2013年12月県議会
奥村規子 一般質問 概要記録
 議会中継動画
2013年12月11日
1.安心の老後について
(1)高齢者の生活実態をどのように認識しているか
(2)介護保険制度の「改正」で老後の安心ができるのか
(3)老人福祉法に基づく高齢者施策の充実をどのように
   考え取り組むのか

(4)介護職の養成の強化への取り組み
(5)新政策について

2.若者の雇用問題について
(1)雇用の現状をどう把握し、取り組みをしているか
(2)高校生の就職状況と取り組みについて
(3)「ブラック企業」に関する認識について
(4)働きやすい環境づくりについて

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1.安心の老後について
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので2点についてお聞きいたします。
 1点目は安心の老後の問題です。
 県、平成24年度の「指標から見た和歌山県のすがた」によると、65歳以上の老齢人口の割合は、県は27.0%で、全国で7番目です。そして、一人暮らしの老人世帯の割合では、県12.8%、全国3番目となっています。2015年には推計老年人口の割合が、和歌山県31.4%、全国26.9%になり、県の高齢化はさらに進展します。
 これまで日本では長い歴史の間、お年寄りを、それなりに敬いの対象として考えられてきました。長生きはめでたいことの一つとし、お年寄りだけを対象としたさまざまな優遇制度が設けられ、9月15日の敬老の日にはプレゼントを贈り敬老会を開くなどして長寿をたたえてきました。
 ところが今では、財政難を理由に規模を縮小した自治体も多くなっています。もともと、日本の高齢者に対する福祉・医療制度は貧しい水準でしかありませんでしたが、一時、老人福祉法や老人医療費の無料化策が施行された時期もありました。しかし、1981年の第2次臨調で高齢者にも負担については特別扱いしないという考え方になってきました。「活力ある福祉社会」をつくるには「民間の自由な活動」と、社会保障に頼らない「個人の自助・自立」を柱とするということです。社会保障費を中心に「徹底的な制度改革の推進」を行い、いわゆる「過剰な行政サービスを改めさせることが非常に重要」という考え方です。
 2001年12月、閣議決定された「高齢社会対策大綱」では、「高齢者は、全体としてみると健康で活動的であり、経済的にも豊かになっている」から「健康面でも経済面でも恵まれないという旧来の画一的な高齢者像にとらわれることなく施策の展開を図る」と述べられています。もはや高齢者は弱者ではないということが強調されるようになったと思います。「これからの高齢社会にふさわしい」政策の考え方は、「個人の自立」や「家庭の役割」を対象とした「自助、共助」が中心であり、それに「公助」も組み合わせた形で「安心できるくらしを確保する」ということです。
 しかし今、年金の引き下げや消費税・医療・介護などの費用負担が増える一方、電気代などの値上げで、生活がいっそう厳しくなっております。お年寄りをめぐる悲惨な事件もあとがたたず、火災や事故、孤立死、虐待などさまざまなことが地域で起こっています。ある地区の自治会長さんは、一人暮らしの方が続けて3人も亡くなり、とてもショックをうけていました。中には自治会に入っていない方もいて、亡くなられていたことがすぐにはわからなかったようです。

(1)高齢者の生活実態をどのように認識しているか
 そこで県として、高齢者の生活実態を、まず、どのように認識しているのかお尋ねいたします。福祉保健部長お答えください。

《答弁》 福祉保健部長
 本県は高齢化率に加え、一人暮らし高齢者世帯や高齢者夫婦のみ世帯の割合が全国的にも高く、増加傾向にあります。
 また、生活保護世帯や、世帯全員が非課税で本人の年金収入が年間80万円以下の介護保険の保険料段階が第2段階以下の低所得の方の割合は、平成23年度末で全国平均の19.0%に対して、和歌山県は25.3%と多く、また、平成20年度末の25.0%からわずかながら増加しております。
 このような中、自分の健康や病気、介護、生活費などに悩みや不安を持っている方や、事故・犯罪被害なども増加しており、議員ご指摘のように、様々な困りごとがあるものと認識しております。

《要望》奥村規子 県議
 高齢者の生活実態について、生活保護世帯や低所得の方が多いということでした。ぜひ、各市町村を通して生活が困難な方、一人一人の暮らしが手のひらに乗るように、実態を把握していただきたいと思います。よろしくお願いして次の質問に行かせていただきます。

