2013年6月県議会
高田由一 一般質問 概要記録
2013年6月20日 議会中継動画

1.介護保険制度の見直しにあたって
(1)軽度者はずしについて

2.旅館・ホテルなどの耐震改修
(1)これまでの取り組み
(2)耐震診断義務化の要件
(3)診断結果の報告期限
(4)新しい補助制度の内容
(5)県の補助制度制定を

3.商店街の街路灯改修への支援
(1)補助事業の推進
(2)県と市町の支援を

4.ウメ輪紋ウイルス対策
(1)発生状況
(2)封じ込めの可能性
(3)今後の対策と補償

5.熊野古道・大辺路へのトイレ整備
(1)整備予定と新設への取り組み

6.国道311号の安全対策
(1)雨天時のスリップ対策

1.介護保険制度の見直しにあたって
(1)軽度者はずしについて
《質問》高田由一 県議
 まず最初に介護保険制度についてうかがいます。
 いま政府の財政制度等審議会では、医療費の70〜74歳の窓口負担を2倍に引き上げるとか、かぜ薬・しっぷ薬などを保険から外す、年金は支給開始年齢を68〜70歳に先延ばしする、介護保険ではサービスの保険適用を「要介護3」以上の重度者に限定するなどの改悪が、「検討課題」にあげられています。
 社会保障制度改革国民会議の議論でも要支援1、2の方への給付を介護保険の対象から除外することも検討するという議論がでています。これまでは少なくとも消費税増税を決めるにあたり、社会保障については看板だけは「充実」がかかげられていました。しかし、安倍内閣ではもう増税は決まっているとばかりに、手当たり次第に給付を削るだけの「社会保障改革」が議論されている状況です。
 このたびの和歌山県の政府提案・要望にもあるように介護保険料は現在月平均5,501円のものが、このままでいけば5年後の平成30年には月8,600円にもなるという試算がでています。だからといって介護給付そのものを削ることは介護保険制度そのものへの信頼性をなくすことになると私は思います。介護保険は介護の社会化というのがうたい文句だったのであり、それに見合った長期の見通しのもとに制度設計がされてきたはずです。いまになって給付額が増加していることをさも予想外のように宣伝していますが、そんなことはもともとわかっていたことであります。いったん作った土俵を、ときの政府の都合で変えようというのは制度の信頼をそこないます。ちまたの声では「介護が使いたいときがきても自己負担も高いし、充分、使えんのやったら、もう保険料を取らんといてほしい」と言われることもあります。これが率直な声です。
 ですから保険料については県の提案・要望にあるように国の負担を上げることこそ求められています。このことについては私たち日本共産党が介護保険の政策に掲げている点と一致しています。
 そのなかで要支援1、2などの軽度者を介護保険からはずすという動きですが、その理由を見ると「過剰なサービスが自立をさまたげている」とか、「自己負担が1割だけだからモラルハザードがおきている」、あるいは「訪問介護については生活援助サービスが大半をしめ中でも掃除がその半分以上を占めている」などです。利用者は簡単なことでさえヘルパーにさせて、安易に介護保険を利用しているとでもいうのでしょうか。専門家からはヘルパーはただ単に洗濯をしたり家事援助をしているのではない、利用者の残存能力を見極めて本人ができるところはやってもらい、生活意欲を引き出すことが重要との意見も出されています。単なる家事手伝いとは根本的にちがうのです。私は軽度の方への支援こそ重度化を防ぎ、ひいては保険財政をも助けることになると思います。
 そこで質問ですが、介護保険のうち要支援などの軽度者を保険からはずすような動きについて知事の見解をうかがいたいと思います。


《答弁》 仁坂知事
 介護保険制度については、介護を必要とする高齢者の増加が見込まれる中、国の責任において、制度を将来にわたり持続可能なものとすべきであると思います。
 国においては、昨年、社会保障制度改革推進法が制定され、社会保障の機能の充実と給付の重点化・効率化を行い、負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現する、という基本的な考え方が定められたところであります。
 しかし、給付の重点化・効率化を進める中で、介護保険の軽度者向けサービスが見直されたとしても、今まで利用していた人がサービスを利用できなくなるようなことは困るわけでありますし、また、介護保険事業に係る受け皿整備の負担を財政力の弱い地方に押しつけないような制度を構築すべきであるというふうに思います。


