2013年6月県議会
奥村規子 一般質問 概要記録
2013年6月21日 議会中継動画
1.生活保護行政について
(1)県下の生活保護の状況について
@ 保護受給者の増加について
A 大阪の母子餓死事件が本県で起こらないように
どのような取り組みをしているか
B 昨年度の相談・申請・開始決定の件数について
(2)申請に関する状況について
@ 申請しにくい状況はないか
A 申請から決定までかかっている期間
(3)不正受給問題について
(4)保護基準の引き下げについて
(5)今後の県の生活保護行政の取り組みについて
2.風しん予防対策について
(1)感染拡大の防止のためには予防接種の対象者の拡大を
3.介護サービスの地域格差について
(1)サービス事業所の現状と問題点
(2)地域格差の解消に向けて県の役割
4.津波対策について
(1)避難場所の確保の現状と取り組み
(2)県民の不安への対策
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1.生活保護行政について
《質問》奥村規子 県議
議長のお許しを得ましたので4点について一般質問させていただきます。
1点目は生活保護行政について福祉保健部長にお尋ねいたします。
現在、国においては年収200万円以下のワーキングプアが6年連続で1000万人を超えていると言われています。こういったなかで貧困問題が深刻化し生活保護制度の利用者が増えています。また、ぎりぎりの生活をしている高齢者が多く、医療費や介護保険料・利用料の負担が大変です。この10月から3年がかりで年金が2.5%引き下げられます。もともと少ない年金に更なる引き下げで、生活を維持してゆくには限界に達しています。一方青年をはじめ働いている人も非正規や派遣労働という不安定な雇用状況と、リーマンショック以降の大企業によるリストラ合理化、収入減でたいへん苦しんでいます。
(1)県下の生活保護の状況について
@ 保護受給者の増加について
まず、県下の生活保護の状況について伺います。
県においても生活保護の受給者が増えていると思われますがその状況と増加の原因をどのように考えているかまず最初にお聞かせください。
《答弁》 福祉保健部長
生活保護受給者の状況ですが、平成25年4月現在で保護世帯は11,797世帯、保護人員は14,896人であり、平成20年4月と比較して、2,510世帯、2,789人が増加しております。
この主な要因は、低所得の高齢者世帯の預金や手持ち金の減少によるもの、厳しい社会経済情勢のなか、稼働能力のある世帯の失業等による収入の減少によるものと考えております。
《意見》奥村規子 県議
この5年間で保護世帯は約21%、保護人員は約19%増えているということですね。保護世帯が増えている要因も低所得の高齢者世帯が多いことや失業によるものと言われたと思います。
A 大阪の母子餓死事件が本県で起こらないようにどのような取り組みをしているか
《質問》奥村規子 県議
次にこういった中で非常に心配なことは命が損なわれるようなことが起こることです。先月、大阪市で母子餓死事件がおこりました。死亡時には預金残高は数十円で、電気・ガス代も滞納になっていて供給停止されていたということです。3才の息子さんに「最後にもっとおいしいもの食べさせられなくてごめんね」とメモが残されていたと報道されています。とても悲しい出来事です。残念でなりません。絶対あってはいけないことですがこのようなことが和歌山でもおこらないとは言い切れません。そこでお尋ねいたします。
県として餓死事件など起こらないようにするため、どのような取り組みをされていますか。
《答弁》 福祉保健部長
餓死などの痛ましい事件が起こらないような取組ですが、生活保護制度の周知徹底を図ることが大切であると認識しており、県のホームページで周知するとともに、実施機関において、生活保護の相談窓口に来所された方には、「保護のしおり」できめ細かい説明を行っているところです。
また、保護申請の意思が確認できた方に対しては、速やかに保護申請書を交付し、申請手続きについて助言を行うとともに、必要書類が整っていないことをもって拒否することのないよう、実施機関を指導しているところです。
《要望》奥村規子 県議
制度の周知徹底や来所された方へのきめ細かい説明をしているということですが、住所がないということや、働けるからという理由で受け付けてもらえなかった方がいらっしゃいました。
