2014年2月県議会
雑賀光夫 一般質問 概要記録
 議会中継動画
2014年3月3日

1.紀北支援学校改築にかかわって
(1)紀北支援学校改築スケジュールは
(2)改築期間中の問題
  ・プールについて
  ・スクールバスの運行委託入札について
  ・スクールバスによるプールへの送迎について
  ・職員室などについて

2.和歌山盲学校の道路問題

3.「原発ゼロ」をめざし自然エネルギー開発へ
(1)伊方原発を視察して
(2)風力発電について
(3)メガソーラー・住宅ソーラーの現状と見通し

4.「話せる英語」の大合唱について
(1)「英語教育大論争」にかかわって
(2)「日本語能力を鍛える」外国語教育の一面
(3)使う機会があってこそ外国語能力は身に付く
(4)「ディベート」などの成果は?


《はじめに》雑賀光夫 県議
 今朝ほど、中議員(公明党県議団)から懐かしい海南高校の応援エール、「フレー・フレー海南」を聞かせていただきました。私は、野球部ではありませんが、海南高校野球部の黄金時代の在校生でした。その後の野球部員であった藤山県議と一緒に、しっかり応援したいとおもいました。

1.紀北支援学校改築にかかわって
《質問》雑賀光夫 県議
 それでは、議長のお許しを得ましたので質問にはいらせていただきます。
 第一の柱は、紀北支援学校の改築にかかわる問題です。
 先日、紀北支援学校を訪問しました。和歌山県で南紀支援学校についで開校して約40年になります。知的障害をもつ子どもとともに肢体不自由な子どもを受け入れ、一時は中庭にプレハブ校舎がならんでいたのですが、6期計画の校舎改築計画ができたとお聞きしておりました。第一期として、生徒増に対応すると同時にプレハブ解消のための新校舎が完成しておりました。
 古い校舎と新しい校舎を回らせていただきましたが、廊下の広さも新しい校舎は古い校舎の1.3倍ほどあり快適です。校長先生は、「せっかくの新しい校舎で中学部・高等部の生徒をいれてここで卒業させてやりたいと思ったのです」という生徒への思いやりを語っておられました。
 第一期工事が終われば、第二期にかかると考えるのですが、実はそうはならない。次の工事にかかろうとしても古い校舎が老朽化の基準まできておらないために、健全な校舎を壊したら今後建て替える校舎に対して国の補助金を受けられないそうです。
 第一期工事のために、プールも撤去してしまった状態です。計画では、運動場に校舎を建てるため工事中は、運動場が狭くなります。近くのグランドを借りなくてはならないでしょう。
 校内をまわって、これはと思ったのは、職員室の狭さです。小学部・中学部だけで一つの職員室があるのですが、普通より少し幅の広い机が入っている。それを二人の先生が区切ってつかっている。間にキャスターのついた引き出しを置いて区切りにしている。やっとひざが入るだけの空間が一人分です。職員朝礼をするときは、高等部の先生が二階の職員室から降りて来て、机の間にたったまま会議をするのだそうです。
 第六期工事まで完成したときには、こういう状態は解消するのでしょうが、いつまでこういう状態がつづくのだろうか。一番大事な、児童生徒は工事完成までプールが使えない、建て替え期間中は運動場が使えないという状態は、たいへんだろうと思いました。
(1)紀北支援学校改築スケジュールは
 そこで教育長にお伺いいたします。
 すばらしい設計図ができて、改築におおいに期待するのですが、改築のタイムスケジュールはどのように考えておられるでしょうか。

《答弁》 教育長
 改築のタイムスケジュールについてでございますが、紀北支援学校につきましては、施設全体の整備計画を平成20年度に作成し、平成22年度に教室不足解消のための校舎を増築しました。
 既存校舎等につきましては、既に耐震化や大規模改修を実施していることもあり、今後、既存校舎の全面建て替えについては、施設の状況を見ながら、必要な時期に建て替えを行ってまいりたいと考えております。

