2013年6月県議会 松坂英樹 一般質問 概要記録         2013年6月24日
 議会中継動画
1.骨髄移植等への支援
(1)骨髄移植をはじめとする造血幹細胞移植の状況
(2)骨髄バンク登録推進とドナーへの支援
(3)献血推進など今後の課題

2.有田地方における産科・小児科の医療体制
(1)産科の診療体制確保
(2)小児科の診療体制確保
(3)中紀の「小児リハビリ」の存続について

3.自然エネルギーの活用
(1)多様な自然エネルギーの活用
(2)農地など農山村における太陽光発電

4.米軍オスプレイ低空飛行訓練
(1)大阪府八尾空港への米軍オスプレイ
   訓練誘致発言への対応

(2)米軍低空飛行訓練の情報提供について


2013年6月和歌山県議会 松坂英樹 一般質問=6月24日《質問》松坂英樹 県議
 質問に先立ちまして、このほど文化庁の審議会において、有田川町の「あらぎ島」が、和歌山県として初となる、国の重要文化的景観に指定されました。
 有田川町・県当局・保存会など関係者のみなさんのご努力に敬意と感謝を申し上げますとともに、これを契機に、すばらしい和歌山の地域財産の保全と活用にがんばってゆけたらと考えています。今後ともお力添えをよろしくお願い申し上げます。

