2014年6月県議会
雑賀光夫 一般質問 概要記録
議会中継録画
2014619

1.教育委員会制度「改革法」について
(1)「いじめ」事件(大津)と「改革法」
(2)「改革法」でこれまでの教育委員会の良さが守られるのか

2.浮上式津波防災堤防について
(1)技術検討会で何が問題になったか
(2)県民・関係者に報告されたのか
(3)今後の見通しと国の責任の持ち方

3.量販店の出店・閉店と「買い物弱者」問題
(1)量販店の出店・閉店の把握
(2)プライスカット黒江店閉店による住民の生活困難
(3)商工行政としてできることは何か
(4)過疎地域における「買い物弱者」対策
(5)福祉行政としてできる「買い物弱者」対策
(6)量販店も行政も住民もパートナーとして

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1.教育委員会制度「改革法」について
(1)「いじめ」事件(大津)と「改革法」
《質問》雑賀光夫 県議
 議長のお許しを得ましたので、一般質問させていただきます。
 第一の柱として、今国会で議決された教育委員会制度にかかわる「改革法」についてお伺いします。
 教育委員会制度というのは、選挙管理委員会、公安委員会とならんだ行政委員会ですが、知事や市町村長(それを一括して首長といいますが)首長の直轄にすることでは自主性がそこなわれる分野についておかれているものです。
 教育委員会の場合、教育や子育ての分野は、「こうすべきだ」と一色に染め上げることになじまない分野です。時の首長の考えをストレートに持ち込んでは、さまざまな弊害がでてくる。
 また、教育委員会制度は、戦前の国家権力が教育を意のままにして、子どもたちを戦場に送ったことへの反省から発足したものです。
 そのため、
〈第一に〉教育の地方分権、国家権力の介入をゆるさない、
〈第二に〉一般行政からの独立、教育内容は教育委員会にまかされている、
〈第三に〉レイマンコントロール、教育では素人であっても一般市民の立場から教育を統制する、
 この3つが「戦後教育の3原則」といわれてきました。
 もともと戦後の教育委員会は、教育委員が選挙でえらばれる「公選制」をとっていました。それが、任命制になりましたが教育委員のみなさんは県議会の同意を得て選任され教育委員長を選出する権限をもっています。いまでも大事な役割を果たしておられると思います。
 そもそも教育委員会制度をこのたびのように大きく変える必要があるのかどうかの問題です。
 「教育委員会はこれでいいのか」という議論が出てきたきっかけの一つが、大津でのいじめ自殺事件でした。大津の教育委員会が、いじめ問題とその原因を調査したアンケート結果などを隠して、いじめと自殺の関係を隠蔽した。そこで越大津市長が乗り出して、第三者委員会をたちあげて調査することになりました。ここから、「教育委員会のまかしておけない。首長直轄で教育を監督しなくてはならない」という主張がでてきます。
 しかし、第三者委員会の報告は、まったく逆のことを指摘しています。
 「(教育)委員会開催まで、事務局や学校から委員に対して詳しい情報の提供はなく」とかかれている。「いま、重要なことは、教育長以下の事務局の暴走をチェックすることであり、その一翼をになう存在としての教育委員会の存在は決して小さくない」とまで指摘しています。
 大津・いじめ事件の第三者委員会報告書が引き出している教訓は、教育委員会の権限をつよめることでこそあれ、よわめることではない。
 教育長は、この第三者委員会の報告をこの点についてどう受け止められたでしょうか。和歌山県の教育委員会の実情はいかがでしょうか。

《答弁》 教育長
 大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会の報告にもありますように、当時の大津市においては、教育委員会事務局がその職責と役割を十分果たせず、また、教育委員会もチェック機能の役割を果たせていなかったため、問題を深刻化させたと感じております。
 本県教育委員会では、各教育委員が教育委員会定例会はもとより、自主的な勉強会を開催し、活発な議論や意見交換を行っております。さらに、定期的な学校訪問や地域住民との話し合いなどにより、常に新しい情報を積極的に収集できる体制をとるなど、いじめ問題をはじめとする様々な課題について迅速かつ適切に対応し、安心、安全な学校づくりに努めているところでございます。