(2)改築期間中の問題
・プールについて
《質問》雑賀光夫 県議
 それにしても、既存の学校の運動場に新しい校舎をたてては、古い校舎を壊していく。大変だなあと思いました。それもはっきり言われませんが5−6年もかかるのでしょう。
 まず、支援学校の子どもたちにとって、身体の発達にとって大切なプールがなくなってしまっている。それについては、どうしていかれるのでしょうか。

《答弁》 教育長
 紀北支援学校では、校舎等の全体配置計画上で、やむを得ず、老朽化したプールを取り壊したところです。そのため、平成22年度から近隣の公共プールや高等学校等のプールを使用してきました。
 来年度からは、新たに秋葉山公園県民水泳場の室内温水プールの活用も予定しているところでございます。

・スクールバスの運行委託入札について
《質問》雑賀光夫 県議
 秋葉山のプールまで、スクールバスにのっていかなくてはならない。時間的にそれはたいへんでしょうけれども、秋葉山のプールは、温水プールがあるわけですから、年間を通じてつかえるのかなとも思います。
 ところで、スクールバスですが、かつては、支援学校は自前でバスを持ち、職員が運転しておりました。それなら、いつでも学校の都合でバスを出すこともできるのですが、最近では、運転業務は民間会社に委託している、バスごと外注というケースもあります。関係者から、競争入札で価格が低下しているが、安全性は大丈夫かという問題提起をうけたこともございます。とりあえずお伺いしておきます。土木事業などの発注では「最低制限価格」というものもありますが、スクールバスの外注・競争入札では、「最低制限価格」というものを設定しておられるのでしょうか。

《答弁》 教育長
 最低制限価格の設定は、過度な価格競争、あるいは調達する業務について品質の低下が懸念されるような場合に考慮する必要があると考えておりますが、スクールバスの契約においては、そのような状況は生じていないことから、最低制限価格は設定しておりません。

・スクールバスによるプールへの送迎について
《質問》雑賀光夫 県議
 入札問題については、今日はそこまでにしておきますが、過当競争で安全性が低下しないようにお願いします。スクールバスは、子どもの送迎だけでなく、学校行事やプールへの送迎も十分できるような体制になっているのでしょうか。

《答弁》 教育長
 契約では、子どもの登下校の送迎以外に学校行事やプールへの送迎についても規定しており、その中で対応できる体制となっております。

《再質問》雑賀光夫 県議
 重ねてお聞きしますが、事前にスクールバス運行委託会社との契約状況をチェックしたのですが、バス5台で、各8回、プールの送迎をしています。乗車定員いっぱいに乗せれば延べ1,840人を送れますという説明をいただきました。児童・生徒数は、237人。一人当たり7回あまりということです。
 ところが実際は、多くの職員が一緒に乗らなくてはならない。車いすの子どももいる、いろいろな子どもを抱えて、そういうわけにはいかないでしょう。
 学校の時間配分もあるでしょうが、温水プールで一年中利用できるメリットがあるなら、年間10回ぐらいはプール送迎できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

《再答弁》 教育長
 契約では、学校教育活動等で年間48回まで運行が可能となっていますので、その範囲内での対応は可能でございます。

《コメント》雑賀光夫 県議
 一台のバスで、一応プール8回としていますが、年間48回使えるので、その範囲内で対応は可能であるという答弁をいただきました。

・職員室などについて
《質問》雑賀光夫 県議
 心配なのは、職員室などの狭さです。職員室等はどのようにお考えでしょうか。その上に、工事中は運動場もつかえなくなる。工事にかかる6年間ほどの間、近くに土地を借りるということも含めて、なんらかの対応が必要だと考えるのですが、いかがでしょうか。

《答弁》 教育長
 職員室等につきましては、校舎の建て替えの際に必要な面積の確保に努めてまいります。
 また、工事期間中の運動場につきましては、可能な限り敷地内での確保に努めてまいりますが、困難な場合は、ご指摘のように近くで借地することも検討してまいります。