生活保護制度は最後のセーフテイネットといわれ、命にかかわることにつながるのですから、きめ細かい、丁寧な対応が求められるのは当然です。県としての指導をよろしくお願いしたいと思います。
ホームページでの周知といわれましたがその内容に驚きました。県は「困ったときはまず相談をしてほしい」とよくいわれますがそのような内容でなく、生活保護を受ける前の前提条件が目立つ内容になっています。ぜひ改善をしていただきたいと思います。
B 昨年度の相談・申請・開始決定の件数について
《質問》奥村規子 県議
それでは次に昨年度の相談件数、申請・開始決定の件数を教えてください。
《答弁》 福祉保健部長
平成24年度の県内の相談件数は、3,470件、申請件数は2,069件、保護開始件数は1,710件となっております。
《要望》奥村規子 県議
申請までいたらなかった件数は1,401件、申請したが保護決定にいたらなかった件数359件ということですね。この中には生活保護ぎりぎりの方が多いと思います。この方々のフォローも大事なことです。また、医療にかかりやすくするためにも、無料低額診療の拡充を求めます。
(2)申請に関する状況について
@ 申請しにくい状況はないか
《質問》奥村規子 県議
次に申請に関する状況についてお尋ねします。
わたしの知るところでは、保護基準以下で生活されている方がもっとたくさんいらっしゃると思います。申請しにくい状況はありませんか。先ほども申し上げましたが、県のホームページを見るとそのように感じますがいかがでしょうか。
《答弁》 福祉保健部長
生活保護の制度につきましては、県のホームページに掲載していますが、今後ともよりわかりやすく、丁寧な内容となるよう、創意工夫していきたいと考えております。
《要望》奥村規子 県議
ぜひよろしくお願いいたします。
A 申請から決定までかかっている期間
《質問》奥村規子 県議
次に申請から決定までかかっている期間についてお聞きします。
福祉事務所は申請を受けてから14日以内に、申請者に対して要否を通知しなければならない(生活保護法第24条)となっています。調査に日時を要するなど特別な場合は30日まで延長できることになっています。現状はいかがでしょうか。
《答弁》 福祉保健部長
申請から決定までの期間は、特別な事情のある場合には30日まで延長することが認められておりますが、今後とも原則である14日以内に保護決定を行うよう、実施機関に対し指導してまいります。
《要望》奥村規子 県議
14日以内に保護決定できるように指導するということですが、ぜひよろしくお願いします。
手持ちのお金がそこをついたような場合、14日も待てません。ましてや1ヶ月後に決められるというのでは当面の生活ができません。ぜひ、よろしくお願いします。
(3)不正受給問題について
《質問》奥村規子 県議
次に不正受給問題についてお聞きしておきたいと思います。
まず、県の不正受給の件数はどれくらいですか どのような内容のものですか。
《答弁》 福祉保健部長
平成24年度の不正受給は191件で、内訳は市部156件、郡部35件となっています。また、主な不正内容は、稼働収入や各種年金の無申告によるものです。
《意見》奥村規子 県議
故意に収入や預貯金などを隠し、収入を少なく申告する不正受給はゆるされませんが、多くはないと思います。
お笑いタレントの方のお母さんが生活保護を利用していた問題をきっかけに、一部マスコミが「不正受給」キャンペーンを行い、一気に生活保護バッシングが起こりました。この問題の例は「扶養」に関することであって、「不正受給」とは違う問題です。この方のような特別な高額所得者の扶養のあり方の話をクローズアップし、生活保護利用者が問題であるかのようなバッシングは異常であると思います。生活保護が権利であることを否定し新規申請を抑え、保護の打ち切りを進める「保護バッシング」はやめるべきです。一部の悪質な不正受給を口実に、扶養強要などの締め付けを強めれば、餓死や孤立しにつながりかねないということを申し上げておきたいと思います。
(4)保護基準の引き下げについて
《質問》奥村規子 県議
2月定例会で共産党の高田議員の方からも質問されたことですが、この8月から保護基準が引き下げられます。アベノミクスによる円安誘導で生活に必要な様々なものの値段が上がっています。全ての生活保護受給世帯について、生活の実態を把握する必要があると思うがどうですか。
《答弁》 福祉保健部長