(2)介護保険制度の「改正」で老後の安心ができるのか
《質問》奥村規子 県議
 2つ目は介護保険制度の『改正』が老後の安心につながるものかということです。
 介護保険制度は、2000年4月に始まった社会保険制度です。この制度の「目的」は、年をとって老化のために心身が衰え、要介護状態となった人が「尊厳」が保たれ、その有する能力に応じ「自立した生活」を営むことができるよう、必要なサービスを保険で給付する(介護保険法第1条)というものです。
 介護保険を運営するのは市町村となっています。加入するのは65歳以上の人全員と40歳以上の医療保険加入者で、65歳以上の人は、住んでいる市町村が決めた介護保険料を納めます。「非課税」でも、同じ世帯に市民税課税の人がいれば「基準額」を納めなければなりません。
 市民税を払わなくてもよい人でも、年間3万4,870円以上の負担をしなければなりません。大変重い負担となっています。世帯の全員が所得がなく非課税で、本人の年金が年額80万円以下という人でも、和歌山市では月2,900円あまり払わなければなりません。介護保険料を払っていないと、介護保険を利用することが非常に困難な制度です。
 また、要介護認定を受けないと制度は使えません。要介護認定は要支援1・2、要介護1・2・3・4・5の7つのランクに分けられています。
 平成25年10月末現在の、65歳以上の介護保険加入者数は287,546人、要介護認定者数は63,075人、うち要支援者が19,748人、要介護者が43,327人となっています。
 また、平成25年8月のサービス利用者数は52,687人、うちサービス別の割合は、要支援者の居宅サービスが23.4%、地域密着型サービスが0.1%、要介護者の居宅サービスが52.9%、地域密着型サービスが5.8%、施設サービスが17.8%となっています。
 これまで、制度改定のたびにサービスの利用が制限される一方、保険料の引き上げで自己負担がふえてきました。
 特に、ホームヘルパーの時間短縮の問題は深刻です。ホームヘルプサービスは、在宅生活を支える大きな役割を果たすサービスです。厚生労働省は、報酬改定のたびにこれを切り縮めるような変更を繰り返してきました。2012年度報酬改定では、これまで「1時間」で区切られてきたヘルパーの生活援助(掃除・洗濯・調理・買い物など家事援助)が「45分」とされました。介護報酬も45分未満では1,900円、45分以上でも2,350円で打ち止めとなっています。現場では、「あいさつ以外は何も話さず黙々と掃除をして45分でさようなら」、「味付けも相談せず、調理したおかずを並べて帰るだけのヘルパー」、「洗濯機が回っている間に45分が過ぎるので洗濯干し、取り込みは自費サービス」という事態になっています。ある自治体の事業所調査では、時間変更の影響として、利用者の話や相談を聞く時間が減少したが圧倒的です。掃除や調理内容の見直しや、利用者の変化の観察などの情報収集が減少、という結果が出ています。ヘルパーが利用者の話を聞く時間もなくなり、掃除や調理の手を抜かなければならなくなっていることがわかります。これでは、利用者への自立への働きかけさえできないということです。
 その上に今、社会保障審議会介護保険部会で検討されている「要支援者」の保険外し、介護給付の停止は、関係者の皆さんに大きな衝撃を与えています。要支援1、2と認定されている方は全国で154万人、そのうち約100万人が予防給付で訪問介護やデイサービス、訪問看護、訪問リハビリテーションなど利用しています。要支援2であれば、認知症対応のグループホームの利用もできます。今度の介護保険制度の「見直し」では、それらを市町村が行う地域支援事業に移し変え、サービスは全国一律の種類・内容・運営基準・単価等によるのではなく、内容、料金設定などを市町村の裁量で決める、担い手はボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人などを効率的に活用するというものです。これで本当に、安心の老後につながるものでしょうか。福祉保健部長お答えください。

《答弁》 福祉保健部長
 現在、社会保障審議会介護保険部会で介護保険制度の改正が検討されているところですが、介護予防給付の見直しにつきましては、要支援者の訪問介護と通所介護に限り、地域支援事業として実施されることとなっております。そのための財源は介護保険制度内で確保され、市町村はサービスに必要な受け皿整備を行い、高齢者の多様なニーズに対応していくものとされております。
 このとおり改正されるならば不安は生じないと考えますが、改正により、今まで利用していた人がサービスを利用できなくなったり、質が低下して不都合が生じることのないよう、今後とも、国の動向に注視し、国に対して必要な提案・要望を行ってまいります。