(2)「改革法」でこれまでの教育委員会の良さが守られるのか
《質問》雑賀光夫 県議
 次に、このたびの新しい「改革法」の中身であります。教育委員長や教育長の協議会が「改革法案」の前段というべき中央教育審議会の「部会」の検討内容に対して全国の教育委員会の意向を調査し意見書をだしておられます。
 それによると、「教育長を首長の補助機関にするとともに、教育委員会を首長の付属機関にする」という今回の教育委員会改革法案につながる考え方について、多数の教育委員会から批判意見があったとされます。
 このたびの「改革法」は、教育委員長をなくして首長任命の教育長がトップになる。これでは、教育長に対する教育委員会の指揮監督権限がなくなり、教育長・教育委員会が、事実上首長の補助機関・付属機関になると考えられます。
 中央教育審議会の検討内容に意見を出している流れから言って山本教育委員会委員長は、この「改革法」をどう考えておられるでしょうか。

《答弁》 教育委員会委員長
 先日、国会で改正された教育委員会制度に関する法律には、地方教育行政における責任の所在の明確化、首長との連携の強化、引き続き教育委員会を執行機関にするというようなことが盛り込まれております。
 本県では、現行制度下でも、知事、教育長、教育委員会が相互の信頼関係をもって、連携・協力しながら適正・円滑に教育施策を進めております。
 新制度に移行いたしましても、法律改正の趣旨をしっかり踏まえながら、引き続き、和歌山県の子どもたちのために、知事、教育長、教育委員会がこれまで以上に意思疎通を図り、連携を強化することにより、三者一体となって本県がめざす教育を推し進めていくことが大事だと考えております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 いじめ対策との関係でお伺いしましたが、答弁をお聞きしまして、和歌山県では法改正などをしなくても立派にやっていけると受け止めました。「改革法」の本当のねらいは、いじめ対策ではなくて、戦前のような政治の教育への介入ではないかという危惧を強くします。
 このたびの「改革法」には、多くの付帯決議がつけられています。そのひとつが、「レイマンコントロール」つまり、教育委員のみなさんの意見を尊重することがいわれている。「改革法」とは矛盾する付帯決議ですが、首長から任命される教育長に歯止めをかける意味でしょう。
 教育委員会の専権事項については、教育委員会の意向を最大限尊重する。新しく選ばれる教育長は、教育委員のみなさんの意見を尊重する、従来の教育委員会制度の精神を大事にしていってもらいたいと希望するものです。


2.浮上式津波防災堤防について
《質問》雑賀光夫 県議
 第二の柱として、和歌山下津港・海南地区の浮上式津波防災堤防についてお伺いします。
 津波が来れば空気圧でパイプを押し上げて津波を食い止めるというものですが、この事業は国直轄事業であり、基本的には国が3分の2、県が3分の1を負担するものですが、私はこの事業に期待するとともに、地元の熱意を示すとして、海南市と地元企業もお金を出すということになっていることについては、公共事業のあり方として疑問を表明したこともございます。
 その後、昨年の3月28日には、浮上動作実験がおこなわれ、私も見学して、関係者のみなさんとともにその成功を喜んだところです。
 この事業は、世界初といわれる実験的な事業であるだけに「本当にうまくいくのか」という質問も出されたこともあります。国土交通省の方は、「世界初といってもハイテク機械でなく、空気を送り込んでパイプを浮上させるというきわめてローテクの技術ですから大丈夫です」とお答えになっていらっしゃって、私もそうかなと思っておりました。
 ところが、昨年の暮れから、すこしおかしな情報がつたわりはじめました。それは国の技術検討会で、問題点が指摘され、「浮上式」というのは、かなりの追加予算が必要になる、「浮上式」かどうかということも再検討されるという情報です。
 結論から先に言えば、本年度は21億円という予算はついたのですが、「浮上式」の部分は、まだとりかからないそうです。
 この間、私は、県の担当部局に昨年末にも今年にはいってからも「浮上式堤防の進捗について、国の方で新しい動きはありませんか」と問い合わせましたが、「変わった動きはありません。そのまますすむと思っています。」と答えをいただいておりました。
 一方、私どもの国会議員団に問いあわせますと技術検討会での検討内容がおぼろげにですが伝わってまいりました。
 それとともに12月に行われた技術検討会にかかわる案内文も手にはいりました。それによると、検討委員会の構成は、委員長以下、3人のアドバイザー、12人の委員、それぞれ専門家であります。それに加えて「関係者」として「国土交通省 港湾局」「和歌山県 県土整備部」とあります。和歌山県もこの検討会に参加していることがわかりました。
 世界初の「実験的事業」と言われているものですから、また津波想定も変わる中で、計画通りいかないのが悪いというつもりはありませんが、問題点も検討内容も、国民に公開されるべきだろうと思います。そこで質問です。
(1)技術検討会で何が問題になったか
 津波防災堤防について、県も参加した技術検討会では、どういう検討がなされたのでしょうか。何が問題になっているのでしょうか? 県土整備部長からお聞かせください。

