2013年9月県議会
奥村規子 一般質問 概要記録
2013年9月17日 議会中継動画

1.和歌山地方税回収機構について
(1)機構の概要、設立目的について
(2)市町村から機構への移管基準について
(3)市町村におけるきめ細かい徴収対応について
(4)納税により生活が成り立たなくなる者への対応について

2.雇用問題について
(1)和歌山県の非正規労働者の現状について
(2)県独自の若者の雇用促進対策について
(3)県の労働相談の状況と対応について
(4)ブラック企業対策について
(5)労働関係法令や国実施の各種助成金に関する周知広報について

3.県体力開発センターの存続について
(1)これまでのセンターの活動と役割をどのように考えているか
(2)存続の要望をどのように受け止めているか
(3)誰もがスポーツに親しむための施設としてセンターは必要ではないか
(4)県立体育館も含めた地域スポーツの振興の拠点に

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1.和歌山地方税回収機構
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って3項目にわたって一般質問をさせていただきます。
 まず、最初の1項目めの、和歌山地方税回収機構の問題についてお尋ねをいたします。
 和歌山地方税回収機構(以後機構という)は、市町村から徴収困難な滞納事案などが移管され、滞納整理をすすめるものです。
 滞納者全員の財産調査を行い、約8割の滞納者に差し押さえなどの滞納処分を実施しています。この中で、「機構のやり方は無茶苦茶や血も涙もない」ということを聞くことがあります。私は、徴収にあたって行き過ぎの部分があるのではないかと思います。
 最近相談を受けた例ですが、47歳の男性Оさんは某市に住所をおいたまま、和歌山市に住み働いていました。某市から何度か封書が来ましたが、勘違いをしてあまり気をとめずほっていました。そうすると機構から納税催告書がきたのでびっくりし、さっそく機構に出向きました。県・市民税5年分の滞納になっており、本税約65万円、延滞金約25万円にもなっていました。毎月の給与から税金が引かれているものと思い込んでいましたが、所得税だけで住民税が引かれていないことがわかりました。全く気が付かなかったようです。そして、大変反省して、機構には分割納入にさせてほしいと頼み込みました。この時、私も同行しましたが、本人が合意しても立ち会いを認めてもらえませんでした。私は別室で待たされたままで、お話を聞いていただくこともありませんでした。大変残念な思いをしました。Оさんは機構の担当者に囲まれ、分割納入は認められないということで、「身内の人に相談してでも一括で払ってもらわんと」と言われました。その後、機構から職場に給料調査の文書がきました。
 また、給料が口座に振り込まれた途端、預貯金の金融財産として差し押さえが執行された方もあります。ある町では職員の引継ぎの際、間違いから機構に移管された後、滞納者が町に相談して納付することを約束しました、そして、町が機構にその案件の返還を求めましたが、機構はなかなか応じようとしないという例もありました。
 もう一つの例は、弁護士さんが債務整理を行っていた件です。抵当権がついた任意売却の話がありましたが、「不動産どおり100万円全額返さなければ差し押さえは解除しない、いやなら競売だ」と一歩も譲らず、結局、他の債権者が競売を行って処分され、機構には一円も入りませんでした。一旦差し押さえすれば状況は勘案しない。これでは納税者をいじめるだけのことになってしまいます。そこで総務部長にお尋ねします。
(1)機構の概要、設立目的について
 この機構はどんな法律に基づき、どんな目的になっているのでしょうか。機構の概要、設立目的についてお答えください。

《答弁》 総務部長
 和歌山地方税回収機構は、市町村から徴収困難な滞納事案を引き受けて専門的に滞納処分を行う組織として、県内全市町村が構成団体となり、地方自治法第284条第2項に基づき、平成18年4月に設立された一部事務組合でございます。
 機構では、市町村において徴収困難な滞納事案等を引き受けて、徹底した滞納処分等を通じまして税負担の公平及び税収確保に努めるとともに、市町村職員への研修を通じて、市町村への滞納整理のノウハウの蓄積とスキルアップを図ることを目的としております。

