2013年9月県議会
雑賀光夫 一般質問 概要記録
2013年9月18日 議会中継録画

1.平和の問題について
(1)「はだしのゲン」と被爆・戦争体験を語り継ぐ意味
(2)学校現場での平和教育は
(3)購入した「原爆パネル」活用について
(4)県立図書館での「沖縄地方紙」購入について

2.自然エネルギー開発と風力発電被害救済
(1)海洋・海流発電の可能性について
(2)風力発電による被害の救済
 @ 二つの風力発電計画の撤退をどうみているか
 A 住民の要望する低周波測定・県の積極的関与について
 B 被害者の訴えをどう聞いたか、どう応えるか
(3)コスモパーク加太の活用とメガソーラーについて
 @ 「県市共有地」の解消は
 A 県としては、いくらで貸すのか?売却の見通しは?

3.経済活性化のための住宅リフォーム助成について
(1)高野町・海南市の住宅リフォーム助成制度の評価
(2)耐震改修補助などとともに住宅リフォームも

4.海南市役所移転とリサーチラボ
(1)リサーチラボの目的と成果・現状。このたびの経過
(2)リサーチラボに入っている企業の納得と支援

5.資源配分の観点から紀淡海峡ルートについて

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1.平和の問題について
《質問》雑賀光夫 県議
 議長のお許しを得ましたので質問に入らせていただきます。
 第一の柱は、平和の問題です。毎年、8月というのは、平和を考える季節です。広島・長崎の原爆の日があり、広島・長崎市長の「平和宣言」や子どもの「平和の誓い」は毎年、感動的です。私たち海南市では、「日中両国平和の塔」の前で平和の集いが開かれ、戦争体験者の話を聞き、平和への決意を新たにしました。
 アジア太平洋戦争がおわって68年、戦争体験・原爆体験を語れる人が少なくなった中で、悲惨な戦争体験を語り継ぐことは、たいへん重要になっています。そんな中で、原爆体験を伝え、世界中に翻訳されている中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」が、松江市の小学校や図書館で子どもが読めないような措置がされていたという問題に、多くの批判の声があがりました。
 和歌山県では、8月を前にして、和歌山県原爆被災者の会、県原水協、核戦争防止医師の会、非核の政府を求める会の4団体が、和歌山県に平和行政の要請をおこない、私も毎回同行させていただきます。今年は、知事室長さんにお会いして、被災者の会の楠本熊一先生が「原爆被災者は高齢化しているけれども生きている間は訴え続けたい」と熱っぽく訴えられました。そして、被爆者にとって最後の仕事だという新しい「原爆パネル」を県でも活用していただけるようになりました。
 原爆の実相を「残酷すぎる」ということで隠すという動きがある中で、このことは、大きな意味があると考えています。
 そこでまず教育長にお伺いいたします。
(1)「はだしのゲン」と被爆・戦争体験を語り継ぐ意味
 第一 「はだしのゲン」などの原爆の悲惨さを語り継ぐ出版物は、こどもたちの平和認識にとって大事なものだし、それを子どもたちから隠すなどとんでもないと考えますが、いかがでしょうか。

《答弁》 教育長
 児童生徒が平和や人権などに関することがらを学ぶ際には、戦争や原爆などに関する様々な図書が使用されています。
 本来、学校図書は、児童生徒に閲覧させることを目的に所蔵されていることから、本県では閲覧を制限した例はございません。

(2)学校現場での平和教育は
《質問》雑賀光夫 県議
 第二 学校では、平和教育は積極的にとりくまれているのでしょうか。8月6日または9日を登校日にし、あるいはその前後の日にでも平和を考える授業や行事をおこなっている学校もたくさんありました。最近はそうした取り組みはいかがでしょうか。

《答弁》 教育長
 県内のほとんどの公立学校では、夏期休業中の登校日や、修学旅行の事前学習、文化祭等において、平和に関する講演や映画、朗読劇の鑑賞等、児童生徒に平和の大切さを学ばせる機会を設けています。
 また、国語科、道徳、ホームルーム活動などの学習活動をとおして、児童生徒が、平和の尊さ等について、自分の考えを深める学習を行っております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 「戦争」というものは、最大の人権侵害です。教育課題として「平和」の問題をしっかりと位置づけていただきたいと思います。

