市町村負担はなくすべきだと提案してきました。さらなる負担軽減をもとめるものです。

 以上で計10議案に対する反対討論を終わります。


  2013年2月県議会   松坂英樹プロフィール、質問一覧   松坂英樹ブログ


2012年和歌山県議会 松坂英樹 議案に対する反対討論=3月15日、和歌山県議会