和議第121号

          企業減税等から確実な賃金引上げを求める意見書(案)

 内閣府が発表した今年7〜9月期のGDP成長率(季節調整済前期比)は、1 次速報値で、実質0.5%(年率1.9%)、名目0.4%(年率1.6%)と実質、名目ともに4四半期連続のプラス成長となった。4〜6月期に比べると一服感があるが、全体の景気状況としては上向きのトレンドには変わりないといえる。実体経済の現状を示す多くの指標が改善し、企業の景況感が上向いている一方で、賃金上昇を実感する国民は少なく、賃上げ要請が高まっている。
 10月1日に決定した税制改正大綱には企業減税が盛り込まれているが、これらが賃上げなど景気浮揚に向けた動きとなるかどうかは、企業自身の判断に委ねられ、内部留保にとどまる懸念も拭えない。
 また、同じく税制改正大綱の中で「所得拡大促進税制」の要件緩和方針が決定されたが、さらなる支援策として、最低賃金の引上げに取り組む企業への助成金として、中小企業の最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)の拡充を図ることや、業界を挙げた賃金底上げの環境整備を支援する助成金(業種別中小企業団体助成金)などの拡充を図ることも検討すべきと考える。
 そこで、9月に始まった政府、労働者、企業経営者の各代表による「政労使会議」では、賃金の引上げが経済成長に必要不可欠との認識を労使間で共有し、企業が賃金を引上げしやすい環境を整えるための実行力が求められる。
 「アベノミクス」による景気回復の兆しから、実感が伴う景気回復を実現するためにも、減税等による業績好転から得た収益を確実に賃金上昇に反映させるための「賃金の配分に関するルール」作りもポイントといえる。
 よって、政府においては、実効的な賃上げに結び付くような施策を講じるとともに、具体的な道筋を示すことを求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成25年12月19日
          様
                                          和歌山県議会議長 山田 正彦
                                                      (提 出 者)
                                                       冨安 民浩
                                                       藤山 将材
                                                       長坂 隆司
                                                       角田 秀樹
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 財務大臣
 厚生労働大臣
 経済産業大臣