《コメント》雑賀光夫 県議
 和歌山県の支援教育は、全県各地域に支援学校を配置していること、高等部全員入学など、誇るべき到達点をもっていると思います。このたびの紀北支援学校改築にも大きな期待をもっています。しかし、その改築期間にこの学校で学ぶ子どもたちに不自由な思いをさせないように、十分の配慮をお願いして次にすすみます。


2.和歌山盲学校の道路問題
《質問》雑賀光夫 県議
 第二の柱は、一昨年の9月県議会でとりあげた、盲学校敷地にかかる道路建設です。あのとき、仁坂知事から、「教育環境を保持できるように全力を挙げて対策を検討」という答弁を頂き、それをベースにした、盲学校・盲教育関係者と県教育委員会・道路関係者との話し合いに、私も何度か立ち合わせていただきました。いよいよ煮詰まってきていると思いますが、盲学校の教育環境を守る有効な対応はできるのでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 和歌山盲学校に関する道路環境対策につきましては、知事から、「教育環境を保持できるように全力を挙げて対策を検討すること」との指示を受け、これまで、教育委員会及び盲学校と十数回におよぶ話し合いを重ね、検討してまいりました。
 話し合いの中で、「音が視覚障害のある児童生徒にとって大切な情報源である」ことを重視し、グラウンドなど5箇所において昼間の騒音レベルを45デシベル、寄宿舎では夜間の騒音レベルを40デシベルとする目標を設定し、対策を講じることとしたところです。
 具体的には、道路と盲学校の境界、歩車道の境界及び中央分離帯に防音壁を設置し、併せて低騒音舗装を行う予定であります。
 また、供用後におきましても、児童生徒の教育環境を保持できるよう、教育委員会及び盲学校とも十分に話し合いを行いながら、適切に対応してまいります。

《コメント》雑賀光夫 県議
 私も何度か話し合いに立ち会いましたが、知事の答弁を受けて、真剣に検討されてと思います。しかし盲学校関係者はまだまだ不安を抱えています。やってみて問題があった場合は、さらに対策をお願いできるとお答えいただいたことを確認して次に行きます。


3.「原発ゼロ」をめざし自然エネルギー開発へ
(1)伊方原発を視察して

《質問》雑賀光夫 県議
 第3の柱として、自然エネルギー開発についてお伺いします。
 1月末に「行政改革・基本計画等特別委員会」の視察で、伊方原発の視察に行かせていただきました。再稼動をめざして準備中という伊方原発は、比較的高台にあります。したがって、静岡県の浜岡原発のように、20数メートルの防波堤で囲む必要はありません。それでも、1000億円近いお金をかけて再稼動にむけての準備をしていました。廃棄物の収容能力は、あと10年は大丈夫だということですが、案内の方も言われた通り、10年と言うのはすぐですから、再処理施設が動き出さないとどうにもなりません。管理棟は免震構造のうえ、事故が起こった場合、すべての職員を収容できる、食料の備蓄もある、中の気圧を高くして外から放射能ははいらないようにするなどの機能をそなえているなどは、万一の事故に備えて労働者を守るために考えられているという説明でした。しかし、説明の方に「この原発再稼動のネックは、半島部の住民の避難体制でしょうね。どうなっていますか」とお聞きしますと、「それは、県のほうで考えてくれています」という返事が返ってきまして、違和感を覚えました。
 1000億円かけてもたくさんの課題が残る中、原発は本当に必要なのか。先日は、想定される東海地震の震源域の真上にある、一番危険な原発といわれる浜岡原発を3000億円かけて整備し、安全審査の書類を提出したという報道を聞くにつけても、「そんなことより自然エネルギーなどの研究・開発・そして一日も早い普及に力を入れればいいのに」と思った次第です。

