2013年2月県議会
高田由一 一般質問
 概要記録
2013年3月4日 議会中継録画

1.生活保護費の削減と県民生活への影響
(1)削減の理由
(2)県民生活への影響
(3)知事の見解と国への要請

2.「ラジオ通じるプラン」について
(1)ラジオの受信状況
(2)現地調査の有無
(3)補助対象地域
(4)ケーブルテレビの活用
  ・ラジオ再送信の状況
  ・防災面での技術向上
(5)コミュニティFMの活用

3.ウメ輪紋病ウイルスについて
(1)条例化のねらいと法規制とのちがい
(2)周知について
(3)症状と通報
(4)検査の体制
(5)損失補償について

4.県道白浜空港フラワーライン線に関して

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1.生活保護費の削減と県民生活への影響
《質問》高田由一 県議
 最初に生活保護費の削減と県民生活への影響についてうかがいます。
 政府は生活保護費のうち生活費にあたる生活扶助を今後3年間で段階的に引き下げることを決めました。受給世帯の96%の世帯に影響がおよび最大10%削減される世帯もあります。なかでも子育て中の世帯に与える影響が一番大きいといわれています。
 生活保護法はその第1条で「この法律は日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い」としています。また第3条では「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な水準を維持することができるものでなければならない」としています。この法律から見て今回の保護費削減は妥当なものでしょうか。
 生活保護世帯の世帯主別の世帯類型状況という資料をみると、生活保護増加の背景が浮かび上がってきます。一つは高齢者への社会保障の貧困です。少ない年金だけでは暮らしていけないため、保護世帯のうち高齢者世帯が全国で約43%、和歌山県内では54%をしめます。あと傷病者世帯、障害者世帯、母子世帯をあわせると和歌山県では91%をしめます。働ける年代に該当する「その他の世帯」という分類が残り9%の部分ですが、その他の世帯は50歳以上が半数以上をしめ、この部分が会社のリストラなどにより最近増えています。どうしようもなくて保護をうけているというのが現状です。安倍内閣の言うようにかりに保護費が10パーセント削減されても、その基準以下の年金生活でがまんしている世帯が多く、現状でも生活保護を受けられるレベルの生活をしている世帯の約2割しか保護を受けていません。お配りした資料1は日本弁護士連合会がつくったものですが、参考に見ていただければと思います。
 そういう現状を反映して和歌山弁護士会も今年2月会長声明をだし「引き下げに強く反対」と表明しています。

(1)削減の理由
 そこでうかがいます。今回、政府はなぜこれまでにないような大幅な削減をするのか。その理由は何と言っているのか。答弁をお願いします。


《答弁》 福祉保健部長
 生活扶助基準の引き下げ理由につきましては、前回の見直しのあった平成20年以降、デフレで物価が下がっているにもかかわらず、生活扶助基準額が据え置かれてきたことを踏まえ、平成20年以降の物価動向も勘案し引き下げられるものと聞いております。
 また、国の諮問機関である生活保護基準部会で生活扶助基準の検証が行われ、夫婦や子どもなど人数の多い世帯になるほど、生活保護世帯の基準額が一般低所得世帯の消費実態より多い傾向となっているとの報告が行われたことも要因となっております。


《意見》高田由一 県議
 答弁をいただきましたが、平成20年以降、物価が下がっているからだということであります。たしかに厚生労働省が出している資料でも資料1の2枚目にありますが今回の削減の主なものは物価下落、デフレ分であります。でもこれにはからくりがあります。平成20年から23年の物価を比べて4%以上、下がっているから保護基準の方も引き下げるんだと言っていますが、平成20年というのは原油高などで物価が飛びぬけて高い年でした。それと23年を比べて大幅下落だと言いますが、物価が急激にあがってその後、急降下した時点をとらえて、この間、上げてもいない保護基準をそれと同じ幅で下げるのは理屈にあいません。
 しかも直近では消費者物価指数は23年から24年にかけては横ばいです。その中身はパソコンやビデオなどが大幅下落、反対に水光熱費は大幅上昇、食料や交通・通信費もあがっています。普段、あまり何度も買わない家電製品が大幅下落しているものの生活に必要なものはあがっていて差し引きで横ばいになっているのです。
 そして現在はといえば電気料金の大幅アップに灯油やガソリンの値上げです。安倍政権は物価を上げると言っています。保護基準が今年下げられれば見直しは5年後といいます。この5年間、安倍首相の言うように物価があがればその上がった分はまるまるがまんしなければならなくなるのが今回の保護基準の引き下げであり、到底認めるわけにはいきません。そのことを指摘したうえで次の質問に移ります。