1.骨髄移植等への支援
 通告にもとづき一般質問をさせていただきます。まず第1の項目である骨髄移植等への支援について伺います。
 
私は約10年前に献血をした際に、骨髄バンクに登録をしておりました。この程、ドナー登録をしていた骨髄バンクの方から提供依頼があり、骨髄提供の手術をさせていただきました。私は、この骨髄提供を通じて、たいへん多くのことを学ばせていただき、考えさせられました。この機会に、「命のボランティア」と呼ばれている骨髄移植等の取り組みについて質問をさせていただきます。議場内には骨髄バンクのパンフレットを資料配付させていただいていますのでご参照下さい。
 白血病など血液の難病患者さんへの治療方法として、骨髄移植手術があります。これに加えて、末梢血からの幹細胞移植、臍帯血移植を加えた3つの治療方法を総称して「造血幹細胞移植」と呼ばれています。
 これらの治療には、HLA型と呼ばれる白血球の型の適合が必要で、その確率は、親から半分ずつ遺伝子を受け継ぐ兄弟姉妹では4分の1の確率で一致しますが、親子ではごくまれにしか一致せず、非血縁者間では数百から数万分の1以下の確率でしか一致しないのです。それゆえに、より多くのドナー登録が必要とされています。
さて、私の所にこのような封筒が骨髄バンクから送られてきましたのは昨年の暮れのことでした。「大切なおしらせです。至急開封してください」と表書きしてあります。「ひょっとして」と思いながら封を開けると、骨髄提供のコーディネートのお知らせと書いてありました。
 私と、ある患者さんのHLA型が一致し、ドナー候補の一人として選ばれたこと、詳しい検査や面接に進んでいただけるかどうか返事がほしい、協力いただくには、あなたの気持ちに加えて、健康であること、家族の理解と同意が必要なことなどが書かれていました。私は、希望する旨を記入して書類を返送しました。
 まずは「確認検査」という骨髄提供の詳しい面接説明と、健康状態の確認、改めて採血してもう一段詳しいHLA型の適合検査を行いました。この時点では通常、5人程度の複数のドナー候補が選ばれ、そのドナー候補の中から一人を選ぶことになるそうです。
 その結果、血液検査の結果が基準に対し問題がなかったという連絡が来て、そして検査から約2カ月後に、私が最終的なドナー候補に選定されたとの通知が来ました。
 これを受けて、「最終同意」と呼ばれる提供意思の最終確認へと進みました。その場には、私、家族代表、担当医師、骨髄バンクコーディネーター、そして第三者の立会人の5名で説明を受け、意思確認をします。立会人は、充分な説明と理解がされているか、自発的意思によるものかを確認するための同席です。
 骨髄提供はあくまでも自由意志によるものですから、この最終同意に署名・捺印するまでは、いつでも提供を辞退できます。しかし、このあとは、同意を撤回することはできません。
 なぜなら、患者さん側は、同意の確認後、まちがいなく移植が受けられるということを前提に、移植2週間前から手術の前処理に入ります。抗がん剤や放射線照射により、正常な細胞まで壊して免疫力のない状態にして、無菌室で移植の当日を待つことになります。この状態で移植が不可能になれば患者さんの死亡など重大な事態になるからです。
 私は家族とともに、もう一度、一から骨髄提供についての説明、手術の方法や安全性、リスクについても丁寧な説明を受けました。
 やはり家族は、私の体を心配しました。手術の方法など、色々な質問に対し、バンクのコーディネーターさんや担当医師が丁寧に答えてくれて不安は解消しました。家族も納得の上で同意書に署名・捺印をしました。私の体験では、たいへん丁寧に、ドナーの安全や意思を第一にすすめていただいたと感じました。
 骨髄提供の手術日は、この最終同意の約2ヶ月後となりました。私の場合、入院は4日間でした。採取前日に入院して、最終的な検査や診察をします。そして迎えた手術日、全身麻酔の手術ですからそれなりの準備をして臨みます。手術時間は約2時間程度でした。骨髄をどこから、どんなに取るかといいますと、この腸骨と呼ばれる腰の骨に、ベルトのあたりから、ボールペンぐらいの太さの針をさして、骨の中にある骨髄液を吸い出します。骨に刺した一か所の穴から深いところ、中ほど、浅いところと3か所それぞれ数ミリリットルぐらい、合計15ミリリットルぐらい採取します。これを左右で合計約60ヶ所行い、1リットルの骨髄液を取りました。腰にできる針の傷は、わずか左右一か所ずつで、そこから角度を変え位置を変えて、30ヶ所ずつ採取したのです。
 骨髄採取後には、事前にとっておいた自分の血液を600ミリリットル戻します。これで私の体にとっては差し引き400ミリリットルの血液採取の負担ということになります。
 麻酔もさめ、人工呼吸器もはずれた状態で病室に戻り、お昼過ぎには尿カテーテルもはずれました。骨髄採取した骨や針を刺した傷の痛みはそれほどでもなく、尿カテーテルの痛みの方が大変だったぐらいです。手術後2日目には退院、合計4日間の入院でした。
 腰には、頭をぶつけた時のタンコブのようなふくらみができましたが、この腰の痛みもふくらみも、一週間ほどで気にならないようになり、2週間後の術後検診では血液の数値は問題なしとされ、ドナーとしての役目は完了しました。
 この骨髄提供にあたっては、患者さんとドナーのプライバシー保護と、公正さ確保のため、お互いの住所も氏名も知らされません。患者さんが特定されるのを防ぐため、骨髄提供手術の日時・場所も、某日・某所にて、ということにさせていただきます。
 しかし、骨髄バンクからは、患者さんは海外の患者さんであること、10代の男の子であることだけは知らされました。日本とアメリカ・韓国の3カ国が骨髄バンクの相互登録で提供をしているのだそうです。私が提供した骨髄は、その日のうちに男の子の待つ病院へと空港から送られたそうです。私自身、3人の男の子をもつ父親としても、その患者さんの手術が無事成功して、どうか元気に回復してほしいと、心から願っております。
 今回の骨髄提供を通じて、一人の患者さんの命を救おうとする、医療機関の方々、骨髄バンクのコーディネーターさんらの想い、また骨髄移植により回復した元患者の方の体験など、お話を伺うことができました。和歌山県のバンク登録がここまで進んだのも、患者さんの家族会のみなさんの登録活動ボランティアの力によるものが大きいと聞きました。
 造血幹細胞移植のための法整備も昨年におこなわれ、国、地方公共団体、造血幹細胞提供関係事業者、医療関係者などの関係者が、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図るために、相互に連携を図りながら協力をしてゆくことになります。
 そこで、この骨髄移植等への支援を求めて、以下3点にわたって質問をさせていただきます。