(2)市町村から機構への移管基準について
《質問》奥村規子 県議
 市町村から機構へは、どのような基準で移管しているのですか。総務部長にお聞きします。

《答弁》 総務部長
 市町村から和歌山地方税回収機構への移管事案につきましては、滞納税額が高額な事案や相続等権利関係が複雑で財産調査が十分に行えない事案等、市町村にとって整理困難な事案について、滞納額や滞納者の状況等を踏まえて、市町村が選定しており、適切に移管されているものと認識しております。

(3)市町村におけるきめ細かい徴収対応について
《質問》奥村規子 県議
 機構に移管する前に市町村の段階において、納税者に対して電話や訪問などで相談に乗るなど、きめ細かい対応が必要と考えますが、いかがですか。総務部長お答えください。

《答弁》 総務部長
 市町村においては、滞納処分の厳正な実施だけでなく、個々の滞納者の状況に応じて納税緩和措置を講じるなど、適切に対応されているものと認識しておりますが、今後ともさらに適切に対応するように、職員研修等の支援、それから助言などを行ってまいります。

(4)納税により生活が成り立たなくなる者への対応について
《質問》 奥村規子 県議
 機構として分割納付の相談に応じるなど、納税により生活が成立たなくなる方へのきめ細かい対応が必要と考えます。
 先ほど上げた方の例でもそうでしたが、給料は国税徴収法76条にある差し押さえ禁止額を除いて差し押さえられます。しかし、家賃や借金返済がある場合、実際はそれでは生活できません。地方税法15条の7、徴収法153条には「生活を著しく窮迫させる恐れがあるとき」は「滞納処分の執行を停止することができる」とあります。こうした事情で、実際に生活保護水準以下に陥るような場合、滞納処分の停止などの措置が必要と考えますが、いかがですか。総務部長にお尋ねします。

《答弁》 総務部長
 分割納付につきましては、自主納付という形で、滞納税額の一部を納付することはできますが、これは法に基づく猶予措置ではないため、法律上は、完納されるまでは、財産調査や滞納処分は継続されることとなります。
 しかしながら、和歌山地方税回収機構においては、財産調査を通じまして、滞納者の個別的・具体的な実情を踏まえた上で滞納処分を行うこととしており、生活困窮者と判明した場合などは、市町村に連絡し、市町村において滞納処分の停止など納税緩和措置を適切に講じているものと認識しております。
 県といたしましては、機構に対して、今後とも引き続き、地方税の徴収事務を適正に執行するよう、支援、助言してまいります。

《要望と再質問》奥村規子 県議
 生活困窮が考えられる場合は市町村に戻すということを、しっかりやっていただきたいと思います。
 最後に、部長から答弁をいただきましたが、今までお話したような、納めたくても納められない方への税の徴収のあり方について、知事のお考えをお聞かせください。

《答弁》 仁坂知事
 ただ今、奥村議員のご質問をいろいろお聞きしておりましたら、1つ欠けているところがあるなというふうに思うところがありました。
 それは何かというと、何でそうなる前に税金を払わなかっただろうかということでございまして、それによって滞納が増えていったということですから、やはり市民の義務なので、不当な課税をされているのなら、それはそのときに必要な措置を取ったらいいと思いますけれども、そうではなくて、本人の責めに負うべき過失によって発生しているのならば、その過失を少なくするということも市民の義務ではないかというふうな感がしました。
 加えて、今度はそういうことが起こった時に、負担の公平の観点から、税金は必ず納めていただかないといけないということでありまして、この原則をあまり理由もなく曲げますと、きちんと納付している大半の県民の皆様に、説明がつかないということになるわけでございます。従って、厳しくとも、滞納処分は必要不可欠なものであると思います。
 しかし、総務部長が言いましたように、滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがあると、客観的にちゃんと説明できるという時は、滞納処分の執行停止をすることができるということもありますし、また、例えば、滞納者といっても憎むべき人ではないわけですから、社会保障の救済に訴えるということをその方がやった時に、それを差別するというわけではないということも言えると思います。
 こういうふうに、滞納者の個別的な、あるいは具体的な実情を踏まえて、適切に対応されていると考えているところでございます。

