2015年2月県議会 松坂英樹 一般質問 概要記録 議会中継録画
   

                                           2015225
1.介護職員の待遇改善
(1)介護ニーズと人材の需給見込み
(2)介護人材の育成
(3)介護職員の労働実態
(4)国に加えて県独自の待遇改善策を

2.ヒートポンプ給湯機による低周波健康被害
(1)健康被害相談への対応状況
(2)消費者庁の意見にもとづくメーカー・設計施工業者・県民への対応

3.特別支援教育の条件整備
(1)特別支援学級の設置数・児童数の推移
(2)多人数学級への条件整備充実を

4.みかんの価格対策
(1)2014年産みかんの販売状況
(2)「みかん厳選出荷促進事業」について


1.介護職員の待遇改善
(1)介護ニーズと人材の需給見込み
《質問》松坂英樹 県議
 通告にもとづき一般質問をおこないます。まず第1点目の柱として、介護職員の待遇改善の問題についてお伺いします。
 いま、地元有田郡内をまわっておりましても、一人暮らし、二人暮らしの高齢者世帯が本当に多くなったと実感しています。和歌山県は高齢者夫婦のみの世帯が全国2位、高齢単身世帯全国3位ということが昨日も紹介されました。山間部でも、街中でも、どこへ行っても「介護で難儀している」とか「介護が必要になったらと思うと不安」という声をお聞きします。
 高齢化が、全国よりも先行してすすむ和歌山県においては、介護ニーズが今後急激に増えてゆくと予想されています。介護を必要とする高齢者とそのご家族が増える一方で、介護の職場で働く人材の不足が、現場ではいっそう深刻になると考えられます。
 団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題などがマスコミでも盛んに取り上げられるようになってきました。国としては、この先100万人の介護職員が必要だという見通しをもち、この人材確保が大きな政策課題となってきています。
 そこで、まず最初に、和歌山県としては、現在策定中である「わかやま長寿プラン2015」などにおいて、この先どれほどの介護職員が必要になると認識しておられるのでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。

《答弁》 福祉保健部長
 現在策定中の「わかやま長寿プラン2015(仮称)」におきまして、厚生労働省の作成したワークシートを活用し、介護人材の需要量と供給量を推計しております。
 本県の平成24年の介護職員数は約1万9,100人ですが、2025年の介護職員の必要数は約2万5,800人であり、これに対し供給数は約2万1,600人で、約4,200人が不足すると推計しております。

《要望》松坂英樹 県議
 2025年、あと10年後までに4,200人不足という数字が示されました。長寿プランの数字は、職員が順調に増えた推計の数字ですから、答弁にあった10年後の必要数2万5,800人から現在の1万9,100人を引いたら6,700人必要という数字も出ます。この数字が国全体で100万人必要というのに対応した数でもあるわけです。そして今の人数が足りているかといえば、足りていないわけです。
 いずれにしても、高齢化の進行と介護ニーズの増加に応えられるよう、この介護職員不足に対してしっかりと社会の側、政治の側が備えなければなりません。
 そこで次の、じゃあ介護人材を育成どうするのかという質問に移ります。

(2)介護人材の育成
《質問》松坂英樹 県議
 不足する介護人材問題を解決してゆくには、介護職員の養成、介護に対する専門性をもった人材を育てるという営みが第一義的に必要です。そして介護の現場への定着・離職防止、やりがいをもって働き続けるスキルアップが大切だと考えます。しかし現状は、介護職をめざす若い人が少なく、なおかつ、せっかく仕事についても長続きせずにやめてしまうケースが多いとお聞きします。介護人材の育成は、これまで以上に充実・強化してゆかなければならない課題ではないでしょうか。
 先日、広川町にある介護福祉士を養成する専門学校でお話を伺いました。介護の専門職を育ててゆくご苦労や熱心なお取組みを聞かせていただくと同時に、和歌山県としての介護を学ぶ学生のための修学資金制度が3年前からなくなってしまったということや、専門学校から県内事業所へ研修に出向いていた事業が来年度からなくなるなどの話も伺いました。国からの財源などの都合もあるようですが、こうした取り組みは、充実が求められこそすれ、先細りさせてゆくような政策ではないはずです。国・県でもっと拡充すべきです。
 その時に専門学校でお聞きした話が心に残っています。「今の介護の現場では、介護職員を『人材』として育てるものととらえずに、単に『人手』として仕事の流れやスキルだけを教えて働かせるというところが多いのが残念です。そういう所は職員が成長せずに長続きしない場合が多いのです。高齢者の人間としての尊厳とか、虐待問題とか、倫理観や介護に向かう姿勢を育てる人材育成こそが大切ではないでしょうか」、こんなふうにおっしゃっていました。
 県として、修学資金制度の再開など、介護人材の養成と定着事業に、より一層力を入れるべきだと考えますが、今後どう取り組んでゆかれるのか、福祉保健部長より答弁を願います。