《再質問》奥村規子 県議
 議会の参考資料にもありますが、予防給付を市町村主体の地域支援事業に移すということですが、国の責任放棄につながりませんか。市町村に丸投げして、高齢者の生活を支える援助は継続できるのでしょうか。必要な支援が受けられない事態が生じるのではないか心配です。
 介護保険サービスの給付事業は、その質を担保するため、人員、職員の資格、施設、運営など、厚労省が定めた全国一律の基準にもとづき実施されています。人員、運営等の基準もしめさず市町村事業に丸投げするのでは、財政難の自治体が事業メニューを絞り込み、ボランティアなど専門職以外にまかせるなど、費用を削減することも当然考えられると思います。地域によっては受け皿が整わない事態が生まれ、地域格差が生じるのではありませんか。
 また、ボランティアに専門家の代替、公的介護保険サービスの代替を求めること自体がまちがいだと考えますが、いかがですか。福祉保健部長お答えください。

《再答弁》 福祉保健部長
 地域支援事業への移行が検討されている訪問介護等の受け皿整備につきましては、必要な財源措置を全国知事会などを通じて国に要望しているところです。
 また、サービスの質の担保ができるのかという点につきましては、国においてガイドラインの作成が予定されております。
 いずれにしましても、市町村での事業実施が円滑にできるよう、格差が生じないよう、県として支援してまいりたいと考えてございます。

《要望》奥村規子 県議
 訪問介護を担うホームヘルパーがおこなう援助は、単なる家事の代行ではありません。利用者と関係を築きながら生活援助をおこなう中で、心身の状況や生活環境に応じて働きかけ、生活への意欲をひきだす専門職です。また、ボランティアには行政から独立した独自の役割があることを申し上げて、次の3つ目の質問に移ります。

(3)老人福祉法に基づく高齢者施策の充実をどのように考え取り組むのか
《質問》奥村規子 県議
 先ほど、要支援・要介護の認定者数は63,075人、サービス利用者数は52,687人と申し上げましたが、地域では「認定を受けてもサービス利用料が大変、介護保険料を納めるのが精一杯」、「認定は受けているがサービス利用料まで払えない」、「限度額いっぱい使えない、我慢している」などの声をよく聞きます。
 介護を社会保険方式でおこなっているのは、日本以外には、ドイツ、オランダ、韓国など、ほんのわずかな国だけです。手厚いサービスで老後の安心を作り出している北欧諸国は税方式によって国と自治体の責任で、原則無償のサービス提供する仕組みです。
 介護の仕組みの根本的改善は、「保険方式」を廃止することです。「介護難民」、「介護漂流」、「介護のための退職」などといった問題の根本解決を図るために、介護保険制度の「枠内」だけに問題解決を限定する「制度至上主義」的思考から脱却することです。そのために県としては、必要な介護が本当に受けられているのか実態を把握し、老人福祉法を生かした取り組みをもっとすべきだと思います。県としての取り組み状況をお聞かせください。

《答弁》 福祉保健部長
 市町村では介護保険に関する住民のニーズを把握するとともに、うまく介護サービスに繋げられていない場合には、地域包括支援センター、民生委員などと連携して、そういった方々が介護サービスを適切に利用できるよう対応しているところです。
 介護サービスの利用を控えがちな低所得の方に対しては、利用者負担に対する負担軽減措置があることを引き続き周知に努めてまいります。
 次に、老人福祉法を生かした取り組みについてですが、老人福祉法は老人の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もって老人の福祉を図ることを目的としており、市町村が実施する養護老人ホームへの入所措置などがあります。
 その他、県としても、介護保険制度など既存事業の充実はもとより、地域で困っている一人暮らし高齢者などに対しては、さりげない気配りや声かけなどの見守り活動を行う「見守り協力員制度」や民間事業者との見守り協力協定の締結により、今後も高齢者が老後を安心して暮らすことができるよう、市町村と連携して、適切な対応を行ってまいります。