(2)県民生活への影響
《質問》高田由一 県議
 つぎにこの削減が県民生活に与える影響について答弁してください。


《答弁》 福祉保健部長
 受給者への影響でありますが、生活扶助基準額の引き下げは、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に保たれているかどうかの観点で行われるため、受給者への影響は少ないものと考えますが、今回、引き下げ幅が比較的大きいとされる多人数世帯などにつきましては、今後、ケースワーカーが家庭訪問した際に、生活の実態把握を一層強化するよう各実施機関に指導してまいります。
 次に生活扶助基準の見直しに伴う県や市町村施策への影響でありますが、国は、保育料の免除や就学援助など関連する制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながらできる限りその影響が及ばないよう対応していくとしており、県といたしましては、各制度への国の対応や影響について注視して参りたいと考えております。


《意見》高田由一 県議
 受給者への影響が少ないと考えられるという答弁には納得いきませんが、家庭訪問での実態把握をしっかりとするとともに、生活保護基準は地方税の非課税基準、国民健康保険税の減免基準、就学援助、最低賃金などに連動しますので、しっかりと見張っていただきたいと思います。


(3)知事の見解と国への要請
《質問》高田由一 県議
 最後に知事に今回の削減についての見解をうかがうとともに国に対しては保護基準削減の見直し、中止を求めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。


《答弁》 仁坂知事
 生活保護制度は国民のだれでもに最低生活を保障するものでありまして、いわば最後のセーフティネットということであると思います。
 国の責任によって適正に基準を定め、より公平公正な制度運営を図る観点から見直しが進められるべきものと考える。
 今後、生活扶助基準の見直しに限らず、就労自立支援の強化や医療扶助の適正化などの見直しも検討されていると聞いておりまして、引き続き国の動向を注視してまいりたいと思います。
 また一方、問題は給付水準だけではなくて、生活保護を受けている人を社会がどう包み込んでいくかということが大事であろうと思っています、職がなくて、仲間がなくて、孤立しているということはいけません。そこで新政策では社会福祉法人と連携した自立支援プログラム、すなわち生活保護受給者にボランティア活動の場を提供するなどのことも工夫して、全体として生活保護を受けている方々のお世話をしていきたいと思っています。


2.「ラジオ通じるプラン」について
(1)ラジオの受信状況
《質問》高田由一 県議
 つぎに新年度予算のなかの「ラジオ通じるプラン」についてうかがいます。
 この予算説明では、災害時の重要な情報収集手段となるラジオについて防災の視点から難視聴世帯の解消にむけた支援を実施するとなっています。私ども紀南の過疎地域を担当するものとしては大いに期待したいところであります。
 ただ心配しますのはラジオが聞こえない世帯というのは山間地へ行きますと町によってもちがいますがほとんど聞こえないのではないか、道路沿いでは聞こえても家の中では聞こえないという状態もあり、果たして外部アンテナへの補助ということでカバーしきれるのかどうか心配しています。
 そこでまず主要なラジオ放送事業者であるNHKと和歌山放送について、事業者としては県内のどれくらいのエリアや世帯をカバーしていると把握しているのか答弁をお願いします。


《答弁》 企画部長
 NHKにつきましては、県内全域を放送エリアとして全世帯をカバーしていると把握いたしております。一方、和歌山放送につきましては、送信所からの距離が遠く若干受信電波の弱い一部の内陸山間地域を除いた県内ほぼ全域を放送エリアといたしておりまして、県内全世帯の約97%をカバーしていると把握いたしております。


(2)現地調査の有無
《質問》高田由一 県議
 実感と違う気がします。つぎに放送事業者はこれまで住居のある地域で実際に受信状況の現地調査をやったことはあるのかどうか。答弁をおねがいします。


《答弁》 企画部長
 放送事業者は、随時、視聴者から「聴こえにくい」などの難聴についての苦情や相談を受け付けておりますので、その際に、必要に応じて受信状況の現地調査を行っていると聞いております。