(2)風力発電について
 さて平成26年度の「当初予算・新政策」には「新エネルギーの推進」とあります。
 メガソーラーは、14メガワットの稼動中であり、76メガワットが計画中だといいます。風力は、76メガワット稼働中で、142メガワット計画中といいます。
 まず、私が再々被害者救済を訴えてきた風力発電についてお伺いしたいと思います。
 実は、一昨日、「風力発電を考える会・和歌山」の総会が開かれました。そこには北海道から大学の先生がわざわざこの総会に参加するためにおいでになっていました。北海道でも風力発電がすすめられようとしているが、大丈夫なのか。和歌山の経験を吸収して帰りたいというお話でして、和歌山の風力発電と低周波・超低周波問題が、全国的に注目されているのです。
 その場で「風力発電の羽の下で」というDVDが発表されました。私がよく紹介する由良町の被害者の方、また、最初に私に訴えをされた下津町大窪にお住まいだった方などが、風力発電風車の被害をたんたんと語っています。ここに持ってきましたので、のちほど知事にも一枚お渡しますので、ぜひごらんいただきたいと思います。
 これまで、県内ではたくさんの風力発電が計画されているとお伺いしていました。昨年9月県議会で私がとりあげた直前に、日高川町の二つの計画が撤退を表明しました。これまでの計画で中止になったもの、その後計画されたものなどを踏まえて、さまざまな計画の「消長」「変更」、そして現在の計画、その規模についてお教えください。

《答弁》 商工観光労働部長
 平成23年度末時点では9箇所90基185.5メガワットの計画がありましたが、現在計画が進行しているものは、建設中をふくめ4箇所56基142メガワットとなっております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 「風力発電と体調異常の因果関係はわからない」と何回もお答えいただいているのですが、1000キロワットから1500キロワットの風力発電から被害の訴えが目立っていると思います。それが、3000キロワットの風車の建設を、一方では被害の訴えと風車の関係はよくわからないといいながら進めようとしても、住民の皆さんの理解は得られないだろうと思います。被害の訴えへの対応をしっかりしていただきたいと申し上げておきます。

(3)メガソーラー・住宅ソーラーの現状と見通し
《質問》雑賀光夫 県議
 つぎに、メガソーラーと住宅等へのソーラー発電です。
 メガソーラーについては計画中のものが現行の5倍ということです。住宅等への補助は、国では廃止しても県では継続するということです。
 メガソーラーは、どういう計画があるのか、太陽光発電システム・住宅用ソーラーの普及促進の現状と見通しをお聞かせください。
 商工観光労働部長、環境生活部長からそれぞれお答えください。

《答弁》 商工観光労働部長
 県で把握しておりますメガソーラーの計画は、和歌山市の20メガワット、有田市の30メガワット、上富田町の15.7メガワットなど建設中のものも含め10箇所75.8メガワットとなっております。

《答弁》 環境生活部長
 県内の住宅用太陽光発電設備の導入状況につきましては、国の調査資料や補助実績から、平成25年12月末までの累計で設置件数約1万4,800件、発電能力約6万1,500キロワットと推測され、ここ2〜3年では毎年2,000件から3,000件の設置がございます。
 国の補助制度が今年度末までの申請で終了となる中、本県では、平成26年度も引き続き住宅用太陽光発電設備導入補助の実施を提案しており、また、太陽光パネルの価格低下や再生可能エネルギー固定価格買取制度による支援、県民の環境意識の向上などにより、これからも太陽光発電の普及が図られていくものと考えております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 和歌山市の20メガワットの計画というものは、私も事前に和歌山市の議員から資料をいただきました。
 これは、コスモパーク加太の和歌山市管轄部分にメガソーラーを募集したものですが、1平米350円で、22年間に27億5000万円、地域貢献金とあわあせて33億円を払うといっています。
 県の場合は、20億円かけて造成した土地を1平米100円でカゴメ菜園として貸している。あまりにも落差が大きいということだけ、本日は指摘するにとどめておきます。
 海洋エネルギー開発は、まだ時間がかかりますが、期待いたします。太陽光発電システムの普及促進について、先日、知事と懇談した際、国の施策にあわせて廃止を検討しておられるかのような話があって心配していたのですが、継続されることは結構です。さらに予算額をふやしていくことを要望しておきます。