《答弁》 福祉保健部長
 介護人材の養成等でございますが、介護福祉士等修学資金貸付制度につきましては、必要な予算措置を行うよう、厚生労働省に要望を行ったところです。また、高等学校の生徒や資格を持たずに介護職場に新規就労した方の資格取得の支援、就職相談会や介護体験事業などを実施するとともに、介護技術をはじめ、認知症や医療的ケアなど専門性を高めるための各種研修を実施するなど、国の制度も活用しながら、介護事業者や関係団体等とも連携して介護人材の育成に積極的に取り組んでまいります。

《要望》松坂英樹 県議
 積極的に取り組んでゆくという答弁にふさわしく、新年度、また今後にむけて努力をお願いいたします。では次に介護職員の労働実態について、現場で働く方々の現状はどうなっているのかという認識を質問させていただきます。

(3)介護職員の労働実態
《質問》松坂英樹 県議
 次に、介護の現場で働く方々の労働実態について県の認識をお伺いします。昨年の秋に、医療・介護の現場で働く方々の労働組合が、職員や事業所を対象にアンケート調査をされています。この結果を見せていただくと、介護職員の厳しい労働実態が浮き彫りになっています。
 調査を報道した朝日新聞の記事によりますと、全国の労働者の平均賃金29万7,700円と比べて、県内の介護職員は10万円以上低い18万8,194円だったこと。また同じ介護職でも全国平均を大きく下回っていたと紹介されています。
 アンケートでは、今の仕事について「やりがいのある仕事だと思う」が6割に達している一方で、また6割が「仕事をやめたいと思うことがある」と答えています。やめたいという理由としては、トップは賃金が安いからで47%、そのあと体力が続かない、仕事が忙しすぎると続きます。
 また、充分なサービスが提供できていない原因は人員不足という回答が68%にのぼり、目の届かないところでの転倒・転落を6割の職員が経験しているという結果です。
 有田地方の介護施設職員の生の声を取材した毎日新聞は次のような記事をのせています。高齢者80人が入所する施設、未明に呼び出しのコールが鳴り響くと、夜勤の男性介護福祉士は駆け足で音の主に向かった。この仕事に就いて18年、17時間勤務の夜勤では靴すら脱げない。一人でフロア半分の20人を担当する。コールが2つ以上同時に鳴れば対応は不可能だ。「これでは守れるはずの人も守れない」と話す。
 3年前に派遣会社から転職した和歌山市の女性職員は、正職員の仕事を探して介護の仕事についた。ミスが命に関わる一方、給与は手取り17万円弱と、派遣時代から2万円ほどしか上がっていない。ベテランの先輩の給与もほとんど変わらないことに驚いた。「この先に希望が見えない」と声を絞り出した。
 国が社会保障費削減のために入所者が自宅に戻る在宅復帰の支援を促していることについても、「入所者を回復させるためにもさらに人が必要になるのに、入所者を帰せば経営は成り立たない。矛盾だらけ」という訴えや、冒頭の介護福祉士の「仕事がきつくても入所者が回復してくれれば僕は我慢する。でも、在宅復帰支援が予算を減らすためだけの目的なら全て逆効果。この現場を国は知っているのか」という問いかけを紹介しています。
 また、介護施設事業者への懇談・聞取り調査でも、次のような意見が出されています。特養における介護・看護職員の配置基準は、ご利用者3名に対して職員1名となっています。現状私たちの施設においては、定員60名に対して介護・看護職員は非常勤職員あわせて40名を雇用しています。それでないと現場が回っていかないというのが実情です。当然、職員の給与は薄まっていかざるをえません。経営努力ということを考えても3:1の配置基準は明らかに十分な介護・看護のできる環境ではないと考えています。と配置基準の見直しと賃金を改善できる報酬単価の改定を訴えています。
 以上、ご紹介させていただきましたように現場では、仕事の割に給料が安いから職員募集しても人がこない、だから人員不足が慢性化、過酷な労働実態を産む結果となっています。そもそも人員配置基準が低いと言う問題もあり、仕事が続けられない勤続年数の短さ、根本的には他業種と比べて年100万円安いと言われている賃金に表れているように、待遇改善のための制度設計が追い付いていないのが実態なのです。そんな中で、必死にがんばっている職員のみなさんの声が痛いほど胸にささります。
 こうした介護の現場の悲鳴ともいえる声なき声を県はどう受け止めているのでしょうか。福祉保健部長に県としての認識をご答弁願います。