(3)補助対象地域
《質問》高田由一 県議
 つぎに補助対象地域についてうかがいます。
 新年度のこの事業ではまず、県が窓口になって相談をうけつけ、現地調査をおこない、そのうえで外部アンテナ購入費を災害の恐れがある地域に限り補助することになっています。そこで具体的に「災害の恐れがある地域」とはどういう地域を想定されているのか答弁をお願いします。


《答弁》 企画部長
 災害の恐れがある地域といたしましては、NHK、和歌山放送の両方が聴取困難な地域のうち、津波、風水害等による甚大な被害が懸念される地域を想定いたしております。具体的には、土砂災害危険箇所、浸水想定地域、孤立予想地域などを対象に、市町村と協議しながら外部アンテナの購入費を補助してまいります。


(4)ケーブルテレビの活用
  ・ラジオ再送信の状況
《質問》高田由一 県議
 いずれにしてもこの新年度の「ラジオつながるプラン」の500万円の予算だけでは早急な改善は難しいと思うのです。そこでつぎにケーブルテレビなどの回線を使ってラジオの音声を送信するラジオ放送の再送信というやり方があります。この方法の活用についてうかがいます。
 テレビの地上デジタル化を機会にして、過疎地域を中心にこれまで共聴アンテナでテレビ放送を受信していた地域では、行政が公的に光ファイバーを敷設してケーブルテレビ事業者がテレビ放送を送信するようにしたところが多くなっています。そのケーブルテレビ事業者の多くは一般のテレビ放送に加えて、衛星チャンネルを別料金で提供したりしていますが、ラジオの音声放送についてはNHKや和歌山放送、地元のコミュニティエフエム局などの放送を無料で再送信しているところもあります。テレビのケーブルにラジオの音声を流すわけです。ではそれをどうやって聞くのかということですが、何もむずかしいことはなくて、テレビにつないでいるアンテナケーブルの近くにラジオをもっていってラジオのアンテナをのばし、テレビのアンテナケーブルに近づければ、エフエム放送で驚くほど明瞭にラジオ放送が聞こえます。それでももし聞きにくければ、テレビのアンテナケーブルを分岐して一本をラジオ用にして芯の銅線をラジオのアンテナに巻きつければまちがいなくきれいに聞こえます。たとえば私の地元白浜町とすさみ町のケーブルテレビではNHKの第1と第2、和歌山放送に加えてNHKエフエム、エフエムビーチステーションが、どんな山間僻地であろうとケーブルテレビさえつながっていれば明瞭に聞こえます。このケーブルテレビによるラジオの再送信ですが、残念ながらすべての事業者がやっているわけではなくて、また地元のコミュニティエフエム局をいれていないところなどまちまちです。そこで公的に敷設されたケーブルテレビのうちラジオの再送信をやっている割合は市町村別にみるとどれくらいあるのか答弁をお願いします。


《答弁》 企画部長
 ケーブルテレビ事業を実施するために公的にケーブルを敷設した市町村は田辺市、紀の川市、広川町、白浜町、すさみ町、有田川町の6市町となっております。
 このうち、ケーブルテレビによるラジオの再送信を実施しているのは、田辺市、広川町、白浜町、すさみ町の4市町となってございます。


《要望》高田由一 県議
 答弁をいただきましたが、せっかくケーブルテレビがあるのにラジオ放送を送信していない市や町がありますし、こまかくいえばNHKのエフエムだけ送信して、普段私たちがよく聞くラジオ第一放送は送っていないところなどまちまちです。たいへんもったいないと思います。実際やっているところでもこれでラジオが聞けることを知らない方が多いのです。ケーブルテレビを公的に整備したところはほとんど全世帯加入しています。あとはラジオ放送をそのケーブルに乗せるだけでいいわけです。地域のコミュニティエフエムもふくめてぜひ、このケーブルテレビによる再送信をもっと積極的に活用されるよう事業者と話し合っていただきたいと思います。要望です。


  ・防災面での技術向上
《質問》高田由一 県議
 では次に、防災面での技術向上についてうかがいます。
 乾電池で動くラジオは防災という点でもすぐれたものですが、かりにケーブルテレビが停電で見えなくなっても、ラジオ放送だけはケーブルを通じて流すことのできる技術や機材がすでに開発されています。これを利用すれば災害でケーブルそのものが切断されない限り、ラジオ放送を聞くことができます。そこでいま県内のケーブル事業者で停電時でもラジオ放送を流せるシステムをもっている事業者はあるのかどうか。また、今後、防災上有効なこうしたシステムの導入を事業者に働きかけてはどうかと思いますが答弁をお願いします。