4.「話せる英語」の大合唱について
《質問》雑賀光夫 県議
 第4の柱として、「話せる英語」の大合唱についてという表題をつけました。
 「話せる英語」「英語早期教育」の議論が花盛りであります。
 和歌山県でも、「高校生にディベートをさせよ」という試みがありますし、文部科学省は、小学校3年生からの英語教育を実施しようとしています。
 「日本の中高校生は、英語学習に膨大な時間をつかってきた。それなのに話すことができない、役に立たない。これは、これまでの英文解釈や文法中心の受験英語教育が行われてきたからである。英文解釈や文法中心でなく、会話を中心にした生きた英語を学ばせなくてはならない」という考えが、その基礎にあるように思います。それも一理あります。
 実は、私もかつては「英語を話せない英語教師」でありまして、英語教師に見切りをつけて、通信教育で社会科教員の免許をとって、社会科に転向したという前歴をもっています。したがって、「英語を話せない英語教育」という言葉にはコンプレックスに近いものをもっていて、この種の英語教育批判には逆らえないという思いを持ってきました。
 しかし、「話せる英語」の大合唱を前にして、すこし冷静になって考えてみる必要があるのではないかと思うわけです。
(1)「英語教育大論争」にかかわって
 1970年代に、「日本の英語教育はこれでいいのか」を巡って「英語教育大論争」というものが行われたことがありました。教育長、こうした論争があったことをご存知でしょうか。
 和歌山県で考えられている英語教育改革とからんで、この論争を考えてみたいのですが、教育長、なにかお考えになることがあればお聞かせください。

《答弁》 教育長
 いわゆる「英語教育大論争」というのは、昭和50年前後、参議院議員であった平泉渉氏と上智大学教授であった渡部昇一氏との間で、いわゆる使える英語という実学を重視すべきであるという論点と、もう一つは、知的訓練としての教養英語をしっかりとやっていくべきだという、二つの論点から当時、日本の英語教育の在り方について意見が交わされたものであり、海外でも反響をよんだものとして知られております。私もその点につきましては承知をいたしております。
 過去の論争は論争として、グローバル化が急速に進んでいる現在、世界の国際共通語としての英語の重要性は益々高まってきており、英語教育の改善は喫緊の課題であると捉えております。

(2)「日本語能力を鍛える」外国語教育の一面
《質問》雑賀光夫 県議
 お答えいただいたように、この論争は、自由民主党参議院議員・平泉渉氏と英語学者である渡部昇一氏との論争でした。渡部昇一氏というのは、保守の論客でありまして、その歴史観については私などとは全く相反するわけですが、この方の本職は、英語学者であります。平泉・渡辺のお二人が、「諸君」という雑誌で「英語教育大論争」を繰り広げたわけであります。
 平泉参議院議員は、これまでの英語教育は「成果はまったく上がっていない」として、すべての中学生に教える英語は初歩的なものでいいとして、英語が必要な5%の生徒を養成するコースを設ける、全国的な外国語能力検定制度をもうけるなど主張しました。つまり、英文解釈や英文法で多くの高校生が悪戦苦闘しても英語が使えないのは無駄だから、やめてしまおうということでした。
 すべての生徒にディベートをさせろ、小学校3年生から英語になれさせろというのとは、まったく対極にあるように見える主張です。しかし、その根本にあるのは、「話せない英語・使えない英語教育は、意味がない」ことであり、この二つの主張には共通点があります。
 平泉氏の主張に渡部氏が反論しているなかで、重要だと考えるのは、中学生になってから英語を学ぶことは、それを通じて、「母国語と格闘することである」としている点です。「英文和訳や和文英訳や英文法などは、ことごとく知力の極限まで使ってやる格闘技なのである。そして、ふと気が付いてみると、外国語と格闘していると思ったら、日本語と格闘していたことに気付くのである」と述べている。つまり英語学習を通じて日本語の能力が鍛えられるというわけです。私は、今日の英語教育の在り方を考えるうえで、この観点も、大変大事だと思います。
 教育長は、どうお考えでしょうか。