(3)購入した「原爆パネル」活用について
《質問》雑賀光夫 県議
 次に、購入されたパネルは、年一回の人権フェスタでの展示には活用されるとお聞きしています。それだけでなく、ひろく貸し出しをし、県民ロビーをつかって「原爆写真展」など開かれてはいかがでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 唯一の戦争被爆国として、戦争、原爆の悲惨さについて、多くの人に伝え、語りついでいくことは、大切なことであり、これまでも多くの人が集まる「ふれあい人権フェスタ」で、パネル展示を行ってきたところです。
 今年度はパネルを一新しており、今後、県民ロビーや渡り廊下等での「パネル展」を開催するとともに、場所の提供やパネルの貸し出しを検討するなど、平和に対する県民の意識がより一層高まるよう取り組んで参ります。

《コメント》雑賀光夫 県議
 前向きの答弁、ありがとうございました。
 ここに「語り継がねばならないこと」という原爆被災者の会の2冊の冊子があります。それぞれ1986年、1995年に発行されたものです。冒頭には、2冊とも仮谷知事のあいさつ、県議会議長は、トチ野九璽明さん、橋本進さんが挨拶を載せておられます。手記を寄せられた方の何人がお元気でおられるのだろうか。原爆の恐ろしさ、戦争体験を語り継ぐことは、ますます急がれます。この度の「パネル」の購入がその一歩になればいいなと思うものです。
 県民ロビーでも県が主宰することに限らず「原爆被災者の会」などが開くものに場所を提供する、これは和歌山市役所はじめ多くの自治体ではやったことがあります。そういうことも検討されてはどうかと思います。

(4)県立図書館での「沖縄地方紙」購入について
《質問》雑賀光夫 県議
 次に、平和を考えるうえで避けて通れないのは、沖縄です。私ども共産党県議団は、7月末に沖縄視察を実施しました。
 オスプレイが一部沖縄に配備された直後です。沖縄国際大学の米軍ヘリコプター墜落現場にもいきました。辺野古の海を埋め立ててV字型滑走路をつくろうという現場を視察。辺野古移転は普天間の軽減でなく、沖縄米軍基地の強化・永続化であること、沖縄は米軍基地で経済がなりたっているのでなく、米軍基地が経済発展をさまたげているというお話を聞きました。
 そして、和歌山に帰ってすぐに、米軍ヘリコプター墜落のニュースです。その原因も究明されないまま、ヘリ飛行は再開、オスプレイの追加配備強行。米軍と日本政府は、沖縄の人たちの痛みや怒りをどう考えているのでしょうか。
 沖縄というのは、日本にとって47都道府県の一つということにとどまりません。アジア太平洋戦争で、本土防衛のついたてにされ、唯一悲惨な地上戦がたたかわれ、多大の犠牲をだし、戦後、在日米軍基地の7割が置かれてきた県であります。この痛みを共有する。沖縄の人たちの気持ちを知ることです。
 沖縄で大きな事件があるたびに沖縄に行って現地の新聞を読みます。「沖縄タイムス」「琉球新報」など私たちが和歌山で読んでいる新聞とは全く違う。沖縄の人たちはこう受け止めているんだなと認識を新たにする場合があります。
 そこで、せめて県立図書館には、これらを置いてはいかがでしょうか。教育長の答弁をもとめます。

《答弁》 教育長
 現在、県立図書館では、利用者のニーズや設置スペースの問題から、全国の地方紙については、寄贈されたもの以外は置いておらず、沖縄県の地方紙だけを購入するということにつきましては、県立図書館が持つ公平性ということからできませんので、御理解の程お願いしたいと思います。
 ただ、私、広島で、原爆で被災した多くの友を失いあるいは家族を失い、そういう事について、広島の比治山原爆病院というのがありますが、そこにも何度か訪れました。長崎出身の友もいます。
 そうしたことから、戦争をとおしてですね、沖縄県民の痛みを共有することはきわめて大切なことでありますので、沖縄の現状を語る書籍も含め、平和学習に関する様々な資料を県民の方々に提供できるよう、蔵書の充実に努めてまいります。

《要望》雑賀光夫 県議
 書籍の充実という点では、前向きの答弁をいただきました。ただ、沖縄は、全国47の都道府県の一つではない。だから、沖縄での犠牲者をとむらう「きのくにの塔」があり、来月25日には、県が主催して慰霊祭をするわけでしょう。全国の地方紙を置くことには財政的に無理があるでしょうが、沖縄地方紙を置くということは、沖縄の痛みを共有する第一歩としてぜひお願いしたいと思います。知事にも考えていただきたい。要望しておきます。


