和議第166号
         社会福祉法人における法人税非課税扱いの堅持を求める意見書(案)

 本年6月、政府の税制調査会がまとめた「法人税の改革について」と題する報告書において、「公共的とされているサービスの提供主体が多様化し、経営形態のみによって公益事業を定義することが適当ではなくなっている。こうした市場の変化を踏まえ、公益法人等や協同組合等に対する課税の抜本的な見直しを行う必要がある。」といった方向性が示されている。
 そもそも低所得者や障害者、高齢者に対する社会福祉事業は、本来であれば国の責務として行うべきものであり、純粋な市場原理だけで需要と供給のバランスがとれるものではない。
 社会福祉法人は、行政権限として実施される措置の受託義務を負うほか、民間であれば参入しないような採算が見込めない地域や福祉事業であっても積極的に基盤整備を推進するなど、公益性の高い法人としての役割を担ってきた。
 今回の政府税制調査会の議論では、単純に民間企業等との公平性の確保の観点からのみ、社会福祉法人への課税案が示されているが、社会福祉法人は、事業により得た利益を福祉事業以外に使用してはならないとされ、法人の解散時には、残余財産は最終的に国へ帰属するなど、運営上様々な規制があり、その代わりとして法人税が非課税となっている。
 社会福祉法人に対する法人税課税は、社会福祉法人制度の根幹に関わる極めて重要な問題であり、地域社会の福祉を守ってきた社会福祉法人に対して法人税の課税に転じることは、我が国の社会福祉制度を根幹から揺るがすものと憂慮される。
 よって、国においては、我が国の安定的な福祉基盤を維持していくためにも、社会福祉法人における法人税非課税扱いの堅持を強く求める。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成26年12月18日
           様
                                                和歌山県議会議長 坂本 登
                                                          (提 出 者)
                                                           谷  洋一
                                                           長坂 隆司
                                                           雑賀 光夫
                                                           角田 秀樹
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 財務大臣
 厚生労働大臣
 内閣官房長官