《再質問》奥村規子 県議
 受け皿の問題で、養護老人ホームは措置制度で入所できるということはお聞きしていますが、ある町の町会議員さんに伺ったところ、特別養護老人ホームなどは介護保険制度が優先されている形で、実際、老人福祉法に基づく措置で利用することが非常に少ない現状になっているということです。
 特別養護老人ホームは、老人福祉法との関係ではどういう施設になるのでしょうか。

《再答弁》 福祉保健部長
 特別養護老人ホームの、老人福祉法の中では、虐待などやむをえない事由により、市町村が特別養護老人ホームに入所を措置するということができる制度がございます。

《再々質問》奥村規子 県議
 特別養護老人ホームは、介護保険の指定施設である以前に、老人福祉法に基づく設置要件を満たしていないと介護保険法による「指定介護老人福祉施設」となれず、介護報酬を支給することはできないとなっていると思います。
 老人福祉法では今も、身寄りのない生活困窮者など、緊急な入所を必要とする高齢者のための措置という制度があると思いますが、特別養護老人ホームも老人福祉法に基づく措置制度が適用されるということで受け止めてよろしいでしょうか。

《再々答弁》 福祉保健部長
 先ほど申し上げたとおり、虐待などやむをえない事由により、特別養護老人ホームに入所を措置するという制度はございます。

(4)介護職の養成の強化への取り組み
《質問》奥村規子 県議
 4つ目は、介護職の養成の強化への取り組みについてお聞きします。
 ホームヘルプサービスは、在宅生活を支える大きな役割を果たすサービスです。国は報酬改定のたびに、これを切り縮めるような変更を繰り返してきました。最初に述べましたが、ヘルパーが利用者の話を聞く時間もなくなり、掃除や調理の手をぬかなければ、やって行けない状況になっています。
 介護現場は非正規職員の割合が高く、賃金格差も依然として産業平均より大幅に低い状態で、人材不足は深刻です。高齢化の進展に伴い、介護職の養成は重要です。
 養成の強化への取り組みをお聞かせください。また、介護職員人材確保や質の向上の取り組みをされているということですが、確保数・定着の状況はいかがですか。

《答弁》 福祉保健部長
 県では、介護分野への新規就業を目指す方を支援する「働きながら資格をとる」介護雇用プログラムや、就職相談会、介護体験事業などを実施し、昨年度は、約350名が事業所に雇用されたところです。
 介護雇用プログラム事業では、平成21年度の事業開始から昨年度までに約420名が新規雇用され、当事業による雇用期間の終了後も、約6割の方が引き続き雇用されているところです。
 一方、介護技術をはじめ、認知症やたんの吸引など専門性を高めるための各種研修を実施し、良質なサービスを提供できる介護職員の養成に取り組んでいるところであり、このことが、介護職に対する評価を高めるとともに職員の定着にもつながるものと考えております。
 また、昨年度から介護報酬に「介護職員処遇改善加算」が創設され、賃金の引き上げにつながっていることから、全ての事業者において活用されるよう、積極的に働きかけているところです。
 今後とも、県といたしましては、関係団体等と連携して、介護職場への人材の参入を促進するとともに、介護職員のキャリアアップ等の支援に取り組んでまいります。

《要望》奥村規子 県議
 新規雇用も増えているということですが、実態としては、まだまだ求人が多い分野で、人材不足が現実の問題ではないかと思います。いっそうの取り組みをお願いします。
 2007年から09年にかけて沸き起こった、介護従事者の人材確保を目的とする賃金・労働条件改善の声に対して、当時の自公政権が「介護職員処遇改善交付金」を臨時的措置として全額国庫負担で行い、さらに、民主党政権は09年の政権交代時のマニュフェストで「4万円賃上げ」を明記しました。
 しかし、今日まで微々たる改善しかおこなわれず、依然として全産業平均よりも大幅に低い賃金水準のままです。国は処遇改善交付金を2012年3月で廃止しました。
 2015年度報酬改定に向けて、介護職員に限定せず、事業所・従事者に全額国庫負担による処遇改善を求めてください。

(5)新政策について
《質問》奥村規子 県議
 最後に、新政策に関して、知事にお尋ねいたします。
 高齢化率が高く、低所得の方が多い和歌山県にとって、誰もが安心して老後が送れるようにするために、どのようなことが必要とお考えですか。