《答弁》 福祉保健部長
 介護職員の処遇につきましては、これまでの処遇改善加算制度などにより、給与等の引き上げをはじめとした処遇改善が着実に進んでいるものの、介護職員の平均賃金は、全産業のそれと比較しても低く、また、勤続年数も短い傾向にあることから、今後も、積極的な処遇改善や定着に向けた取り組みが必要と認識しております。

《要望》松坂英樹 県議
 答弁では、積極的な処遇改善が必要だと受け止めているという認識が示されました。これまでの3項目のやりとりをふまえて、次の「国に加えて県独自の待遇改善策を」提案する質問にすすませていただきます。

(4)国に加えて県独自の待遇改善策を
《質問》松坂英樹 県議
 今回の介護職員の待遇改善についての質問を通じて、人材は今後10年で4,000人とも7,000人ともいう介護職員が必要であること、そのためには、これまで以上に介護職員の養成に力を入れ、定着やスキルアップにも取り組まなければならないこと、ところが、介護職場の実態は、賃金が安いために、人が集まらない、人員不足で仕事がきつい、それでまた人が集まらないという悪循環になっていて、この実態をどう受け止めるのかという議論をさせていただきました。県としても、こうした人材確保、養成と定着、待遇改善に力を入れたいということですが、その待遇改善をどう前に向いて進ませるのかという課題をお尋ねしたいと思います。
 今回の介護保険制度改定では、国が介護職員一人当たり1万2,000円の月給アップとなるように制度を改善するということなのですが、「介護報酬が全体として引き下げられる中で、実効性ある待遇改善になるのか」との不安の声が出されています。
 報道によりますと、東京都が新年度から、都独自に介護職員の待遇改善予算を組むということです。制度設計において介護保険と重ならないように苦労しているとのことですが、私は画期的な取り組みだと考えます。全国よりも高齢化の早く進む和歌山県としては、積極的に待遇改善に取り組んで、人材育成を加速させなければなりません。
 国の待遇改善策は実効性あるものになるのか、また県としてもこれに加えて独自の待遇改善策に踏み出すべきではないかという点について、福祉保健部長の答弁を求めます。

《答弁》 福祉保健部長
 今般の処遇改善加算制度の拡充により、さらに給与アップが見込まれますので、対象となる全ての事業所に周知するとともに、積極的に活用されるよう働きかけてまいります。
 また、介護職員の待遇改善につきましては、県独自の対策は困難であり、国において、地域における経営実態等を踏まえた適切な介護報酬等の設定がなされるべきであると考えております。
 県におきましては、良質なサービスを提供できる介護職員の養成やスキルアップを支援することにより処遇改善や定着につなげてまいりたいと考えております。

