和議第140号
        集団的自衛権行使を容認する解釈改憲に反対する意見書(案)

 現在、政府は、内閣の閣議決定により従来の政府見解を変更し、憲法解釈を変更することで、集団的自衛権の行使を可能にすべく、準備を進めている。
 これまで歴代の内閣は、長年にわたり国会での議論が積み重ねられる中、集団的自衛権の行使については、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないのにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と定義した上で、「我が国が、国際法上、集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であるが、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」旨の見解を30年以上にわたって一貫して堅持してきた。
 それゆえ一内閣の政治的な判断により、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の根本的な変更は安易に行うべきではなく、このような国の安全保障政策の大転換に関わる重大な問題について国民的な議論もなされないままに、なし崩し的に閣議決定を急ぐ政府の姿勢は、あまりにも拙速であり、到底容認できるものではない。
 国民主権の立場で国家権力を制限し、国民の人権を守るのが憲法の本質的役割であり、立憲主義の原理である。このような憲法の本質に照らして、憲法の解釈は権力者の恣意に任せられることがあってはならない。
 よって本県議会は、集団的自衛権行使容認の解釈改憲を強引に推し進める安倍内閣に対し強く抗議し、憲法解釈の見直しは行わないよう強く要請する。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成26年6月27日
           様
                                       和歌山県議会議長 坂本 登
                                                  (提 出 者)
                                                   雑賀 光夫
                                                   松坂 英樹
                                                   奥村 規子
                                                   高田 由一
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 法務大臣
 外務大臣
 防衛大臣