2015年2月県議会 高田由一 一般質問 概要記録 議会中継録画
   
                                             2015年2月23日
1.農協改革について
(1)今回の農協改革の議論について
(2)改革で農家所得は増えるか
(3)先送りされた他の改革について

2.指定管理鳥獣捕獲について
(1)夜間銃猟の必要性
(2)認定鳥獣捕獲等事業者とは
(3)専門的知見を有する職員の配置

3.宝石サンゴ漁について
(1)試験的な操業の結果について
(2)資源量の調査について
(3)今後の県の取り組みについて

4.河川維持管理と防災
(1)河川修繕費の充実と支川の維持管理の定期化
(2)洪水ハザードマップの見直し


1.農協改革について
《質問》高田由一 県議
 安倍政権のすすめる農協「改革」についてうかがいます。この問題は昨年の6月議会でも少し議論しましたが、そのとき農林水産部長の答弁は「地域の農協の自主的な活動を制約している全国中央会等を弱くすれば、農協が活性化するという発想があるように感じますが、仮にそうであるとするならば、必ずしも実態に即した現状認識とは言い難いところがあります。
 県としましては、農協改革は、組織を変えることが目的ではなく、農協が、農業の発展・営農者の幸福実現にいかに寄与できるかという観点から議論が行われるべきものと考えており、当面は、改革議論の推移を見守ってまいりたいと考えております。」というものでした。
 その後、安倍政権の動きはどうでしょうか。政府は「農協の自由を拡大し、強い農協をつくり、農家の所得を増やす」と言ってこの度、全国農業協同組合中央会つまり全中の単協に対する指導・監査権限を取り上げ、組織そのものを一般社団法人化することを決めようとしています。
 しかし、日本農業新聞(1月29日付)のアンケートを見ますと95%の農協組合長が「中央会が単協の自由を奪っている」とは「思わない」と答えています。中央会廃止論は現場の意見とは正反対です。
 昨年までは政府・自民党と全中は農協のいわゆる自己改革案をもとに議論をすすめていくことになっていました。ところが年末の総選挙後、急に全中の指導・監査権限をなくし、一般社団法人化するといいだしたのです。
 当初は自主的な改革をと言っておきながら、この間の政府と全中のやりとりをみていると農協にとってとても飲めない他の改革案は先延ばしにしてやるから全中の組織解体を飲めという、そんな強引なやり方ではなかったでしょうか。
(1)今回の農協改革の議論について
 そこで知事にうかがいます。この間の農協改革をめぐる動きや議論について知事はどのように受け止められているでしょうか。答弁をお願いします。

《答弁》 仁坂知事
 農協改革については、昨年5月の記者会見で質問があり次のように答えた。
 第1に、全国農業協同組合中央会については、法的な権限はなくてもよいが、農協も一種の業界団体であり、業界団体は業界団体の上部組織を作って何が悪いのかという感じがすると申し上げた。
 第2に、改革は、農協自体を弱体化することを目的としてする必要はない。たとえば、地域で法的独占を認められていないような、信用事業や共済事業を無理に切り離す必要はない。また、全農を株式会社に必ずする必要はないと申し上げた。
 その後、一貫として同じような考え方を折に触れ誰にでも話してきた。
 今回の農協改革については、5月以降、色んな議論があったが、結論を拝見すると、おおむね私が言ったような結論になったのではないかと思う。
 私は、本県の農協はよく頑張っていると思うが、他県を調べると全県的に一丸となってもっと頑張っているところもある気もする。
 今まで以上に営農指導や一丸となった販売促進、農協自身による農業経営に力を入れ、和歌山県農業の発展に寄与することを期待する。

(2)改革で農家所得は増えるか
《質問》高田由一 県議
 この間の農協改革の議論の経過をみて、私は自主的な改革とは到底言えないと思います。また全中の指導・監査権限を取り上げて弱めることがどうして農家の所得を増やすことにつながるのかわかりません。農林水産部長はどうお考えでしょうか。答弁をお願いします。