《答弁》 県土整備部長
 議員ご指摘の技術検討会は、「第3回和歌山下津港海岸海南地区津波対策事業に関する技術検討委員会」であり、平成25年12月21日に開催されたものです。
 3月末に、雑賀議員からの問い合わせに対し、当方から、平成26年度の事業内容と、この委員会での南海トラフ巨大地震時における浮上式防波堤に関する技術検討について説明させていただいたところです。
 具体的には、南海トラフの巨大地震のような最大クラスの津波を起こす地震に対して、地中部の鋼製の管、「鋼管」が曲がることにより、防波堤が浮上しなくなる可能性があり、それに対して、周辺地盤の改良、鋼管の剛性強化等の追加対策を講じる必要があるとの指摘があったところです。
 国土交通省からは、今回の指摘を踏まえて、当該防波堤の整備方針の変更について検討を行っていると聞いております。

(2)県民・関係者に報告されたのか
《質問》雑賀光夫 県議
 「実験的事業」だからいろいろの検討はあっていいと申しました。しかし、大幅な予算増をしないと予定通りの浮上式堤防ができないというような内容の検討がなされているのであれば大変です。
 ただいまの答弁では、大きな地震・津波がくると、浮上するはずのパイプが曲がったりして浮上しなくなるおそれがある、周辺地盤の改良も必要だということです。しかも、そういう問題点は、私たちが「浮上実験が成功した」とよろこんでいたころに、すでに検討されていたと推測されます。
 海南市と津波対策協議会にはいっている民間企業も、費用を負担しています。いつ、どういう報告をなさるのでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 先ほどの「第3回和歌山下津港海岸海南地区津波対策事業に関する技術検討委員会」の内容につきましては、現在、国土交通省が検討している内容も含めて、しかるべき時に「和歌山下津港海南地区津波対策協議会」で説明できるように準備をしていると聞いております。
 県としても、適切な説明ができるよう協力していきたいと考えております。

(3)今後の見通しと国の責任の持ち方
《質問》雑賀光夫 県議
 心配なのは費用負担の問題です。計画変更は、予算を増やして「浮上式堤防」を完成させること、あるいは、別の工法を検討することが考えられます。
 工法と経費、地元負担の見通しはいかがでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 工法と事業費につきましては、先ほど述べましたように、現在、国土交通省において、技術検討委員会の結果を踏まえ、今後の整備方針を検討しているところでございます。
 また、地元負担につきましては、海南市や沿岸部に立地している企業から事業への協力の申し入れがあり、負担金等として事業への協力を頂いているところであり、今後、整備方針が変更され、さらなる負担が生じるのであれば、関係者と協議して参りたいと考えております。

《コメント》雑賀光夫 県議
 実験的事業であれば、そのリスク(技術的に実験的であるがゆえに予想外に費用が大きくなること)は国で引き受けるべきではないかと思います。
 国土交通省の「ローテク技術だから大丈夫です。」という説明を信じて、海南市や民間企業も法的には義務のない費用負担も引き受けているわけです。
 地元企業の拠出金は、総工事費の4%ですから今年は8000万円余りになります。地元企業も苦しい中でねん出していると思います。
 次回の「津波対策協議会」で検討の内容が報告されると、地元企業のみなさんも戸惑われると思います。とりあえずは、「善意の拠出」は県の方から辞退したほうがいいのではないか。いただくとしても「浮上式堤防」が当初の計画通り完成できる見通しが立ってから、工事費用の4%でなく、当初の計画の10億円を上限にして受け入れるという方針を示された方がいいという意見を申し上げておきます。
 合わせて、有効な津波対策堤防の完成を期待いたします。