(1)骨髄移植をはじめとする造血幹細胞移植の状況
 1点目は骨髄移植をはじめとする造血幹細胞移植の状況についてです。ドナーからの移植を待つ患者さんは全国で毎年2000人ほどいると言われていますが、和歌山県における、骨髄移植をはじめとする造血幹細胞移植の状況はどうなっていますか。骨髄バンクの登録者数は充分といえる状況でしょうか。また骨髄提供や移植手術の可能な医療施設の整備は進んでいるのでしょうか。


《答弁》 福祉保健部長
 骨髄移植をはじめとする造血幹細胞移植の状況についてですが、現在までに県内で106例の非血縁者間の移植が実施されています。
 しかしながら、今なお、県内において11名の方が適合するドナーを待ち望んでいる状況です。
 一方、県内のドナー登録者数は、平成25年5月末現在、3,915名であり、登録対象年齢人口千人あたりの登録者数は、9.1人で全国平均の7.19人を上まわり、全国第12位の状況となっていますが、一人でも多くの方を救うため、引き続き登録者の確保を図る必要があります。
 また、非血縁者間の造血幹細胞移植を受けることができる県内の医療機関は、県立医科大学附属病院、日本赤十字社和歌山医療センターの2施設となっています。


(2)骨髄バンク登録推進とドナーへの支援
《質問》松坂英樹 県議
 2点目は、骨髄バンク登録推進とドナーへの支援についてです。
 骨髄提供にあたり、骨髄バンク登録者の率が近畿の中では京都に次いで高いという話を聞きました。調べてみますと、資料Aの左の表のようになっています。登録のはじまったばかりのころは近畿で最低だったということですから、ここまで登録推進をすすめていただいた、関係者のみなさんのご努力に敬意を表したいと思います。今後は、ドナー登録を一層推進するためにどのような手立てを考えているのでしょうか。
 また、ドナーを体験して感じたのは、移植手術のために4日間の休暇を取ることの困難さでした。関係者のお話では、せっかくHLA型が適合しても、休暇がとれないなどの条件的な理由で提供にいたらないケースも少なくないとのことです。
 ドナー候補者が職場等で理解を得て仕事が休めるよう、県民への周知を広げるとともに、公務員をはじめ県内の企業で休暇制度の導入をはかるなど、ドナーへの支援を積極的にすすめてゆくべきだと考えますがいかがでしょうか。


《答弁》 福祉保健部長
 骨髄バンク登録推進とドナーへの支援についてですが、県では、登録機会の拡大を図るため、平成17年度から献血時に併せて登録会を実施しており、昨年度は42回実施し、341名の方が登録されています。
 また、ドナーとして骨髄提供を行う際には、数日間の入院が必要となることから、職場の理解が不可欠となります。
 県及び県内のすべての市町村においては、骨髄提供時の休暇制度が導入されていますが、民間企業等では、一部にとどまっている状況です。
 県といたしましては、今後ともドナー登録の機会拡大や普及啓発を図るとともに休暇制度の導入について、関係部局と協議しながら県内企業等に働きかけてまいります。


(3)献血推進など今後の課題
《質問》松坂英樹 県議
 3点目は献血推進など今後の課題についてです。全国的にも10代20代の献血協力率が低くて、このままでは近い将来血液不足をまねくと言われています。
 お配りしている資料Aは、年齢世代別の献血率の全国データです。和歌山の順位はかなりいいのですが、20代の落ち込みが顕著に見て取ります。分母の数が、住民票を残して学生など外に住んでいる県民が多いという統計上のハンディがあるわけですが、それをいうなら、秋田県などは同じようなハンディをかかえる若者流出の多い県ですが、若い世代の献血率がすごくいいわけです。こういった先進県に学びながら、うんと底上げを図ってゆく必要があると思います。
 「身近なボランティア」「命のボランティア」として、献血のすそ野を広げてゆくこと、特に若い世代での献血者の確保が、輸血用血液の安定供給とともに造血幹細胞移植への理解と協力を広げる上でも不可欠の課題だと考えます。献血推進や献血者確保など、今後の課題についてどう考えているのか。以上3点、福祉保健部長よりご答弁を願います。


