2014年6月県議会 福祉環境委員会 奥村規子委員の質問概要記録 2014年6月24日
【福祉保健部】
《質問》奥村規子
委員
先ほど部長から説明された説明要旨に沿って質問させていただく。
まず、国会も6月22日に会期末を迎えたということで、その中で「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」が成立した。それに関連して、県行政の中で、特に県民の安全・安心を守っていく中で、県にどのような影響が考えられるか、長寿、医療、障害のそれぞれの関連で説明いただきたい。
《答弁》 医務課長
地域医療・介護総合確保推進法に関連して、医療行政については、限られた医療資源を有効に活用して質の高い医療を実現するためには、地域の医療機関が機能分化と連携を図り、急性期から回復期、あるいは在宅療養に至るまで、地域全体で切れ目なく、必要な医療を提供する体制を整備することが非常に重要であると認識している。
この法律でも、「地域での効率的で質の高い医療の確保」と「地域包括ケアシステムの構築」が2本柱として挙げられており、県としても国の動向を見きわめながら、地域医療ビジョンの策定、新たな基金の設置に向けて、医師会を初め関係団体と調整しながら、地域の実情に合った医療介護の提供体制の構築を目指していきたいと考えている。
《要望》奥村規子
委員
病床の問題で、一般質問でもさせていただいたが、病床数は基準からいえばオーバーになっていると保健医療計画の中でも書かれている。先ほど、病院の状況やいろいろなことで検討していくと言われたが、特に地域的な問題で、医療需要や実態をしっかり見ながら病床数を検討いただきたいと切に思う。それぞれの医療圏の事情や状況などがあり、一律にはなかなか進めていけるものではないと思うので、住民の代表、その地域を担っている市町村のみなさんも含めて十分検討いただきたい。
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《質問》奥村規子
委員
精神科病院の病床について、和歌山県の場合、全国的に見て平均在院日数が長いがどのように対応するのか。また今後、病床数をどのように考えていくのか。
《答弁》
障害福祉課長
ご指摘のとおり、和歌山県の場合、平均在院日数は、全国に比べ40日ほど長い。
最近入院した患者については、早く退院をしていくサイクルができつつある一方、既に、長期に入院している入院患者の場合、特に高齢者の入院患者については、簡単には退院できないようなケースも多い。このため、退院するために、必要な支援や地域のサポート体制なども含めて検討することが大切と考えており、モデル事業を実施する中で検討しているところである。
病床削減については、全国的な流れとなっている。和歌山県でも同様と考えるが、病床削減とあわせて、医療や福祉などの地域における支援体制整備とセットで考えていく仕組みづくりが重要と考える。
《要望》奥村規子
委員
長期入院の場合、難しい課題があると思う。
病床数を減らす場合に、病床を例えばグループホームに置きかえるような案が聞こえてきている。
そういうことではなく、退院して、しっかりと社会で障害を抱える人も一緒に地域で暮らしていくという基盤をつくっていく方向で考えていただきたい。
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《質問》奥村規子
委員
介護の面で、地域医療・介護総合確保推進法の成立によって、県民にどのような影響が出るのか。
《答弁》
長寿社会課長
改正の主なポイントは2つで、1つが「地域包括ケアシステムの構築」、もう1つが「費用負担の公平化」である。
具体的には、「地域包括ケアシステムの構築」では、これは高齢者が住みなれた地域で生活を継続できるよう、介護、医療、予防、住まい、生活支援を充実させていこうとするもので、在宅医療・介護の連携や認知症施策の推進や生活支援サービスの充実・強化等による地域支援事業の充実、全国一律の予防給付の市町村事業への移行、特別養護老人ホームの新規入所者を原則要介護3以上に限定することなどが定められている。
また、「費用負担の公平化」としては、低所得者の方の保険料軽減をこれまでの5割軽減からよりいっそう拡充することや、一定以上の所得のある利用者の自己負担を引き上げることなどが定められ、具体的な軽減幅や基準は今後政令で規定されることになっている。
《質問》奥村規子
委員
特別養護老人ホームの在宅における入所希望者は2,700人以上と聞いているが、そのうち、要介護3以上の方は何人か。
《答弁》
長寿社会課長
2,701名のうち、要介護3以上の方は1,650人である。
《質問》奥村規子
委員