2.旅館・ホテルなどの耐震改修
《質問》高田由一 県議
 つぎに旅館・ホテルなどの耐震改修についてうかがいます。
 このたび耐震改修促進法が改正され、学校や病院、劇場、百貨店、老人ホームや旅館・ホテルなどで一定規模以上のものは特定建築物ということで耐震診断が義務化されました。しかも法律ではそれを今後3年以内に実施せよという内容になっており、その後、耐震診断結果の公表をするようになっています。
 これに対して旅館業界からは「地域資本である老舗旅館への廃業宣言」だとの批判もでています。関係者も、もちろん旅館などを耐震化することに反対しているのではありません。しかし県も政府要望で出しているように診断未実施の施設を公表するとか急に言われても混乱するばかりです。数百万円と言われる耐震診断費用や、少なくとも数千万円から数億円かかると言われる耐震改修の費用の見通しもないままに法改正だけが先行されたことを憂慮する声があがるのも当然のことであります。全国では約600軒の旅館・ホテルが対象になるといわれています。私の地元白浜町内でも10軒くらいが対象になると思います。そこでいくつか質問をさせていただきます。


(1)これまでの取り組み
 最初に、今回の法改正以前も特定建築物については耐震診断の努力義務があり、それに基づいて行政は指導および助言や指示ができることになっていますが、これまで県としてどのような取り組みをしたのか。答弁をお願いします。


《答弁》 県土整備部長
 耐震改修促進法に基づき、県では平成19年に耐震化促進計画を策定し、特定建築物の耐震化の目標等を定めた上で、県政おはなし講座や耐震説明会の実施、所有者及び事業者向けパンフレットの作成、配布を行うことで、耐震化を推進しております。
 また、建築基準法により不特定多数の方が利用する建築物に対して定期報告が義務付けられており、平成19年からは報告のあった建築物のうち、耐震診断又は耐震改修の未実施の所有者に対して、文書指導を行っております。


《意見》高田由一 県議
 いまの答弁をうかがいますと、これまではそんなにやいやい言わずに、たまに文書で指導していたという程度だったと思います。それがいきなり耐震義務化ですからいきなりハードルがあがったという感じです。


(2)耐震診断義務化の要件
《質問》高田由一県議
 次に、新しく義務化の対象となる軒数は県内でどれくらいあるかと聞こうと思ったのですが、昨日の答弁で県全体で60棟、うち旅館やホテルが30棟ということでしたのでその部分は省略させていただきます。それで質問としては今回、法改正によって新たに耐震診断が義務化される建築物の要件は何かということを答弁ねがいます。


《答弁》 県土整備部長
 今回の法改正により耐震診断が義務化される建築物は、三種類に分類することができます。一つ目はホテル・旅館、病院、店舗等の不特定多数の方が利用する建築物等のうち大規模なもの、二つ目は地方公共団体が指定する緊急輸送路等の避難路沿道建築物、三つ目は県が指定する庁舎、避難所等の防災拠点建築物となっております。
 なお、対象となる建築物の要件や規模等については、今後、政令及び省令で示されることになります。


(3)診断結果の報告期限
《質問》高田由一 県議
 いまお答えのなかに緊急輸送道路等の避難路沿道建築物についても耐震診断の義務化が求められているということでした。これについては県のほうでその報告期限を指定することになっていますが、和歌山県としての期限はいつごろを考えておられますか。


《答弁》 県土整備部長
 緊急輸送道路等の避難路については、その沿道建築物の耐震診断を義務化する路線と、従来どおり努力義務にとどめる路線を定める必要がございます。今後、早期に路線の選定作業に着手し、診断結果の報告期限についても関係市町村や関係部局と協議を行い、適切な期限を検討してまいります。