2.自然エネルギー開発と風力発電被害救済
《質問》雑賀光夫 県議
 第二の柱は、自然エネルギー開発と風力発電被害救済の問題です。
 福島原発事故では、汚染水流出がつづいています。膨大な国費が投入されることになりました。安部首相の、オリンピック招致委員会での「放射能はコントロールされている」という発言には、唖然としました。
 今月15日からは、大飯原発が再点検のためストップし、再び「原発ゼロ」が実現されています。「原発ゼロ」は決して無理なことではないのです。もちろん、電力供給は、綱渡り的な状況であることはわかっています。だから、2年前から「原発ゼロ」を決断して、思い切った自然エネルギーへの転換を図るべきだ、和歌山県としては、部局を横断したプロジェクトチームで、和歌山県の自然エネルギーの可能性をさぐるべきだというのが私の主張でした。
(1)海洋・海流発電の可能性について
 まず、県が進める施策の積極面からお伺いしたいと思います。
 8月31日の朝日新聞に「海洋発電 県『いける』」という記事をみました。「県海洋再生可能エネルギー検討委員会」を開き、「海流」と「海上風力」発電について検討し、とくに「海流発電」については、有力だという見通しをもたれたということです。和歌山県が持つ自然エネルギーのあらゆる可能性をさぐるべきだという私の立場から言って、大きな期待をいだくものです。どういう見通しをお持ちなのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。

《答弁》 商工観光労働部長
 国では、海洋再生可能エネルギーを我が国のエネルギー供給源として活用するため、その実用化に向けた技術開発を進めるための実証実験海域を募集しているところです。
 本県は、海洋に広く面するという特性を持ち、海洋再生可能エネルギーの開発可能性が大きいと考えられることから、実証実験海域を選定するために、さる8月28日に県海洋再生可能エネルギー検討委員会を開催し、海洋エネルギーのポテンシャルについて検討を行いました。その結果、潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電が有望であるとの意見を得たところです。
 今後、潮岬沖の詳細な海流調査や地元漁業関係者、船舶航路との調整等を踏まえ、再度、検討委員会で協議のうえ、実証実験海域の申請に取り組んでまいります。

《コメント》雑賀光夫 県議
 朝日新聞の記事も「漁業との共存をはかる」ということが課題になっています。何にしても「開発」という問題は、人間が暮らせる条件との「共存」が問題になります。

(2)風力発電による被害の救済
 @ 二つの風力発電計画の撤退をどうみているか
《質問》雑賀光夫 県議
 そこで次の問題ですが、私は、自然エネルギーの中で風力発電について、それには期待するが、低周波被害などの訴えに、行政として向き合わなくてはならないと申し上げてきました。
 風力発電についての前回の質問以後、風力発電計画について、日高町・池田地区で住民投票が行われました。計画の受け入れは、過半数をおおきく下回ったとお聞きしています。
 なぜ地域住民のみなさんは、計画を拒否されたのだろうか。それは、隣の町で、低周波被害で苦しんでいる方がおられる。しかし、行政として対応も救済もされない。自分たちの町に風車がきて被害があったら大変だと考えられたのだろうと思います。こうして計画は中止になりましたが、隣の町で苦しんでおられる方には、引き続き何の救済もないという状況になっている。
 商工観光労働部長は、この計画の中止についてどう思われているでしょうか。

《答弁》 商工観光労働部長
 多様な電源の確保という観点から、自然エネルギーへの取組は大変重要だと認識しており、その中で風力発電は太陽光発電に比べエネルギー変換効率が高く有効な発電方法であると考えおります。このため、二つの風力発電事業計画が住民投票の結果により中止になったことは残念ですが、事業を円滑に遂行するためには、地元の理解・協力が不可欠であるとの経営判断であったものと理解しております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 おっしゃるとおり「地元の理解・協力」が得られないかぎりすすまないのです。

 A 住民の要望する低周波測定・県の積極的関与について
《質問》雑賀光夫 県議
 2月県議会では、環境生活部長からは、低周波の測定について「地元区及び事業者とよく相談した上で必要な対応について検討」というと答弁をいただきました。これは、地元から要請があるのをまっているのではなくて、県としても地元に働きかけて、地元の協力のもとで、測定を行うという意味だと理解しました。
 ところが、その後の新聞報道をよむと「地元から要請があれば」という待ちの姿勢で報道されている。県議会での答弁とその後の対応が違っている。このことについて、環境生活部長の説明をお願いします。

《答弁》 環境生活部長
 県議会での答弁とその後の対応が違っているとのご質問ですけれども、2月議会では、「由良町での調査につきましては、これまでも、由良町、地元区及び事業者との話し合いがなされ、また、測定につきましても現に事業者において実施されている状況でございます。なお、本来は、当事者である事業者が実施すべきものであると考えておりますけれども、由良町、地元区及び事業者とよく相談したうえで、必要な対応について検討してまいります」とお答えしております。
 その答弁のとおり、県では、由良町と話し合いの場を持ち、地元区の意見と地元の状況についてお聞きしているところです。
 また、住民からの訴えについても真摯にお聞きしております。
 繰り返しになりますけれども、今後も引き続き、由良町、地元区及び事業者とよく相談し、県として必要な対応について検討してまいります。