《答弁》 福祉保健部長
 献血推進など今後の課題についてですが、本県の平成24年の献血可能人口あたりの献血率は6.8%で、全国平均6.0%を上まわり、全国第5位となっています。
 しかしながら、議員ご指摘のとおり、高齢化が進む中、将来にわたり献血して頂ける方を確保する必要があるため、高校生を始めとする若年層に対する献血意識の普及啓発や献血の実施に重点を置き、取り組みを進めているところです。
 今後とも、関係団体や市町村、ボランティアの方々と連携しながら、献血への協力を高等学校、民間企業、各種団体等に対し積極的に働きかけてまいります。


《要望》松坂英樹 県議
 ご答弁をいただきました。骨髄バンクへの登録率、献血率ともに和歌山県はよくがんばっていると言えると思います。
 骨髄バンク登録では、全国的な目標としても30万人を達成、40万人を達成と、順調に伸びてはいるものの、部長の答弁にありましたように、和歌山県内でも現在11人の患者さんがいる、型が合う人がまだ現れずに待っている、こういう状態ですから、分母を増やすことが、適合する確率を引き上げてゆく保障となるわけです。
 献血と並行した登録会、ぜひすすめていってほしいと思います。
 また、この骨髄提供も献血も、まさにボランティアですから、無理強いをしたり、親切の押し売りをしては趣旨に反します。これらのことについて考える機会を数多くもうける、ひとえに普及啓発と働きかけにかかっていると思いますから、今後とも、和歌山県民はけっこう頑張っているよというのを大いに宣伝しながら、しっかりとお取組みいただくよう要望をしておきます。


2.有田地方における産科・小児科の医療体制
(1)産科の診療体制確保
《質問》松坂英樹 県議
 2つ目の質問項目、有田地方における産科・小児科の医療体制に関連して3点お伺いします。まず産科の診療体制確保についてです。
 このほど、有田市立病院の産科窓口に張り紙が出されました。その内容は、「平成25年9月以降の新規出産(分娩)の取扱はいたしかねますので、ご了承のほど、よろしくお願いします」と書いているのです。また同じお知らせが、病院ホームページにも掲載されたことから、有田地方の住民の中から「市立病院でお産ができなくなる」と、不安の声が急速に広がっています。
 有田1市3町の医療圏において、産科診療は、公的病院では有田市立病院だけです。一方民間では、産婦人科クリニックがわずか1ヶ所あるだけであり、このまま有田市立病院の産科がストップしてしまえば、有田に産科が一つだけ、産科医師が一人だけとなってしまいます。
 現在、有田地方の出生数は約550人ほどですが、このままでは、有田地方で安心して出産・子育てができない、里帰り出産もできないなど、たいへんな状況になると、私は危機感をもっています。
 子育て環境ナンバーワンをめざす和歌山県として、この有田医療圏の危機的状況を打開するために、医大に医師派遣の要請をするなど積極的に尽力すべきだと考えますが、この状況をどう把握・認識し、どう対応をされようとしているのか、ご答弁を願います。


《答弁》 福祉保健部長
 産科・小児科の医療体制の確保についてですが、有田地方における産科の医療体制は、有田市立病院と近隣の診療所で対応しており、総合周産期母子医療センターである県立医科大学附属病院とも連携しています。


(2)小児科の診療体制確保
《質問》松坂英樹 県議
 次に、小児科の診療体制確保について伺います。産科の問題と前後して、有田市立病院の小児科の診療体制が、常勤医師と医大からの非常勤派遣1名の二人体制だったものが、常勤医師の退職により、4月から月曜日と木曜日が休診となっています。この診療体制の穴を埋めるようになかなかなっていないというんですね。
 この有田医療圏での小児科診療体制は経過のある問題です。以前、有田地方の公的病院には有田市民病院と湯浅町にある済生会有田病院にそれぞれ小児科があったのですが、医大から医師を2ヶ所には送れないので一つにまとめてほしいとの要請をうけ、県や関係市町村も交えた、たいへん苦しい協議の中で、産科のある有田市立病院は小児科は外せないということで、やむを得ず1病院に集約したんですね。
 まさに産科と小児科は一体不可分であることからも、この小児科の診療体制維持の面でも、県として医大からの医師派遣などを強く要請すべきだと考えますがいかがでしょうか。