《要望》高田由一 県議
 指定された避難路沿いでは大規模な建築物以外も耐震診断義務化の対象になるので今後、県民の意見も聞きながらしっかり議論をしていただきたい。


(4)新しい補助制度の内容
《質問》高田由一 県議
 次に補助制度についてうかがいます。国の方も今回の制度改正にあわせて、あらたな補助制度を作ったようですが、その内容をお答えください。また、その補助制度は今後も継続されていくのでしょうか。見通しはどうなのか答弁をお願いします。


《答弁》 県土整備部長
 今回の法改正に伴い、新たに創設された耐震対策緊急促進事業は、建築物の耐震診断や耐震改修を実施する民間事業者に対して、国が直接補助するものと、地方公共団体に補助制度がある場合には、さらに国費を上乗せする補助制度の2種類がございます。
 新たな事業の実施期間については、国に対し、延長を強く要望しておりますが、現状では、平成27年度までの事業となっておりますので、事業者の皆様方には、出来る限り、早期の耐震化に取り組んでいただけるよう働きかけてまいります。
 また、議員におかれましても、この事業の周知について、地元白浜町の関係者の皆様に対して、働きかけをお願いいたします。


《要望》高田由一 県議
 補助がなくなれば改修は自前ということになるので継続を要望されたい。


(5)県の補助制度制定を
《質問》高田由一 県議
 最後に、いま答弁がありました国の補助制度ですが、地方自治体が同時に補助するか否かで補助率に大きなちがいがあります。(表)
 私は県としての補助を考えるべきだと思いますが、その際、かなり大きな金額の補助になるのはまちがいありません。県民の税金から補助を出して業として民間が営んでいる施設が立派になる訳ですから、やはりそれに見合った公共的な責任、たとえば地域防災の拠点になるとか避難所に指定するとか、街づくりの核となるとか、そうした公共性を持ってもらうこととセットでないと補助への理解が得られにくいと思います。県の補助についての知事の考えをおしめしください。


《答弁》 仁坂知事
 昨日、冨安議員にお答え申し上げましたとおり、今回の法律改正は、古くからの観光立県である和歌山県にとって、耐震基準を満たさないホテルとか旅館も数多くあるため、非常に影響の大きい内容であると認識しております。
 そのため、地域経済に多大な影響があるホテル・旅館などについては、国に対して、診断結果の公表時期とか方法の柔軟な対応、国の補助制度の期間延長などの要望を行いました。
 すなわち、対策も進んでいない時期に、診断結果のみを公表してしまうのはどうかと。それから、経営も大変苦しいので、事業者負担の軽減を図ってほしいというような内容であります。
 その結果、国土交通大臣からは、公表の方法や時期については、地方の判断を尊重する。それから、また国も助けるから県も助けてやってほしいという意見をいただきました。
 今後は、ホテル・旅館などの施設の所有者からいただいた様々な意見も踏まえ、議員のご提案も踏まえ、国の制度を活用しつつ、県としても積極的に支援していきたいと思っております。


《要望》高田由一 県議
 実際に改修する場合の問題はこれからいろいろでてきます。相当期間、営業できなくなるとか、学校みたいに×の字の鉄骨をいれるわけにもいかないから耐震工法も割高になるとかあると思います。こうした問題について業界のみなさんと意見交換しながら取り組んでいただきたいと思います。


3.商店街の街路灯改修への支援
《質問》高田由一 県議
 つぎに商店街の街路灯改修への支援についてうかがいます。
 県内各地で商店街が整備してきた街路灯が老朽化している問題があります。
 白浜町内の状況で言いますと、温泉街の方では10の商店街がありそれぞれ街路灯が整備されています。潮風がよくあたりますから老朽化がすすんでいるところもあります。商店街の街路灯は地域では防犯灯の役割や夜の観光地の景観づくりという点でも、また最近ではバッテリーのバックアップをつけて災害対応型のものを設置しているところもあります。このように半ば公共的な役割を担っている街路灯が、その維持管理や修繕という点では個々の商店街まかせになっています。かつての景気のいいときであればその負担もできたでしょう。しかし、いまはちがいます。また、南海地震等が心配されるなかで防災面での役割も期待されています。
 県内では、国の24年度補正で緊急経済対策として盛り込まれた「商店街まちづくり事業」の補助金を使って整備した商店街もありますが、補助金は今年度限りということです。ほかに商店街に対するこうした使い勝手のよいハード事業は少なく、これでは申請に間に合わないところは修繕がむずかしくなります。そこでうかがいます。