《答弁》 農林水産部長
 現行の全国農業協同組合中央会いわゆる全中による監査は、単位農協の事業継続性を担保するため、会計業務や財務諸表等が適正であるかどうかを監査する会計監査と、会計以外の各種事業活動や組織・制度を監査する業務監査を、一体的に行ってきたという特徴があります。
 今回の農協改革では、全中の監査権限を廃止し、その監査部門を新たな監査法人として独立させるとともに、単位農協に対しては、これまで義務づけてきた全中による監査に代わって、公認会計士による会計監査を受けることを義務づけ、また、この会計監査は全中から独立する新たな監査法人を含めて、一般の監査法人から受ければよいとなっております。
 改革によって単位農協の選択の幅は広がりますが、それが農家所得の向上に具体的にどう結びつくかについては、現段階では見えづらい部分があります。

《質問》高田由一 県議
 こうした政府の動きに対し各地の農協組合長らが反対の声をあげています。2月15日付の「赤旗」日曜版にはそのうち5名の県農協中央会会長が登場しましております。
 県内の農協でも県中央会の中家会長は全中の副会長でもありますが、広報紙上で次のように述べています。「建前は、農家の所得を高めて農村に賑わいを取り戻すということで、本音は、アメリカへの金融市場の開放や企業の参入、またTPPに抵抗するJA、特に全中の解体ということです。その本音の目的に対する手段を、建前の方に適用しようとしているから矛盾が生じているのではないかと思います。例えば、中央会の監査機能を無くすと、どうして農家の所得が上がるのかということです。」このように手厳しい批判をしています。
 地元のJA紀南の組合長は「政府の農業改革は農協潰しととらえている。農協が成り立たないと地域が崩壊する危機感がある」とコメント、JAありだの組合長は「これまでJAが築いてきた協同組合をまったく否定した内容です」と述べています。
 私は今回の政府の方針に各農協は到底納得していない状況だということを申し上げておきたいと思います。
 次に今回は先送りになったほかの改革案についてうかがいます。こちらもまさに農協そのものを解体するような内容になっています。
 ひとつは単協から信用・共済事業を分離し、農林中金などに移管するというものです。この方針はまさに農村の金融市場を狙う銀行・保険業界が執拗に要求し、TPP交渉でアメリカの保険・金融業界も再三求めてきたことです。さきに紹介した赤旗日曜版に登場されたJA島根中央会の会長は「島根の農協全体で農業関係の経済事業はいまでも17億円の赤字です。営農指導を自腹でやっているからです。それを信用事業などの利益で補てんしている。信用・共済事業の分離、准組合員の利用制限などは総合農協の解体です。これは農協に死ねというようなものです」と述べています。
 准組合員の農協事業利用制限も、農協が担ってきた分野への営利企業の進出を狙う財界などがいっかんして要望してきたことです。過疎のすすむ農村地域では農協の金融事業や購買事業は半ば公的な性格をもっています。他の金融機関やお店、ガソリンスタンドがない地域で准組合員の利用を制限すれば農協の事業基盤を狭めるだけでなく、地域住民の暮らしをおびやかすことになります。
(3)先送りされた他の改革について
 そこで農林水産部長にうかがいます。こうした農協改革が実施された場合の影響についてどのようにお考えでしょうか。答弁をお願いします。