《答弁》 仁坂知事
 高齢社会の進展を迎えた今後の本県における高齢者施策として、中長期的な高齢者人口の推移等を踏まえ、健康状態や所得などそれぞれの状況に応じた施策を用意し、和歌山に住んでいれば老後は安心だと見通しが立てられるようにしていきたいと念願しております。そのため、大きな次のような4本柱でですね、安全・安心の施策を推進してはどうかということで現在新政策としていろいろ検討しているところでございます。
 一つ目はですね、高齢者の地域での見守り。隣近所のつながりが希薄になってまいりまして、地域での助け合いが重要となっております。すでに地域見守り協力員や民間事業者による見守り協力協定は制度ができあがっておりまして、これに関してはすでに和歌山県は全国一だと思いますけれども、これからも一層の充実に努めてまいりたいと思います。
 二つ目はですね、高齢者に元気で楽しく老後を過ごしていただくため、健康推進員制度の創設を図りまして、健康長寿のための施策実施に努めてまいりたいと思います。あわせて、元気な高齢者には介護サービスの担い手となってもらって、元気な高齢者の活躍の場の提供にもつなげていきたいというふうに思っております。
 三つ目は、有料老人ホームあるいはサービス付き高齢者向け住宅、様々な高齢者ビジネスが全国で展開されつつあります。そういう高齢者が安心してお住まいいただけるようなものの整備促進や、おうちにいらっしゃるんだけども家事やいろんな機能、そういうものを代行してですね、高齢者が便利に過ごしていただけるようなそういう生活サービスの普及促進をしていきたいと思っております。これは民間の事業を盛んにしてやっていくということだろうと思いますが、それによって需要者である高齢者に幸せに暮らしてもらうとともにですね、そこで働ける人の雇用をですね、大いに増やしていきたい、こういうふうに思っております。
 四つ目はですね、長期的な高齢者人口の動向を踏まえて、特別養護老人ホームなど各種施設やあるいは在宅も含めた各種介護サービスを、需要予測に応じて適切に整備していくこととしたいと思います。所得の低い人やあるいは資産が少ない人でも安心して老後はまあまあ安心だというふうに思ってもらえるような制度整備をしておくということが大事で、多くの部分は国の制度にかかってるのですが、その運用その他も含めまして、あるいは国の制度がちょっと問題と思ったらそれに働きかけをするというようなことも含めまして、県民それぞれが将来に不安を抱くことがなく安心して人生設計を描くことができるような環境作りをですね、進めていきたいというふうに思います。
 このような4つの項目からなるような政策を整備してまいリまして、安心して老後を暮らしていただける県だというふうにしたいものだというふうに思っております。

《要望》奥村規子 県議
 今、特別養護老人ホームの入所待ちの人が、県内に直近で2,800人ほどいらっしゃると聞いております。そのようなか、介護で仕事を辞めざるを得ないなどの実態もあります。
 やはり、様々な高齢者の一人ひとりの方が、安心して住める和歌山県にしていっていただきたい。最初に言われた見守りや、地域での共同を進めていく方向とあわせ、基盤整備をしっかりと進めていただきたいと思います。それとあわせ、介護の中核になるヘルパーさんの処遇改善も、県としても強めていっていただきたいと思います。よろしくお願いしいたします。


2.若者の雇用問題について
《質問》奥村規子 県議
 2点目は、若者の雇用問題についてお聞きします。
 雇用問題については、9月にお尋ねをしております。そのときの答弁の内容は、和歌山県においても全国と同様に非正規労働者の増加が見られること、若者の雇用促進対策として県出身大学生のUターン就職や工業高校への支援を県独自で取り組んでいること、パワーハラスメントに対する取り組み、「ブラック企業」に関する労働相談の受け付けもおこない、労働関係法令の遵守を広く呼びかけてゆくということでした。
 若者がやりがいをもって、生き生きと働くことができる環境を整えることは、将来の県の発展にとって欠かせません。 いま、子どもに夢はと聞くと、「正社員になること」と答えたという話を聞きました。また、「いまどきの若者はまじめに働こうとしないという「ニート・フリーター」論によって、若者を批判する声も根強くあります。そして、「就職できないのは自分の能力が足らないから」と、自分の責任と考え、ひきこもりやうつ病になって、自分自身を追い詰めているといった話もよく聞きます。このような、若者の就業困難の背景には、雇用環境が大きく変わってきたことにあると思います。