《答弁》 福祉保健部長
 小児科の医療体制は、有田市立病院と近隣の診療所との連携や和歌山北部小児救急医療ネットワークなどにより維持されていると認識しております。
 これらの医療体制を堅持することは、県を含む地方公共団体の責務と考えており、県においては、県立医科大学の40名の定員増をはじめ、特に、産科、小児科を目指す研修医を対象とした修学資金制度を設けることにより、医師の確保を図り、医療体制の堅持に努めているところです。
 有田市立病院に不安の声も寄せられていることから、関係機関から情報収集を積極的に行い、引き続き、青洲医師ネット等による医師募集、県立医科大学や近隣の保健医療圏との連携を図りながら、住民の方々が安心できる診療体制の確保に取り組んでまいります。


(3)中紀の「小児リハビリ」の存続について
《質問》松坂英樹 県議
 3点目に、有田・日高の中紀地方の「小児リハビリ」の存続について伺います。
 湯浅町リハビリテーションセンターで実施されていた「小児リハビリ」が、同施設の廃止により存続の危機を迎えています。ここには、現在有田地方1市3町で約40名、日高地方からも約10名の子どもたちが通院治療をしているといいます。
 先天性の障がいのある子どもたちのリハビリは、その子の一生を左右するほどの意味を持つ大事な治療であり、適切な時期に、伸びしろをがんばって伸ばしておく、可動域を広げておくことが、その先一生の運動能力を左右するんですね。このままでは、遠く和歌山市や岩出市等まで通わなければなりません。保育所や学校の前後に週1回、週2回と定期的に通うことができ、相談・交流のできる「小児リハビリ」は有田・日高地方において大きな役割を果たしてきました。
 保護者の皆さんから有田管内の市町村や県振興局に存続を求める要望が出されています。県としても、市町村と十分に連携をとりながら、中紀の小児リハビリ存続のために力を尽くすべきだと考えますがいかがでしょうか。以上3点、福祉保健部長よりご答弁をお願いします。


《答弁》 福祉保健部長
 中紀の「小児リハビリ」の存続についてですが、湯浅町リハビリテーションセンターは、昭和60年に湯浅町が開設し、これまで地域に根ざした医療機関として重要な役割を果たしてきたものと理解しております。
 県としては、利用者が地域で継続して支援を受けられる体制を確保することは、非常に重要であると考えております。
 現在、県、地元市町や関係機関が協議を重ねているところであり、中紀地方における小児リハビリの体制確保ができるよう、この協議の中でできるだけ早期に結論を出してまいります。


《要望》松坂英樹 県議
 部長からは、県立医大などと連携とりながら、安心できる診療体制の確保にがんばる、小児リハビリでも関係機関との協議を早期にまとめたいとの決意が語られました。
 医大で定員枠を増やしてがんばっている医師確保策の効果が実際に出てくるまでもう少しかかるわけで、なんとかそこまで協力しあいながら医療体制を守ってゆく、そしてこの産科・小児科や、小児リハビリなど、地域医療をささえる後継者を育ててゆくという点で、県が果たすべき役割は大きいと思います。
 先日、有田川町議会からも県と関係機関に、産婦人科体制充実を求める意見書が出されています。今日取り上げました、3点の課題、にぎってはなさずに、ご尽力いただけますよう、強く要望をしておきたいと思います。