《答弁》 企画部長
 停電時でもラジオ放送を流せるようにするには、放送局から利用者の家屋内までにわたってバッテリーなどのバックアップ電源による停電対策が施されている必要があります。
 県内のケーブルテレビ事業者はZTV、J−COM、ケイ・オプティコムなどの6社がございますが、このうちZTVについては、家屋内までにわたり送信ケーブルにバッテリーを導入することにより、停電時もラジオを聴取可能にしていると聞いております。
 一方、その他の事業者については、家屋内を除く送信ケーブルには停電対策が施されていると聞いておりますので、家屋内ケーブルモデム用のバックアップ電源を導入するなどの対策を行うように促していきたいと考えてございます。


(5)コミュニティFMの活用
《質問》高田由一 県議
 さいごに、災害時のコミュニティエフエム局の活用についてうかがいます。
 県内では昨年、和歌山県ラジオ局防災共同プロジェクトというラジオ局同士の協定書が結ばれたようですが、その内容は、NHK、南紀白浜コミュニティ放送、エフエム和歌山、FMたなべ、FMはしもとの5社が自然災害発生時に県民の生命、くらし、財産、安心、安全を守るため協力連絡することとし、そのための番組やイベントを共同で制作、実施するというものであります。
 私は災害時に地域限定のコミュニティエフエム局がもつ力を実感したことがあります。それは平成23年1月31日に田辺市内で大雪が降った朝のことであります。その大雪は田辺市の町中を中心に集中的にふったようで、そのとき市内の交通は大混乱しお昼頃まで車が動かないという事態がおこりました。そのとき地元のエフエム局は、リスナーから寄せられる各地の雪や事故の状況のメールを生で放送しつづけていました。それをきいて私も市内へいくのは無理だと判断できたし、社員が出勤してこない会社もその状況を把握できたと思います。このようにコミュニティエフエムの双方向性は災害時に非常に有力な手段となりうると思います。ですから行政側もこのような力を評価してコミュニティエフエムもラジオの再送信に位置づけたり、よりよい防災協定を結ぶ努力をするよう求めますがいかがでしょうか。答弁をお願いします。


《答弁》 企画部長
 コミュニティFMの活用は議員ご指摘のとおり、災害時におけるラジオの情報伝達手段としての有用性は高いと認識いたしております。
 そのため、「ラジオ通じるプラン」においても、災害に備えラジオ放送事業者のカバー率を重層的に向上させることを目的の一つと位置づけて、コミュニティFMを含む県内外のラジオ放送事業者、ケーブルテレビ事業者、防災行政無線を運用する市町村等の間における協定の締結や再送信の実施などを促すことにより、ラジオサービスエリアの補充と拡大を推進してまいたいと考えてございます。


3.ウメ輪紋病ウイルスについて (資料
《質問》高田由一 県議
 次に「ウメ輪紋ウイルスの侵入およびまん延の防止に関する条例」案についてうかがいます。
 プラムポックスウイルスいわゆるウメ輪紋ウイルスはバラ科サクラ属の植物、身近に言えばウメやモモ、サクラの木などですが、それらに広く感染するとともに今回条例で対象としているいくつかの植物への感染が確認されています。世界的には欧州、南米、北米、アジアで発生が確認されており、アーモンドやセイヨウスモモ、アンズ、オウトウ、モモなどに大きな被害を与えているようです。サクラ属の植物にとってはいわば国際的な指名手配犯のようなウイルスだといえます。
 国内では平成21年4月に東京都青梅市で発見されて以来、昨年までにその周辺市町村や埼玉県、茨城県、滋賀県、大阪府、奈良県、兵庫県で発見されました。アブラムシが媒介するため広がりの速さは速くないのですが、徐々に感染の範囲はひろがっています。植物防疫法による緊急防除が実施されている東京都青梅市周辺と兵庫県伊丹市周辺では、法的な強制力をもって、感染する可能性のある植物の持ち出しは禁止され、感染や疑いのある植物は切り倒したり焼却され、廃棄されています。
 幸い和歌山県にはまだ侵入していませんが、その危険性について啓発し、実際の感染を予防するという点で今回、和歌山県独自に条例を制定し広く県民に知ってもらい、その協力をお願いすることは大いに意義のあることだと私は思います。