1,650人ということは、1,100人の方が特別養護老人ホームに入所できないということになるわけだが、高齢者が在宅で住みたいと思っても、本当に厳しい状況があると思う。
和歌山県は、1人暮らしや2人暮らしの世帯数が全国から見ても多い県であり、国が一律に方向を示しても大変な面があるかと思う。
介護保険は、保険料を負担し、自分が希望するところでサービスを受けることができるということで始まった制度のはずだが、なかなか施設に入れないという実態がある。一方で、今度は住みなれた地域でと言われているが、要支援であっても軽い認知症の方や要介護1、2という人たちが支援を受けてこそ、介護がより重度になっていくのを防いでいけると思う。
そういう点で、特別養護老人ホームが選択できないというのは、非常に問題があると思う。
県民の方は、今このような法律が決まったといっても内容が全くわからず、自分の老後を考える上でもどういう選択をしたらいいのかもわからず、大変不安に感じていると思う。
地域包括ケアは市町村の取り組みとはいえ、県としてもしっかりと県民の不安に応えてほしいと思うが、今度の法律の成立を受けて、県民の安心・安全について、どのように啓発し、また関わっていくのか。
《答弁》
長寿社会課長
まず、要介護1、2の方が特別養護老人ホームから外れる話であるが、国のほうでも、軽度の要介護者であっても、やむを得ない事情、例えば家庭等で虐待が深刻であり、心身の安全・安心の確保が不可欠であるとか、認知症高齢者で、常時の適切な見守り・介護は必要である場合には、特別な養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められるときもあるので、そのような場合には市町村の関与のもと、特例的に入所を認めることや既に入所されている方は対象外にすることなどが検討されている。
また、地域包括ケアシステム構築には、24時間365日医療・介護サービスを提供できる体制が必要であるが、県内では、医療・介護の地域資源や高齢化の状況に地域格差があることから、その地域の特性に応じて、施設も含め既存の地域資源を活用し、ネットワークをつくり上げることが重要であると考えている。
今年度は、県では「わかやま長寿プラン」、また市町村においては「介護保険事業計画」を策定する年であるが、今回の計画は「地域包括ケア計画」として、市町村主体の地域づくり・まちづくりを本格的に進める計画とすることが必要となっている。
このため、県では、地域の資源情報や将来推計等の調査分析資料の提供や、各老人福祉圏域ごとの地域包括モデルの提示などを行い、市町村が地域特性を生かし、創意工夫した計画を策定し、実行できるように支援していきたい。
《要望》奥村規子
委員
人材確保の問題では地域地域でいろんな状況や事情があると思う。ぜひとも地域間格差がなく住民の方々に安心してもらえるように検討し、支援していただきたい。
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《質問》奥村規子
委員
児童虐待についてお伺いする。
児童虐待は和歌山県内でも大変な事件が起こって、いろいろ検証されて対策もとられているということであるが、全体として、児童虐待の状況、件数はどんなふうになっているのか。また、今年度の取り組みの強めるべき点ということではどのように考えるか。
《答弁》
子ども未来課長
まず、件数のほうは、平成24年度は718件であったが、平成25年度では793件ということで、過去最高を更新している。
それに対する対策は、虐待の提言を知事が全部やるという中で、児童相談所については、ケースワークについての相談所独自の対応方針について策定できていなかったので、独自マニュアルを作成する方向で進めている。
また、援助方針会議ということで、このケースについてどういう方針で進めていこうかということについて、少し機能的ではなかった。大勢が集まって議論していたが、もう少し、縦のラインで関係者だけできっちり検討していこうということで見直しをしている。
また、専門職員の研修についても中堅職員やスーパーバイザー職員など、経験年数に応じた研修をやっていくということと、全国レベルの研修にもどんどん参加していくという方向で進めている。
それから、重篤な事例については、施設に入所させるかどうかについで、児童福祉審議会の専門部会にかけていたが、入所するときだけかけていたので、退所する際にもかけるということに変更した。
市町村については、役割分担の明確化ということがあったので、これについては、今年度研修を実施し、市町村が相談の一義的な窓口であることから、相談機能の充実ということで、市町村職員向けの研修を通じて、ファシリテーターなど相談の専門性の向上、また、ハイリスクの家庭について、親支援プログラムの実施とかそういった形でできるだけ地域に入っていき、児童虐待の予防について努めてまいりたい。