《答弁》 教育長
 英語教育の在り方につきましては、様々な考えがあることは十分承知いたしております。しかし、今日のグローバル化社会に対応する英語教育では、自分の意見を伝える、話せる、相手の言うことがわかる、使えるなど、国際化する社会で、実際に英語が使える能力を育成することが求められております。こうした考え方から、本県では現在、国際人育成プロジェクトを積極的に推進しているところでございます。

(3)使う機会があってこそ外国語能力は身に付く
《質問》雑賀光夫 県議
 また、渡部氏は、子供が外国に連れて行かれたとき、幼児はいともたやすく現地語を覚える、次の国に移ると覚えた言葉をすっぱり忘れて新しい言葉を覚えるといっています。外国で生活した子どもは、日本に帰ってきて、しばらくは外国語が話せるが、外国語をつかわない環境におかれると、すぐに忘れてしまうといわれる。
 前回の県議会で討論された方が、「知事と一緒に外国に出張したが、知事は英会話が堪能で、自分ももっと英語の勉強をしておけばよかった」と話されました。私は、知事の英語力は学生時代に勉強されたこともあるのでしょうが、その後、外国の大使という英語を使う環境を経験されたことも大きいのではないかと思いながら、その討論をお聞きしました。
 それはさておき、今日の英語学者の中で、早期英語教育に疑問を持つ方も多いのです。小学校段階では、しっかり身につけなくてはならないことがたくさんある。英語の早期教育に時間を割く必要があるのかどうか疑問です。教育長はどうお考えでしょうか。

《答弁》 教育長
 近年、急速に国際化が進んでいく中で、世界の人々とコミュニケーションできる生きた英語力を身につけるためには、小・中・高等学校と継続して授業や様々な行事の中で、広く英語を使う機会を取り入れることが必要だと考えております。
 特に英語への抵抗感が少ない小学校段階では、本県が独自に作成した「英語版ふるさと教材」などをしっかりと活用しながら、英語の歌やゲームなども取り入れ、英語を身近なものとして親しませるとともに、外国の人と対話したり、外国の歴史や文化を受け入れていく態度を育成することが重要だと考えてございます。

(4)「ディベート」などの成果は?
《質問》雑賀光夫 県議
 和歌山県では、すべての高校生が英語でディベートできるようにするということをぶち上げました。相手をやっつけるディベートというものが教育の場にいいのかどうかをべつとして、日本語でも討論できない高校生が多い中で、なにがディベートかという意見もあります。いま、どういう成果があがっているのか、お伺いしたいと思います。

《答弁》 教育長
 高等学校の英語の授業において、全国的に見ても本県では早い時期から、ディベートやディスカッションを取り入れたり、本年度、県内の12校18チームが参加した高校生英語ディベート大会を実施したりしてございます。このような機会を通して、英語を使って自分の意見を伝えたり、相手の意見を聞いたりする能力が着実に育成されてきております。
 また、こうした取組は、日本語による討論や論理的思考力を育む上でも、大きな効果を発揮していくものと受け止めております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 今日の教育長との議論はあまりかみあっているとは思いません。もっとディベートすればいいのでしょうが、まあいいでしょう。
 私は、使える英語・ディベートがわるいというのではありません。すべての生徒にそれを押し付けるのはどうかと思います。英語教育には様々な面があります。「母国語との格闘」を紹介したのは、その大事な一面です。
 ただ、私のように英語を話せない英語教師でいいとは思いません。教員が、話すことだけでなく、よい英語にしっかりと触れる機会を確保することが大切です。そのためには、教員にゆとりと研修の機会が保障されなくてならないというのは、前回の議会でも申し上げたところです。
 以上で、わたしの質問を終わります。ありがとうございました。


 
 教育長の答弁を聞く、雑賀光夫県議(左)
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