《コメント》雑賀光夫 県議
 低周波被害の問題について県担当課からは、「法律的に規制ができない」という返事が返ってきます。
 かつての水俣病をはじめとする公害問題でも、国が公害と認めず、また規制基準がないなど、長い間被害者が苦しんだ末に、やっと規制されたという例がたくさんあります。その場合、住民に近い自治体ができることはないのか。まず二つあると思います。一つは、住民が健康被害を訴えるなら、それをききとることです。第二は、その原因を究明する。低周波が原因ではないかといわれるなら、その測定をしてみることです。その結果、ストレートに規制ができるかどうかは別として、その積み上げが、問題の解決につながっていくと思います。同時に国の規制基準制定や県独自の規制条例などつくっていく必要もありますが、被害の実態を共有すれば、その事実にもとづいて、「規制基準」ができる前にでも、事業者と話し合って対策をとることも可能です。

 B 被害者の訴えをどう聞いたか、どう応えるか
《質問》雑賀光夫 県議
 私はこのままでは、風力発電だけでなく海洋・海流発電も前に進まないのではないかと考えています。
 県として、自然エネルギーの開発をすすめるためにも、問題が起こった場合には逃げないで対処するという姿勢が必要だと思っています。
 知事は、行政報告会のおり、被害者の訴えをお聞きになったそうですが、どうお感じになったでしょうか。問題解決のためにどうしていかれるのかお伺いします。

《答弁》 仁坂知事
 風力発電に係る健康相談については、地元市町と連携し、保健所において対応して参りました。そういう意味では、聞き取り、原因究明しようとしております。
 由良町の行政報告会において、男女二人の方が後でお見えになりました。健康状態の把握とか問題だから何とかして下さいというような話がありました。私はこれに対して、たとえば実は区のほとんどの人がもういいですよと言っていて、いや、それは困ると言っている人もいるわけですが、そういう中で町は要望ありませんよというようなことを言っていて、いろんな意見がまとまらないと、県として根拠もなしに動き出すのはなかなか難しいというふうにお答えしました。
 ただ、要望に来られた男女二人のうち、男性の方は弁も立つし、それからちょっとひどいことを私は言われましたけれど、元気だとお見受けしました。しかし、女性の方、この方が健康被害を訴えられていたんですが、顔色も悪いし、大丈夫かなとはっきり言うと心配になりました。原因とかそういうことは別にして、やっぱり健康を害している状態はよろしくない訳ですから、ちょっと心配だから様子を見に行ってくださいと保健所にお願いをして行ってもらったという経緯がありました。
 風力発電施設に関する低周波音についてどう考えるか、大変難しい問題だと思います。やっぱり、たくさんの事例を知っている方が、客観的に基準を設定していくということが大事だと思うので、全国の事例を全部統括している国において早く見解を出してくださいと言っています。そうしたら我々も動きやすい。
 もうすでに三度も政府提案をしているんですが、なかなか動いてくれないという状態にあります。ただ、環境省においては本年度から本格的な検討に入るということなので、はっきり言って期待しているということです。
 県としては、雑賀議員も先ほど言われましたように、基本的には自然エネルギーのあらゆる可能性を追求するんだと言われたような同じ気持ちでおりまして、自然エネルギー開発にあたり問題が起こったときは、地元関係者と事業者が協議の上で対応すべきだと考えるけれども、われわれも事業者や地元の方と十分情報共有しながら、地元自治体等に対して必要な協力を行っていきたいと、そんな風に思っております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 知事が被害者に直接お会いいただいたことはよかったと思っています。ただ、この低周波被害というものは大変個人差が大きいので、本当に死ぬような苦しみを訴える人もあれば、何ともない人もいます。それだけに大変難しさがありますが、そのなかでも被害の実態をよく掴みながら、そして低周波の測定なども行いながら、国の方へも働きかけていくことも大事だし、企業と話し合うことも大事だし、これからさらに取り組んでいきたいと思っています。