《質問》奥村規子
委員
現場の方での取り組みなどで大変苦労されたり、いろんなことがあるかと思う。件数がふえているからどうだということではないが、減っていかないというのは、大変つらい思いを職員の皆さんも含めてされていると思う。虐待がふえている中で気になるのが、0歳から3歳の低年齢の乳幼児のところがふえているように思うがどうか。
《答弁》
子ども未来課長
重篤な虐待のリスクが高いのは2、3歳までということになるが、年齢別構成については、今、手元に資料がないので、後で届けさせていただく。
《要望》奥村規子
委員
多い少ないではなく、1件あるということでも大変な問題である。これを市町村の「こんにちは赤ちゃん事業」や、出産してその後地域に戻られて、市町村からの訪問を受ける乳幼児訪問の事業などでフォローされていけば、かなり関わりなどができるのではないかと思う。虐待が起こらないような環境をどうつくっていくか、未然防止ということが非常に大事な課題だと思う。出産後の育児や家庭環境に総合的に市町村も関与できたり、いろいろ相談関係がつくられたり、いろんなことができると思う。訪問活動に市町村間で格差がないよう、市町村でもしっかり取り組んでほしい。専門的な関わりは相談所などで一時保護という対応もできるが、未然に防ぐという意味では、市町村の役割が非常に大きくなってくるので、それに対して、県として財源やいろんなことも人材養成も含めて、しっかりと支援をよろしくお願いしたい。
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《要望》奥村規子
委員
少子化対策の要望であるが、これまで県でも3人っこ施策などに取り組んできたが、なかなか出産数がふえることにつながっていかない状況がある。少子化対策、子供を出産したり、子育てしたりというところでの県民の実態や要望をしっかり聞くことが非常に大事である。
自分の周りで聞く中では、子供の医療費の無料化の要望が非常に大きい。全国的にも、県レベルで、中学校卒業まで医療費を無料にしているところが広がってきている。これらと少子化対策とを強めていくことが大事ではないかと思う。県民の意識や現状など、実際の保護者の皆さんの意見をよく聞くことをぜひお願いしたい。
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《質問》奥村規子
委員
一般質問でも認知症対策について質問があったが、高齢者施策のことでお聞きする。
認知症対策で、不明者への対応などいろんなことが質問であった。これから2025年を迎え高齢者がさらにふえていくなか、いつ私たちも認知症になるかもわからないなかで、県民の皆さんが認知症に対する意識を身につけていくことが、これからは非常に大事じゃないかと思う。
そんな点で、取り組みや考えていることがあれば御意見をお願いしたい。
《答弁》
高齢者生活支援室長
委員のご質問は、認知症による行方不明に至らないために、そうした兆候をできるだけ早く把握することが必要ではないか、そのために県民に啓発が必要ではないかというお話だと思う。
そのためには、認知症について正しい理解をしている方を、専門家にしろ、一般県民にしろ、できるだけ多くふやしていくことが大切ではないかと考えており、専門家については高齢者の方が受診する機会の多いかかり付け医を対象に認知症対応力の向上研修を実施しており、今までに540人以上のドクターに受講いただいている。
一般県民の方については認知症サポーターの養成に取り組んでいる。このサポーターは特別何かをするということはないが、認却症について正しい理解をして、例えば街で認知症かなと思われるような方を見かけたときは、さりげなく支援するという制度である。サポーターは現在2万6,000人ぐらいの方になってもらっている。最近は若い人にも認知症について知っていただくため、小中学生のサポーターの養成にも取り組んでいる。
行方不明の問題がマスコミ等で多く報じられているが、その予防という意味では、気づきのチャンネルを非常に多くするということが大切であると思う。先ほど言ったような取り組みで、認知症の早期発見とか行方不明の防止に取り組んでいきたいと考えている。
《要望》奥村規子
委員
サポーターも含めてだが、県民として、認知症というものに対する理解を持てるような企画などをぜひともお願いしたい。
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《質問》奥村規子
委員
県立医科大学附属病院に東棟が完成し、手術室や内視鏡治療室の拡充等が行われたと説明があったが、看護師の確保等について十分な体制になっているか。
《答弁》
医科大学事務局総務課長