(1)条例化のねらいと法規制とのちがい
 そこでまず、今回の県独自で条例化することのねらいと、あわせてこれまでの植物防疫法での規制とのちがいについて答弁をお願いします。


《答弁》 農林水産部長
 植物防疫法に基づく本ウイルスの規制は、緊急防除区域の指定など発生区域に重点を置いておりまして、本県のような発生区域以外の地域においては、警戒のための調査である予察や注意喚起が主な内容です。
 本県は、うめ、もも、すももの全国有数の生産地であり、本病が発生、まん延した場合、農業に大きな影響が懸念されるため、独自にウメ輪紋ウイルスの侵入及びまん延防止の対策に取り組むことが必要であります。
 このため、栽培関係者やJAなど農業関係団体の責務、感染が確認された地域からの感染の恐れがある植物の移動の制限、県による立入検査などを規定した条例を制定し、県内のうめ、もも、すももの生産の安全を図るものでございます。


(2)周知について
《質問》高田由一 県議
 つぎに今回の条例が成立すれば、和歌山県の定めた条例が県外の苗木業者なども含めて条例の力をもって規制することになるわけですが、どのように周知をしていくのかについて答弁をお願いします。


《答弁》 農林水産部長
 条例を広く一般県民の方々に知っていただくため、県民の友への掲載のほか、市町村、JAなどの広報誌に協力を要請いたします。
 植物の移動の制限については、ホームセンターなどの量販店、種苗店・園芸店や苗木取扱業者、苗木生産者等に対して、個別に訪問して周知を図ります。


(3)症状と通報
《質問》高田由一 県議
 つぎに条例の第8条ではこのウイルスに感染していると疑われるサクラ属等の植物を発見したものは、遅滞なく、知事に通報しなければならないとなっていますが、なかなか症状がわかりにくいということも聞いております。いったいどのような症状がでたときに通報すればよいのか答弁をお願いします。


《答弁》 農林水産部長
 ウメ輪紋ウイルスに感染した場合、葉では部分的に緑色が薄くなり、斑紋やドーナツ状の模様、いわゆる輪紋ができる症状が現れます。
 果実では、表面にややくぼんだ輪紋を生じたり、成熟前の落果がみられます。
 なお、感染した果実を食べても健康に影響はございません。
 発病の初期では、症状がはっきりしないので、少しでも異常に気がついたら県に相談いただくようにお願いいたします。


(4)検査の体制
《質問》高田由一 県議
 つぎにこの条例案とあわせて新年度予算には、ウイルスの有無を調べるために今後2年で4000区画、2万検体を検査する事業が盛り込まれていますが、かなりの人員体制が必要になると思われます。職員の体制は十分なのでしょうか答弁をお願いします。


《答弁》 農林水産部長
 ウメ輪紋ウイルスの検査については、果樹園において葉の症状を観察する目視調査と、サンプリングした葉のウイルス感染の有無を調べる簡易検定を行います。
 目視調査とウイルス検定については、一定の知識が必要であるため、県の農作物病害虫防除所、研究機関、振興局や、JAなど関係機関で十分な体制を整え、4月下旬から8月まで25年度、26年度の2ヵ年間実施いたします。


《要望》高田由一 県議
 今後こうした関係で人手が必要になった場合は、たとえば農業関係の高校などを卒業した若い人たちを緊急雇用事業で雇って実施してもいいのではないかとも思いますので、ご検討よろしくお願いします。要望です。