(1)補助事業の推進
 期限の限られた国の補助事業をしっかり周知して県内でも市町と連携して活用できるようしていただきたいと思いますが今後の取り組みについてどうお考えなのか。答弁をお願いします。


《答弁》 商工観光労働部長
 県では、国の平成24年度補正事業である「商店街まちづくり事業」について、事業概要や応募手続きなどの情報を各商店街に積極的に提供し働きかけた結果、5つの商店街が応募し、すべて採択されることになりました。
 この事業は、早ければ今月末にも二次募集が開始されると聞いておりますので、県といたしましては、引き続き情報収集に努めるとともに、各商店街に対し、当該事業をはじめその他、国、県の商店街振興施策について、積極的に情報提供を行ってまいります。
 また、地元市町に対しましても、各商店街にこれらの支援制度を広く周知するよう働きかけてまいります。


(2)県と市町の支援を
《質問》高田由一 県議
 つぎに国の事業が終了した後も、県と市町が連携して修繕や維持管理への支援ができないかどうかおたずねします。


《答弁》 商工観光労働部長
 商店街の街路灯に係る修繕、維持管理につきましては、所有者である商店街が行うべきものであると考えてございます。
 県としましては、商店街が本来の賑わいを取り戻せるよう、平成22年度から「商店街のコミュニティ機能強化支援事業」を実施し、商店街の空き店舗を活用した集客力が期待できる公益的事業に対し補助を行っているところです。併せて、担当者が頻繁に商店街に赴き、地元関係者と膝を付き合わせながら商店街の活性化に向け共に知恵を出して考え、実行する等の活動に取り組んでおります。
 このような取組みを通して、商店街振興が図られるよう、地元市町と連携のもと支援してまいります。


《要望》高田由一 県議
 とくに防災面での機能を持たせた街路灯や防犯灯の整備には手厚い支援ができないものか、これはぜひ他の部局もふくめて検討をいただきたいと思います。今回、地元の白浜町でも避難所の周辺にソーラーパネルのついた災害対応型の誘導灯を設置することになりましたが、それぞれの避難所に一本ずつなんです。それはそれで評価をするのですが、やはり避難誘導灯というのなら避難場所まで連続して光っていて初めて役に立つと思うのです。わざわざ避難誘導灯という別のものを設置しなくても、商店街の街路灯や町内会の防犯灯などの一部をバッテリーでバックアップすれば立派な誘導灯になるわけですから、この面での支援についてぜひ具体的に検討していただきたいと思います。また、全国の自治体のなかには改修への補助をしたり、電気代へ補助をしているところも少なからずあります。県内の自治体では補助制度は聞いたことがありません。県と市町が連携して取り組んでいただきたいと思います。


4.ウメ輪紋ウイルス対策
《質問》高田由一 県議
 つぎにウメ輪紋ウイルス対策についてうかがいます。
 5月23日に和歌山市内で感染したウメの木が発見されました。県の調査で発見されたことは驚きではあったものの、県独自の体制と予算をつけてこの事業に取り組んだことによって極めて早期に発見できたことは最大の成果であります。関係者の努力に敬意を表したいと思います。このことについては先の2月議会で条例に関連して質問させていただきましたが、県内農家に不安が広がっていますので再度うかがいます。

(1)発生状況
 まず、これまで明らかになった発生状況について答弁をお願いします。


《答弁》 農林水産部長
 ウメ輪紋ウイルスの発生状況についてですが、県では、ウメ、モモ、スモモの果実生産の安全を図るため、5月8日から県内全域を対象にウイルスの感染確認調査に取り組んでまいりました。
 この調査の中で、5月23日に和歌山市東部のウメ栽培園地において、感染を疑う樹が発見され、翌日の検定で感染が確認されました。
 速やかに、県では感染事実の公表を行うとともに、直ちに、国と連携して発生状況等の現地調査に着手いたしました。
 最初に感染が確認された樹を中心に、目視やサンプル採取により、半径1km圏内での悉皆調査と、同じく4km四方圏内で感染範囲特定調査を実施しているところですが、現時点におきましては、発生範囲は隣接する6園地で、小規模・局所的であります。