《要望》松坂英樹 県議
 国の待遇改善は徹底するが、県独自は困難という、これまでのまだ延長線上のお答えだったと思います。東京都は財政力があるからとか、都市部は地域加算があるからということで終わらせていてはいけないと思うんですね。地方の県でも都市部より介護職員の給料が高くなっている県がたくさんあります。和歌山県も、おとなりの大阪府と月3万円ほどの差がある実態を放置できない、なんとか知恵を絞ろうという姿勢に立つべきだと強く要望をさせていただき、今後もこの課題を県民のみなさんとごいっしょに取り組んでゆきたいと思います。
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2.ヒートポンプ給湯機による低周波健康被害
《質問》松坂英樹 県議
 続きまして、第2番目の柱として、ヒートポンプ給湯機による低周波健康被害の問題について質問をさせていただきます。
 ヒートポンプ給湯機とは、空気中の熱をヒートポンプという技術で集めてお湯をわかす電気給湯機で、「エコキュート」などという愛称で販売されている省エネ型の給湯機です。低周波の健康被害は、これまで県議会では風力発電にともなう問題が何度も取り上げられてまいりましたが、今回、このエコキュートの低周波問題を提起させていただきたいと思います。
 消費者庁から昨年末の12月19日付で、ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動によって不眠等の健康症状が発生した事案の調査「報告書」と、法の規定に基づく安全調査委員会の「意見」が発表されました。消費者庁の報告文書を見ると、これまで身近に感じていない方も多かったであろう低周波健康被害の問題が、こうした発生源により、全国・県内どこでも起こりうることであり、これに対する注意喚起と十分な対応・対策が必要だと考え質問をさせていただくものです。
 そもそも、なぜ消費者安全調査委員会がこのようなエコキュートの低周波問題で調査をしたかというと、環境省が公表している低周波音に係る苦情件数が、平成20年以降は高い水準で推移しているということからなんですね。エコキュートの運転音・振動により不眠等の健康症状は、原因を低周波によるものと訴えるケースが多く、隣近所との関係に影響を及ぼしています。低周波音は人に聞こえにくい領域の音であることや、音の聞こえ方に個人差があることから音源の特定が難しいこと、また設置者の理解を得ることが難しいのが特徴だと紹介しています。
 事故等原因調査報告書は、主に取り上げた1つのケースだけではなく、合計19件もの事案について調査しています。それぞれ現場まで出向いて聞取り調査をし、データも詳細に実測調査しています。そしてそれだけでなく、隣の家にエコキュートがある家庭100件にアンケート調査もするなど、これまでの消費者安全調査委員会での取り組みを大きく超えた規模で検証をされているのが特徴です。
 その結果、事案に対して、「ヒートポンプ給湯機の運転音が健康症状の発生に関与していると考えられる」と結論づけ、リスク低減のための対策と、健康症状発生時の対応、という中身で「消費者安全法第33条の規定に基づく意見」というのを発表したわけです。
 私は先日、このヒートポンプ給湯機・エコキュートによる低周波健康被害の問題で由良町に出向き、健康被害を訴えられているご本人からお話を伺ってまいりました。
 この方の自宅に隣接する介護施設が、増設に伴い業務用のエコキュートを設置したときから、この方の健康被害が始まりました。激しい頭痛に悩まされる生活をもう2年あまりも続けておられます。この方の健康被害の相談にもとづき、地元自治体と保健所、県環境管理課が対応をし、メーカーによって低周波の測定が行われました。
 これがそのデータです。驚くことに、施設の前でも、また健康被害に悩む方の自宅でも、環境省が示した参照値を大きく超えているのですね。この参照値という音のレベルは、低周波の法規制基準がない中で、90%の人が許容できる水準という暫定的な数値ですが、この数値以下でも10%の人が許容できない、低周波を感じる個人差があるので、この数値以下でも低周波被害が否定できないので詳しく調査するよう環境省もガイドラインで求めている数値です。この数値を大きく超える低周波が測定されたという事実から、県などが施設に対して対応を指導し、運転時間帯を変えるなどの対策を試してきたものの、低周波の発生はおさまっていません。深夜電力を使うのが基本のエコキュートですが、夜寝られないので昼間に運転するように対策されましたが、今度は昼間が家にいられない。朝ごはんを食べたら外出して親戚宅や図書館などへ避難し、お昼ご飯を食べに帰ってもすぐに気分が悪くなるので、食べ終わったらまた自宅から避難する、夕方にエコキュートの運転が停止するころに帰宅するという生活を続けておられます。まさに心の休まることのない辛い生活を続けながら、健康被害に悩まされているわけです。
 こうした深刻な事例をふまえて、以下2つの項目で質問をさせていただきます。
(1)健康被害相談への対応状況
 まず一点目に、健康被害相談への対応状況についてお伺いします。ヒートポンプ給湯機による低周波健康被害の県内発生状況はどうか。また、由良町における隣接する介護施設からの低周波健康被害への対応状況についてお答え願います。

《答弁》 環境生活部長
 県内で発生しているヒートポンプ給湯機の低周波による健康被害の相談は、県として把握しておりますのは、本日ご指摘のありました由良町の1件でございます。これは、あくまでも相談として把握している分でございます。
 健康被害を訴えている方と設置施設の話し合いが行われている中で、議員からお話がありましたように、施設側はヒートポンプ給湯機の運転時間帯を深夜から昼間に変更をいたしました。その上で現在、昼間の運転出力を60%、これはこの機種の最低限の運転状況と聞いてございますが、そういう形に低減するなどの対策を現在のところはとっているとうかがってございます。
 また、現時点で施設側は施工業者や製造メーカーと協議しながら更なる対策を進めていきたいということで、その対応について検討していると承知しているところでございます。