《答弁》 農林水産部長
 今回の信用・共済事業に関する改革の主旨は、農協の人的資源を経済事業にシフトできるように、事務負担や経営リスクを極力、軽減しようとするものです。
 共済事業においては、全国共済農業協同組合連合会に、単位農協の事務負担を軽減する取り組みを行うように求めています。
 また、信用事業においては、現行法に規定する単位農協から農林中金・信用農業協同組合連合会への全部譲渡に加え、一部譲渡の場合も業務代理を行うことができるようにするもので、どのように扱うかは単位農協の選択に委ねられており、あまり大きな影響はないと考えます。
 次に、准組合員の事業利用制限については、5年間を目途に正組合員及び准組合員の利用実態、農協改革の実行状況を踏まえて、慎重に決定するとなっています。
 農協の経営は、営農指導など、経済事業の赤字を金融事業と共済事業で補っているのが実情であります。
 農村地域では、ガソリンスタンドやATM(現金自動預け払い機)等、農協がある種の社会インフラとしての機能を担っている部分があり、准組合員の事業利用制限のあり方如何によっては、地域社会に多大の影響を及ぼす恐れがありますので、今後の農協改革の議論を注視して参ります。

《意見》高田由一 県議
 いま答弁にもありましたように、地域社会に大きな影響をおよぼす恐れがある農協改革の内容です。いまの国会で日本共産党はこうした農協改革に関連する法案に断固反対でがんばるということを紹介して、この質問を終わります。
……………………………………………………………………………………………………………………………………………
2.指定管理鳥獣捕獲について
《質問》高田由一 県議
 つぎに新年度から実施される指定管理鳥獣捕獲についてうかがいます。
 昨年、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律いわゆる鳥獣保護法が改正され、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律と名称がかわり、鳥獣の管理という新しい考え方が法律に盛り込まれました。通称で改正鳥獣法と呼ばれているこの法律の施行は今年の5月です。これにより、これまでは禁止されていた夜間の銃猟が知事に認定された事業者では可能となり、和歌山県ではシカを対象に夜間銃猟をするための認定鳥獣捕獲等事業が新年度予算で実施される予定です。そのためには知事は第二種特定鳥獣管理計画というものを作成し、そのなかに夜間銃猟の計画を盛り込まなければならないことになっています。
 いまでもシカの管理捕獲、これは平成23年から4月から5月にかけて実施されてきたもので、これまでの4年間で5948頭のシカを捕獲してきました。私が心配するのは、やはり夜間の銃猟は非常に危険だということでこれまで禁止されてきたわけです。猟師のなかからも心配の声があがっているといいます。それを解禁してまでシカをこれまで以上にどんどん捕獲しなければならない事態なのかどうか科学的な根拠が必要だと思います。
(1)夜間銃猟の必要性
 そこで農林水産部長にうかがいます。なぜ新年度で夜間銃猟を含めてシカの捕獲をする必要があるのか、その根拠をお答えください。

《答弁》 農林水産部長
 シカによる農作物被害額は、年間4500万円前後で推移し、林業被害を含め依然として深刻な状況が続いています。
 これまで県では、平成20年から二期7年にわたりシカの「特定鳥獣保護管理計画」を策定し、被害が少なかった平成6年度当時の推定生息数8,700頭に近づけるため、管理捕獲、有害捕獲、狩猟期の捕獲を合わせ、年間9,000頭以上を捕獲目標として、個体数調整による被害軽減に努めてまいりました。
 しかし、平成25年度に行った「県と環境省」による新たな手法による生息数調査結果では、県内で約53,000頭の生息数が見込まれたことから、さらに捕獲の拡大が必要となっています。
 こうした状況から、今回策定を計画している、改正後の「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に基づくシカの「第二種特定鳥獣管理計画(案)」には、捕獲が効果的に実施できる「夜間銃猟」に取り組む内容を盛り込んでいるところです。

(2)認定鳥獣捕獲等事業者とは
《質問》高田由一 県議
 つぎに夜間銃猟は認定鳥獣捕獲等事業者という知事が認定した事業者だけが実施できることになっていますが、これはどのような団体を認定しようとしているのでしょうか。猟友会などとの関係はどうなるのでしょうか。答弁をお願いします。