受給者への影響ですが、今回の生活保護基準額の引き下げは、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に保たれているかどうかの観点で行われたため、受給者への影響は少ないものと考えますが、本年8月からの実施に伴い、今後、すべての生活保護受給世帯において、基準の引き下げによる影響を把握するよう、各実施機関を指導してまいります。
《要望》奥村規子 県議
すべての生活保護世帯において引き下げの影響を把握するよう指導するということですので、ぜひよろしくお願いいたします。
(5)今後の県の生活保護行政の取り組みについて
《質問》奥村規子 県議
最後に、今後の県の生活保護行政の取り組みについて、どのようにお考えかお聞きします。
《答弁》 福祉保健部長
生活保護制度は、最後のセーフティネットであり、支援を必要とする方には最低限度の生活を保障する重要な制度であると認識しております。
県としましては、必要な支援が決して漏れることのないよう、引き続き実施機関を指導してまいります。
また、保護世帯の自立を助長するため、各振興局に就労支援員の配置を行い、ハローワークとの連携による就労支援を実施しているところですが、今年度はさらに社会福祉法人の協力を得て、生活保護受給者の方にボランティア活動の場を提供することで、社会とのつながりや就労意欲の向上を目指した事業を実施してまいります。
《要望》奥村規子 県議
必要な支援が決して漏れることのないよう実施機関に指導すると心強い答弁をいただきました。どうか、生活保護基準以下の生活をされている方への丁寧な対応を、よろしくお願いします。
最後に、きめ細かい生活保護行政を進める上で職員の体制も大切です。ケースワーカーの配置が不足している実施機関もあると聞きますので、体制の改善を求めるものです。
また、生活保護制度の普及に努めていただけますようお願いして、生活保護行政についての質問を終わります。
2.風しん予防対策について
(1)感染拡大の防止のためには予防接種の対象者の拡大を
《質問》奥村規子 県議
風疹の予防対策について福祉保健部長にお尋ねします。
風疹が大流行しています。6月9日、全国1万102人、和歌山県は6月20日時点で181人の風疹に罹患していると聞いています。いち早く県として、風疹ワクチン接種緊急助成事業に取り組まれたことを評価するものです。
さらに、妊婦への感染防止の効果をあげるためにも、同居家族も助成の対象とすべきだと思います。
国立感染研究所から2004年8月に、風しん流行及び先天性風しん症候群の発生抑制に関して妊婦の夫およびその他の同居家族への予防接種の勧奨が提案されています。
妊娠初期の危険な時期は外出を控えるなど、妊婦自身が気をつけることが大事ですが、同居家族についてはなかなかそうはいかないと思います。
同居家族が助成の対象になっていないのはどうしてですか。お答えください。
《答弁》 福祉保健部長
風しんワクチン接種緊急助成事業につきましては、子育て支援の観点から妊婦が風しんに罹患し子どもが障がいをもって生まれるリスクをゼロに近づける事を主な目的としております。
各市町村にも県と同額程度の上乗せ助成を依頼したところ、全市町村で個人負担なしに接種することができる見込みとなっており、全国で最も手厚い助成となっております。
助成対象は、子育て支援対策として妊娠を希望する女性と、妊婦は接種できないため、最も濃厚接触すると考えられる夫を対象といたしました。
なお、定期予防接種の機会がなかった世代を含む年齢層への対応については、国の責任において定期予防接種の対策を実施するよう、国に対し提案しております。
《要望》奥村規子 県議
ワクチン事業は国の責任においてするものです。風疹の大流行を抑えるためには各自治体任せではなく国全体で感染をくいとめる必要があります。
国の姿勢が問われます。さらに、強く国への働きかけを求めます。
3.介護サービスの地域格差について
(1)サービス事業所の現状と問題点
《質問》奥村規子 県議
介護サービスの地域格差について福祉保健部長にお尋ねいたします。
サービス事業所の現状と問題点についてです。
介護保険法が制定され15年余がすぎました。あらためて、この法律の目的第1条と、 国及び地方公共団体の責務第5条にそって考えてみると、県下の各地域においてサービスの格差が生じていることは大変問題です。保険料の負担は同様にありながら、住むところによってサービスを受けられない不公平な状態になっていますが、現状をどのように捉えていますか。
(2)地域格差の解消に向けて県の役割
介護保険法の目的第1条と、国及び地方公共団体の責務5条からみて、地域格差の解消に向けて県の役割をどのように考えていますか。