(2)封じ込めの可能性
《質問》高田由一 県議
 この規模なら限定された発生に封じ込められる可能性があると思うがどうでしょうか。


《答弁》 農林水産部長
 先の2月議会でご承認いただいた「和歌山県ウメ輪紋ウイルスの侵入及びまん延の防止に関する条例」第7条第2項の規定に基づき、ウメやモモなど特定サクラ属等の植物の移動制限区域として和歌山市を告示いたしました。7月7日から和歌山市から他市町村への移動が制限されます。
 感染地域周辺での調査はまだ終了しておらず、断言は出来ませんが、現在の状況であれば、ウメ輪紋ウイルスの広範な拡大はないものと考えております。


(3)今後の対策と補償
《質問》高田由一 県議
 最後にこれまで県はウイルス感染があるかないかを主体にした検査を行ってきましたが、今後どのような対策を行っていくのか、また、2月議会でも問題提起したように伐採樹への損失補償が大きな課題となってきます。たとえば東京都青梅市では全体の10%以上が感染している園地では園地内のすべての感染可能性のある植物を処分する内容になっています。そのため感染した木の数よりも処分する数のほうが多いという状況です。この伐採樹への補償について、今後どのように対処されていくのかうかがいます。


《答弁》 農林水産部長
 今後の対策についてですが、調査終了後も引き続きウイルスを媒介するアブラムシの防除や感染地域からの移動制限等を通じて、ウイルスの根絶に向けた取組を進めてまいります。
 次に、栽培農家への補償についてですが、ウイルス根絶のためには、感染樹及び隣接する感染の可能性がある対象樹も併せて伐採・抜根・焼却処分する必要があり、こうした処分に要する経費及び処分した樹木の損失補償の費用を国が負担することになっております。
 当該地域が緊急防除区域に指定された場合は、植物防疫法第20条に基づき、国が、生産者、学識経験者、農業団体等による評価会での検討を経て補償額を決定し、損失補償を行います。
 緊急防除区域に指定されない場合には、植物防疫法第29条に基づき、国と協議しながら、県が必要な取組を行い、その取組に要した費用は、国から交付金というかたちで受け取ることになっております。


5.熊野古道・大辺路へのトイレ整備
《質問》高田由一 県議
 つぎに熊野古道・大辺路へのトイレ整備についてうかがいます。
 観光地のトイレを快適にということで「おもてなしトイレ大作戦」の予算が充実されています。いま西牟婁郡でも国体で来て下さった選手団や関係者に焦点をあてた観光メニューの開発に各町が取り組んでくれています。例えば熊野古道大辺路を語り部とともに歩いてもらうことなどを考えておられるみなさんもいらっしゃいます。ただネックになっているのはやはりトイレだということです。大辺路にバスで来て下さる団体のみなさんも田辺市から世界遺産のコアゾーンにいたる白浜町富田の草堂寺までは比較的トイレの心配もなく案内するほうも安心して歩けます。しかし、肝心のコアゾーンを含む富田坂をこえて旧日置川町の安居にいたる大辺路では途中にトイレがなく4時間以上かかる行程のなかでゆっくり休憩できる場所がないことが大きな問題になっています。その先のすさみ町にいたる仏坂もおなじような状況であります。(写真)

(1)整備予定と新設への取り組み
 そこでうかがいます。今後、観光トイレ整備事業で、世界遺産に登録されている部分の熊野古道・大辺路周辺ではどれくらいトイレ整備がすすむ予定でしょうか。また、あらたに設置される箇所はあるでしょうか。くわえて先ほど申し上げた富田坂や仏坂は特にトイレの必要性が高く、地元町と協力してトイレ新設にむけて取り組んでいただきたいと思いますがいかがでしょうか。