(3)コスモパーク加太の活用とメガソーラーについて
《質問》雑賀光夫 県議
 次は、太陽光発電ですが、その一つとしてコスモパーク加太の活用についてお伺いします。
 コスモパーク加太に、和歌山市がソーラー発電の設置を募集することになったと聞きます。和歌山市の話ですが、コスモパーク加太は、和歌山県・市が深いかかわりをもっています。
 この問題をめぐって、昨年9月県議会で、私が申し上げたのは、大きな借金を抱えたコスモパーク加太について、県民負担を少なくしなくてはならない。福島原発事故のあと、自然エネルギー開発が大きな問題になってくる中で、ソーラー発電用地として、コスモパーク加太が注目されるようになっている。その際、県・市土地開発公社の共有地があるという状況では、民間からの引き合いにも対応しにくいのではないかという問題。また、県土地開発公社が予定している価格では、ソーラー発電の誘致も難しいのではないかなどの問題でした。
 その後の事態の推移は、県の担当者の努力もあったのでしょう。県市共有部分の解消の見通しがついて、和歌山市は、ソーラー発電の誘致に動いたということで、それは結構なことだと思っているところでございます。
 和歌山市は、新聞報道では、このことで年間5000万円の借地料を見込んでいるとされています。
 しかし、県のコスモパーク加太の活用はどうなのか。消防学校用地として県が買いあげることを別とすれば、20億円かけて造成した土地の賃料が、加太菜園株式会社も縮小し、傾斜地ソーラーも含めて年2000万円程度になってしまいます。
 以上の経過を踏まえて、質問いたします。
 @ 「県市共有地」の解消は
 第一点、「県市共有地」の解消は、どういう具合にすすんでいるのでしょうか。

《答弁》 企画部長
 和歌山県土地開発公社と和歌山市土地開発公社間における共有地の解消につきましては、和歌山市が市土地開発公社の解散手続きを進めるにあたり、市土地開発公社の土地を集約化するために、共有地を交換し単独地化を図りたいとの依頼がございました。
 このことにつきましては、県や県土地開発公社としても全面的に協力することとし、現在、県市また県市両公社で協議を重ね、等価交換方式での合意を得て、今後早期の移転登記に向け事務手続きを進めていく予定としております。

 A 県としては、いくらで貸すのか?売却の見通しは?
《質問》雑賀光夫 県議
 第2点、和歌山市は、メガソーラー用地を、平米135円ぐらいで貸すことになるでしょう。県の場合は、造成地・未造成地について、平米いくらで、借り手を探しておられるのでしょうか。県が買う消防学校用地は別として売却の見通しはいかがでしょうか。

《答弁》 企画部長
 県土地開発公社用地につきましては、県が平成19年度に策定をいたしました「新行財政改革推進プラン」において、早期の土地利活用を推進することとしております。売却にあたっては、時価である土地鑑定価格としております。
 これらの土地は、企業への売却により、多くの雇用が創出されることが望ましいわけですが、一方返済のスキーム上いくつかの制約があるものの、長期賃貸を進めることは債務返済の負担を減らすことに繋がると考え、メガソーラーも含め様々な可能性を否定せず進めているところです。
 賃貸価格につきましても、市場価格を重視し、公正・公平を確保する必要から、土地鑑定価格を基本としております。
 さらに、場所や期間など企業からの提案もお聴きしながら、地域経済への波及効果などを総合的に勘案し、検討してまいりたいと考えております。
 売却の見通しにつきましては、コスモパーク加太は大規模用地が確保できること、標高100メートルあり地盤が強固で自然災害に強いこと、さらに今後、第二阪和国道や京奈和自動車道の延伸でアクセス面で大きく向上することなどを、粘り強くアピールしながら、商工観光労働部とともに、企業誘致を実現させ、早期売却に努力してまいります。

《コメント》雑賀光夫 県議
 本気で売ったり貸したりするのに、引き合いがあってから鑑定してもらって値段をきめるというようなことで商売になるのかということを申し上げておきたいと思います。