(1)雇用の現状をどう把握し、取り組みをしているか
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたします。和歌山県における雇用の現状を、どう把握し取り組みをされていますか。

《答弁》 商工観光労働部長
 雇用の現状については、本年10月の有効求人倍率が0.96倍と改善傾向にあるものの、求人と求職のミスマッチも生じており、加えて非正規労働の増加など、若者の雇用就労環境は依然厳しいものと考えております。一方で高校卒業生のうち、毎年約9割の学生が県外の大学等へ進学し、多くの若者が県外で就職しております。このような現状を踏まえ、若者の県内企業への就職促進は、県内産業の発展にとっても極めて重要であると考え、様々な施策に取り組んでいるところです。
 具体的には、求人拡大のための経済界への働きかけ等により、高校生の県内就職の促進に取り組むとともに、大学生等のUIターンを促進するため、県内や大阪、東京での企業面談会や、大学等での就職セミナー等を開催するほか、県内企業情報等を掲載した冊子を作成し、今年度は、約4,000人の県出身学生に提供することにしています。
 また、和歌山市の若年者就職支援センター「ジョブカフェわかやま」では、若者がそれぞれの希望に応じた職につけるよう、カウンセリングから職業紹介、職場定着フォローアップまでワンストップで対応しながら若年者の就労支援に取り組んでいるところでございます。
 今後ともこうした取組を工夫しながら、県内企業への若者の就職促進に取り組んでまいります。

(2)高校生の就職状況と取り組みについて
《質問》奥村規子 県議
 2つ目は、高校生の就職状況と取り組みについてお尋ねいたします。
 県内の高等学校では、就職希望者の進路実現のために、企業の協力のもと、インターシップや職業人講話、実習授業への講師派遣など、さまざまな取り組みを推進していると聞いております。県内の就職を希望する高校生の就職状況はいかがですか。

《答弁》 教育長
 本県高校生の平成25年3月末の就職希望者数は、2,115名で、そのうち就職内定者は、1,902名、就職内定率は、89.9%でありました。近年、内定率は90%前後で推移しており、全国平均と比べて約5ポイントから6ポイント下回る厳しい状況にあります。
 また、県内就職を希望する生徒の割合は高い傾向にありまして、就職希望者全体の8割弱を占めております。

《再質問》奥村規子 県議
 県内就職希望者が80%近くを占めるということで、高校生の場合は県内に就職したいという方が大変多いと受けとめましたが、内定率については、全国的に見ても厳しい状況にあるということですが、この原因をどのようにお考えですか。また、どのような取り組みをされていますか。教育長お答えください。

《再答弁》 教育長
 県内の就職状況が厳しい原因といたしましては、平成25年3月卒業生の全国の求人倍率が1.37倍に対して、県内は0.91倍と、全国と比べて極めて低い状況にあることが挙げられます。また、生徒が希望する職種の求人が少ないということなど、さまざまな要因が考えられます。
 こうした状況の中、各学校では、教職員が企業訪問を行うなど、就職先の開拓に力を入れるとともに、企業から強く求められている基礎学力やコミュニケーション能力を身に付けさせるための、きめ細かな指導に力を入れています。また、教育委員会といたしましても、経済5団体に対する求人要請を行うとともに、学校やハローワーク、企業関係者等が密接な情報交換を行い、雇用拡大に向けた対策を講じているとろでございます。
 今後とも、関係部局とも協議しながら、さらなる求人開拓と教員の就職指導力強化のための仕組みづくりを、積極的に進めてまいります。

《要望》奥村規子 県議
 教育現場だけにまかせずに、県全体として、高校生の求人開拓に取り組んでいただきたい。教育委員会からも、強く発信をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