3.量販店の出店・閉店と「買い物弱者」問題
《質問》雑賀光夫 県議
 第三の柱として、量販店舗の出店と閉店、それにともなう「買い物弱者」問題についてお伺いします。
 先の県議会でも奥村県議が、南海和歌山市駅ビルの高島屋閉店問題をふくめた和歌山市内でもおこっている「買い物弱者」問題にふれました。
 私は、いま、県下各区地域で大型店舗の出店・閉店によって地域が破壊されるという問題が起こってきていると思います。
 かつて、大型店舗の問題というのは、大店法の規制緩和にかかわる問題、一定規模以上の大型店舗の出店からまわりの商店の経営をまもるという出店規制の問題として議論することが多かったと思います。
 しかし、そのときから懸念されていた問題、大型店舗の開店によって昔からの商店が駆逐されてしまったなかで、その大型店舗が閉店して、地域の人たちが生活できなくなるという「第二段階」というべき問題がおこっています。
 今年の3月20日、私たちの生活相談所に、JR黒江駅近くの「横山」という地域にお住まいのおばあちゃんがはいってこられた。「プライスカットが閉店する。私ら生きていかれへん」と言われたのです。
 私はびっくりして、地元の方と一緒に黒江店を訪問して店長さんにお会いしました。店長さんは「私の口からなにも言えません」といわれます。
 このプライスカット黒江店が出店したのは、27年前のことです。それまでは、この地域には、地域に根ざしたお店があったのです。商店街のみなさんは、プライスカット黒江店、当時は「スーパー光」と言っていた店の出店に反対しました。もちろん、「便利になる」と歓迎する住民の方もおられました。
 そんななかで、地元から海南市議会に出された請願が満場一致で採択されています。その請願は、地元との話し合いを振り切って「スーパー光」が出店されるが、深夜まで営業するのでなく、地元のお店と共存してほしいと要望しています。
 しかし、当時、新しい量販店がその要望を聞くことなく、周りの商店はなくなりました。
 ところで「プライスカット黒江店」廃止にこんなに悲鳴の声があがるのには、もう一つ理由があります。多くのこの種の量販店は、車の往来が多い国道沿いにある場合が多いと思います。ところが、プライスカット黒江店は、JR黒江駅の近くですが、前を通る県道はそんなに車が多いわけではない。県道でも大変狭くて、拡幅工事が期待されている県道です。ですから、このプライスカットは、車で往来する方が途中でたまたま立ち寄ると言うのではなくて、地元のみなさんが利用される店になっています。
 地域と店舗には、それぞれ特色と事情がありましょうが、資本系列の大型店舗が出店する、まわりの店がつぶれる、大型店舗が撤退すると住民はくらせない町になってしまうというこのパターンは、もっと大規模な量販店の場合でも起こりうるし、もっと悲惨なことになる。
 私たちは、4年前に海南市で、「地域経済活性化シンポジウム」を開きました。私はその閉会の挨拶で、「大型店舗は町づくりのパートナーとしてテーブルについてもらいたい」と述べました。この「町づくりのパートナーに」という言葉をキーワードにしながら、以下の質問を行います。
(1)量販店の出店・閉店の把握
 商工観光労働部長にお伺いいたします。
 オークワに限りませんが、大型店舗の出店・閉店の計画を、把握しておられるのでしょうか大型店舗の出店・閉店ということは、住民の生活に大きな影響がある事から住民と充分話し合いがあってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

《答弁》 商工観光労働部長
 店舗面積が1,000平方メートルを超える大型小売店舗を出店する場合、設置者は、開店日の8ヵ月前までに県に対して大規模小売店舗立地法に基づく「新設の届出」を行うことになっているほか、閉店する場合においても、同法の規定に基づく「廃止の届出」を行うこととなっております。
 また、住民との話し合いにつきましては、店舗を出店する場合、設置者は「新設の届出」を行った日から2ヵ月以内に地元向け説明会の開催が義務づけられておりますが、閉店する場合は、説明会の開催義務はありません。
 なお、プライスカット黒江店は、店舗面積が1,000平方メートル以下であり、同法の適用を受けないため、手続きは必要となっていません。