3.自然エネルギーの活用
(1)多様な自然エネルギーの活用
《質問》松坂英樹 県議
 3つ目の項目である、自然エネルギーの活用について質問をさせていただきます。
 化石燃料や原発から、自然エネルギーへのシフトは世界的にも焦眉の課題となっています。日本もようやく電力の買取補償制度である、固定価格買取制度を発足させたことにより、自然エネルギー開発と活用にはずみがつきはじめました。しかし、この自然エネルギーの本格的普及へ舵を切るのか、それとも原発再稼働と推進へもどるのかは、国政の大きな争点ともなっていて、国民的大論議が求められる問題です。
 和歌山県内の電力消費は最大で124万kW(2011年)、現在の発電能力は海南・御坊火力発電所や河川のダム発電など397万kWとなっています。その一方で自然エネルギーの潜在能力は、環境省が試算推計したものだけでも、太陽光発電で123万kW、風力発電295万kWあり、さらに潮力、地熱などの可能性もあります。また燃料として木質パウダーやチップなどバイオマスエネルギーも大きな可能性をもっています。和歌山県の消費エネルギーや電力の自給というのは、決して不可能ではない現実的な未来の話なのです。
 この電力買取補償制度の最大の眼目は、メガソーラーや大型風力発電のためというよりも、個人や地域住民が自然エネルギーの地産地消に取り組むことを支える、このことにあると考えます。
 和歌山県の恵まれた自然エネルギーや未利用エネルギーをしっかり活用すれば、過疎と高齢化の進む地域にも、エネルギー生産の現場として、副収入も雇用も期待できると考えます。
 自然エネルギーの地域主導型普及がすすむヨーロッパをみると、農村が食料と同時にエネルギーの生産地として新たな発展をとげつつあります。発電等による利益が、企業ではなく地域に還元され、農山村地域の活性化につながっています。農山村の中に風力や太陽光の発電施設を自分たちが設置し、そこで農作物の生産も続けている。農地として農業を続けながら、自然エネルギー生産も可能となれば、農産物生産に加えた副収入、光熱経費の削減などが期待できます。
 日本でも、ソーラーシェアリングという考え方で、耕作している農地で実際に試みをしているところが出てきました。ある稲を使った実験では、稲は年間の日照量の55%以上であったら十分に成長している。55%以上だったら100%までの成長がほとんどかわらなかったといいます。色んなデータがあるようですが、やり方によっては面積の3分の1を覆っても収穫量に大きな差は出ないということだったようです。また、日陰を好む作物では、寒冷紗でおおって栽培するよりも、風もよく入るので病気がなく、肥料も流れないなど、「メリットばかりでデメリットは一つもない」という報告もあるようです。太陽光パネルも透明や半透明のものが開発中だと聞いていますから、光のコントロールができればもっと可能性が広がるでしょう。
 農地には、様々な土地条件や作物の条件がありますから、これから色々な試行錯誤がされていく分野だと思いますが、食料生産とエネルギー生産が共存共栄できるというのは、たいへんな可能性を秘めた課題だと思います。
 以上のように、地域にとってもたいへん大きな可能性をもつ自然エネルギーの活用の問題について、知事にお尋ねします。第1点目は、多様な自然エネルギーの活用についてです。
太陽光発電や風力発電はもとより、和歌山県には、バイオマスや小水力・マイクロ水力の活用、地熱や潮力など、地域の特性や資源に合わせた、多種多様な自然エネルギーの活用がたいへん重要になってくると考えますが、どう取り組んでゆくお考えでしょうか。


《答弁》 仁坂知事
 多様な自然エネルギー、いわゆる新エネルギーの活用について、本県では、豊富な日照時間や森林資源など、本県の持つ特性を最大限活用して、木質バイオマス利用、太陽光発電、風力発電、小水力発電などの推進に積極的に取り組んでおり、平成24年度の新エネルギー発電電力量実績は、近畿全体の65%を占めております。
 木質バイオマス利用については、木質パウダーのエネルギー利用を全国で初めて実用化し、県内各地の温泉施設のボイラーで利用されております。さらに、農業用ハウスへの木質バイオマスボイラーの導入など新たな取組を進めております。また、木質チップや薪など、地域それぞれの特性に応じた木質バイオマスの利用を各地で進めているところであります。
 太陽光発電については、これまで県内の遊休地を中心に適地を調査し、情報発信するなど、誘致に取り組んでまいりました。その結果、コスモパーク加太の斜面を活用した発電所とか、あるいは売電収入を地元市民団体の支援にあてる発電所などの設置が県内各地で進んでおります。また、風力発電については、県内に56基が設置されており、総出力約7万5千KWは近畿の約6割を占めるまでに至っております。
 小水力発電については、みなべ町での農業用水を活用した発電所の設置に続き、有田川町において、ダムの維持放流水を活用した発電所の設置に向けた取組を進めております。
 さらに、海洋に面している県土の特性を利用した海流発電を検討すると共に、次世代エネルギー資源として有望な、表層型メタンハイドレートについて、漁業調査船を活用した県独自の調査など、新たなエネルギーの開発にも取り組んでおります。
 