《答弁》 農林水産部長
 「認定鳥獣捕獲等事業者」は、法人として過去3年以内に捕獲等の実績があること、緊急連絡体制等の安全管理規定が整備されていること、従事者が狩猟免許を取得していること、また、装薬銃を使用する捕獲従事者を10人以上有することなどの基準を満たすことが、法施行規則で定められています。
 こういう要件を満たす申請があれば、安全性を重視したうえで、認定の可否を判断していきたいと考えています。
 県猟友会につきましては、法人として捕獲実績や銃所持者数を相当数有しており、規則に定める他の要件も満たせば「認定鳥獣捕獲等事業者」となりうると考えております。

《質問》高田由一 県議
 改正鳥獣法に関する昨年の国会での議論でもこれまでの管理捕獲の根拠となってきたそれぞれの都道府県でたてられた特定鳥獣保護管理計画があまり科学的でなかった。これまでメスの捕獲などどんどん規制緩和して数も捕ってきたのに、それは結果的に少なすぎたということです。私はシカの生息数など保護管理計画が適正だったかどうかを毎年検証できるような専門的な知見を有する職員も配置されてこなかったことが今日の事態を招いていると思います。
(3)専門的知見を有する職員の配置
 そこでうかがいます。和歌山県ではこれまで専門的知見を有する職員の配置はどうなっていたか、またそういう職員を配置するための国の財政支援はあるのか、答弁をお願いします。

《答弁》 農林水産部長
 鳥獣害対策に係る職員については、各振興局に担当職員を置き、捕獲、防護などの対策にあたるとともに、捕獲技術等の研究開発のため、果樹試験場にも4名を配置しております。
 現在、鳥獣害対策の専門知識を有した人材の登録制度として、農林水産省の農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーや環境省の鳥獣保護管理プランナーなどの制度がございます。
 本県には登録している職員はいませんが、登録されている方々を鳥獣害対策研修会等の講師としてお招きし、アドバイスや指導、助言を賜っております。
 なお、専門職員に対する国の財政支援につきましては、地方交付税における鳥獣保護法に係る鳥獣行政費として、費用算定基礎に含まれておらず、現時点で国の財政支援はございません。

《要望》高田由一 県議
 専門的な職員を配置できるよう、国にしっかり要望していただきたい。
……………………………………………………………………………………………………………………………………………
3.宝石サンゴ漁について
《質問》高田由一 県議
 つぎに昨年、中国の密漁船が小笠原諸島などに出没して話題になった宝石サンゴ漁についてうかがいます。宝石サンゴはご承知のようにいま中国国内で値段が高騰しており、取引が活発になっています。これまで国内では知事許可漁業として高知県、東京都、鹿児島県、長崎県、沖縄県で認められていましたが国内のほとんどの実績は高知県といってもいいすぎではありません。
 高知県では実は江戸時代から採取がはじまっており、途中、盛衰はあったものの大正時代にも脚光をあび、また近年では昭和50年の沖縄海洋博覧会で注目され今日にいたっているようです。
 先日、高知県の方に聞きますと、現在、サンゴ漁の許可条件はかなり厳しくなってきているようで、漁船数は県全体で371隻まで、採取量も生で年間750キロまで、漁の禁止期間を4か月設ける、操業時間の短縮、小さなものは放流する、許可の更新は1年ごとと、さまざまな規制をかけているようです。
 この宝石サンゴ、野生動物の保護をはかるワシントン条約で国際的な取引を規制するかどうかこれまでも議論されています。いまのところは大丈夫なようですが、来年の国際会議で再び議題になるようで、そのこともあっていま中国などでは駆け込み需要のような状態になっているとも聞きます。
 そんななか、和歌山県では従来は宝石サンゴを採るサンゴ網漁については自由漁業として漁業者であればだれでも自由に営むことができました。しかし最近の価格高騰を背景に新規参入の希望が多くなり、既存の漁業とのトラブルが懸念されることから、県では漁業者の要望もうけ、昨年10月21日から今年の1月31日までの間、県内の漁船50隻に限定して試験的に宝石サンゴの採捕を認めることになりました。
(1)試験的な操業の結果について
 そこでまずこの試験的な操業の結果について、農林水産部長にうかがいます。