《要望》奥村規子 県議
 財産調査で滞納者の個別的・具体的な実情を踏まえ、生活困窮者と判明した場合は市町村において滞納処分の停止など、納税緩和措置を適切にしているということでした。適切というのは実情に応じ、生活困窮に陥る場合は市町村に戻し、滞納処分停止の措置をするということだと考えます。ぜひ、県民に寄り添った行政を切に要望して、この問題についての質問を終わります。


2.雇用問題について
《質問》奥村規子 県議
 次に、2つめの項目についてお尋ねいたします。
 ※資料を配布いたしました。これは毎月勤労統計調査によるもので、労働者の給与の月平均の動向です。常時5人以上の常用労働者を雇用する県内約540事業所の集計したもので、常用労働者とは期間を決めずに、または1ヵ月を超える期間を決めて雇われている人ということで、一般労働者とパートタイム労働者に分けられています。この給与額は一般とパートタイムを合計した平均であり、所定内給与と残業代など超過労働給与、夏季・年末賞与なども含めた額を月平均したものです。
 1997年から全国的にも労働者の給与が下がり続けてきましたが、グラフに現れているように、県内の給与も下がり続けています。その中身をみますと、一般労働者の給与も下がっていますが、パートタイム労働者比率が2005年は26.5%だったのが2011年では32.3%にあがっており、このことで全体の平均給与が下がっています。この6年間で月3万4,000円も減っているのですから、年収にすれば約40万円減ったことになります。また、ピーク時の1997年の同じ調査では月34万1,819円でしたので、そこから約6万5,000円、年収にすれば78万円も減っています。
 2012年就業構造基本調査によれば、和歌山県においても雇用者35万9,200人のうち非正規雇用者は13万8,200人と38.5%を占めており、2007年の前回調査の35.5%から3ポイント上昇しています。
 今、「アベノミクス」で景気は回復するかということが問題になっています。そのなかで、給料が上がらなければ冷え込んだ消費が回復しないし、景気回復もない、まず国民にその実感はない、というのが共通した見方です。
 これだけ働く人の賃金が下がってきたのです。デフレ不況を打開するには、賃金を上げることなしにはできません。それは正社員の賃上げとともに、この間労働法制の規制緩和で増やしてきた、パートタイムやアルバイト、派遣労働や期間社員という低賃金の非正規労働者を減らして正規雇用化すること、また非正規労働者の賃金も底上げしていくことが求められています。そのためには、労働者派遣法の抜本改正、非正規雇用への不当な差別をなくし均等待遇をはかる、最低賃金を引き上げる、こうした政治の力が必要だと考えます。
 県としても雇用問題への取り組みが、県民所得を増やして県経済の振興をはかるうえで重要な課題となっていると思います。そこで商工観光労働部長にお聞きします。
(1)和歌山県の非正規労働者の現状について
 和歌山県の非正規労働者の現状について、どのように認識していますか。

《答弁》 商工観光労働部長
 企業における雇用形態については、従来の正規雇用に加え、アルバイトや最近増加してきた派遣労働、有期契約労働など、人材活用の面で多様化しており、全国と同様に本県においても非正規労働者の増加傾向が見られます。
 雇用形態が多様化したことにより、雇用総数の下げ止まりなどに一定の効果があったものと考えますが、給与や雇用が安定しない非正規雇用の増加する雇用環境は、正規雇用を望む求職者にとっては厳しいものと認識しております。