今後とも、全方位で自然エネルギーの導入拡大に向け積極的に取り組んでまいりたいと思います。


(2)農地など農山村における太陽光発電
《質問》松坂英樹 県議
 2点目は、農地など農山村における太陽光発電についてです。
 耕作地に太陽光パネルを設置する様々な動きをうけて、国は4月に農地における太陽光発電設置の取り扱いを示した通知を出しました。棚を作って太陽光パネルを設置し、その下で農業生産を継続することなどを条件に、棚の支柱部分だけを農地から一時転用するという複雑なものであると聞いています。
 こうした通知にもとづく、農地での太陽光発電も含め、農業生産と自然エネルギー生産が共存共栄できる仕組みづくりや取り組みを、県として推し進めてゆくべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事のご答弁をお願いします。


《答弁》 仁坂知事
 農業との両立を図りながら、自然エネルギーを活用し、農山村地域の活性化を図って行くことは、大切なことだと思っております。
 本県では、農業を重要な基幹産業と位置づけ、その振興のために、農業緊急戦略アクションプログラムに基づき、優良農地碓保や担い手への農地集積等を推進しているところであります。
 自然エネルギーの活用についてはこうした施策に影響がないということを考慮する必要があります。
 議員ご指摘の営農を継続しながら上部空間を太陽光発電に利用するシステムについては、支柱部分について農地法上に一時転用許可が必要となります。この一時転用については、下部の農地での営農が適切に継続できることや農産物の生育に適した日照量が確保できるかなどの判断基準が国から示されているところでございます。
 ただ、この判断基準を具体的な作物と具体的な地形にもってきまして、それで判断をしていかないといけないわけでございます。したがって、個々の状況に即して慎重に検討していく必要があると考えています。
 大事なことは、農業に障害が出ないかということと、優良農地が虫食いみたいにならないかということでございます。技術的にどうしたらそれが図られるのか、後々、耕作放棄が続出してしまう恐れがないか、それによって農業の衰退を助長しないか、その詳細な基準といいますか考え方をしっかり検討してみようというふうに指示を出したところでございます。


《要望》松坂英樹 県議
 知事からご答弁をいただきました。県としても様々な取り組みをすすめていることに対し、関係機関のみなさんに敬意を表したいと思います。
 今回は、エネルギーの地産地消、そのためにバリエーション豊かなエネルギー活用をと訴えました。そして食料生産とエネルギー生産の共存共栄で、和歌山の地域に活力をと提案をしました。
 電力価格買取補償制度は、消費者の負担ではありますが、そのお金の流れを企業だけのものにせず、地方と地域へもどしてゆく、活力につなげてゆく、その仕掛けをどう作るかが勝負だと思います。
 自然エネルギー活用の先進県めざして、いっそうの取り組みを要望しておきます。


4.米軍オスプレイ低空飛行訓練
(1)大阪府八尾空港への米軍オスプレイ訓練誘致発言への対応
《質問》松坂英樹 県議
 最後の質問項目に移らせていただきます。米軍オスプレイ低空飛行訓練について以下2点伺います。
 第一点目は、大阪府八尾空港への米軍オスプレイ訓練誘致発言への対応についてです。
 日本維新の会の共同代表でもある橋下徹大阪市長と、同幹事長の松井一郎大阪府知事が、沖縄県の米軍普天間飛行場に配備されているオスプレイの訓練を、「大阪府八尾空港へ誘致する」と発言し、大阪府民をはじめ、国民の大きな批判を受けています。その上、先週には、松井大阪府知事が記者会見で、この訓練誘致を「関西広域連合でも検討を呼びかける」と表明しました。
 私はこれまでも、米軍低空飛行訓練やオスプレイ訓練の問題をとりあげてまいりましたが、米軍機による危険極まりない低空飛行訓練はもとより、欠陥機である米軍オスプレイによる低空飛行訓練を誘致するなどは、絶対に許すことはできません。また、このことは、沖縄の負担軽減ではなく危険な低空飛行訓練の規模拡大という結果をまねくことにしかならないことを指摘しなければなりません。
 そこで、知事にお伺いします。米軍オスプレイ低空飛行訓練の大阪府八尾空港への誘致というのは、和歌山県民の安全にもかかわる大問題であり、和歌山県知事として誘致発言の撤回を求めるべきだと考えますがいかがでしょうか。また、松井大阪府知事が検討を呼びかけるとしている、関西広域連合会議においても、和歌山県知事として誘致には反対すべきではないでしょうか。この誘致発言への対応について知事のご答弁を求めます。