《答弁》 農林水産部長
 質問の宝石サンゴの採捕につきましては、漁業者が、和歌山海区漁業調整委員会の承認を受けて試験的に行ったものでございます。
 採捕の結果といたしましては、現在までに約180kgの宝石サンゴの採捕実績が報告されており、その大半が最も珍重され価格の高いアカサンゴとなっております。
 現在、採捕実績をとりまとめているところで、後日開催される和歌山海区漁業調整委員会に報告する運びとなっております。

(2)資源量の調査について
《質問》高田由一 県議
 つぎに今後もこのサンゴ漁を続けるなら、科学的な資源量調査が必要だと思いますが、どのように考えておられますか。答弁をお願いします。

《答弁》 農林水産部長
 今後の資源量調査につきましては、調査の精度を高めるため、平成27年度においても26年度と同規模の試験採捕を行い、引き続き宝石サンゴの資源状況を確認する必要があると考えております。

《質問》高田由一 県議
 県では今年のような試験的な採捕を来年度も継続するということですが、漁業者からは「地域的に不公平だ」とか「枠をひろげてほしい」という要望もでております。
 ただ成長が非常に遅い宝石サンゴはワシントン条約の会議でも議論されている貴重な資源であり人類共有の財産でもあります。値段の高騰につられて乱獲されるということがあってはならないものです。
(3)今後の県の取り組みについて
 そこで今後の県の取り組みの方向について答弁をお願いします。

《答弁》 農林水産部長
 今回の調査で、既存漁業との漁場競合や数多い新規参入希望者の調整など、解決すべき課題が明らかとなりました。
 また、議員ご指摘のとおり、宝石サンゴは人類共有の財産でもあるため、これらの課題の解決とともに、持続的な利用を可能とする繁殖保護が必要です。
 今後、平成26、27年度の調査結果を踏まえて、こうした状況を考慮した上で、海区漁業調整委員会の承認による試験的採捕から、県知事許可漁業に移行すべく、国や関係者と協議を進めて参ります。
……………………………………………………………………………………………………………………………………………
4.河川維持管理と防災
《質問》高田由一 県議
 質問の最後に河川整備と防災についてうかがいます。
 地元の上富田町からも県議会建設委員会に陳情が提出されていますが、富田川の堆積土砂の浚渫については現在も県が実施をしてくれており、だいぶん改善されてきたように思います。ただ本川に流入する生馬川、馬川、岡川、根皆田川、汗川など、支川については各地から堆積土砂の浚渫や草刈の要望がだされています。当局にうかがいますとこうした整備にかかる費用は河川修繕費として予算計上されていますが、年々、予算的には増額していただいているようです。しかし、現実には大水害の後、修繕が必要な個所はたくさんでてきており、地元からの要望は切実であります。県は緊急性の高いところから実施していくということで、それはそれで妥当な理由ですが、地元からすればいつになったらうちに順番が回ってくるんやろという気持ちになっています。
(1)河川修繕費の充実と支川の維持管理の定期化
 私はこの際、河川修繕費をさらに充実するとともに堆積土砂の撤去や草刈など支川の維持管理については定期化して住民の期待に応えていくことも必要ではないかと思いますが、県土整備部長の答弁をお願いします。

