和議第135号
               政府の規制改革会議がとりまとめた農業改革案の
                 農業協同組合見直しに反対する意見書(案)

 政府の規制改革会議は、農業協同組合の見直しをはじめ、農業委員会等の見直し、農地を所有できる法人「農業生産法人」の見直しを3本柱とする農業改革案を発表した。
 国連は2012年を「国際協同組合年」と宣言し、各国政府に協同組合を支援していくことを呼びかけた。これは、世界が金融や経済の危機に直面する中で、協同組合のもつ社会や経済の安定に果たす役割を高く評価したためであり、日本政府も「国民生活に重要な役割を果たしている協同組合の地域に根差した助け合い活動がさらに広がっていくようできる限り後押ししていく。」と表明をしている。
 今回の改革案における農業協同組合の見直しについては、日本政府の表明に反するものであり、これまで一貫して、地域の農業者、地域住民とともに歩みをすすめて今日の姿を築き上げてきた農業協同組合の存在を軽視するものである。
 特に、改革案にある「准組合員の事業利用制限」は、地域住民の事業利用権を侵害するものであり、「信用・共済事業の窓口・代理業化」や「全農の株式会社化」、農業協同組合の健全化の指導的役割を担う「中央会制度の廃止」は、地域経済・地域社会を下支えする農業協同組合の存続を危うくし、協同組合の根幹である農業者等による協同行為を否定することにもつながりかねない。
 協同組合が時代の変化に対応し、常に改革の努力を行っていくことは、言うまでもない。しかし、それらの改革は、あくまで組合員の立場にたった協同組合自身による自己改革が基本である。そうした意味において、今回の規制改革会議の「意見」は、「自主・自立」、「民主的運営」を基本に組合員の出資・運営参加により事業を実施する協同組合のあり方が考慮されておらず、一方的に制度改変を迫るものであり、今回の規制改革会議がまとめた農業改革案の農業協同組合見直しに対し反対するものである。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成26年6月11日
           様
                                                      和歌山県議会議長
                                                          (提 出 者)
                                                           谷   洋一
                                                           長坂 隆司
                                                           雑賀 光夫
                                                           角田 秀樹
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 農林水産大臣
 内閣官房長官