《答弁》 商工観光労働部長
 観光地の公衆トイレの整備につきましては、かねてより、市町村からの補助要望に対し優先的に採択するなど、積極的に取り組んでおり、特に、平成25年度から平成26年度にかけましては、「和歌山おもてなしトイレ大作戦」を展開し、市町村等に対しさらなる整備の促進を強く働きかけているところでございます。
 今後2ヶ年におきましては、大辺路の世界遺産登録区間周辺では、白浜町の「近畿自然歩道富田公衆トイレ」を始め5箇所について、洋式化等の改修を予定しております。現時点では、公衆トイレの新設計画はございませんが、議員ご指摘の箇所へのトイレの新設につきましては、その必要性を踏まえ、今後地元町と協議してまいります。


《要望》高田由一 県議
 ボランティアガイドさんたちもツアーを企画している会社の要望も、大辺路でいえばトイレの箇所数を増やしてほしいということでした。
 また、観光のゴールデンイヤーにあわせて取り組まれるデスティネーションキャンペーンは来年9月14日〜12月13日ですが、そのなかで「1万人ウオーク&トレッキング」が毎週、県内のどこかで開かれる予定です。もう来年にせまっています。そのなかでトイレがないというのでは困ります。せめてそれに間に合うようによろしくお願いしたいと思います。


6.国道311号の安全対策
(1)雨天時のスリップ対策
《質問》高田由一 県議
 最後に道311号の安全対策についてうかがいます。
 田辺市中辺路町滝尻地内の国道311号ですが、この区間ではご承知のように一昨年の12号台風で大規模な土砂崩れが起こり、現在、災害復旧が取り組まれています。関係者のこれまでのご努力に敬意を表したいと思います。ただ雨の多い時期をむかえまして心配しているのは、2基の仮橋がかけられているのですが、その下流側の橋の路面が鉄のグレーチングでできており、二輪車の通行帯には一部すべり止めマットが敷かれているものの、雨の時にはスリップ事故が起きているということであります。
 県警から資料をいただいたのですが、仮設道路が開通したのが昨年の10月1日でしたが、その後これまでの間に工事現場付近で13件の事故が発生しており、うち2件は雨の時、橋の上でのスリップ事故です。(現場写真)
 現場は仮橋が坂道になっています。ある方に雨の日に実験してもらったら、下り坂なので時速20キロでも軽くブレーキを踏むだけでスリップしてしまうそうです。
 私も心配したのでちょうど先週の土曜日、雨が降ったので夕方約30分間、車の通行状況を観察しました。その時間のなかで明確にスリップをした車が6台ありました。うち4台は予想に反して登り方向で荷台の軽い貨物のバンや工事用のトラックがアクセルを踏んだとたんに後輪が豪快にすべっていました。後の2台は下り坂の方向でスリップしてこれは中型の路線バスと中型の貨物トラックでした。この2台は車の重量が重いからでしょう、前輪がロックして数メートルすべっていました。これらのことから推察するならこれからの雨の多い時期、もう一回りの安全対策をとっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。


《答弁》 県土整備部長
 国道311号の災害復旧工事中の仮設道路に設置している、仮橋のスリップ対策ですが、現地では、「徐行」をはじめ、橋梁手前に、「スリップ注意」等の標示板を掲げ、運転者への注意喚起を行っております。
 また、二輪車のスリップ対策として、すべり止めシートを両サイドに設置をしており、劣化した場合は、張り直しを行っております。
 災害復旧工事が完成するまでの間は、応急的なこの仮設道路での通行となりますが、スリップ事故を防ぐ為には、現状では運転者に注意を促して、減速していただくことが最も有効と考えており、更に見やすい標示板の工夫を行うとともに、より確実に安全なスピードまで減速させる対策についても検討していきます。
 併せて災害復旧工事を急ピッチで進めており、平成26年度末の完成を予定しています。


 仁坂知事の答弁を聞く、高田由一県議(右)=6月20日、和歌山県議会
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2013年6月和歌山県議会 高田由一 一般質問=6月20日