《答弁》 仁坂知事
 在日米軍基地は、日本と極東の平和と安全を確保するため、軍事上の観点から、配備されているものと思います。沖縄における米軍基地も、この様な観点から配備されていると思われますので、オスプレイを一時八尾空港へ誘致したとしても、それが直ちに沖縄の基地負担軽減につながらないのではないかと私は思います。
 県内には、白浜空港へ誘致するくらいの覚悟で沖縄に対する配慮を示したらどうだ、そういう根性を見せたらどうだと言う意見もありますが、今申し上げた理由で、私は動くつもりはありませんと申し上げたこともあります。この八尾空港への誘致の問題については、私は同じような理由で、関西広域連合において、共同推進者になってほしいと提案されても同意するつもりはございません。


(2)米軍低空飛行訓練の情報提供について
《質問》松坂英樹 県議
 質問の2点目は、米軍低空飛行訓練の情報提供についてです。米軍機による低空飛行訓練は、和歌山県上空から四国にかけてのオレンジルートをはじめ、全国各地で危険な訓練を我が物顔で繰り返している大問題です。
 この傍若無人な訓練に対し、この間の国会論戦の中で、「米軍にも日本の航空法で定めるフライトプランの提出義務があるのではないか」との追及に対し、答弁では、日本の上空を飛ぶすべての米軍機の「飛行計画」を、政府が飛行の1〜2時間前には米軍からの通報を受けて事前に把握している、このことが初めて明らかにされました。
 しかし、国は「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があるなどとして、この内容については公表はしないという姿勢です。
 低空飛行訓練については、救急医療に使用されるドクターヘリへの危険性がある等のことから、地元への飛行情報の事前提供を求める声が全国で相次いでいます。
 和歌山県としても、米軍に対し低空飛行訓練に抗議し訓練を行わないよう申し入れると同時に、国に対しては、事前把握した飛行高度などの情報提供を求める考えはないのか知事にお答えいただきたいと思います。


《答弁》 仁坂知事
 米軍の低空飛行訓練でございますが、これは住民生活の安寧を脅かしているために、住民から目撃情報が寄せられる都度、国に米軍機の飛行確認と低空飛行訓練中止の申し入れを行っております。
 米軍機が飛行する場合、国に対して飛行計画の通報が行われておりまして、国は飛行高度などの情報を保有している。それは管制の観点からですが、国に情報開示を求めたとしても、個々の米軍機の行動に関する軍事事項でありまして、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあることを理由に明らかにされない状況にございます。
 低空飛行訓練の情報提供については、これまで国に、機会ある毎に求めておりますが、提供される情報はオスプレイの飛行情報の一部に限られるのが現状でございます。今後も、引き続き情報提供を求めて行きたいと思います。
 私としては、従来から申し上げておりますが、和歌山県上空を飛ばなければならないような必然性とか理由をちゃんと説明してほしいと、防衛省を通じて申し入れておりますが、まだまだ果たされておりません。


松坂英樹 県議
 ご答弁をいただきました。このオスプレイ訓練の八尾空港への誘致は、知事が答弁されたように、沖縄の負担軽減にはつながらないと思うんですね。
 沖縄の現実を見ればですね、協定違反の夜間訓練、市街地上空でのローター切り替えが頻発しています。着陸・上陸訓練のためのヘリパッド建設が強行されるなど、訓練が質量ともに拡大しています。オスプレイ配備・訓練の容認は、沖縄でも本土でも無法訓練が増える結果としかなりません。私どもは、今後とも危険な米軍オスプレイ低空飛行訓練にきっぱり反対してゆくことを申し上げて、今回の質問を終わります。


 仁坂知事の答弁を聞く、松坂英樹県議(右)=6月24日、和歌山県議会
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2013年6月和歌山県議会 松坂英樹 一般質問=6月24日