(5)損失補償について
《質問》高田由一 県議
 最後に、今後、ウイルスに感染した植物が見つかった場合の話であります。実はここが一番大事なのではないかと思うのですが、たとえば東京都青梅市の場合、現在、感染したウメがどんどん切り捨てられているのですが、市内のウメの3分の1が処分されることになりました。あそこの場合もウメ果実の生産だけでなく、観梅による観光収入なども大きいわけです。その青梅市では感染前に約1億円あった青ウメの出荷額が切り倒したために今年はほぼゼロになるといわれています。もちろん観梅もできません。さきほども答弁がありましたが、このウイルスに感染してもなかなか病徴はわかりにくいし、ウメという果樹だけを見ればいまのところこの病気による大きな減収などの被害はほとんどありません。むしろ植物防疫法の命令によって木が切り倒されてでる被害の方がよっぽど大きいのです。そんな状況のなかでこの和歌山県内で病気が発生したとき、きちんと報告してもらおうと思ったら木を切ることになっても十分な損失補償がでるように前もって準備しておく必要があります。青梅市では現在、切り倒したウメの損失補償をどうするかということで農家との協議がされていると聞いておりますが、今回の条例によってウイルスが早期発見され、木が処分された場合、補償についてはどのように考えておられるのか答弁をお願いします。


《答弁》 農林水産部長
 ウメ輪紋ウイルスの感染木が処分された場合には、植物防疫法の第20条に基づき、損失が補償されます。
 その補償額については、国が定める単価表により算定した評価額について評価人の意見を聞いて、基準となる価格を決め、そのうえで処分される植物の所有者との交渉で決定されることとなっております。
 こうした不幸な事態とならないように、今議会にお願いしております県条例を活用してウメ輪紋ウイルスの未然防止、侵入防止に努めてまいる所存でございます。


《要望》高田由一 県議
 青梅市でのウメの補償額は明らかにされていませんが、一本5万円くらいかとも聞こえてきます。ただ和歌山の場合はウメの生産性ももっと高いと思うので今後、きちんと損失補償についての基準やスキームを準備しておくことを要望しておきます。


4.県道白浜空港フラワーライン線に関して
《要望》高田由一 県議
 最後に高速道路の白浜インターチェンジと白浜空港をむすぶ県道白浜空港フラワーライン線に関して2点、要望しておきます。
 一つは、これは国の工事区間なんですが、白浜インターチェンジから国道42号線までの取り付け道路であります。これはフラワーライン線と直結される道路になるのですが、この工事区間で富田小学校裏に小倉山というのがあります。この取り付け道路を通すために掘割をつくって山を大きく削り取ったためずいぶんと山が小さくなりました。実はこの小倉山というのは地元の日神社に保存されている県指定の有形民俗文化財「津波警告板」にも記載のある山で1707年の宝永の大津波のとき村人がこの山に登ってたすかったとしるされています。その警告板の教訓によって安政の大地震や昭和南海地震の際にも村人はこの小倉山に避難し人的被害は最小限にとどまったといわれています。
 地元の方は高速道路やその取り付け道路に反対しているわけではないのですが、津波警告板にも書かれている山のようすがずいぶんかわった、国の工事で山自体が小さくなったうえに、道路法面の急斜面に階段がつけられたものの管理用の作業道であり、年寄はのぼれないと訴えられています。富田小学校もこの山を避難場所にしていて、学校のすぐ裏山になるんですが、避難路がなく、いったん川沿いの道路をあるいてからさきほどの急階段を上らなくてはならないようになっています。現在、白浜町長や町議会にも住民要望がだされましたがいまだに小倉山の避難場所の代替地について地元説明会が開かれていないことも住民の不安の一因になっています。白浜町のほうで3月の津波新想定がでてから避難場所について考えてくれることになっていますが、津波警告板にもかかれている小倉山を大きく削るような道路をつくるなら、せめて工事のついでに利用しやすい避難路や避難場所を考えてくれてもよかったのではないかと思います。この部分は国の工事ですので答弁は求めませんが、今後、県とのいろいろな協議の場で高速道路と避難場所について検討を深めていただけるよう要望しておきます。
 もう一つは県道フラワーライン線が、予算や工期の関係もありいったん空港下の県道栄岩崎線に接続する形で2015年度から運用される予定です。地元の方が心配しているのはこれまでの田辺市内で起きていた白浜向けの渋滞が、こんどは道幅もせまく線形も悪いこの道路でおきたらどうなるんだろうということであります。工事完了までにまだ時間がありますからいまから研究をしていただいて蓋をあけたら大渋滞でどうしようもなくなったということのないようお願いしたいと思います。


 仁坂知事の答弁を聞く、高田由一県議(右)=3月4日、和歌山県議会
 
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2013年2月和歌山県議会 高田由一 一般質問=3月4日
2013年2月和歌山県議会 高田由一 一般質問=3月4日