(2)消費者庁の意見にもとづくメーカー・設計施工業者・県民への対応
《質問》松坂英樹 県議
 次に、消費者庁の意見にもとづくメーカー・設計施工業者・県民への対応についてお尋ねします。
 消費者庁の意見では、1点目にリスク低減のための対策をまず求めています。今後、家庭用ヒートポンプ給湯機の普及にともない影響が心配されます。県としても、メーカー・設計施工業者や販売店に対して周知徹底をはかるとともに、県民にも適切に広報してゆくべきではないでしょうか。
 また、消費者庁意見は、事前防止という1点目の観点に加えて、2点目に健康症状発生時の対応についても明確にしています。製造事業者に対しては、個々の事案に対応して、健康症状軽減に向けた具体的な対策を検討・提案し、履行にむけて丁寧に努めるよう求めています。一般的な予防策だけでなく個々の事案への対応という点でも、県としてメーカーや設計施工業者に対して、このような対応を求めるべきだと考えますがいかがですか。
 また、低周波音の測定値が、環境省が示した「参照値」以下であっても慎重な判断を要する場合があることを「一層明確に周知」せよとしていることから、県として今後低周波健康被害相談への対応において、このことをしっかりとふまえるべきだと考えますがいかがでしょうか。

《答弁》 環境生活部長
 ヒートポンプ給湯機から生じます運転音、それから振動によりまして不眠等の健康症状が発生したという申出が多数寄せられているところから、今回、消費者安全調査委員会の方で検討が進められて、昨年の12月にこの委員長から、経済産業大臣並びに消費者庁長官に対しまして、健康症状発生のリスク低減に向けた取組を行っていくように意見書が出されたものでございます。
 これを受けまして、経済産業省の方では、平成26年12月に一般社団法人日本冷凍空調工業会に対しまして、ヒートポンプ給湯機の運転音等の改善への取組を講ずるよう要請をしております。それを受けまして同工業会におきましては、取組を進めているところでございますが、経済産業省におきましても、今後とも、この工業会の取組がどのように進められていくか適切にフォローアップを進めてまいるということになっていると承知しております。
 また、低周波によります健康被害の対応でございますが、現在、議員ご指摘がありました参照値だけで、法的規制が無い状況ではございますが、消費者安全調査委員会の「低周波事故等調査報告書」、それから環境省から既に出されております「低周波音問題対応の手引書」を活用するよう、県内の市町村や関係の機関に周知してございます。
 これまで、県として取り組んでまいりました他の環境問題における様々な対応と同様に、低周波によります健康被害の対応についても、今後とも真摯に対応してまいりたいと考えてございます。