(2)プライスカット黒江店閉店による住民の生活困難
《質問》雑賀光夫 県議
 ただいまのお答えは、売り場面積1000平方メートル以上の店舗です。まして、プライスカット黒江店などというのは大型店舗にもはいらないから問題にならないということのようです。
 しかしプライスカット黒江店というのは、売り場面積はともかく、オークワ系列のチェーン店です。地域住民は、その閉店で頭を抱えているのです。
 大型店舗の出店・閉店によって住民生活がふりまわされるという実情をどうお考えでしょうか。

《答弁》 商工観光労働部長
 プライスカット黒江店が閉店した場合、常日頃の買い物に困難を感じる方が生じることを懸念しているところです。
 県としましては、海南市とともに実態の把握に努め、行政の支援が必要であるならば、実態に即した対策を講じてまいりたいと考えております。

(3)商工行政としてできることは何か
《質問》雑賀光夫 県議
 海南市とともに実態を把握し必要な対策をすることに県も乗り出していただくという答弁は、大きな意味があると考えます。
 オークワも経営事情がおありでしょう。すべてオークワが責任をとれという気はありません。しかし、事前に住民に相談をかければ、海南市ものりだす、地域住民のボランティア活動もありうるでしょう。県の福祉関係の施策、過疎対策の施策を総動員して何ができるのかを考えたらいいと思うのです。
 このことを私は、「大型店舗も街づくりのパートナーになってほしい」と提言したわけであります。
 そうなれば、商工観光労働部でも、知恵や施策をおもちと思います。どんな施策をお持ちでしょうか。

《答弁》 商工観光労働部長
 買い物弱者は社会的な問題になっておりますが、県では、商店街が本来の賑わいを取り戻せるよう、平成22年度から「商店街のコミュニティ機能強化支援事業」を実施し、商店街の空き店舗を活用した宅配サービス等に取り組む商店街やNPO法人等を市町とともに支援しているところです。
 また、国においては、「地域商業自立促進事業」を実施し、例えば、商店街組織等が地域における買い物機会を増やすため、移動販売車を購入して販売事業を行おうとする場合には、支援の対象としております。
 県としましては、このような国及び県の補助事業にかかる情報を、商店街等に対し広く周知するとともに、地元市町と連携しながら積極的に活用するよう働きかけてまいります。

(4)過疎地域における「買い物弱者」対策
《質問》雑賀光夫 県議
 「買い物弱者」問題は、ここだけではありません。私は紀美野町で、地元町議と一緒に、「地域の商店アンケート」というものにとりくみました。町内60の商店から37通の「回答」がありました。昔からある店が、おばあちゃんが細々とやっている。このままだと早晩、こうした店舗は地域から消えていくに違いありません。
 町中でも過疎地でも問題になっている買い物弱者対策について、過疎地域における施策や福祉の施策などできることがあるでしょう。県下各地の努力も含めてどんな施策がおありなのでしょうか。
 企画部長からお答えください。

《答弁》 企画部長
 過疎地域における「買い物弱者」対策についてですが、県では、過疎集落の再生・活性化を目的とし、全国に先駆けて事業化した「過疎集落支援総合対策事業」と、この事業をモデルとして、国が全国展開すべく創設した「過疎集落等自立再生対策事業」において、日常生活機能の確保や地域資源を活用した活性化に取り組んでおります。
 これらの事業のなかで例えば、田辺市の三川(みかわ)生活圏では、市街地への買い物バスツアーを3年間、月に1、2回ずつ実施してきましたが、県の事業終了後も地域が主体となってこの取り組みが継続されています。
 また、印南町の奥真妻(おくまづま)生活圏では、この事業により、地域住民が閉店した商店を住民自らが運営する店舗に再生し、貴重な買い物の場として活用されています。
 地域の方々からは、この事業に取り組んだことにより、地域が元気になったという力強いご意見をいただいております。
 県としましては、過疎地域での「買い物弱者」対策をはじめとする生活機能の確保は、大変重要な課題と認識しており、今後とも地域の実態を踏まえ、市町村とも連携して「過疎集落支援総合対策事業」等により、積極的に支援して参ります。

