和議第161号
           次期介護報酬の大幅引き下げ改定に反対する意見書(案)

 介護保険制度は、高齢者福祉の核となる制度であり、その制度を担うのは、社会福祉法人をはじめとする介護事業者、そして、その第一線において、介護に従事する介護職員である。
 急速に高齢化が進む我が国において、介護サービスの充実並びに介護職員の人材確保及び処遇の改善は、まさに国家的課題である。
 本年6月20日には、「介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律」が全会一致で参議院本会議において可決、成立した。これは、財源の確保を含め検討し、人材確保と処遇改善につながる施策を講じていこうという国家としての明確な意思の表明である。
 しかるに、財務省は、10月8日、「介護報酬の6%カット」の方針を打ち出した。この方針が実施されれば、介護職員の人材確保に深刻な悪影響を及ぼし、介護サービスの質の維持がきわめて困難となり、介護サービス事業の分野は崩壊の一途をたどるであろうことは想像に難くない。
 特に、和歌山県においては、平成26年度の高齢化率は28.6%で全国第6位と高く、介護ニーズが高いにも関わらず、介護職員の離職率は20.9%と全国平均の16.6%を大きく上回り、人材確保が困難な状況にある。
 本県においては、介護に従事する人材の確保は喫緊の重要な課題であり、介護サービスのニーズが多様化・高度化するなかで、介護の質の向上を図り、安心・安全な介護サービスを提供するためには、介護職員の人材確保及び処遇の改善をはじめとする安定した制度の維持・充実が必要不可欠である。
 よって、国においては、地域包括ケアシステムの構築に向けて、社会福祉法人をはじめとする介護事業者が健全で安定した法人運営ができ、かつ、その事業を支える人材が今後も確保され、誇りを持って介護に従事することができるよう次期介護報酬の大幅引き下げ改定に強く反対する。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成26年12月18日
           様
                                               和歌山県議会議長 坂本 登
                                                          (提 出 者)
                                           福祉環境委員会委員長 谷口 和樹
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 財務大臣
 厚生労働大臣
 内閣官房長官