《答弁》 福祉保健部長
介護サービスの地域格差について一括してお答えいたします。
サービスの種類によって状況は異なりますが、全般的に都市部にサービスが集中し、山間地域には少ないという地域間の格差があります。
具体的には、訪問介護及び適所介護サービス事業所は、県内のすべての市町村にありますが、訪問看護、訪問リハビリ等については、事業所がない町村もあります。
介護報酬においては、サービス確保の観点から、いわゆる中山間地域等にある小規模事業所が介護サービスを提供する場合等には加算措置が設けられております。また、人員基準等の要件の一部を満たしていない事業所であっても、市町村の判断により保険給付の対象になる制度もあります。
県といたしましては、これらの制度の周知に努めることはもとより、高齢者の方が必要な介護サービスを受けられるよう、市町村と連携して、地域密着型サービスとの併設や新たな参入等について、民間の介護サービス事業所や市町村社会福祉協議会などに働きかけてまいります。
また、国に対しても、高齢者の方ができるだけ住み慣れた地域で生活を続けていけるよう地域包括ケアの推進等に必要な支援を要望してまいりたいと考えております。
《要望》奥村規子 県議
民間の介護サービス事業所や市町村社会福祉協議会に働きかけていくということですが、国や県の責任で公的な機関がサービスをするなど、考えていただきたいと思います。
4.津波対策について
(1)避難場所の確保の現状と取り組み
《質問》奥村規子 県議
津波対策について危機管理監にお尋ねいたします。
私のところに一通のはがきが届きました。内容は「津波がくると、高い建物が一つもなく困っている」というものです。
現在、避難場所の確保の現状と取り組みはどのようになっていますか。
《答弁》 危機管理監
津波から命を守るためには、とにかく逃げることが第一であり、そのための避難場所の確保は津波対策としては最も重要であると考えております。避難場所や避難路の整備については、「和歌山防災力パワーアップ補助金」で市町村に財政支援を実施し、今年度、3億円の予算となっており、避難ビルの指定についても、積極的に行うよう助言をしているところです。
また、避難場所については、県が安全レベルの考え方を示し、市町が個々の津波安全レベルを確認し指定をしております。これらを、スマートフォンのアプリ等で住民や観光客など多くの方々が避難場所を容易に確認できるようにいたしております。
(2)県民の不安への対策
《質問》奥村規子 県議
南海トラフの津波想定が発表されましたが、不安を感じていらっしゃる方も多いと思います。不安の中身もさまざまですが、一人ひとりが適切に逃げるという行為が出来るかどうかが最も重要であると考えます。
県民への不安の解消にどのような取り組みが県として大事だとお考えですか。
《答弁》 危機管理監
内閣府から「南海トラフ巨大地震」の津波浸水想定が公表され、その内容がこれまでの想定を大きく上回るため、不安を感じている県民の方々も多くおられると思われますが、この地震の発生頻度は極めて低く、次に発生する地震・津波として予測されたものではありません。
また、文部科学省の地震調査研究推進本部の「南海トラフの地震活動の長期評価」でも、このような最大クラスの地震については、過去数千年間に発生したことを示す記録はこれまでのところ見つかっておらず、その発生頻度は100〜200年間隔で繰り返し起きている地震に比べ、著しく低いと考えられるとされています。
なお、今年度、沿岸市町においては、安全レベルを明記した津波緊急避難先のわかるハザードマップを作成し、住民の方々に配布することとなっておりますので、県民の皆様におかれましては、日頃から避難先を確認したり、避難訓練などに積極的に参加するとともに、家屋の耐震化や家具固定を行うことで、過度に恐れることなく、災害に備えていただきたいと考えております。
《要望》奥村規子 県議
今年度、市や町が津波ハザードマップを作成し配っていただくことにより、津波で浸水する範囲と近くの緊急避難先が一目でわかるようになることですが、地域によっては、 すぐ近くに避難場所がないこともあるかと思います。
今後も市町村が避難路の整備や津波避難ビルの指定を進めていくにあたり、県としても積極的にこれを支援していただきますよう要望しておきます。
最後に、障害があるなど援護が必要な方も安心してすごせるためにも地域力が必要です。しっかりと地域への支援をよろしくお願いして、一般質問を終わります。