(5)福祉行政としてできる「買い物弱者」対策
《質問》雑賀光夫 県議
 次に、福祉保健部長からお答えください。

《答弁》 福祉保健部長
 日常生活を営む上で大切な買い物に際し、最も困難を伴う要介護認定を受けた要援護者に対しては、ホームヘルパーが家庭を訪問し、掃除、洗濯などに加え、買い物サービスも提供されています。また、要介護認定を受けるに至らないまでも、移動に多少の困難を伴う高齢者の方も少なくないことから、県ではこれまで「地域支え合い体制づくり事業」として、隣近所での助けあい活動を行うNPOなどの活動支援に取り組んできたところです。
 さらに今年度からは、「シニアのちから活用推進事業」に取り組むこととしています。この事業は、市町村に、わかやまシニア活躍推進拠点を設置し、買い物支援をはじめ配食・見守りや子育て支援、高齢者サロンの充実など、地域の困りごとの解決のために、元気高齢者に、有償ボランティアという形で、活躍の場を提供しようというものです。
 県としましては、高齢者の生きがいづくりの推進や地域力の向上に向け、この事業を県内各地で展開できるよう積極的に市町村に働きかけてまいります。

(6)量販店も行政も住民もパートナーとして
《質問》雑賀光夫 県議
 商工観光労働部長、企画部長、福祉保健部長から多角的にお話いただきました。
 私が提案したいのは、海南市も加わって、オークワも店舗閉鎖を延期してパートナーとしてテーブルについてもらいたい。
 町中でも「買物弱者」問題が大きな問題になっているわけですから、従来の「過疎対策」ももっと広い地域で適用することを考える。答弁の中に商店街がだす販売車に補助するという施策もありました。また海南市が販売車に補助すればそれを活用する。
 しかし、3月30日に新聞発表し、最近になって「閉店します」という張り紙をし、7月末には閉鎖するというのでは、海南市が何か施策を打とうにも打ちようがない。オークワさんに先日私たちがお伺いしたときも「和歌山のオークワですから」とおっしゃっておられたわけですから、大きな店舗と地域住民のよい関係を和歌山からつくっていきたいと考えるものです。
 私の提案について知事の感想なりご意見なりをお伺いします。

《答弁》 仁坂知事
 量販店と地域住民が良い関係でいることは大事であります。事業者が地域住民に対して喜ばれるサービスを供給することにより、良好な関係を構築することができると思っております。
 例えば、通常安くてそれで質の良い商品をどんどん供給するということも事業者の当然なさなければいけないサービスでありますが、いろいろ知恵を絞ってですね、店舗で購入した商品を自宅まで配達したり、移動販売車を走らせて地域で販売する事業者も出てきております。あるいは、買い物バスの運行やインターネットによる宅配サービスを行う事業者も出てきております。
 このような取組は、利用者からも好評を得ており、地域住民との良好な関係づくりに貢献していると思います。
 そういう意味で、こういう良い関係をつくるということは、お客さんを獲得し続けるという点でもですね、事業者にとっても良いことだということになろうかと思います。
 また、一方お客さんの方もですね、やっぱり地元で便利だとうのならば、大いに愛用してあげて、採算が悪くならないようなふうにも考えてあげないといけないというようなことではないかと思います。

《コメント》雑賀光夫 県議
 何度も言いますが、私は、オークワにすべて責任を押し付けようというわけではありません。行政としては海南市が中心になるでしょうが、量販店と地域住民がまちづくりのパートナーとなって良好な関係をきずくために何ができるのか。
 県として、商工、企画、福祉、それぞれのカードを出していただいた。知事も私とは言い方がちがいますが「良好な関係を」といわれる。
 オークワも、「さすがは和歌山のオークワだ」といわれる結果になるように、どうするかはこれからですが、私も海南市や地元自治会とともに汗をかきたいと思います。
 関係者の皆さんのご協力をお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。


 
                               仁坂知事の答弁を聞く、雑賀光夫和歌山県議(右)
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