2013年12月和歌山県議会
   平成24年度決算の
   認定に対する反対討論
            松坂 英樹
            議会中継録画(7:30)


20131218

 日本共産党県議団を代表して、平成24年度決算認定についての議案第125号、126号について反対の立場から討論を行います。
 2012年度の県税収入は、法人2税が大口事業者からの税収減により10億円のマイナスとなっているのに、県税収入は全体で11億円のプラスとなっています。これは年少扶養控除の廃止などによる個人県民税の12億円もの増税が主な原因です。地方交付税は12億円増で、経済対策補正予算などにより歳入・歳出とも前年度比約5%増となり、実質収支38億円の黒字、実質単年度収支でも18億円の黒字決算となっています。
 一方で、株式配当、譲渡所得にかかる軽減税率、いわゆる金持ち優遇措置により、和歌山県に本来なら入るはずの5億2千万円もの税収が失われていることは見過ごすことができません。

 県民生活は厳しさを増していて、格差はさらに広がる傾向があります。高すぎる国民健康保険税・保険料が払えないと、滞納による差し押さえ件数が、2011年度に1863件だったものが2012年度は1997件と100以上も増えています。
 県内企業の経営の厳しさは、雇用環境に表れています。県内高等学校に対する企業からの求人数は、5年前には13000人あったものが2012年度は3022人と、約4分の1にまで激減していることが報告されました。県としても、緊急雇用対策臨時職員を前年度より6名多い27名雇用し、就職決定までの橋渡しとしての役割を果たした点は評価できるものですが、その後の正社員への就職という指標を見ると、前年度の57%から44%へと低下しており、県内の就職状況がさらに厳しくなってきていることを物語っています。

 そんな中、県行政として県民生活を暖かくささえる施策をしっかりとすすめてきたでしょうか。介護保険料が改定され、県平均は5501円、19%もの大幅値上げとなりました。共産党県議団は、県の介護保険の財政安定化基金をあてて、保険料負担の軽減をと提案しましたが、県は地域福祉基金等に積み立てて今後の事業に使うのだと軽減を拒否し、県民の願いに背を向けました。
 高齢者居宅改修事業は、2005年度には約1000万円の予算だったものが、2012年度予算は261万円にまで減ってしまいました。しかもその決算は、わずか5市町村で10件64万円と、予算の4分の1も執行されませんでした。この事業はもともと使いやすい制度として好評だったものが、介護保険を補完するものへと縮小されてきました。そして2012年度には補助対象者に資産要件を加えて、さらに対象をしぼったことが、いっそう使いにくい制度にさせていると言えます。
 こうした県制度がどんどん先細りする傾向は、県単独老人医療助成制度などとも共通するものがあります。高齢者人口が増加し、支援を必要とする県民が増えているなかで、使いやすく活用できる制度や予算を、減らすどころか拡充すべきではないでしょうか。

 環境の分野でも、本県の一人当たりのゴミの排出量が減少し、分別も進んでいるのにかかわらず、リサイクル率は依然として低いままであることが明らかになりました。全国平均20,4%に比べて和歌山県は13,7%にとどまっており、県としてその引き上げのための分析や手立ては、未だ十分とは言えない状況です。

 教育の分野では、ひきつづき定数内講師の問題を指摘しなければなりません。国から正式に教職員定数が認められ正式の教員を配置すべきところを、不安定雇用の講師ですませています。解消の努力を続けているということですが、逆に前年比51名増の544名と増加していることは問題です。

 県民のいのちを守る災害対策の分野は、一昨年の東日本大震災、紀伊半島大水害を通じて県民の関心も取り組みも大きく進みました。2012年度における避難路整備は、県の補助事業に加え、国補助・市町村単独事業を合わせて、1年間で207ヶ所の増設がすすみました。しかし、都市部の避難路や障害者をはじめ県民の命を災害から守るという点ではまだまだ課題が多く残されていると言わなければなりません。

 中小企業振興資金特別会計の収入未済額82億円のほとんどが、同和行政のゆがみによる中小企業高度化資金です。その延滞額は前年度より1億4400万円減少したものの、依然として80億1900万円もの延滞金を残しています。
 土地造成事業会計では、起債の償還残高が85億円となっています。これに工業用水からの借入金の15億円と運営費用の23億円を加えて、合計123億円がこの先15年間で必要となるのに対し、所有する土地をすべて売却しても62億円にしかならず、借地料収入などで24億円を見込んでも、差額として37億円ものの不足が見込まれると報告されました。この差額は2011年度決算時での見込み額30億円よりもさらに増えており、一般会計からの補てんが膨らむことを懸念するものです。
 コスモパーク加太におけるカゴメ加太菜園への土地賃貸代金は、当初計画から大幅に規模縮小がされていることから、賃貸価格の見直しを求めたにもかかわらず、いまだ1平方メートルあたり100円という優遇が続けられていて看過できません。
 以上、平成24年度決算の問題点を指摘し、決算認定議案に対する反対討論といたします。


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