(2)県独自の若者の雇用促進対策について
《質問》奥村規子 県議
 2番目は、とりわけ深刻な若者の雇用環境についてです。
 民主青年同盟や和歌山ローカルユニオンの方が、ハローワーク前などで求職中のみなさんから、雇用とくらしの実態についてアンケートで聞き取り調査をおこなっています。私も一緒に話しを聞かせていただきました。
 これまで66人から回答を得ることができました。そのなかで、前職を離職した理由については、解雇が8人、退職勧奨が3人、「一方的に契約更新終了とされた。延長を希望したが通らなかった」など契約期間終了が3人。20%がこうして離職を余儀なくされており、デフレ不況が労働者を直撃しています。
 また、結婚・出産が10人です。そのうちほとんどの人が働き続けることを望んでいましたが、「出産して働き続けようと思うと、もう一度面接から受けなおさないとだめだった」など、前職では結婚・出産で働き続けられる条件がなく、離職を余儀なくされていることがわかりました。
 賃金・残業代の未払いや、長時間労働という劣悪な労働条件のため、働き続けることができないと答えた人も20%いました。介護職員だった方は、「昼3時30分から翌朝9時30分まで18時間勤務。一人の時もあった。サービス残業が多かった。介護はやりがいのある仕事だと思うが続けられなかった」と話しました。「前の職場でうつになる人をたくさん見てきた。そこまでして働かないといけないのかと思う」(20代)など、過酷な長時間労働の実態があります。また、パワハラ・セクハラがあったと答えた人も3人いました。
 前職の年収では、100万円未満が15%、200万円未満と合わせれば46%、半数近くの人が働く貧困層と言われる、200万円以下の収入しかありませんでした。
 そして、みなさんが切実に訴えていたのが「なんとか正社員になりたい」ということでした。
 デフレ不況対策とは、こうした県民の深刻な状況を解決するものでなければならないと痛感します。
 アンケートで現れているのは、正社員が減らされる一方で、サービス残業や長時間労働が横行している実態、働いても低賃金です。若者が安定した雇用につき、人間らしく生活し働くことは日本の将来、県経済のこれからにとっても非常に大事です。
 県独自の若者の雇用促進対策で、どういった取り組みをされているのかお聞きします。

《答弁》 商工観光労働部長
 まず、和歌山市ぶらくり丁内に若年者就職支援センター「ジョブカフェわかやま」を設置し、個別カウンセリングや就職セミナー等を実施しているところです。併設の若者向けハローワークとともに、就職相談から職業紹介、定着支援までの一連の支援を行い、平成24年度実績では656人の若者を就職に結びつけています。
 そのほか、本県出身大学生のUターン就職を支援するために、県内企業の採用情報を収集し、近畿圏の大学をはじめ大阪等で開催するUターン就職セミナーで学生に情報提供するとともに、県内各地などで企業面談会を実施しております。
 また、県内5つの工業高校において県内企業の協力を得て、熟練技能者による技術指導や生徒・教員による企業現場の体験などを通じて、ものづくり人材の育成に取り組んでいるところです。
 県としましては、引き続き、こうした取組により、若者の就業支援を進めてまいります。

(3)県の労働相談の状況と対応について
《質問》奥村規子 県議
 先ほど上げたような、解雇や一方的な契約終了、また過酷な労働条件などについて、労働者が相談できるところが必要です。県の労働相談にもこうした問題がもちこまれていますか。その状況はどうなっているでしょうか。

《答弁》 商工観光労働部長
 県の労働相談では、専門の相談員が労働条件や職場の人間関係など労使間のトラブルで困っている方からの相談を受け付けております。相談内容としましては、「労働条件」が50%、「職場の人間関係」が10%、「勤労者福祉」が10%程度となってございます。

《要望》奥村規子 県議
 県の労働相談で違法な解雇やサービス残業などの相談が寄せられた場合、労働監督署につなげる支援をするべきだと考えます。この点はぜひお願いしたいと思います。

(4)ブラック企業対策について
《質問》奥村規子 県議
 さらに、過酷な労働環境、極端な長時間労働、高い離職率など、いわゆるブラック企業が社会問題化してきています。こうした企業では人材の使い捨てが行われていて、これは重大な問題です。
 いわゆるブラック企業に対して、県は何かとりくみをしていますか。