《要望》松坂英樹 県議
 県としての、この低周波健康被害に対する取り組みの状況と「今後も真摯に対応してゆく」との姿勢が示されました。まさにその言葉通りの努力を期待するものです。
 由良町のケースでは、一定の工夫や試行錯誤がすすめられてきました。これは県がしっかりと設置者を指導してこられたからだと評価しています。しかしこの先、対策をすすめようとすれば、対策の効果や費用の問題などで壁にあたることも予想されます。要望をさせていただくのは、施設と健康被害を訴えている方との協議だけにせず、消費者庁の意見にそった形で、メーカーや設計施工業者にもしっかりと対応をせまっていただきたいということです。
 また、家庭用エコキュートの健康被害の大部分は、省エネになるから、よかれと思って設置した給湯機が原因で、人生を狂わされるほどの被害にもつながるわけで、仲の良かった隣同士の関係が壊されてしまうんですね。設置した家にとっては裏の空いたスペースに置いたつもりが、お隣さんにとっては寝室の真横だったということがあるわけです。この問題の解決には、メーカーと設置業者の協力、いや責任がしっかりと果たされるべきなんですね。
 メーカーや設計施工業者、業界団体への指導は、決して国任せにすることなく、県としてきっちりと取り組まれるよう要望しておきます。
 また、県としても太陽光発電補助にこのエコキュートをプラスすれば補助が出る制度をもっています。5倍ほどの倍率の人気で、3年間で合計300件ほどの設置補助を出しているということですから、普及はすすんできているし、今後もすすむでしょう。補助をする県としても、補助要項などに、こうした低周波問題への注意喚起をし、設置位置を確認するようなことも必要だと思いますので対応を要望しておきます。
 このエコキュートや風力発電など、低周波健康被害を訴えられているのは、まだまだ氷山の一角であるというのが現状です。原因がわからず悩みを持っていらっしゃる県民が数多くいらっしゃる可能性があります。健康相談はもちろんのこと、適切な形でこうした低周波で悩んでいる問題があることを県民に広報をすることも含め、県としてしっかりとした対応を重ねて要望しておきたいと思います。
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3.特別支援教育の条件整備
《質問》松坂英樹 県議
 次に、第3番目の柱である、特別支援教育の条件整備について教育長にお尋ねいたします。特別な支援を必要とする子どもたちが通う、特別支援学級においては、児童数の多い学級が増えてきて、子どもたち一人ひとりの発達にあわせた対応に苦慮しているという話をお聞きし、その一例を調査するために湯浅町の学校現場へ出かけました。
 この小学校の特別支援学級のひとつには、1年生2名、2年生2名、3年生1名、4年生1名の合計6名が在籍しています。これに加えて来年度は新入生2名が予定されていて合計8名の学級になる予定だそうです。これだけの人数の学級で、どうやって授業をされているのだろうと思いながら、校長先生に授業をご案内いただきました。
 ここでは教室を半分に区切って、1年生の一人とお隣の特別支援学級の1年生が2人で国語の授業を受けていました。この二人は非常勤の先生が担当をされていました。そしてあとの半分の教室では、これをそのまた半分に先生手作りのパーティーションで区切って、2年生の子どもと4年生の子どもが算数の授業を受けています。学習内容も教具も別々の授業を一人の教師が行ったり来たりしながらおこなう、2元同時進行の授業なんですね。これは授業もたいへんだけれども、授業の準備、教材研究や教具の用意がたいへんだなと感じました。
 その日は4時間目の授業を見せていただいたのですが、教室の中には4名が勉強していて、あとの3人は、交流学級へ体育などの授業に出かけていました。校内をずっとご案内いただき、交流学級でいっしょに学習にとりくむ特別支援学級の子どもの姿も見せていただきました。そこにはやはり、特別支援学級の先生が横について授業に参加しています。そうやってこそ学習・発達が保障されるのです。
 このように、交流学級と時間割を調整してなるべく分散させながら、担任の先生と非常勤の先生でやりくりをして授業をされています。このクラスには、非常勤の先生が入っていますが、その非常勤の先生も、県費では1日3時間限りです。私が授業参観をさせていただいた4時間目は湯浅町のお金で配置しているというツギハギ状態なのです。そして午後は予算がないので非常勤の先生はいません。担任の先生一人で授業をすることになります。
 特別支援学級で子どもたちが一生懸命学習に取り組んでいる姿に感動し、本当に特別支援教育は教育の原点だなと改めて思うと同時に、特別支援で2人以上の学級は、人数と学年が多くなればなるほど、本当にたいへんだということを目の当たりにしました。今回の視察を通じて、一人ひとりの発達課題にそくした個別対応が求められる特別支援教育において、現場では条件整備が不足しているということを痛感しました。そこで、以下2点をお尋ねいたします。
(1)特別支援学級の設置数・児童数の推移
 1点目に、この間和歌山県内の児童数は全体としては減少傾向ですが、特別支援学級の学級数・児童数は増加傾向であると聞くが、現状はどうなのか。特別支援学級の設置数・児童数の推移をお示し下さい。
(2)多人数学級への条件整備充実を
 2点目に、特別支援学級における、多人数学級への条件整備充実についてです。丁寧な個別指導が大切な子どもたちなのに、2名以上が在籍する多人数学級では、人数や学年が増えるほど手厚い教員配置が必要です。この多人数学級に対しての条件整備にどう努めてきたのでしょうか。また、現在の人的配置では不十分だと考えますが、今後の充実にどう取り組んでゆくのかをご答弁を願います。