3月29日に竣工した、附属病院東棟の影響による看護師の状況であるが、4月現在の東棟における看護師の配置は、内視鏡室に3名、化学療法センターに1名の合計4名となっている。
手術室への配置については、患者動向やほかの医療スタッフの充足状況等を考慮し、当面の間は段階的に対処していくことにしているが、7月から手術室を1室、さらに10月を目途に1室増枠を予定しており、これに10名の看護師が新たに必要となる。
このため、年度末の退職者を上回る4月1日付新規採用職員と派遣看護師、潜在看護師の発掘等で対応してまいりたい。
議案に対する採決
議案第110号 和歌山県特別会計条例の一部を改正する条例
は全会一致で原案可決
【環境生活部】
《質問》奥村規子
委員
地下水の件について。
何ヵ月か前に、地下水の検査で国の基準をオーバーするということがあったが、和歌山県としてはどういうふうな対策をしているのか、状況を聞かせてほしい。
《答弁》
環境管理課長
和歌山県は平成元年から地下水の調査をしている。25年がたち、年間40ヵ所、合計約1,000件の調査を行っている。もし、環境基準値を超えた場合、モニタリングを行い、改善されるまで引き続き監視するというふうな対策を行っている。
《質問》奥村規子
委員
基準値がオーバーしていたのは、どういったものなのか。
《答弁》
環境管理課長
現在把握している基準値超過地点は13ヵ所ある。ヒ素が2ヵ所、和歌山市内で超過しており、原因としては人為的なものではなく、地層そのものに含まれる自然由来のヒ素が検出されている。それから、テトラクロロエチレンが和歌山市内で1ヵ所あり、これはクリーニングの有機溶剤とか、コンピュータ部品の洗浄液に使われるものである。ただ、周辺にそういう工場などは過去にもなかったので、原因はわからない。それから、硝酸性窒素・亜硝酸性窒素で、かつらぎから新宮までの10ヵ所で検出されている。これは、付近の様子から、農家の肥料による窒素であると考えられる。
《質問》奥村規子
委員
井戸水については、例えば何か災害があった場合、飲料水や、飲料水までとはいかなくても役立てられるような水として利用できないかと思うのだが、その点はどうか。
《答弁》
環境管理課長
現在実施している地下水の調査は、地下水が有害物質に汚染されていないかということで、27項目について調査をしている。それは先ほどのテトラクロロエチレン等である。一方、飲料水となると、検査項目に例えば大腸菌や一般細菌とかが含まれ、検査項目が重複している部分もあるが、ほかの項目については検査を行っていないという状況である。なので、地下水が環境基準をクリアしているということであっても、直ちに飲料水として「適」ということにはならない。それで、そういうふうな調査をして、飲料水として災害時に利用するのかどうかは、危機管理局とも十分に話し合い、対応したいと考えている。
《要望》奥村規子
委員
検討をお願いしたい。
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《質問》奥村規子
委員
DVについてたずねたい。昨年度のDVの件数はどれくらいか、DVの発生件数が減ってきている状況なのか。また、今年度、特に取り組みを強化する点があれば教えてほしい。
《答弁》
青少年・男女共同参画課長
DV相談件数について、平成25年度男女共同参画センターと子ども・女性・障害者相談センターに寄せられた件数の合計は1,522件で、これは前年度と比較すると136件減少している。DVの相談件数は、平成19年度から25年度まで統計をとってみると、年間の平均の件数は1,520件、年度によってはばらつきがあるが、概ね1,520件程度で推移していると考えている。
そして、今年度DV対策で重点を置いている事項という質問だが、今年度だけに限らず、平成22年度から県では、高校生を対象にしたデートDV出前講座を実施している。デートDVというのは、交際相手から受ける暴力のことで、これには身体的な暴力だけではなく、言葉による精神的暴力や、つき合っている相手の行動を制限したりするような社会的暴力も含まれる。このような暴力が続くと、将来配偶者間の暴力に発展する危険性も指摘されており、県としては、平成22年度から25年度まで、38回出前講座を実施してきたところであり、今年度も5つの高校と、2つの看護系の専修学校とにおいて実施したいと考えている。
《要望》奥村規子
委員
DVが低年齢化し、若い世代でもそのような状況になっているということから、私は、高校生も含めて中学校の頃からの教育機関との連携も非常に大事だと思った。ぜひ、教育機関とも連携し、もっともっとDVの件数が少なくなっていくように期待をするところである。よろしくお願いしたい。
議案に対する採決
議案第101号 平成26年度和歌山県一般会計補正予算
は全会一致で原案可決