《答弁》 商工観光労働部長
 国では、過重労働や貸金不払い残業などにより、若者の「使い捨て」が疑われる企業等の実態を把握するため、9月1日に全国一斉の無料電話相談を実施した結果を受け、9月を集中監督月間に指定して労働基準法など関係法令違反が疑われる企業への立ち入り調査を予定しているとのことです。
 県では、和歌山労働局からの依頼を受け、無料電話相談の実施についての周知広報を行うとともに、県の労働相談室でも各種相談を受け付け、国の窓口を紹介するなど適切な指導助言を行っているところでございます。

《要望》奥村規子 県議
 県も労働局と連携してブラック企業の実態をつかみ、なくしていくよう取り組んでいただきたいと要望します。

(5)労働関係法令や国実施の各種助成金に関する周知広報について
《質問》奥村規子 県議
 この問題の最後に、これまでご紹介してきたとおり、非正規雇用の増加、低賃金、長時間労働、職場でのいじめ・嫌がらせなど、若者を取り巻く労働環境は大変厳しい状況です。こうした現状を少しでも改善するためには、労働関係法規の内容や国の各種助成制度を広く周知していくことが大切だと思います。
 特に、中小企業の賃金引上げへの国補助金「中小企業最低賃金引き上げ支援対策費補助金」は広く事業者に知らせて、活用を支援すべきだと思います。
 それから、アンケートの回答にもありましたが、結婚・出産しても働きつづけられる環境づくりが必要です。育児・介護休業法にもとづき、子育てしながら働けるよう、たとえば県男女共同参画基本計画では、企業での育児休業制度の整備率を2010年度末は66.4%だったが、2016年度には80%にするという目標値を決めています。2010年の労働条件等実態調査報告書では、育児休業が適用されているのは、一般労働者では75.9%ですが、パートタイム労働者では42.3%となっています。この制度を事業者に広げることに取り組むということですから、パートタイム労働者も含めて適用されるよう取り組みを強めていただきたい。この分野でも育児休業取得への国の支援事業と助成金があると思いますので、こうした制度も周知してください。
 また、病院に「働きながらお母さんになるあなたへ」のパンフレットをおくという点もお願いしたいと思います。この点での県の取り組みをお尋ねします。

《答弁》 商工観光労働部長
 従来から県のホームページや「県民の友」などの広報媒体を通じて、国が実施する労働関係法の説明会や各種助成金の活用促進に向けた周知広報を行うとともに、県の労働セミナーでの講習や、県職員の企業訪問時における情報提供などを行っているところでございます。
 今後も関係機関との連携を図りながら、労働関係法令の遵守を広く呼びかけ、良好な労働条件の確保に取り組んでまいります。


3.県体力開発センターの存続について
《質問》奥村規子 県議
 3項目めは、県体力開発センターの存続についてお尋ねいたします。
 今議会に、県体力開発センター(以下センターという)の運営管理条例の廃止が提案されています。センターはこれまで多くの県民のみなさんに利用されてきました。昨年度の利用者数はのべ12万1,741人でした。利用者の方々から知事宛に、センターの存続を求める要望書が1万5,000筆以上届けられているとお聞きしています。私と同世代のまわりの人からも「残念!さびしい!」という声が上がっています。
 私たち日本共産党県議団は先日、センターと新しくオープンした秋葉山公園県民水泳場の視察に行って参りました。センターでは丁度、視察させていただいた時間帯が幼児と児童の体操・水泳教室であったので、大変活気に満ちていました。プールの観覧席ではお母さん方がずらっと横並びに座り、子どもの泳ぐ姿を見守っていました。また、ロビーではプールの映像が流れ、画面を見ながらお母さんたちが楽しそうにお話をされていました。ロビーはお母さん方の交流の場にもなっています。幼児の体操教室では、オリンピック選手の田中3兄弟のお母さんが指導に当たり、子どもたちのとびきりの笑顔が印象的でした。
 3人の子どもを育てているあるお母さんは、幼児のころからセンターを利用し、難しい思春期を教室だけでなく職員さんの励ましなどで乗り越えられてきたこと。また、PTAの機関紙に子どもに尊敬する人ということを尋ねる企画があり、そこに子どもがセンターの先生と答えていることなど、とても子育ての上でも心強かったことを語ってくれました。跳び箱を跳べるようになって自信がつき、学校も楽しく行けるようになったこと。水泳も体操も利用できるので2人め、3人めの子どもがあっても喜んで利用できると言われました。あるお母さんは高齢の方も利用され、和歌山駅に近いので近隣の町からも通っている人もいて、何よりもいろんな年代の人との交流もでき、利用しやすい料金も魅力的と話してくれました。
 そこで教育長に4点についてお尋ねいたします。
(1)これまでのセンターの活動と役割をどのように考えているか
 これまでのセンターの活動と役割をどのように考えていますか。