3.経済活性化のための住宅リフォーム助成について
(1)高野町・海南市の住宅リフォーム助成制度の評価
《質問》雑賀光夫 県議
 第3の柱は中小企業活性化の観点から是非とも広げていきたいのが住宅リフォーム助成制度です。
 私が県議会で「住宅リフォーム助成制度」について取り上げたのは、2010年の県議会でのことでした。当時は、和歌山県下では、この制度を導入している市町村はありませんでした。
 その後、県内市町村でもこの制度を導入する自治体が広がりはじめました。私が在住している海南市でもスタートしたのですが、その前に高野町では、さらにすすんだリフォーム助成制度がスタートしています。
 3月町議会で決定され、6月からスタートしましたものですが、5万円以上の工事の2分の1、上限20万円を補助する。その1割は、町内でつかわれる商品券をあてるというものです。1000万円の予算が計上されました。
 私たちが調査にうかがった8月4日の時点で、商品券もふくめて800万円の補助金が消化され、工事総額は、2600万円に近くなっています。3倍の経済効果です。補助金の財源をお伺いすると、過疎債の発行が認められる、その償還の7割は交付税でまかなわれるということから言えば、経済効果は10倍です。
 大工、電気、畳、左官など建設業・職人のみなさんの仕事を増やしています。副町長さんは、「リフォーム助成制度で、地元業者に仕事が回って喜ばれている」と語っておられました。
 9月までに1000万円の補助金はつかいきる、9月町議会で、もう1000万円補正を要求したいと、担当の課長さんは語っておられます。今回の高野町の短期間に大きな成果をあげている経験をお聞きして、ぜひとも県下市町村にこの制度が広がってほしいと思いました。
 県土整備部長にお伺いいたします。県として市町村がこの制度を取り入れることのメリットをどう評価しておられるでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 海南市や高野町の住宅リフォーム助成制度に対する県としての評価というご質問ですが、議員ご紹介のとおり、今年度から海南市と高野町で住宅リフォームに対する補助制度が実施されております。
 海南市では、居住環境の向上を目的に、また高野町では、居住環境の向上、さらに定住促進、経済活性化を目的に実施していると聞いております。市町村がそれぞれ地域の実情を踏まえて実施しておりますので、県として評価するのは適当でないと考えます。

《コメント》雑賀光夫 県議
 ただいまの答弁へのコメントはあとにまわして次へいきます。

(2)耐震改修補助などとともに住宅リフォームも
《質問》雑賀光夫 県議
 市町村だけではありません。県レベルでも、住宅リフォーム助成制度が大きな成果をあげています。秋田県では、2010年3月から、この制度がスタートしました。50万円以上の工事で10%、20万円の補助が出るものです。その後1年半の期間で、補助額33億円にたいして、497億円の工事、15倍の経済効果があったと報告されています。市町村の補助制度と相まっての効果です。
 和歌山県でも耐震補強の助成に力をいれているわけですが、そのいっそうの改善とともに、住宅リフォーム助成制度を導入していただきたいと思いますが、知事のご見解をお伺いしたいと思います。

《答弁》 仁坂知事
 雑賀議員のご政策でありますけれども、相手は私有財産であります。それから、住宅へのリフォームという以外は施策目的がはっきりしない、なんでもよろしいということであります。
 ちょっと考えてみますと、国の景気対策なんかで公共事業等によって、あるいは住宅投資なんかによって、景気刺激をする。フィスカルポリシーですね。こういう事をやろうというような話にちょっと似ているなと。ただそういうときには、「そんな目的を決めないでいろいろお金をばらまくのはいかん」とか、あるいは、いろんな党がいらっしゃいますが、そういう党の方に多いんですけれど、「建設業者の救済のためのばらまきだ。反対」というような話が国政の景気対策の時にもつきまとう話であるということは、我々よく経験しているところであります。
 それの是非はともかくとして、県としてはもうちょっと政策目的を明らかにしたものにお金を使いたい。そんなふうに私は思っております。
 したがって、県が経済対策としてリフォーム補助そのものを実施するということは考えておりません。
 それでは住宅に対する補助は無いかというと、そんなことありません。例えば、和歌山県がすごい悩んでいる下水とか汚水処理についてもっと進めようと合併浄化槽に対する補助なんかはやっておりますし、木造住宅、これが来たるべき地震によって大変危ないんじゃないかと心配されますので、例えば無料耐震診断、あるいは耐震設計、耐震改修についても他県に比較してもたぶんナンバー1ぐらいの制度を用意して、皆様にお勧めしている。そういう目的に沿ったようなかたちでお金を使うことを優先したい。それは、長い目でみると景気対策にもなるというふうに思っております。

《要望》雑賀光夫 県議
 目的に沿ったものと言われましたが、住宅リフォーム助成制度というのは目的に沿ったものではないのか、よくわかりません。せっかく全国で大きな経験が生まれているのに、なかなかやっていただけないようです。
 私はよく、「行政の谷間」という言葉を使います。また、自然エネルギー開発のような大きな課題では、「部局を縦断したプロジェクト」と言います。
 県庁の部局は、たてわりになっている。もちろん全体を知事が仕切っていただいているわけです。
 「経済活性化のための住宅リフォーム制度」という課題もそういうものであります。「住宅リフォーム」というと、県土整備部の担当になるのですが、県土整備という部局は、住宅を整備したり耐震化をはかったりする部局です。中小企業を活性化する観点から政策を考えるわけではない。だから、市町村がリフォーム助成で成果を上げていることにも「評価は控えます」という答弁が帰ってくる。
 住宅リフォーム助成制度も、経済を活性化し循環型経済を作っていくという点で、多くの市町村では成果を上げているわけで、現に高野町でも成果が上がってきていますから、知事は全体を見て判断されますが、部局としてもそういう観点から検討していただきたいと思いますので、希望を申し上げておきます。