《答弁》 県土整備部長
 河川修繕費は、護岸等の修繕、河道内の堆積土砂の撤去、除草等を実施するための経費であり、平成27年度予算では対前年比1.1倍の約11.8億円を計上しております。
 このうち、河道内の堆積土砂の撤去や除草については、洪水時の流下能力や沿川の土地利用状況、河川パトロールや住民からの要望等を踏まえて、緊急性の高いところから順次実施しております。
 議員ご指摘の富田川流域においても、今年度、本川では河口付近及び十九渕(つづらぶち)地内の堆積土砂の撤去を行う予定であり、支川では生馬(いくま)川の生馬地内で堆積土砂の撤去、馬(うま)川の朝来(あっそ)地内で除草を既に実施したところです。
 加えて、市町が河川管理者の代行として行う土砂撤去工事、民間事業者による砂利採取、河川愛護団体230団体、スマイルリバー事業参加団体15団体による除草作業など、皆様のご協力を頂きながら、河川の適切な維持管理に努めているところです。
 県内の河川には、未だに整備が必要な区間も多く、また、今後、河川管理施設の老朽化対策も必要となってくることから、維持管理に関しては、様々な工夫や住民の方々のご協力を頂きながら、緊急性の高いところから順次実施することが、現実的な対応であると考えております。

《質問》高田由一 県議
 つぎに河川の洪水ハザードマップの見直しについてうかがいます。このことについては一昨年の12月県議会の一般質問でも取り上げました。たとえば日置川では河川整備方針が40年に一度の洪水に対応できるよう河川整備をすることとなっています。だから洪水ハザードマップも40年に一度の洪水がおこったとき浸水はどうなるかを示しているのですが、この考え方は、紀伊半島大水害や東日本の震災後は通用しなくなっていると思うのです。南海トラフ地震への対処も同じですが、予想される最大規模の災害がおきたときどうなるかを想定していくべきだと考えます。
 最近、国土交通省では「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」という政策を発表し、洪水等でも最悪の事態を想定した取り組みをすることを求めています。聞くところでは今国会でこの方針に基づいた法改正が行われるようです。
(2)洪水ハザードマップの見直し
 そこで県土整備部長にうかがいます。前の私の議会質問で県土整備部長は次のように答弁されました。「現在県としましては紀伊半島大水害を受けて、計画規模を超える洪水に対する浸水想定区域の洪水レベルの考え方やその活用の方策などについて検討を行っているところであり、大規模な洪水に対しても、早めに安全な避難が行えるように取り組んでまいります。」
 その後の検討状況はどのようになっているでしょうか。答弁をお願いします。

《答弁》 県土整備部長
 洪水ハザードマップについては、浸水想定地域などを示すことにより住民の円滑かつ迅速な避難を確保するために、水防法に基づき市町村が作成するもので、県内では、25市町、22河川で作成されていますが、逆にそれ以外の地域では安全であるとの誤解を招く恐れもあります。
 命を守るためには、避難勧告等が発令されたら想定にとらわれず逃げることが一番大切です。
 計画規模を超える洪水ハザードマップの作成については、単に住民の不安を煽るだけとなることは本意ではなく、対象洪水をどのように設定するのか、ハード整備だけでなくソフト対策も含めていかに住民に提示していくかなどの課題に対して、これまでも検討してきたところであり、既に、この一環として、河川情報の充実を図るため、洪水予報河川及び水位周知河川の指定について拡充いたしました。
 今般、1月に国土交通省から「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」が公表され、最悪の事態を視野に入れた洪水対策等の基本的な枠組みとして、比較的発生頻度の高い降雨等に対しては、施設によって防御することを基本とするが、それを超える降雨等に対しては、ある程度の被害が発生しても、「少なくとも命を守り、社会経済に対して壊滅的な被害を発生しない」ことを目標とし、危機感を共有して社会全体で対応することが必要であるとの方向性が示されました。
 また、これを受けて、国土交通省では、想定し得る最大規模の洪水・内水・高潮へ対応するため、水防法の改正や最大規模の洪水をいかに設定するかについて具体的な手法の検討が始められたところです。
 今後、これらの国の動向を注視しつつ、「少なくとも命を守り、社会経済に壊滅的な被害を発生しない」対策について取り組んでまいります。



 
                                                                 仁坂知事の答弁を聞く、高田由一和歌山県議(右)

2015年2月議会   高田由一プロフィール、質問一覧   高田由一ブログ   高田由一ホームページ
高田由一facebook  日本共産党和歌山県議団HOME