《答弁》 西下教育長
 平成26年度の特別支援学級につきましては、小中学校合わせて483学級、1,415名が在籍しており、5年前の平成21年度に比べますと82学級、368名増加しています。
 また、1学級当たり2名以上在籍している学級が占める割合は、76.2%で5年前と比較しますと8.4ポイント上昇しております。
 特別支援学級を編制する場合の基準は、8名以下となっており、9名以上の場合、クラスを分割し、複数の担任が指導することになっております。
 議員ご指摘のように、1学級当たりの児童生徒数が多くなったり、学年が複数にまたがったりすると、発達段階や課題に応じた指導が困難な場合があります。こうしたことから、県では市町村教育委員会との協議も踏まえ、1学級当たり児童生徒が6名以上在籍している場合、又は5名以上在籍し、かつ3学年にまたがっている場合は、非常勤講師を配置する支援措置を講じているところです。
 今後も、特別支援学級で学ぶ児童生徒一人一人が達成感をもちながら学習し、生きる力を身につけていけるよう、特別支援教育の充実に努めてまいりたいと考えております。

《要望》松坂英樹 県議
 教育長からは条件整備をすすめてきた経過と今後の姿勢も聞かせていただきました。特別支援教室の中でも困難なところに手厚い支援を求めるとともに、特別な支援が当たり前のようにできなければならないというのが日本の教育に求められています。定数改善や人的配置の一層の拡充を要望しておきたいと思います。
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4.みかんの価格対策
(1)2014年産みかんの販売状況
《質問》松坂英樹 県議
 最後に、みかんの価格対策についてお尋ねいたします。2014年産みかんの価格は、消費不況や天候不順の影響などを受けて低迷しました。年末・年始は少し回復したとの話もお聞きしますが、その恩恵はほんの一部にとどまり、県内農家全体としてはたいへん厳しい状況だと考えます。年末以降の推移も含めて、2014年産みかんの販売状況をどう把握しているかお示し下さい。
(2)「みかん厳選出荷促進事業」について
 次に、「みかん厳選出荷促進事業」についてです。和歌山県はみかん生産量日本一をこの間誇ってきています。和歌山は豊かで好条件な自然環境と、歴史・ブランド力をもった産地である一方で、価格形成の点では、他府県と比べてもリードされた状況が固定化されていて、みかん生産県主要6県のみかんを価格でランクづけすると、1位静岡、2位愛媛、3位長崎、4位和歌山と、この間常に4位が和歌山県の指定席だと聞きました。和歌山県産みかん価格の他府県との比較はいかがでしょうか。
 こうした中で、県は新年度で「みかん厳選出荷促進事業」をスタートさせようとしています。価格形成に向けた新たな努力として評価するものです。この事業によってどのような取り組みが強められ、どう効果を発揮してゆくと考えているのでしょうか。
 以上2点、農林水産部長より答弁をお願いいたします。

《答弁》 農林水産部長
 みかんの価格対策2点について、一括してお答え申し上げます。
 まず、2014年産みかんの販売状況ですが、8月の多雨による品質低下などにより、12月中旬までの販売単価は低迷いたしました。12月下旬以降は市場入荷量が減少して、現在まで前年を上回る価格で取引されておりますがヾ 昨日2月24日までの系統扱いの市場単価は対前年比85%の1キログラム当たり181円と厳しい状況でございます。
 本県のみかんは生産量では日本一ですが、残念ながら単価は、愛媛県や静岡県に比べて安く、平成21年以降全国の主要な10地域市場の平均価格を下回っているのが実状です。
 こうしたことから、光センサー選果機を利用して厳選したみかんを市場に出荷し、品質基準を満たさない果実を加工用に仕向けるための、みかん厳選出荷促進事業の予算を今議会にお願いしているところです。
 また、みかんの消費拡大を図るため、市町村や県内の企業にも協力を呼びかけ、会議や職場でみかんを食べる運動として「和歌山なんだから、もっとみかんを食べようキャンペーン」を昨年12月から実施しているところです。
 今後、厳選出荷の取組によって県産みかんの市場評価を高めるとともに、JAや市町村等と連携しながら販売の促進に努め、名実ともに日本一のみかん産地を目指す所存でございます。

《要望》松坂英樹 県議
 みかんの価格形成にむけた取り組みを議論させていただきました。答弁を聞いて改めて思ったのは、順位もありますが、和歌山県産みかんの単価が市場の平均価格を下回っているというのが大きな問題意識を持ったところです。厳選出荷の取組みや、品質向上、販売促進、ブランド力アップ、ぜひ様々な場面で、農家・生産者団体とも力を合わせて、和歌山県産みかんの価格形成がすすむよう、積極的な県の取り組みを要望して本日の質問を終わります。



 
                                                            西下教育長の答弁を聞く、松坂英樹和歌山県議(右)

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