4.海南市役所移転とリサーチラボ
(1)リサーチラボの目的と成果・現状。このたびの経過
《質問》雑賀光夫 県議
 第4の柱は、インテリジェントパーク・リサーチラボにかかわってであります。
 この度、海南市議会で、インテリジェントパークのリサーチラボを買い取って市庁舎移転する方向が示されました。海南市議会で特別委員会がおかれて検討している最中、市当局から結論が示され、県との間で協議が進んでいたことが明らかになりました。市会議員のみなさんにとっても唐突な提案であったようです。
 インテリジェントパークというものは、頭脳立地法にもとづいて開発されました。IT企業のための工業団地だというので、当初は、共産党海南市会議員団は「なぜ。地場産業には門戸を開かないのか」と批判もしたようです。しかし、頭脳立地法にも変遷があり、現在では、家庭用品など地場産業もここを利用しています。県がかかわった工業用地の中でも最優等生だと思っています。
 その中心施設であるリサーチラボというのは民間会社ですが、県が大株主であり、社長は仁坂知事です。リサーチラボを海南市役所のためとはいえ、譲り渡すという。私は、財政的メリット、交通弱者への対策、現在市役所跡地再開発のビジョンなどとともに、インテリジェントパークの位置づけやリサーチラボの展望など示されないと市民の理解は得られないと思います。
 そこでお伺いします。
 県が、インテリジェントパークを開発した本来の目的の中で、現在のリサーチラボが果たしている役割をどう見ておられるのか、また、市庁舎のために譲渡にむかうこれまでの経過を商工観光労働部長からお聞かせください。

《答弁》 商工観光労働部長
 株式会社和歌山リサーチラボは、旧頭脳立地法に基づき、地域産業の高度化・高付加価値化への支援、並びに海南インテリジェントパークの中核施設として立地する企業への支援を行うことを目的に、国、県、海南市、民間が出資し設立された第三セクターでございます。
 地域産業の高度化・高付加価値化については、県と海南市で連携しながら、地域産業のデザインの高度化、研修事業を通じた人材育成、高速インターネット接続環境を備えたオフィスの提供により、情報サービス企業等の創業支援に大きく貢献してまいりました。
 海南インテリジェントパークには、地域産業の高度化に寄与するソフトウェア企業、デザイン企業、大学の研究所などが既に進出し、造成用地は完売となっており、有効に活用されています。
 このような状況の下で、和歌山リサーチラボの設立の趣旨を鑑みますと、地域産業の高度化・高付加価値化への支援については、現在、民間でも同様の機能を持ったところが整備されてきていることから、所期の目的は概ね達成できていると考えてございます。
 次に、県と海南市の話し合いの経過につきましては、昨年10月、海南市の庁舎検討懇話会において、建設候補地のひとつとして和歌山リサーチラボが提案されたことの報告を受けました。
 その後、海南市では、検討の結果、様々な観点から、和歌山リサーチラボの社屋を市庁舎として活用することが望ましいと判断し、本年7月18日に、市庁舎としての活用について、県、和歌山リサーチラボに対して打診がございました。
 海南市では9月市議会に市庁舎整備に係る関連議案を提出しており、これらの議決を経て、県、和歌山リサーチラボへ正式要請を行う予定と聞いてございます。

(2)リサーチラボに入っている企業の納得と支援
《質問》雑賀光夫 県議
 移転するとなるとリサーチラボにはいっている企業が行き先を探さなくてはなりません。各企業の意向はどうなのか、それに代わる居場所をどう保障されるのか、商工観光労働部長にお伺いします。

《答弁》 商工観光労働部長
 入居している企業に対して、和歌山リサーチラボより9月5日に海南市の庁舎移転に関する経過報告を行ったところです。
 今後、入居企業との交渉は、海南市からの正式要請を受けて、契約当事者である和歌山リサーチラボが行うこととなりますが、海南市も、入居企業に対する相談窓口を設置するなどの体制をとると聞いております。
 県としましても、和歌山リサーチラボ、海南市と共に、入居企業のスムーズな移転が実現できるよう、協力して参りたいと考えております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 市議会でどういう結論になるかはわかりませんが、はいっている企業が困らないようにサポートをよろしくお願いして次へいきます。