(3)「ブラック企業」に関する認識について
《質問》奥村規子 県議
 次に3つ目は、知事にお尋ねします。
 国会では、若者を「使い捨て」、「使いつぶす」働かせ方が問題になりました。厚労省は平成25年9月1日に、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に関する無料電話相談を行い、全国から1,042件(速報値)の相談が寄せられました。主な相談内容は、賃金不払い残業と、長時間過重労働、パワーハラスメントが上位3項目を占めています。現在も、都道府県労働局・労働基準監督署で労働相談を受け付けています。
 国会で安倍首相は、この問題に対する認識として「政府としては、若者の『使い捨て』が疑われる企業は社会的に大きな問題だと考えており、相談体制、情報発信、監督指導等の対応策を強化するなど、現行の労働基準法等の遵守について、しっかりと取り組んでまいります」と答弁し、対策強化を表明しました。そのこともふまえ、厚労省は先にのべた電話調査に加え、4,000社への調査などの対策をすすめ、和歌山県内でも調査が行われました。県においても、若者の働く環境を考える上で、見過ごせない問題です。
 そこで知事に、いわゆる「ブラック企業」に関する認識をお伺いします。

《答弁》 仁坂知事
 先程、奥村議員から安倍総理の議会答弁がご紹介されましたが、まったくそのとおりであると考えております。日本の産業の良いところは、長い目で見てうまくいくように誠実にみんなが対応するということだったと思うのですが、それが短期的にお金が儲かればよいということで、大事な若者を「使い捨て」するような過重労働とか賃金不払い残業などは、あってはいけないことだろうと思います。
 和歌山県においては、労働委員会における個別相談というものが大変定評のあるところでございます。一生懸命やっていただいているのですが、内部部局における情報収集なども踏まえて、いろいろなアンテナを高くして、問題になりそうなものが我々として認識されるならば、企業への注意喚起を行うというようなことをやっていきたいと思いますし、場合に応じては、より強力な、法律的な規制権能を持っている労働基準監督署に情報提供したりするようなこともやって、若者が泣かないようにしていきたいと思っております。

《要望》奥村規子 県議
 知事の方から、対策をしっかりやっていきたいという答弁をいただきました。私も、本当にそのことを願っています。その上に立って、「使い捨て」や「使いつぶし」がなぜ起こってきているか、どうすればなくせるのか、という立場で取り組んでいただきたいと思います。
 そのためには、第1に、現行法の厳格な実施により「違法な状態から若者をすくうこと」、第2に、企業や事業者に現行法をまもらせること、第3に、労働者に労働法関連の労働者保護の現行法を身につけられるようにすることだと思います。
 和歌山県でも2008年に、若者向けに「労働法の基礎知識」というリーフレットを作ってくれました。引き続いて、より良いものにしながら活用をしていってほしいと思います。

(4)働きやすい環境づくりについて
《質問》奥村規子 県議
 最後に4つ目は、働きやすい環境づくりについて、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 法律の弱点をかいくぐって、違法行為を隠ぺいしたり、脱法的な手法で過酷な労働を強いることは許されません。ブラック企業を規制することが大事だと考えます。
 9月の一般質問の際、ハローワーク前でのアンケート調査や労働局でお話を伺いました。
 今回も、関係機関でご意見をお聞きしました。ブラック企業の問題の背景は、非正規雇用が増えたこと、労働者の知識不足、法体系の問題ではないかと述べられていました。
 県として、若者が安心して働き続けるために、どのような取り組みをされていますか。

《答弁》 商工観光労働部長
 若者が働きやすい環境づくりを進めるにあたっては、雇用する側、される側双方が、労働基準法をはじめとする雇用に関する様々なルールの基礎的な知識を習得し、これを遵守することが重要であると考えております。
 このため、県としましては、毎年、労使を対象として労働関係法規や労務管理手法、職場のパワハラ対策などをテーマにした各種セミナーを開催し、その周知に努めているところです。
 また、「ジョブカフェわかやま」から高等学校へ講師を派遣し、就職する生徒を対象に実施している講習において、教育委員会とも連携し、より分かりやすく工夫をしながら働く上での基礎知識の向上を図るなど、若者の働きやすい環境づくりのため取組を行ってまいります。
 また、県が運営している労働相談室には年間250件程度の労働相談も寄せられておりますが、その内容を詳細に把握し、若者の雇用環境の悪化につながるような問題については、場合に応じて労働基準監督署に情報提供を行うことや企業等に対する注意喚起を促すなどの対応を行ってまいります。

《要望》奥村規子 県議
 これは、神奈川県の労政福祉課が出されている「過酷な働き方をさせられていませんか!」というリーフレットです。こういったことも含めて、若者だけでなく、全県民に周知徹底するということをお願いしたいと要望して、質問を終わります。ありがとうございました。


 
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