《答弁》 教育長
 体力開発センターは、昭和50年1月に供用が開始されて以降、水泳教室や体操教室をはじめとする各種スポーツ教室を開催し、県民の健康と体力づくりに寄与するとともに、長年にわたり、誰もが気軽にスポーツや体力づくりを楽しめる施設としての役割を果たしてきたと認識しております。

(2)存続の要望をどのように受け止めているか
《質問》奥村規子 県議
 利用者や関係者のみなさんからのセンター存続の要望をどのように受け止めておられますか。

《答弁》 教育長
 体力開発センター存続の要望については、当センター利用者の有志で構成される会や地元自治会からも要望書が提出されており、こうした県民の方々の同センターへの想いについては、非常に重く受け止めているところです。
 しかしながら、体力開発センターは、設備の老朽化や耐震基準を満たしていないこと、また、同等機能を有する秋葉山公園県民水泳場が、今月1日に供用開始したことから、今年度末を持って廃止する条例を今議会に上程しています。

(3)誰もがスポーツに親しむための施設としてセンターは必要ではないか
《質問》奥村規子 県議
 県下においても、身近でだれもがスポーツに親しむための施設は重要です。今までご紹介してきたみなさんの声として、センターはなくてはならないものとして必要であると考えますが、いかがですか。

《答弁》 教育長
 体力開発センターは廃止することとしていますが、誰もがスポーツに親しむための施設の必要性は、十分認識しており、これまで当センターが担ってきた役割につきましては、新しく機能が充実している秋葉山公園県民水泳場や県立体育館等で対応していきたいと考えています。

《再質問》奥村規子 県議
 具体的に、どのような対応を考えておられますか。

《再答弁》 教育長
 具体的には、これまで体力開発センターでおこなっていた水泳教室については、既に秋葉山公園県民水泳場で開設が予定されております。
 また、体操教室などについては、県立体育館やビッグホエールなどで実施できるよう、取り組んでまいります。

(4)県立体育館も含めた地域スポーツの振興の拠点に
《質問》奥村規子 県議
 センターに隣接する県立体育館も含め、地域スポーツの振興の拠点にするお考えはありませんか。

《答弁》 教育長
 体力開発センターに代わるものとして、新しい秋葉山公園県民水泳場を有効に活用するとともに、県立体育館は、平成27年開催の紀の国わかやま国体における体操、柔道、バスケットボール競技の練習会場であり、また、紀の国わかやま大会でも、卓球バレー競技の会場となっていることから、両大会に備えて活用してまいります。
 さらに国体終了後についても、引き続き、県立体育館を地域スポーツ振興の拠点として活用していきたいと考えています。

《要望》奥村規子 県議
 センターについては、地元自治会からも存続の要望が提出されているということからも、センターが開設から38年あまりで地域のなかにスポーツに親しむ施設として根付いてきたと思います。平成23年度社会教育調査によると、県内の屋内プールの設置数は全国平均34ヶ所を大きく下回って、9ヶ所しかありません。これは全国で最下位ではないでしょうか。
 本来なら、こうしたセンターは県下に広げてゆくべきで、発展させてゆく方向で検討すべきではないでしょうか。秋葉山公園に県民水泳場が新しくオープンしたからよいというものではありません。耐震化など必要な改修をして存続、充実させることを要望いたします。


 仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)=9月17日、和歌山県議会

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