5.資源配分の観点から紀淡海峡ルートについて
《質問》雑賀光夫 県議
 最後に 知事が議会冒頭でふれられた「紀淡海峡ルート」についてお伺いします。
 一旦、消えたかのようにおもわれていた「紀淡海峡ルート」が、最近語られるようになりました。夢を語るのはけっこうですが、政治家が政治課題としてとりあげるには、大局的な判断を求められます。
 いま、国家財政が大きな借金をかかえていることもさることながら、トンネルの崩落事故がありましたが、トンネル・橋梁・道路の老朽化が進み、その安全のために多大の予算をつぎ込まなくてはならないという状況があります。こんな時代に高度経済成長時代のように夢に突っ走っていいのでしょうか。
 「資源配分」の観点から言って、「紀淡海峡ルート」実現をぶちあげるのは、いかがかと思いますが、知事のご所見をお伺いします。

《答弁》 仁坂知事
 今のご質問だとはっきりしなかったのですが、通告を受けた話によると、改修とかインフラとかいうものが老朽化して大変なのに、新しい話をそんな大きな話ばっかり突っ走ったらまずいんじゃないかということで理解しており、そういうことでお答えさせていただきます。
 既存の公共インフラの老朽化対策、というか維持補修は大変大事でありまして、実は議員も予算を認めていただいておりますから、おわかりと思いますけれども、私が知事になりましてから壊れる前に補修をする、それによって長寿命化を図るという政策を明確に行っております。
 本県の道路橋梁については、点検はその前からやってくれていたのですが、約2,400橋を点検しておりまして、これについて損傷が軽微なうちに修繕・補修を行う長寿命化修繕計画、これは私が知事になってから作りまして、それで計画的な修繕に取り組んでいます。
 また、緊急輸送道路というのがあります。これは地震などの時に、物資や人員の輸送を緊急にしなければいけない。その橋が落ちてしまったりしては、大変だということでございまして、この耐震化をきちんとやっておかなければいけない。これは、平成16年度から既に着手しておりまして、このあいだ新聞でそれが出来ていない県が多いというお話しがありましたけれども、大規模な地震で倒壊する恐れがある昭和55年以前の基準で建設された215橋すべてについて、平成23年度までに和歌山県では対策を完了しております。そういう意味ではきちんと取り組んでいるということでございます。
 加えて、これは橋だけではありませんので、トンネルとか法面とか舗装とかいうようなことについても、点検が現在、全国的に行われているところでありまして、その点検結果も参考にしながら、和歌山県においては計画的、効率的な修繕に取り組んでいきたいと、こんな風に思っております。
 このように、公共インフラの老朽化対策を充分進めるとして、一方で、将来に向けた取り組みを進める、あるいは、それを提唱していくということも大事なことではないかと思うわけであります。
 紀淡海峡ルートと言うのはですね、実は4つの要素が入る可能性のある話でございます。関西大環状道路の要として、本県のみならず関西全体の発展につながる重要な路線であるとともに、大阪湾の環状道路の要でもあります。
 それから関空を盛りたてるために大阪の中心部から、橋下元知事なんかはリニアと言ってましたけれども、現在では超高速鉄道という名前にしています。つまり新幹線でもいいということですね。そういうものにも、実は同じ方向に沿った形として組み立てることができるし、それから四国新幹線というのは基本計画を政府として認められているものですが、これも一つのプロジェクトとして入るわけであります。
 そういうようなプロジェクトを集めて、力を合わせて、産業振興や観光振興だけでなくて、大規模災害に備えたリダンダンシー確保の面でも、有意義なプロジェクトではないか、やってはどうかという話を日本全体、特に国に要望していきたいという風に思っているわけです。
 そういうことで我々は要求をしていく、あるいは提唱をしていくということでございまして、要求や提唱をすることが和歌山県の不利益になるということはない。先程のような公共インフラの老朽化対策を犠牲にして、そういうことをやっているわけではないということですから、和歌山県民のためになると思っております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 この問題は、これからいろいろな角度から議論していかなくてはならないと思っています。
 本当に紀淡連絡ルートというものが、和歌山の活性化のためにどれだけプラスになるのかという問題もあるでしょう。
 昨日も、白浜の観光地の疲弊という話を聞きながら思ったのですが、果たしてこの橋ができたら紀南へ向かう人たちが四国の方へ回ってしまうのではないか、淡路島を通って紀南へ来る客がいるんだろうかということも含めて考えました。
 いろんな面からこの問題は、これから議論していく課題になるだろうと思っています。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


 

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